私たちは、企業を選ぶことで未来の社会を形作ることができます。株式会社富士急ビジネスサポートの場合、その選択は「どのような条件で人が働き、企業や観光施設を誰が支えるのか」という形で社会へ広がります。
同社は、人材派遣や職業紹介だけを行う会社ではありません。富士急グループや外部企業に人を送り、施設清掃や警備、業務請負、社員寮管理、廃棄物処理、受託観光事業なども担っています。つまり、富士急グループのホテル、交通、観光施設などを利用すると、そのサービスの裏側で富士急ビジネスサポートが配置した人や請け負った仕事によって支えられている場合があります。富士急行も同社を、人材派遣、職業紹介、各種業務請負、警備、社員寮管理、受託観光事業を行うグループ会社として位置づけています。
そこで重要になるのが、企業から受け取った人材サービスの料金を、実際に働く人へどれだけ戻しているかです。派遣先企業が高い料金を払っても、そこで働く人の賃金、休暇、安全、教育が改善されなければ、人材サービス会社が間に入る意味は弱くなります。反対に、仕事を探す人へ複数の働き方を用意し、適切な賃金と休息を確保し、就業後も支援する会社が選ばれれば、「働くために生活を犠牲にする」のではなく、自分に合った働き方を選びやすい社会へ近づきます。
富士急ビジネスサポートは、2024年3月末時点の派遣事業について、派遣労働者11人、派遣先8社、8時間当たりの平均派遣料金1万6,682円、派遣労働者の平均賃金1万1,265円、マージン率32.4%を公開しています。働く人へいくら支払われ、会社側へどの程度残るのかを数字で公開している点は評価できます。
2026年の求人では、河口湖駅の施設清掃について1日5時間程度、週3日程度、時間外労働なし、勤務時間・日数は相談可能としています。育児休業の取得実績もあります。また一定条件を満たすスタッフには、富士急グループの電車・バス・船の乗車証や施設優待なども用意されています。
一方で、2026年3月期の富士急行有価証券報告書では、富士急ビジネスサポートの女性管理職比率は0%です。男性育休取得率は対象者がいなかったため「-」ですが、男女の賃金差は女性を100とした比率ではなく、女性賃金が男性賃金の何%かを示す指標として、全労働者77.3%、正規雇用61.1%、有期雇用74.8%となっています。特に正規雇用の61.1%は大きな差です。
また、清掃、警備、廃棄物処理など身体的危険を伴う仕事を扱う会社ですが、現在の死亡労災、休業災害、労災度数率、ヒヤリハット件数などは十分に公開されていません。BCPやサイバー対策についても富士急グループ全体の制度は確認できますが、富士急ビジネスサポート単体での訓練・復旧実績は明確ではありません。
これらをSafety・Innovation・Protectionの3軸で評価した結果、株式会社富士急ビジネスサポートは42点、シビックランクEとなりました。
株式会社富士急ビジネスサポートの企業審査結果
| 評価軸 | 得点 |
|---|---|
| Safety | 25/50 |
| Innovation | 10/25 |
| Protection | 7/25 |
| 総合 | 42/100 |
| シビックランク | E |
| 主な強み | 主な課題 |
|---|---|
| 派遣料金・派遣賃金・マージン率を公開 | 女性管理職比率0% |
| 平均派遣賃金は8時間1万1,265円 | 正規雇用の男女賃金差61.1% |
| 男女の平均継続勤務年数はいずれも5年 | 全社平均給与が非公表 |
| 育児休業取得実績あり | 全社平均残業・年間休日が非公表 |
| 短時間・週3日など柔軟な求人あり | 最新の派遣事業情報が2024年3月時点 |
| グループ乗車証・施設優待あり | 労災件数・度数率が非公表 |
| 人材派遣から警備・清掃まで幅広い | 自動化による負担削減成果が不明 |
| 富士急グループの人材育成制度あり | 個社BCP・復旧時間が非公表 |
株式会社富士急ビジネスサポートとは
富士急ビジネスサポートは、富士急グループの「人」と「現場」を支える会社です。
