私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
今回審査する富士五湖汽船株式会社は、総合56点、シビックランクDです。
富士五湖汽船株式会社の特に強い点は、遊覧船の安全管理を具体的な基準と実績で公開していることです。2025年公表資料では過去5年間の事故・行政処分は0件で、3カ月に1回の安全研修、毎週のヒヤリハット共有、風速15m/s以上・波高0.5m以上・視程300m以下で運航を中止する基準を定めています。[出典2・3]
そのため、この企業の遊覧船を利用すれば、観光の楽しさより安全を優先し、事故を未然に防ぐための教育・点検・運航判断に力を入れる交通サービスが残りやすい社会になる可能性が高まります。
一方で、改善点として働く人の休みの少なさと、自然条件が変化したときの事業継続力が残ります。2026年のハローワーク求人では年間休日100日で、育児休業・介護休業・看護休暇の取得実績はありません。また本栖湖遊覧船「もぐらん」は水位低下により2026年度を通して運休しており、別の船や航路で本栖湖のサービスを代替する体制は公表されていません。[出典5・11]
この記事では、富士五湖汽船株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
富士五湖汽船株式会社の企業審査結果
富士五湖汽船株式会社は、小規模な会社ながら旅客船の安全管理をかなり具体的に公開しています。一方で、労働条件の情報量は少なく、年間休日や育児・介護支援は弱めです。Innovationでは新航路やバリアフリー、キャッシュレスを評価できますが、働く人の負担削減を数字で示す情報は不足しています。Protectionでは安全訓練や複数船を評価する一方、本栖湖航路の長期運休が継続力の弱点です。
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 29/50 |
| Innovation | 12/25 |
| Protection | 15/25 |
| 総合点 | 56/100 |
| シビックランク | D |
評価時点:2026年10月
主な強み
- 2025年公表資料で過去5年間の事故・行政処分0件
- 3カ月に1回の安全研修、毎週のヒヤリハット共有
- 風速・波高・視程を使った明確な運航中止基準
- 遊覧船3隻に救命設備・無線を装備し、船舶検査状況を公開
- 2026年に大石公園ラインを新設し、バス混雑の分散を狙う
- 車いす利用を考慮したバリアフリー船を運航
- 小型船舶操縦士免許の取得費用を会社が全額負担
主な課題
- 年間休日100日
- 会社全体の平均年収、賃金中央値、男女賃金差を公表していない
- 育児休業、介護休業、看護休暇の取得実績なし
- 富士五湖汽船単体の労災件数、休業災害、健康KPIが非公表
- キャッシュレスや新航路で従業員の作業時間が何時間減ったか非公表
- 本栖湖「もぐらん」が水位低下で2026年度を通して運休
- 災害時の代替輸送や復旧時間の会社単体KPIが非公表
事業内容と人間への貢献
富士五湖汽船株式会社は、河口湖と本栖湖で遊覧船を運営する富士急グループの会社です。富士急行株式会社の2026年3月期開示では、富士五湖汽船に対する議決権所有割合は97.5%です。会社は1930年設立で、資本金は1,280万円。2026年のハローワーク求人では従業員12人とされています。[出典1・4・5]
主な事業内容
現在の主なサービスは次のとおりです。
- 河口湖遊覧船「天晴」
- 河口湖の船津桟橋と大石公園を結ぶ「大石公園ライン」
- 本栖湖遊覧船「もぐらん」
- チケット販売、乗船案内、甲板業務
- 船長・運航管理
- 団体・障がい者向けの乗船対応
2026年度は「もぐらん」が水位低下で通年運休しており、実際に利用できる中心サービスは河口湖の「天晴」と「アンソレイユ」による大石公園ラインです。[出典11・12]
事業による人間への貢献
遊覧船は生活必需交通ではありませんが、地域観光の移動手段として役割があります。
「天晴」は約20分で河口湖を周遊し、車いす利用者が屋根付き船内スペースまで移動できるバリアフリー設備を備えています。多言語案内も導入されています。[出典8]
2026年に始まった大石公園ラインは、船津桟橋と大石公園を約15分で結びます。会社は、観光シーズンに路線バスが混雑する問題に対し、湖上へ人を分散する目的を明示しています。観光客がバスだけに集中しなければ、バスの混雑を減らし、道路渋滞の影響を受けずに移動できる選択肢が増えます。[出典10]
Safety|29/50
富士五湖汽船のSafetyでは、旅客船としての運航安全は高く評価できます。反対に、働く人の賃金、休日、育児・介護、労災・健康の結果開示は弱く、利用者の安全と従業員の働きやすさの間に大きな評価差があります。
