私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
今回審査するHARUNA Asia (Thailand) Co., Ltd.は、総合44点、シビックランクEです。
HARUNA Asia (Thailand) Co., Ltd.の特に強い点は、タイを拠点に自社ブランド・PB商品・原料を企画し、ハルナグループのASEAN事業として15か国以上へ販路を広げていることです。2025年度第3四半期のグループ事業報告では、HARUNA Asiaの海外事業が売上高・営業利益とも前期を上回り過去最高とされています。
そのため、この企業が企画・販売する飲料や関連商品を選べば、日本と東南アジアの原料・技術・販路をつなぎ、地域ごとのニーズに合わせた飲料を生み出す事業に売上が集まり、国境を越えて選択肢の多い食品市場を支えやすくなります。
一方で、改善点として、タイ現地法人単体の給与、賃金中央値、平均残業、有給休暇、離職率、男女賃金差、労働災害件数、メンタルヘルス、BCP訓練などの実績がほとんど公開されていません。ハルナグループ全体には人財投資や情報セキュリティの制度がありますが、それがHARUNA Asiaの現地社員へどこまで適用され、どのような成果を出したのかは確認できません。
この記事では、HARUNA Asia (Thailand) Co., Ltd.の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
HARUNA Asia (Thailand) Co., Ltd.の企業審査結果
HARUNA Asiaは、商品開発、海外展開、パートナー工場を組み合わせた事業モデルでInnovationに強みがあります。一方、現地法人単体の労働情報と危機対応情報の公開が弱く、SafetyとProtectionを十分に評価できませんでした。
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 16/50 |
| Innovation | 15/25 |
| Protection | 13/25 |
| 総合点 | 44/100 |
| シビックランク | E |
評価時点:2026年10月5日
主な強み
・2013年4月22日設立、タイで13年以上事業を継続
・タイ法人の登録資本金2,000万バーツ
・ハルナグループのASEAN事業として15か国以上で商品採用
・自社ブランドHBDをタイで展開し、日本向け商品も開発
・MUJI向け炭酸飲料・グミ、Donki向け紅茶・抹茶ラテなど商品開発を継続
・茶匠伝説、安曇野の天然水などをASEANへ輸出
・タイの茶葉原料やTipcoオレンジジュースなどを日本へ輸入
・2025年度第3四半期のHARUNA Asia海外事業は売上高・営業利益とも過去最高
・自社工場を持たず、複数のパートナー工場、包材会社、物流会社を組み合わせる事業構造
・ハルナグループには情報セキュリティ基本方針と人財投資施策がある
主な課題
・現地法人単体の平均給与、賃金中央値、賃上げ率が非公表
・平均残業、年間休日、有休取得率が非公表
・男女賃金差、女性管理職比率、離職率が非公表
・現地の育児・介護制度、福利厚生利用実績が非公表
・労働災害、休業災害、健康指標が非公表
・現地パートナー工場の食品安全認証・監査結果の一覧が非公表
・商品開発効率化が現地社員の休日・給与へどう返ったか不明
・タイ法人単体のBCP、訓練、RTO・RPOが非公表
・タイ法人単体のサイバー対策実装状況が非公表
事業内容と人間への貢献
HARUNA Asia (Thailand) Co., Ltd.は2013年4月22日に設立され、タイ・バンコクを拠点にアジア市場向けの飲料事業を行っています。現在のハルナグループ公式情報では代表取締役社長は松田貴之氏です。
タイの企業データベースでは法人登録番号0105556066140、登録資本金2,000万バーツで、現在も事業継続中とされています。
自社工場を持たない飲料プロデュース会社
2026年3月時点のハルナグループ社員インタビューでは、HARUNA Asiaはタイに自社工場を持っていないと説明されています。商品を作る際は、お茶製造工場、PETボトル工場、ラベル会社、貿易会社、FedExなど複数のパートナーと調整して事業を進めています。
自前の巨大工場を抱えず、商品ごとに適した製造・資材・物流会社を組み合わせられるため、新しいカテゴリーや容器へ対応しやすい構造です。
一方、委託先が増えるほど、どの工場でどの安全基準を採用しているか、問題発生時にどの工場へ切り替えるかを管理する重要性も高まります。
タイからASEAN、日本へ商品をつなぐ
ハルナグループは、ASEAN事業で東南アジアを中心に15か国以上で商品が採用されているとしています。タイでは自社商品、PB商品を企画し、日本の商品を東南アジアへ輸出する一方、タイの茶葉や果汁原料を日本へ輸入しています。