遊園地や鉄道会社のように利用者から見えやすいサービスだけではなく、人材を採用・配置したり、清掃や警備を請け負ったりすることで、ほかの企業が事業を続けるための土台を支えています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社富士急ビジネスサポート |
| 法人番号 | 2090001009971 |
| 所在地 | 山梨県富士吉田市新西原5丁目2番1号 |
| 設立 | 1994年5月12日 |
| 資本金 | 3,300万円 |
| 株主 | 富士急行株式会社 |
| 代表取締役社長 | 小林武史 |
| 主な事業 | 人材派遣、職業紹介、業務請負、警備、清掃、廃棄物、社員寮管理、委託事業等 |
会社公式では1994年5月12日設立、資本金3,300万円、株主は富士急行株式会社としています。富士急行の2026年有価証券報告書でも100%連結子会社として掲載されています。
従業員数については公開資料によって差があります。
Gビズインフォでは職場情報総合サイト由来として270人、男性110人・女性160人とされています。一方、2026年4月のハローワーク求人では企業全体241人とされています。情報の時点や集計対象が異なる可能性があるため、どちらか一方を現在の絶対的な社員数とは扱いません。
人が足りない企業と、仕事を探す人をつなぐ
会社は、人材派遣、職業紹介、業務請負、警備を中心に、企業と人材を結び付けることを主要な役割として掲げています。
企業側にとっては、人手不足で業務を止めるリスクを減らせます。
働く側にとっては、自分だけで求人を探す場合より、複数の仕事から勤務場所や時間に合った働き方を探せる可能性があります。
一方、人材サービス会社には大きな責任があります。
単に「人を派遣した」で終われば、企業の人手不足を埋める一方で、働く人が低賃金や不安定雇用に置かれる可能性もあります。
そのため、富士急ビジネスサポートでは「派遣先を何社確保したか」だけでなく、そこで働いた人がどの程度の賃金を受け取り、休み、安全、キャリア形成を確保できたのかを確認することが重要です。
Safety 25/50
Safetyでは、富士急ビジネスサポート自身の社員だけでなく、派遣・契約・請負など多様な立場で働く人が適切に扱われているかを重視します。
派遣賃金の公開、福利厚生、柔軟な求人には前向きな材料があります。
一方、女性管理職0%、正規雇用の大きな男女賃金差、全社平均の残業・休日・労災情報不足は大きな課題です。
賃金・利益の還元 5/10
2024年3月末時点の派遣事業では、1日8時間当たりの平均派遣料金が1万6,682円、派遣労働者の平均賃金が1万1,265円でした。
単純に8時間で割ると、平均賃金は約1,408円/時間に相当します。
マージン率は32.4%です。
人材派遣会社が料金と賃金を公開することは重要です。
企業が1日1万6,682円を払っているのに、働く人にはいくら支給されるのか分からない状態では、利用者側も「人に利益を返している会社か」を判断できません。
一方、公式ページで現在掲載されている数値は2024年3月末時点です。
2026年現在の平均派遣料金・賃金・マージン率は同ページでは確認できません。
また、2026年3月期の有価証券報告書では、正規雇用の女性の賃金は男性の61.1%となっています。
全社員の平均給与、職種別給与、賃上げ率なども公開されていません。
そのため5/10点です。
労働時間・休息 5/10
2026年4月にハローワークへ掲載された河口湖駅の施設清掃求人では、1日5時間程度、週3日程度、時間外労働なしです。
勤務時間は9時~14時または12時~17時程度で、相談可能としています。
子育て、介護、副業などと両立しやすい短時間勤務を用意できる点は評価できます。
しかし、これは一つのパート求人です。
会社全体について、
・月平均残業時間
・年間休日
・有給取得率
・長時間労働者数
・勤務間インターバル
などは公表されていません。
「時間外労働なしの求人が一つある」ことを会社全体の労働環境として評価することはできないため5/10点です。
雇用の安定・待遇の公平性 2/5