賃金・利益の還元|6/10
2026年の船長候補求人では、月給19万3,050円~29万5,050円です。内訳は基本給13万6,950円~23万8,950円と、作業・資格手当5万6,100円。固定残業代はありません。前年度の昇給実績は月6,000円以上、賞与は年2回・計4.40カ月分です。[出典5]
賞与4.40カ月、固定残業代なし、昇給実績がある点は評価できます。また、小型船舶操縦士免許を持っていない人については、会社が取得費用を全額負担します。資格取得費用を本人へ押し付けず、仕事に必要な技能へ会社が投資している点もプラスです。
一方、これは現在募集している一職種の条件です。会社全体12人の平均年収、賃金中央値、職種別賃金、毎年のベースアップ、利益に対する人件費還元率については公開情報がありません。公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
そのため6/10点です。全従業員の賃金分布と毎年の賃上げ実績まで公開し、広い層で所得改善が確認できれば8点以上を検討できます。
労働時間・休息|6/10
同じ求人では、時間外労働は「なし」、36協定の特別条項も「なし」です。勤務時間は季節によって変わり、8時台から16~18時頃までの勤務です。[出典5]
残業なしという現在の求人条件は、安全面でも重要です。船長や甲板員が疲労した状態で操船すれば、判断ミスは利用者の事故へ直結するためです。
一方、年間休日は100日です。月平均労働日数は22.1日で、6カ月経過後の年次有給休暇は10日です。有給取得率・平均取得日数は公表されていません。年間休日100日は休息の面で強い水準とはいえません。
そのため6/10点です。残業の少なさを維持しながら年間休日を120日前後へ増やし、有給取得率も公開・改善できれば8点以上を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
求人は正社員・雇用期間の定めなしで、定年60歳、勤務延長は65歳までです。従業員数は会社全体12人で、今回の就業場所は6人、うち女性0人です。[出典5]
長期雇用を前提にした正社員募集で、未経験者を1カ月程度研修し、資格取得まで会社負担で育成することは雇用安定の面で評価できます。
一方、離職率、平均勤続年数、男女賃金差、女性管理職比率、非正規雇用比率は公開されていません。就業場所の女性0人という数字だけで差別を判断することはできませんが、待遇公平性を外部から検証できる情報は少ない状態です。
そのため3/5点です。定着率、男女賃金差、昇進実績などを公開し、公平な雇用実績が確認できれば4~5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|2/5
雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金に加入し、勤続3年以上の退職金制度があります。単身用住宅も利用可能です。[出典5]
一方、2026年求人では育児休業、介護休業、看護休暇の取得実績がいずれも「なし」です。利用可能な託児施設もありません。
取得実績がないことだけで制度を利用できないとは判断しません。しかし、少人数の会社で育児や介護が必要になった際に、実際に休めた事例が公開されていないことは、働き続けやすさを判断するうえで弱点です。
そのため2/5点です。男性・女性の育休取得、介護休業、復職・定着の実績が確認できれば3~4点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|3/5
富士五湖汽船は富士急グループの連結子会社です。富士急グループの企業行動規範は「グループ各社」と「全ての役員及び職員」を対象としており、安全確保、人権尊重、法令遵守を定めています。グループ人権方針と内部通報窓口「ヘルプQライン」も整備されています。[出典13・14]
親会社に制度があるだけでは対象会社の満点評価にはしませんが、グループ各社共通の規範であることは確認できます。
一方、富士五湖汽船単体のハラスメント相談件数、通報件数、是正結果、人権研修受講率は公開されていません。求人では労働組合も「なし」です。[出典5]
そのため3/5点です。会社単体の相談・研修・是正実績まで公開できれば4点以上を検討できます。
労働安全・健康|4/10
富士急グループでは、各社の安全衛生水準向上を目的として労働安全衛生マネジメントに取り組み、安全会議や健康管理を行っています。[出典15]
富士五湖汽船自身も3カ月ごとの安全研修や毎週の船長会議を行っていますが、これらは主として運航安全の取り組みです。従業員の労災件数、休業災害、健康診断受診率、ストレスチェック、高ストレス者率、メンタル不調による休職など、会社単体の労働安全・健康KPIは公表されていません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