2025年度第3四半期には、MUJI向け炭酸飲料・機能性グミ、Donki向け紅茶シリーズ・抹茶ラテが伸び、Harunaブランドの茶匠伝説や安曇野の天然水のASEAN輸出も拡大しました。ジャスミン茶葉、ルイボス茶葉、Tipcoオレンジジュースの日本向け輸入も強化されています。
Safety|16/50
Safetyでは、現地法人で働く人の賃金、休息、健康、安全と、消費者が飲む商品の安全を確認しました。商品品質の面ではグループの飲料開発ノウハウと長期事業継続を評価できますが、現地社員の労働実績は公開情報が極めて少なく、高得点にはできません。
賃金・利益の還元|2/10
ハルナグループ全体では、人財投資の方針として利益を給与アップや教育へ再投資すると明記し、2023年以降のベースアップ、賞与増などを公表しています。
一方、これらがHARUNA Asiaのタイ現地社員へ同じ条件で適用されているか、現地法人の平均給与、賃金中央値、昇給率、賞与実績は公開されていません。
グループ方針の存在のみを限定的に評価し2/10点です。現地社員の実際の給与改善を確認できれば大幅な加点余地があります。
労働時間・休息|0/10
HARUNA Asia単体の勤務時間、平均残業、年間休日、有休取得率、長時間労働者数を確認できる現在の公開情報はありませんでした。
第三者企業ディレクトリに営業時間情報はありますが、営業時間と従業員の実労働時間は同じではないため、採点根拠には使いません。
公開情報がありません。採点上も減点対象です。
雇用の安定・待遇の公平性|2/5
2013年設立後、現在まで事業を継続し、2026年のグループ採用サイトにもHARUNA Asia Thailandの現地マーケティング担当社員が掲載されています。長期間海外事業を継続している点は雇用の安定性を考えるうえでプラスです。
一方、社員数、離職率、平均勤続年数、正規・非正規比率、男女賃金差、女性管理職比率は公開されていません。
また、タイ企業データベースでは掲載されている株主資本がマイナスとなっている一方、ハルナグループの2025年度報告ではHARUNA Asia海外事業の売上高・営業利益が過去最高とされています。情報の対象年度や会計範囲が異なる可能性があるため、どちらか一方だけで経営危機や財務健全性を断定しません。
そのため2/5点です。
福利厚生・育児・介護|3/5
ハルナグループは、キャリア、社会関係、経済面、健康、地域とのつながりを含むウェルビーイング施策をグループ内で進め、福利厚生、資産形成、健康経営、教育機会などを拡充しています。
しかし、タイ現地法人で利用できる福利厚生、育児休業、介護休業、健康診断、保険、休暇制度の具体的内容と利用実績は確認できません。
グループ全体の制度基盤を評価し3/5点としますが、現地での適用実績の公開が必要です。
人権・ハラスメント・労使関係|2/5
グループではDEIB、多様性、ウェルビーイングを人財戦略として掲げています。
一方、HARUNA Asia単体の人権方針、ハラスメント相談窓口、相談件数、労働組合・従業員代表との協議、タイ現地法に沿った救済制度の運用実績は確認できませんでした。
グループの人財方針を限定的に評価し2/5点です。
労働安全・健康|3/10
HARUNA Asiaは自社工場を持たず、主に商品開発、マーケティング、営業、工場・サプライヤー・物流会社との調整を行っています。自社で大規模製造設備を直接運転する会社より、製造現場の機械事故リスクは小さい事業構造です。
一方、現地法人の労災件数、通勤事故、休業災害、メンタルヘルス、健康診断受診率などは公開されていません。
製造現場を直接持たない点を考慮しつつ、安全結果が見えないため3/10点です。
商品・サービスの安全|4/5
ハルナグループは安全性・品質を重視し、日本ではFSSC22000取得工場や協力工場を活用しています。海外事業でも日本で培った飲料開発ノウハウを活用し、現地の工場・原資材パートナーと商品を作っています。
HARUNA Asiaの商品は東南アジアを中心に15か国以上で採用され、自社ブランドHBDもタイや日本で展開されてきました。
今回の公開調査では、HARUNA Asia (Thailand)名義の近年の大規模リコールや重大な食品事故、行政処分を特定できませんでした。
ただし、タイの各委託工場のFSSC22000、HACCP等の認証状況、監査結果、商品事故件数が一覧で公開されているわけではありません。満点にはせず4/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
一般的な口コミサイト、求人サイト、LinkedIn等を検索しましたが、HARUNA Asia (Thailand)の現地社員だと確認でき、全文を確認できる独立した従業員口コミはほとんど見つかりませんでした。