Gビズインフォでは、平均継続勤務年数は男性5.0年、女性5.0年とされています。
勤続年数に男女差がない点は評価できます。
一方、2026年3月期の有価証券報告書では、女性管理職比率は0%でした。
男女賃金差は、
・全労働者 77.3%
・正規雇用 61.1%
・有期雇用 74.8%
です。
男性育休取得率は「-」ですが、これは取得率0%ではなく、対象となる男性労働者がいなかったことを意味します。
女性従業員が多い会社でありながら、女性管理職0%という点は特に改善余地があります。
そのため2/5点です。
福利厚生・育児・介護 4/5
2026年のハローワーク求人では、育児休業取得実績があります。
また会社公式では、一定の勤務条件を満たすスタッフについて富士急グループの身分証明書を発行し、家族乗車証も利用できるとしています。
対象となる富士急の路線では、電車・バス・船を無料で利用できるほか、グループ施設の優待やリゾート施設の特別料金制度もあります。
派遣・パートなど多様な雇用形態でも、条件を満たせばグループ福利厚生を受けられる点を評価します。
一方、現在の介護休業取得実績、看護休暇実績などは限定的です。
そのため4/5点です。
人権・ハラスメント・労使関係 3/5
富士急グループには人権方針や内部通報制度があります。
また、富士急ビジネスサポートの個人情報保護方針では、人種、民族、思想、労働者の団結権、政治的権利など、差別につながり得るセンシティブな個人情報を原則として収集・利用しない方針を示しています。
一方、対象会社単体の、
・ハラスメント相談件数
・内部通報件数
・是正件数
・労使協議の実績
については公表されていません。
2026年のハローワーク求人では労働組合は「なし」とされています。
親会社の制度だけで対象会社の実績を高く評価することはせず、3/5点です。
労働安全・健康 3/10
富士急ビジネスサポートでは、清掃、警備、廃棄物処理なども行っています。
これらの仕事には、
・清掃中の転倒
・洗剤等による事故
・重量物
・屋外警備
・夜間勤務
・廃棄物収集時の事故
など、事務職とは異なる安全リスクがあります。
会社公式では労災保険制度についてスタッフ向けに詳しく案内しています。
しかし、保険へ加入していることと、事故を防止できていることは別です。
現在の、
・死亡労災
・休業災害
・度数率
・転倒事故
・警備中事故
・清掃作業事故
・安全教育実施率
などについて公開情報がありません。
公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため3/10点です。
商品・サービスの安全 3/5
人材派遣や警備、清掃では、「商品事故」よりも、派遣した人材や請負作業が安全・適切に実施されるかが重要です。
今回の調査では、同社について重大な行政処分、大規模な事故などを示す信頼できる現在の公開情報は確認できませんでした。
一方、
・警備事故件数
・清掃品質の評価
・派遣先からの苦情件数
・派遣労働者の定着率
・サービス上の重大インシデント
などは公開されていません。
問題が公表されていないことだけで満点にはできないため3/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議には少数ですが口コミがあります。
2017年頃に働いていた派遣社員からは、営業担当が相談しやすいという肯定的な声がある一方、派遣先によって営業担当者の訪問頻度に差があり、評価に不満を感じたという投稿があります。かなり古い情報なので、現在の制度として直接採点には使っていません。
同じく2017年頃に働いていた女性契約社員からは、
「自分からきちんと相談すれば親身に相談を聞いてくれる」
という趣旨の投稿があります。
派遣会社では、給与だけでなく「派遣後に担当者がどの程度フォローするか」が重要です。
現在の担当者訪問頻度、面談実施率、派遣スタッフ満足度などを公開できれば、より正確に評価できます。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイなどについて、会社名と待遇、派遣、清掃、警備、退職、パワハラなどを組み合わせて確認しました。