そのため4/10点です。会社単体で労災・健康結果を毎年公開し、重大災害0件や低い事故率が継続していることを確認できれば6~8点を検討できます。
商品・サービスの安全|5/5
ここは富士五湖汽船の最大の強みです。
2025年4月公表資料では、過去5年間の事故・行政処分は0件です。運航船は「アンソレイユ」「天晴」「もぐらん」の3隻で、船舶検査、救命設備、無線、旅客賠償保険の情報を公表しています。[出典3]
運航基準では、桟橋付近の風速15m/s以上、波高0.5m以上、視程300m以下のいずれかに達した場合は発航を中止し、それ以下でも安全確保できない場合は船長・運航管理者の判断で中止します。3カ月ごとの社内研修、毎週のヒヤリハット共有、関東運輸局による運輸安全マネジメント評価も確認できます。[出典2・16]
たとえば富士山周辺で急に風が強まり、湖面が荒れ始めた場合、観光客が多く待っていても運航を続けるのではなく、数値基準を使って止める仕組みがあります。売上より安全を優先する判断を制度化していることは、旅客船会社として重要です。
過去5年間の事故・行政処分0件と具体的な安全管理を確認できるため5/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議、Indeed、OpenWork、エンゲージ会社の評判を対象法人名で確認しましたが、現在の富士五湖汽船株式会社の労働実態を具体的に判断できる口コミ本文は見つかっていません。
口コミがないこと自体は減点しません。現在のSafety評価は、ハローワーク求人、会社の安全資料、富士急グループの公開方針を中心に行っています。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、社名と残業、給与、退職、パワハラ、労災、人員削減などを組み合わせて確認しました。
対象会社の現在の従業員・元従業員だと判断でき、採点を変更できる具体性を持つ投稿は確認できませんでした。勤務先との関係を確認できない一般的な富士五湖・富士急の書き込みは採点根拠にしていません。
Innovation|12/25
富士五湖汽船のInnovationは、利用者にとってのサービス改善は進んでいる一方、働く人の作業時間や負担をどれだけ減らしたかという数字が弱いことが特徴です。新航路、バリアフリー、キャッシュレスなどは利用者の利便性を高めていますが、それを従業員の負担軽減へつなげた実績は十分見えません。
作業負担・危険の削減|2/10
2025年には「天晴」でキャッシュレス決済を開始しました。現金の受け渡しや釣り銭管理を減らせるため、チケット販売の作業負担を軽くする可能性があります。[出典9]
ただし、キャッシュレス化によって会計時間が何分減ったのか、現金締め作業が何時間減ったのか、必要人数や残業がどう変わったのかは公表されていません。
また、操船、甲板業務、乗船案内など、人が担う主要業務を技術で代替した実績も確認できません。
そのため2/10点です。導入前後の作業時間、現金管理時間、必要人数、残業などを数値で示し、実際の負担削減が確認できれば4~6点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
2020年に新造した「天晴」は、車いす利用を考えたバリアフリー設計、多言語案内、大型モニターなどを備えています。[出典8]
2025年にはキャッシュレス決済を開始し、2026年には船津桟橋と大石公園を約15分で結ぶ大石公園ラインを新設しました。[出典9・10]
大石公園は観光シーズンに路線バスが混みやすく、船で直接移動できれば、待ち時間や道路渋滞の影響を減らせます。高齢者、車いす利用者、外国人観光客への対応も含め、利用者の不便を継続的に減らしているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|1/5
現在の求人では時間外労働なしとされていますが、キャッシュレス、新船、新航路などの改善によって残業が減ったという因果関係は公表されていません。[出典5]
年間休日は100日のままであり、技術・サービス改善によって浮いた時間や利益が休日、賃金、勤務時間短縮へ返ったことを示す数字もありません。
そのため1/5点です。新しい設備やサービス導入前後の作業時間を示し、その削減分が休日増加や労働時間短縮へ実際につながったことを確認できれば2~4点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|4/5
2020年の新造船「天晴」、2025年のキャッシュレス、2026年の大石公園ラインと、数年単位でサービス改善を続けています。[出典8・9・10]