公式採用サイトには2012年入社の現地マーケティング担当者P.P.氏が掲載され、アジア市場のマーケティングと営業、工場・サプライヤーとの調整を担当していることが紹介されています。これは現地社員の具体例として参考になりますが、会社が選定した採用コンテンツなので独立口コミとは区別します。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、Facebook、5ちゃんねる、タイ語検索を含め、会社名と給与、退職、残業、ハラスメント、事故などを組み合わせて確認しました。
現在のHARUNA Asia現地社員だと確認でき、採点を変えられるほど具体性と裏付けのある投稿は確認できませんでした。
SNS情報が少ないことを「問題なし」とは判断せず、公開情報不足として扱っています。
Innovation|15/25
InnovationはHARUNA Asiaの強い軸です。複数のパートナー工場を組み合わせ、日本とタイをまたいで商品を開発・販売する仕組みを長期間運用しています。一方、その効率化が現地社員の自由時間や賃金へ返ったかは確認できません。
作業負担・危険の削減|4/10
HARUNA Asiaは自社工場を持たず、現地社員が商品ごとに飲料工場、PETボトル工場、ラベル会社、貿易会社、物流会社を組み合わせて調整する事業モデルです。
自社社員が大型製造設備を直接運転する危険を抑えつつ、商品ごとに適した外部パートナーを選べる点は作業負担・危険削減の一部として評価できます。
一方、製造リスク自体はパートナー工場側に残ります。また、開発リードタイムや現地社員の作業時間を何時間減らしたかという定量値は公開されていません。そのため4/10点です。
商品・サービスの改善|5/5
HARUNA Asiaは自社ブランドHBD、PB飲料、輸出入原料などを開発し、タイ市場だけでなくASEAN、日本へ商品を広げています。
2025年度にはMUJI向け機能性グミ3種類・新フレーバー2種類、Donki向け抹茶ラテ、紅茶シリーズなどが伸び、Harunaブランドの輸出も拡大しました。
HBDはタイ発のブランドとして日本向けにもパイナップル・ライチの無糖炭酸水を展開しています。
市場ごとに味・容量・カテゴリーを変えて新商品を作り続けているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|1/5
海外事業は成長し、2025年度第3四半期には過去最高の売上高・営業利益を記録しました。
しかし、その増益や商品開発効率化によって、タイ現地社員の給与が上がった、休暇が増えた、残業が減った、採用人数が増えたといった結果は公開されていません。
技術・事業成長の成果を人へ返した因果関係が確認できないため1/5点です。
研究開発・現場改善の継続|5/5
2013年設立後、HBD、PB商品、ASEAN輸出、日本への原料輸入を継続し、2025年のTHAIFEX-Anuga Asiaにも飲料分野で出展しています。
2026年現在もHARUNA Asiaの現地社員がグループ採用サイトへ登場し、アジア市場のマーケティング、工場・サプライヤー調整を行っています。
10年以上にわたって商品・販路・調達先を拡張しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
HARUNA Asia単体で、AIや自動化を理由にした大規模人員削減は確認できませんでした。
一方、現地社員数や採用数の年度推移そのものが公開されていないため、自動化導入後に雇用が増えたのか、維持されたのか、減ったのかも判断できません。
現地の業務改善成果を雇用・労働時間と結びつけて公開することが今後の課題です。
Protection|13/25
HARUNA Asiaは自社工場を持たず、複数の製造工場・原資材会社・物流会社を組み合わせるため、一社・一設備に依存しにくい構造があります。一方、災害時の切替時間、サイバー実装、復旧時間をタイ法人単体で確認できない点が課題です。
災害への備え・訓練|1/5
ハルナグループ全体では地域別リスク分析や災害想定に基づく配送シミュレーションを掲げています。
しかし、HARUNA Asiaがタイで洪水、停電、政情不安、港湾停止、通信障害などを想定してどのような訓練を行っているかは公開されていません。
グループの方針だけを限定的に評価し1/5点です。
生産・物流・調達の代替|5/5
HARUNA Asiaは自社工場を持たず、複数の茶飲料工場、PETボトル工場、ラベル会社、貿易会社、物流会社などと連携しています。
一つの自社工場が停止すると全生産が止まる構造ではなく、カテゴリーや容器に応じてパートナーを組み替えられる点は供給継続上の強みです。
ハルナグループはタイで新規パートナープラントを開拓し、新カテゴリー・新パッケージの開発を進める方針も示してきました。現在も複数国・複数商品へ取引を広げています。