今回の評価を変更できるほど具体的で、対象企業・時期・投稿者の立場を十分確認できる情報は採点根拠として使用していません。
情報が見つからないこと自体は減点していません。
Innovation 10/25
富士急ビジネスサポートのInnovationでは、製造会社のようなロボット・AI導入よりも、「人を必要な場所へ配置し、現場の負担を減らす仕組み」が中心になります。
しかし現在の公開情報では、システム導入によって何時間削減したか、危険作業をどこまで自動化したかといった成果がほとんど見えません。
作業負担・危険の削減 2/10
同社は、企業が採用・教育・配置をすべて自社だけで行う負担を減らす人材サービスを提供しています。
業務請負によって、企業が本来の事業へ人員を集中できるという効果もあります。
一方、富士急ビジネスサポート自身の現場について、
・清掃ロボット
・AIシフト作成
・配員自動化
・警備の遠隔監視
・重量物作業の自動化
・廃棄物作業の省力化
などの具体的な導入成果は確認できませんでした。
そのため2/10点です。
商品・サービスの改善 4/5
同社は人材派遣だけでなく、職業紹介、業務請負、警備、清掃、一般・産業廃棄物、社員寮管理、委託事業などへ業務を広げています。
企業は「人だけを派遣してもらう」「仕事そのものを請け負ってもらう」「採用を支援してもらう」といった複数の選択肢を持てます。
また、2025年には静岡県から富士山の入山手数料に関する指定公金事務取扱者の一つとして指定されており、観光分野の委託業務にも関わっています。
サービス領域を広げてきたことを評価し4/5点です。
改善成果の人間への還元 1/5
短時間勤務、勤務日数の相談、グループ乗車証など、働く人にとって利用価値のある制度は確認できます。
しかし、
・業務効率化で残業が何時間減ったか
・人材配置システムで担当者の仕事が何時間減ったか
・効率化した利益を賃上げへどれだけ戻したか
・省力化によって休日が増えたか
という因果は公開されていません。
さらに正規雇用の男女賃金差は61.1%です。
そのため1/5点です。
研究開発・現場改善の継続 3/5
1994年の設立以降、人材派遣から職業紹介、業務請負、警備、廃棄物、観光委託などへ事業を広げてきました。
また富士急グループでは、2026年度から「フジQアカデミー」にDX分野を追加し、グループ会社社員にも参加を促す方針を示しています。
ただし、富士急ビジネスサポートの社員が何人受講し、どの業務改善につながったかは確認できません。
グループ制度を対象会社単体の成果として満額評価せず、3/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
富士急グループではDX研修や生成AIワークショップなどを進めています。
しかし、富士急ビジネスサポート自身について、AIやRPA導入後に、
・何人を配置転換したか
・採用人数がどう変わったか
・人員削減を行ったか
・残業が何時間減ったか
という情報は公開されていません。
人材サービス会社自身がAIで採用・配置を効率化していく可能性は高い分野です。
だからこそ、将来は「AIによって人を減らした」だけではなく、「単純作業を減らして、人が相談・教育・フォローへ時間を使えるようになった」という成果まで示してほしいところです。
Protection 7/25
富士急ビジネスサポートは、他社が人員不足になったときに人を補う会社です。
その意味では、企業の事業継続を支える役割そのものを持っています。
一方、同社自身が災害やサイバー攻撃を受けた際の復旧能力について、個社単位の具体的情報は少ない状態です。
災害への備え・訓練 1/5
富士急グループには災害リスク管理や危機管理の仕組みがあります。
しかし、富士急ビジネスサポート単体について、
・防災訓練の回数
・参加人数
・安否確認訓練
・非常電源
・災害時の派遣スタッフ確認体制
などの具体的な公開情報がありません。
親会社の制度だけを対象会社の実績として採点しないため1/5点です。
生産・物流・調達の代替 2/5