本栖湖「もぐらん」でも魚群探知機を設置し、水深や魚の様子を利用者が見られるようにしています。[出典17]
一度の改修だけで終わらず改善を続けているため4/5点です。一方、作業削減、事故削減、利用者満足などの効果測定が十分公開されていないため満点にはしません。
Protection|15/25
富士五湖汽船のProtectionでは、事故を防ぐ事前ルールと非常時の連絡体制は比較的強い一方、自然条件によって航路が長期間使えなくなったときの代替性が弱点です。特に本栖湖では水位低下による1年間の運休が発生しており、気候・自然環境の変化に対する事業継続力が課題になっています。
災害への備え・訓練|4/5
安全管理規程には、事故発生時の処理、安全教育、訓練、内部監査まで定められています。会社は3カ月に1回の安全研修、毎週のヒヤリハット共有を行い、全従業員がIP無線を携帯して情報共有できる体制を公表しています。[出典2・18]
過去には河口湖遊覧船で自主訓練を実施したことも公表されています。[出典19]
例えば急な強風や落雷、乗客の体調急変が起きた場合、船長だけで情報を抱えず、陸上側や他の職員へ即時共有できることは初動を早めます。
一方、直近年度の訓練回数、参加率、救助に要した時間などの実測結果は公表されていません。そのため4/5点です。訓練結果まで毎年公開できれば5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|3/5
2025年公表資料では「アンソレイユ」「天晴」「もぐらん」の3隻を保有し、河口湖では複数船を活用できます。2026年にはアンソレイユを大石公園ラインへ投入し、従来の「天晴」と異なる用途で使っています。[出典3・10]
一方、本栖湖「もぐらん」は水位低下により2026年度を通して運休しています。本栖湖で別の船を投入する、別の桟橋から運航するなどの代替サービスは公表されていません。[出典11]
そのため3/5点です。航路ごとに代替船・代替桟橋・代替移動手段を準備し、実際に切り替えられることを確認できれば4~5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|3/5
富士急行および富士急グループ各社に適用する個人情報保護方針では、個人情報保護基準、セキュリティポリシー、不正アクセス・ウイルス対策を定めています。[出典20]
富士五湖汽船は団体予約や問い合わせ、キャッシュレス決済などで利用者情報を扱うため、こうしたグループ共通方針が適用されることは評価できます。
一方、富士五湖汽船単体のセキュリティ監査、教育実施率、インシデント件数、バックアップや復旧訓練の実績は公表されていません。
そのため3/5点です。会社単体の実施状況と事故件数まで公開できれば4点以上を検討できます。
供給継続・復旧能力|2/5
河口湖では複数船を使える一方、本栖湖「もぐらん」は水位低下により2026年4月から2027年3月まで1年間運休しています。[出典11]
自然条件により安全運航ができない場合に無理に運航しない判断自体はSafetyでは正しい対応です。しかしProtectionでは、止めた後にどのようにサービスを代替するかを別に評価します。
本栖湖について代替船、代替桟橋、陸上輸送との連携、再開条件・復旧目標時期の詳細は公表されていません。
そのため2/5点です。長期運休時の代替交通と再開計画を具体化し、実際に利用者の移動を維持できれば3~4点を検討できます。
危機時の市民への対応|3/5
2026年に開設した大石公園ラインについて、会社はバス混雑の緩和だけでなく「防災面での移動手段の多様化にもつながる」と説明しています。[出典10]
道路が渋滞・寸断した場合、湖上ルートが使えれば大石公園と船津地区を結ぶ別経路になり得ます。これは観光船を単なる娯楽ではなく、地域移動の補完手段として使える可能性を持っています。
ただし、自治体との災害輸送協定、避難者の輸送人数、災害時の無料輸送、実際の災害対応実績は公表されていません。
そのため3/5点です。自治体と正式な協定を結び、災害時に何人を何分間隔で輸送できるかまで決めれば4~5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の富士五湖汽船では、旅客船の安全管理を維持しながら、河口湖の交通混雑を減らす新しい航路や決済方法を導入しています。こうしたサービスが利用されれば、安全を重視しつつ、観光地の移動負担を減らす企業活動を続ける売上につながります。
2026年 大石公園ラインを新設(Innovation・Protection)
2026年7月、船津桟橋と大石公園を結ぶ「大石公園ライン」の運航を開始しました。既存のアンソレイユ号を活用し、片道約15分で結びます。[出典10]