具体的な切替時間は非公表ですが、製造・資材・物流を複数パートナーで構成し、新規パートナー開拓を継続しているため5/5点です。
サイバー防衛・情報保護|2/5
ハルナグループは2024年1月に情報セキュリティ基本方針を制定し、経営主導の管理体制、従業員教育、法令順守、事故対応、継続改善を定めています。
ただし、HARUNA Asiaのタイ拠点でMFA、EDR、バックアップ、脆弱性診断、標的型メール訓練などがどこまで実装されているかは公開されていません。
グループ方針を評価し2/5点です。
供給継続・復旧能力|4/5
自社工場を持たず、複数の製造・資材・物流会社を束ねるビジネスモデルは、設備故障時に代替先を確保しやすいという利点があります。ASEANと日本の両方向に輸出入を行い、販売国も複数に分散しています。
一方、RTO・RPO、代替オフィス、緊急通信、物流停止時の切替手順、復旧訓練の実測値は公開されていません。
そのため4/5点です。
危機時の市民への対応|1/5
ハルナグループは日本国内で能登半島地震や2026年熊本地震に飲料水を支援するなど、災害時に飲料を供給する実績があります。
しかし、これらはグループの日本側活動であり、HARUNA Asia (Thailand)がタイやASEANの災害で市民へ飲料・物資を提供した対象会社単体の実績は今回確認できませんでした。
グループとのつながりのみを限定的に評価し1/5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、HARUNA Asiaの海外事業が過去最高となり、ASEAN輸出と日本向け輸入の両方を拡大していることを評価します。単に日本の商品を海外へ売るのではなく、東南アジアの商品・原料を日本へつなぐ双方向型の事業になっている点が特徴です。
2025年度第3四半期 HARUNA Asia海外事業が売上高・営業利益とも過去最高(Innovation)
2025年度第3四半期のグループ事業報告では、MUJI向け商品、Donki向け紅茶・抹茶ラテ、HarunaブランドのASEAN輸出、タイ原料の日本向け輸入が伸び、HARUNA Asiaの海外事業は売上高・営業利益とも前期を上回り過去最高となりました。
海外拠点が独自の商品・販路を作って利益を生む段階へ進んだことは事業継続上の強みです。
今後は、その利益が現地社員の給与・休暇・教育へどの程度再投資されたかまで公開できればSafetyとInnovationの両方を高く評価できます。
2025年 THAIFEX-Anuga Asiaへ飲料企業として出展(Innovation)
2025年5月、HARUNA Asia (Thailand)はバンコクで開催されたTHAIFEX-Anuga Asia 2025の出展企業一覧に掲載され、Drinks分野で参加しています。
国際展示会への継続出展は、新規取引先、販売国、委託工場、原料会社を増やす入口になります。
すでに15か国以上で商品採用がある中、新しい販路とパートナーを探し続けている点を継続的なInnovationとして評価します。
2026年 現地マーケティング社員の業務を採用サイトで公開(Safety・Innovation)
2026年3月時点の採用サイトでは、HARUNA Asia Thailandのマーケティング担当P.P.氏が、アジア市場の営業・マーケティング、工場、サプライヤー、物流会社との調整を担当していることを紹介しています。
海外子会社で実際に現地スタッフが商品開発・商流構築へ関与していることを確認できる資料です。
一方、採用広報として選ばれた社員事例なので、会社全体の働きやすさを示す独立した労働評価とは扱いません。
悪いニュース・問題となった動き
今回の公開調査では、HARUNA Asia (Thailand)名義の重大な食品事故、大規模リコール、死亡労災、重大な行政処分を特定できませんでした。
ただし、現地法人単体の労働・安全・財務・BCP情報が少ないため、問題がないと断定できる状態でもありません。
2024年データ 第三者企業データベースで株主資本がマイナス(雇用安定・事業継続)
タイ企業データベースCredenでは、HARUNA Asia (Thailand)の登録資本金2,000万バーツに対し、掲載されている株主資本は約マイナス599万バーツとされています。
株主資本がマイナスであれば、一般には財務基盤を見るうえで注意が必要です。
一方、同データベース自身も法的証拠ではなく分析用情報と注意書きを付けており、その後の2025年度グループ事業報告ではHARUNA Asia海外事業の売上高・営業利益が過去最高とされています。
したがって「経営危機」と断定せず、現地法人単体の最新財務諸表と債務・資本状況をより明確に公開してほしい課題として扱います。
2026年現在 現地社員の賃金・休息・労災実績が見えない(Safety)
海外事業は過去最高業績まで成長していますが、タイ現地社員の給与、昇給率、残業、有休、離職率、労災などは公開されていません。