富士急ビジネスサポートは山梨・東京・静岡を中心に人材サービスを展開しています。
一つの工場や一つの商品を供給する会社とは違い、複数の人材や業務を組み合わせて企業を支援できるため、人手不足時の代替性があります。
一方、
・大規模欠勤時に何人を代替配置できるか
・派遣スタッフの緊急応援制度
・地域をまたいだ代替派遣
・災害時の警備・清掃応援体制
などの具体的な能力は公開されていません。
そのため2/5点です。
サイバー防衛・情報保護 2/5
人材サービス会社は、氏名、住所、職歴、給与、社会保険情報など多くの個人情報を扱います。
富士急ビジネスサポートは個人情報保護方針を公開し、目的外利用や不適切なセンシティブ情報の取得を制限しています。
一方、対象会社単体について、
・多要素認証
・EDR
・SOC
・CSIRT
・侵入テスト
・標的型メール訓練
・バックアップ方式
などの運用結果は確認できません。
そのため2/5点です。
供給継続・復旧能力 1/5
派遣管理システム、給与計算、スタッフ連絡網などが停止した場合、人材サービスそのものが止まる可能性があります。
しかし、
・目標復旧時間
・バックアップ拠点
・給与システムの代替
・スタッフ連絡手段
・復旧訓練時間
などについて公開情報がありません。
公開情報がない点は課題です。
一般的に事業を継続している実績のみを最低限評価し1/5点です。
危機時の市民への対応 1/5
警備、清掃、人材派遣、廃棄物処理という事業は、災害時にも必要になる仕事です。
特に観光施設や交通施設が被災した場合、人員配置や清掃、警備を早く確保できれば復旧を助けられます。
しかし、同社について、
・災害被災地への人員派遣
・避難施設の清掃
・緊急警備
・災害廃棄物対応
などの具体的な実績は今回確認できませんでした。
そのため1/5点です。
人への還元
富士急ビジネスサポートは、「企業へ人を供給する会社」だからこそ、自社で働く人をどう扱うかが特に重要です。
派遣料金1万6,682円に対して平均派遣賃金1万1,265円という数字を公開している点は評価できます。
また、一定条件を満たしたスタッフへのグループ乗車証や施設優待、短時間勤務、有給休暇などもあります。
一方で、2026年の男女賃金差を見ると、正規雇用では女性の賃金水準が男性の61.1%です。
この差が、
・職種構成
・勤務時間
・役職
・勤続年数
・雇用区分
のどこから発生しているのかは、現在の公開資料だけでは分かりません。
原因を分析し、同一職種・同一等級での賃金差や昇進率まで公表してほしいところです。
女性従業員が多いにもかかわらず女性管理職0%という状態も、管理職候補の育成や昇進制度に改善余地があることを示しています。
良いニュース・最近の前向きな動き
直近では、柔軟な働き方を選べる求人や、富士急グループ全体での人材育成強化が確認できます。
人材会社が単に「企業へ人を送る」だけでなく、働き方を複数用意し、人が仕事へ入りやすくすることはSafetyとInnovationの両方につながります。
2026年 短時間・残業なしの清掃求人
2026年4月の河口湖駅施設清掃求人では、1日5時間程度、週3日程度、時間外労働なし、勤務日数相談可となっています。
育児休業取得実績もあります。
全社の働き方ではありませんが、「フルタイムでなければ働けない」という一択ではなく、短い時間から働ける仕事を用意している点は評価できます。
2026年度 富士急グループのDX教育を拡大
富士急グループでは、2026年度からフジQアカデミーの専門スキル教育へDXを追加し、グループ会社社員にも参加を促す方針です。
富士急ビジネスサポートはグループ会社なので、こうした教育機会を活用できる立場にあります。
今後、派遣管理や勤怠処理の効率化へつながり、その削減時間をスタッフ対応や休日へ戻せれば、Innovationをさらに評価できます。
女性従業員が男性より多い
職場情報では男性110人に対して女性160人とされています。
働く女性そのものを排除する企業ではありません。
だからこそ次に重要なのは、女性が現場で働くだけでなく、管理職や高賃金職へ進める環境をつくることです。
悪いニュース・問題となった動き