会社は、観光シーズンの路線バス混雑を分散し、防災面でも移動手段を多様化することを目的に挙げています。
バスが満員で乗れない観光客を湖上へ分散できれば、旅行者の待ち時間を減らし、道路側の混雑も緩和できます。
2025年 過去5年間の事故・行政処分0件を公表(Safety)
2025年の安全情報では、過去5年間の事故・行政処分は0件と公表しています。3隻の船舶検査、救命設備、無線、保険も一覧で公開しました。[出典3]
旅客船では一度の重大事故が多数の利用者へ影響するため、事故が発生していない実績を安全制度とセットで公開していることは大きな強みです。
2025年 「天晴」でキャッシュレス決済を開始(Innovation)
2025年から「天晴」のチケット購入でキャッシュレス決済を利用できるようになりました。[出典9]
現金を準備しなくても乗船できるため、外国人旅行者や現金を持ち歩かない利用者の不便を減らします。今後、会計作業時間や現金管理負担がどれだけ減ったかも公開されれば、従業員側のInnovationとしてさらに評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
富士五湖汽船では重大事故や行政処分よりも、働く人の休息と自然条件に対する事業継続が現在の主要課題です。改善されない場合、利用者の安全は守れても、そこで働く人の休みが少ない状態や、一つの自然条件で航路が長期間止まる状態が残ります。
2026年度 本栖湖「もぐらん」が水位低下で1年間運休(Protection)
本栖湖遊覧船「もぐらん」は、水位低下に伴い2026年4月から2027年3月まで運休しています。[出典11]
安全に離着岸できない状態で運航を続けないことは正しい判断です。一方、Protectionの観点では、1年間サービスが止まっても別手段へ切り替えられていないことが弱点です。
水位低下が今後も繰り返される場合に備え、桟橋の改修、別船の活用、陸上交通との連携など、代替策を準備する必要があります。
2026年求人 年間休日100日(Safety)
現在の船長候補求人は時間外労働なしですが、年間休日は100日です。[出典5]
操船や乗客対応は安全判断を伴う仕事です。残業だけでなく、年間を通した休息日数も安全へ影響します。年間休日を増やし、有休取得実績も公開することが必要です。
2026年求人 育児・介護休業の取得実績なし(Safety)
同求人では、育児休業、介護休業、看護休暇の取得実績がいずれもありません。[出典5]
従業員12人の小規模企業では、一人の長期休業がシフトへ与える影響は大きくなります。だからこそ、代替要員を育て、育児や介護が必要になっても働き続けられる体制を作ることが重要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
富士五湖汽船株式会社は56点、シビックランクDです。次のCランクは60点からなので、あと4点必要です。
旅客船の安全管理は会社の規模を考えてもかなり具体的です。Dランクにとどまった最大の理由は、安全な船を運航する仕組みに比べ、そこで働く人の休暇・育児・健康の結果開示と、自然条件で航路が止まった後の代替策が弱いことです。
年間休日を増やし、有休取得まで公開してほしい(Safety)
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。
時間外労働なしは強みですが、年間休日100日、有給取得率非公表です。年間休日を120日前後へ引き上げ、有休取得率・平均取得日数も公開し、実際に休めていることが確認できれば6→8点を検討できます。
加点は+2点で、総合56→58点。Dランクのままです。
参考企業はプラス株式会社です。Google Drive上の現行審査では年間休日125日、月平均残業20時間、有給取得率63.1%で、「労働時間・休息」8/10点です。[参考企業出典21]
労災・健康KPIを会社単体で公開してほしい(Safety)
現在の「労働安全・健康」は4/10点です。
運航安全の研修は詳しく公開していますが、働く人自身の労災件数、休業災害、健康診断受診率、メンタル不調などの結果は公表されていません。
これらを毎年公開し、重大労災0件や低い事故率が確認できれば4→6点を検討できます。
加点は+2点で、総合56→58点です。
参考企業として、Google Drive上のキリンビバレッジ株式会社の現行審査では、死亡0人、休業災害度数率0.58などを法人単位で公開し、「労働安全・健康」8/10点としています。[参考企業出典22]
サービス改善を従業員の負担削減へつなげてほしい(Innovation)
現在の「作業負担・危険の削減」は2/10点です。
キャッシュレス、新航路、新しい船は利用者には便利ですが、従業員側で何時間の作業が減ったのかが分かりません。