利益が増えた企業の商品を選ぶ際に、その利益が働く人へ戻っているのか分からなければ、消費者は「この会社を支えることでどんな働き方が残るか」を判断できません。
これは今回の企業審査で最も大きな減点要因です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
HARUNA Asia (Thailand) Co., Ltd.は現在44点・シビックランクEです。次のDランクは50点からなので、あと6点必要です。
商品開発力、ASEAN販路、パートナー工場ネットワークは強い一方、現地社員の待遇と危機対応の結果が見えません。成長した海外事業の成果を人へ返し、その結果を公開できれば評価は大きく改善します。
現地社員への利益還元を公開してほしい|賃金・利益の還元 2→6/10
現在は2/10点です。グループ全体にはベースアップ・賞与増の方針がありますが、タイ現地社員への適用結果を確認できません。
タイ法人の平均給与、中央値、職種別給与、昇給率、賞与実績を公開し、業績成長とともに広い社員層の所得が継続して改善していることを確認できれば6/10点を検討できます。
2→6点で+4点、総合44→48点です。
参考企業の株式会社ハルナウォーターは、当サイトの現行審査で59点・D、「賃金・利益の還元」6/10点です。賞与6.04か月など具体的な還元実績を確認できるため、同じグループでも対象会社単体の実績を評価できています。
労働時間と休暇を数値で示してほしい|労働時間・休息 0→4/10
現在は0/10点です。現地法人の勤務実績を判断できる情報がありません。
平均残業、年間休日、有休付与・取得日数、取得率、長時間労働者数を公開し、過度な残業がなく十分な休息を取れていることが確認できれば4/10点を検討できます。
0→4点で+4点、総合44→48点です。
公開しただけでは加点せず、実際の働き方が良好であることが条件です。
商品開発効率化を社員の時間へ返してほしい|改善成果の人間への還元 1→3/5
現在は1/5点です。複数のパートナー工場・物流会社を組み合わせる柔軟な事業構造はありますが、それによって現地社員の残業や作業時間がどれだけ減ったかは分かりません。
開発前後のリードタイム、残業、出張日数、休日、賃金を時系列で公開し、効率化が人の自由時間や所得へ返っていることが確認できれば3/5点を検討できます。
1→3点で+2点、総合44→46点です。
参考企業のキリングループロジスティクス株式会社は、当サイトの現行審査で「改善成果の人間への還元」3/5点です。業務改善を年間所定労働時間24時間短縮という人の時間へ返した実績を確認できます。
次のDランクへ上がるための具体例
現在44点・Eで、Dは50点からです。あと6点必要です。
・賃金・利益の還元 2→6点:+4点
・改善成果の人間への還元 1→3点:+2点
この2項目を改善できれば合計+6点となり、総合50点・シビックランクDに到達します。
別の方法として、
・労働時間・休息 0→4点:+4点
・改善成果の人間への還元 1→3点:+2点
でも50点・Dへ到達します。
HARUNA Asiaは商品と市場を広げる力をすでに示しています。次の課題は、その成長がタイで働く人の生活をどう良くしたのかを具体的に示すことです。
出典一覧
1.ハルナグループ「会社概要」
2.ハルナグループ「2025年度第3四半期 事業報告書」海外事業 HARUNA Asia
3.ハルナグループ「人財投資の取り組み」
4.ハルナグループ「情報セキュリティ基本方針」
5.Creden/Data for Thai「HARUNA ASIA [THAILAND] COMPANY LIMITED」法人情報
6.ハルナグループ「社員インタビュー P.P.」Haruna Asia Thailand Marketing
7.ハルナグループ「海外飲料プロデュース」
8.ハルナグループ「Harunaブランド」
9.ハルナプロデュース「HBD スパークリングウォーター」2023年
10.THAIFEX-Anuga Asia 2025 Exhibitor List
11.ハルナグループ「SDGsの取り組み」
12.ハルナグループ「令和8年熊本地震 被害に対する支援について」2026年8月4日
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
HARUNA Asia (Thailand) Co., Ltd.は44点のため、今回の評価はシビックランクEです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
今回の主要根拠はハルナグループの公式資料、THAIFEX公式出展者リスト、タイ企業データベースです。現地法人単体の労働・安全・BCP情報は限定的であり、親会社・グループの制度を対象会社の成果として過大評価しないよう採点しました。