直近の最大の問題は、重大事故や行政処分というより、2026年の人的資本データによって見える待遇・昇進の格差です。
さらに、人材派遣会社として重要な賃金・労働時間・労災情報の一部が古い、または公開されていない点も課題です。
2026年 女性管理職比率0%
2026年3月期の有価証券報告書では、富士急ビジネスサポートの女性管理職比率は0%です。
女性従業員が一定数存在する会社で管理職が0%という状態は、採用後の昇進・育成まで含めて確認する必要があります。
単に女性採用比率だけを上げるのではなく、管理職候補への研修や昇進実績を公開してほしいところです。
正規雇用の男女賃金差61.1%
同じ有価証券報告書では、男女賃金差が全体77.3%、正規雇用61.1%、有期雇用74.8%となっています。
この数字だけから「同じ仕事なのに女性の給料を4割低くしている」と断定することはできません。
職種、勤務時間、役職構成などによる差も含まれるからです。
しかし61.1%という差が存在する以上、原因を分析し、改善の進捗を公表する必要があります。
派遣料金・賃金の公式情報が2024年3月時点
公式サイトで確認できる派遣労働者数、派遣料金、平均賃金、マージン率は2024年3月末時点です。
2026年現在の記事として見ると情報が古くなっています。
人材サービス会社にとって賃金は中心的な情報なので、毎年度更新してほしいところです。
労災実績が見えない
清掃、警備、廃棄物処理などを行っているにもかかわらず、現在の死亡労災、休業災害、度数率などを確認できる公開情報はありません。
「労災保険があります」ではなく、「事故が何件あり、対策後に何件まで減ったのか」を公開することが重要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在42点・シビックランクEです。
Dは50点からなので、次のランクまであと8点です。
富士急ビジネスサポートは、短時間勤務や派遣サービスによって、人が仕事へ入る選択肢を増やしています。
派遣料金・派遣賃金を公開している点や、グループ福利厚生も強みです。
一方、人を扱う会社であるからこそ、女性管理職0%、正規雇用の男女賃金差61.1%、全社労働時間や労災実績の非公表は軽く見ることができません。
女性管理職と賃金差を改善してほしい
現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は2/5点です。
改善条件として、
・女性管理職を継続的に登用
・男女別昇進率を公表
・同一職種・同一等級の男女賃金を検証
・正規雇用の男女賃金差を縮小
することが必要です。
2→4点になれば+2点で、総合44点です。
同じ富士急グループでも、親会社の富士急行では女性管理職比率12.5%となっています。富士急行自身にも男女賃金差の課題はありますが、「女性管理職0%ではない」という点では対象会社が目指せる身近な比較例です。
労災件数と安全改善を公開してほしい
現在の「労働安全・健康」は3/10点です。
清掃、警備、廃棄物処理などの現場について、
・休業災害件数
・度数率
・転倒事故
・腰痛
・ヒヤリハット
・安全研修実施率
を毎年公開し、事故が減った結果まで示してほしいところです。
3→5点なら+2点で総合44点です。
参考企業のキリンビバレッジでは、25kgの重量物を扱う茶葉投入作業を自動化し、年間約2,300時間の業務負荷削減と重量物作業の廃止まで数字で示しています。
清掃・警備の省力化を数字で示してほしい
現在の「作業負担・危険の削減」は2/10点です。
人材サービス会社が人手不足へ対応するのであれば、単に多くの人を投入するだけではなく、
・清掃ロボット
・AIによるシフト最適化
・遠隔警備
・勤怠処理自動化
・配置最適化
などによって、一人あたりの負担を減らすことも重要です。
導入前後の作業時間や身体負担を示せれば2→4点を検討できます。
+2点で総合44点です。
キリンビバレッジのように「年間何時間減ったか」まで示せれば、技術の人間への貢献を明確に判断できます。
BCPを個社単位で公開してほしい