チケット販売時間、現金締め時間、乗船案内の作業時間、必要人数、残業を導入前後で測り、大きな削減が確認できれば2→4点を検討できます。
加点は+2点で、総合56→58点です。
参考企業は富士急静岡タクシー株式会社です。Google Drive上の現行審査では、GOアプリ配車、カーナビ、キャッシュレスを導入し、「作業負担・危険の削減」6/10点です。配車や会計作業の一部をデジタル化しており、富士五湖汽船でもチケット・案内業務の負担を定量化する参考になります。[参考企業出典23]
本栖湖の長期運休に代替策を用意してほしい(Protection)
現在の「供給継続・復旧能力」は2/5点です。
水位低下によって1年間運休する場合、安全のために運航を止めることは必要です。しかし、その後に代替交通や別船を用意できなければ、サービスは完全に消えてしまいます。
代替桟橋、別船、バスとの連携、再開条件をあらかじめ整え、長期運休時にも利用者が移動・観光できる代替サービスを提供できれば2→4点を検討できます。
加点は+2点で、総合56→58点です。
参考企業は伊藤忠商事株式会社です。Google Drive上の現行審査では、拠点・調達・BCPの代替性を評価し、Protection 22/25点、「供給継続・復旧能力」4/5点です。[参考企業出典24]
Cランクへ上がるための具体例
現在56点・Dで、Cランクは60点からです。
例えば次のどちらかを実現すれば60点へ届きます。
- 労働時間・休息:6→8点 +2
- 労働安全・健康:4→6点 +2
または、
- 作業負担・危険の削減:2→4点 +2
- 供給継続・復旧能力:2→4点 +2
合計+4点で56→60点となり、シビックランクCです。
情報を公開しただけでは自動的に加点しません。実際に休日が増え、労災が低く、作業時間が減り、長期運休時にも代替サービスを提供できることまで確認できた場合に評価を上げます。
出典一覧
1.富士五湖汽船株式会社「会社概要」【情報ランクA】
2.富士五湖汽船株式会社「弊社遊覧船における安全への取り組み」【情報ランクA】
3.富士五湖汽船株式会社「2025年 安全情報」【情報ランクA】
4.富士急行株式会社「2026年3月期 有価証券報告書」【情報ランクS・A】
5.ハローワーク「富士五湖汽船株式会社 遊覧船の運航業務」【情報ランクS】
6.富士急行株式会社「富士急グループ企業一覧」【情報ランクA】
7.gBizINFO「富士五湖汽船株式会社」【情報ランクS】
8.富士五湖汽船株式会社「河口湖遊覧船 天晴」【情報ランクA】
9.富士五湖汽船株式会社「天晴 キャッシュレス決済の開始」【情報ランクA】
10.富士五湖汽船株式会社「2026年 大石公園ライン運航開始」【情報ランクA】
11.富士五湖汽船株式会社「本栖湖遊覧船 もぐらん運休について」【情報ランクA】
12.富士五湖汽船株式会社「料金・運航案内」【情報ランクA】
13.富士急グループ「企業行動規範」【情報ランクA】
14.富士急グループ「人権の尊重・ヘルプQライン」【情報ランクA】
15.富士急行株式会社「安心・安全の更なる追求」【情報ランクA】
16.国土交通省「運輸安全マネジメント評価実施実績」【情報ランクS】
17.富士五湖汽船株式会社「本栖湖遊覧船 もぐらん」【情報ランクA】
18.富士五湖汽船株式会社「安全管理規程」【情報ランクA】
19.富士五湖汽船株式会社「河口湖遊覧船 自主訓練実施報告」【情報ランクA】
20.富士急グループ「個人情報保護方針」【情報ランクA】
21.Google Drive現行審査「プラス株式会社|76点・B」【比較用】
22.Google Drive現行審査「キリンビバレッジ株式会社|74点・B」【比較用】
23.Google Drive現行審査「富士急静岡タクシー株式会社|58点・D」【比較用】
24.Google Drive現行審査「伊藤忠商事株式会社|83点・A」【比較用】
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100 |
| A | 80~89 |
| B | 70~79 |
| C | 60~69 |
| D | 50~59 |
| E | 40~49 |
| F | 20~39 |
| G | 0~19 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者による調査・監査・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・公式SNS、氏名・役職・立場を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者と対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