現在の「災害への備え・訓練」は1/5点、「供給継続・復旧能力」は1/5点です。
富士急ビジネスサポートは人材・清掃・警備を担うため、災害時にはむしろ需要が増える可能性があります。
そのため、
・災害時のスタッフ安否確認
・緊急人員配置
・給与・勤怠システムのバックアップ
・代替連絡手段
・復旧目標時間
・年次訓練
を具体化する必要があります。
それぞれ1→2点なら合計+2点です。
参考企業のゆうちょ銀行はBCPを策定し、危機を想定した訓練を年1回以上行っています。サイバー面でもCSIRT、SOCを設置し、定期的な演習を実施しています。
次のランクへ上がる具体例
| 改善項目 | 現在 | 改善後 | 加点 |
|---|---|---|---|
| 雇用の安定・待遇の公平性 | 2/5 | 4/5 | +2 |
| 労働安全・健康 | 3/10 | 5/10 | +2 |
| 作業負担・危険の削減 | 2/10 | 4/10 | +2 |
| 災害への備え・訓練 | 1/5 | 2/5 | +1 |
| 供給継続・復旧能力 | 1/5 | 2/5 | +1 |
| 合計 | 42点 | 50点 | +8 |
この組み合わせなら総合50点となり、シビックランクDへ上がります。
富士急ビジネスサポートは、「仕事がある企業」と「働きたい人」をつなぐ会社です。
だからこそ、この会社の商品ともいえる人材サービスを利用する企業が増えることによって、働く人の賃金、休暇、キャリア、安全まで改善される仕組みになっていることが重要です。
派遣料金を公開するところからさらに進み、「利益の何%を賃上げへ戻したか」「女性がどれだけ管理職へ進んだか」「清掃や警備の負担を何時間減らしたか」「労災を何件減らしたか」まで示せれば、人材サービスを利用することで、より豊かな働き方を増やせる会社へ近づきます。
出典一覧
1.株式会社富士急ビジネスサポート「会社概要・労働者派遣法に基づく情報提供」
派遣労働者数、派遣先数、平均派遣料金、平均派遣賃金、マージン率。
2.株式会社富士急ビジネスサポート「スタッフ向け案内」
有給休暇、社会保険、グループ乗車証、施設優待等。
3.株式会社富士急ビジネスサポート「社長挨拶」
人材派遣、職業紹介、業務請負、警備事業等。
4.富士急行株式会社「グループ企業一覧」
富士急ビジネスサポートの事業内容。
5.富士急行株式会社「2026年3月期 有価証券報告書」
100%連結子会社であること、女性管理職比率、育休対象、男女賃金差。
6.Gビズインフォ「株式会社富士急ビジネスサポート」
従業員数、男女構成、平均継続勤務年数。
7.ハローワークインターネットサービス「株式会社富士急ビジネスサポート 施設清掃求人」
2026年の勤務時間、賃金、育休実績、従業員数等。
8.株式会社富士急ビジネスサポート「個人情報保護方針」
個人情報の利用、安全管理等。
9.転職会議「株式会社富士急ビジネスサポート 社員口コミ」
派遣社員・契約社員の過去の口コミ。
10.富士急行株式会社「2026年度 人材育成・フジQアカデミー」
DX教育などグループ人材育成施策。
11.静岡県「指定公金事務取扱者の指定」
富士山入山手数料に関する委託業務。
12.キリンビバレッジ株式会社「茶葉原料開梱・投入自動化設備」
年間約2,300時間の業務負荷削減等の参考事例。
13.株式会社ゆうちょ銀行「災害・事故などへの対応」「サイバーセキュリティ態勢」
BCP、年1回以上の訓練、CSIRT・SOC等の参考事例。
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
株式会社富士急ビジネスサポートは42点のため、今回のシビックランクはEです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
情報ランクは企業の評価そのものではなく、採点に使った情報の性質を示します。
今回、女性管理職比率と男女賃金差については、富士急行の有価証券報告書に掲載された数値を主要な根拠として使用しました。
一方、従業員口コミについては投稿時期が古く、件数も少ないため、現在の会社全体を示す情報としては扱っていません。
