私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する株式会社セイセイトラフィックは、総合44点、シビックランクEです。
株式会社セイセイトラフィックの特に強い点は、配送ルートを組み替えることで月10~20時間の時間外労働削減と新しい雇用の創出を実現したことです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、生活に必要な食品を届けながら、長時間労働を減らし、時間に制約のある人も物流で働きやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として2026年の配送職求人で月平均時間外労働50時間、年間休日107日となっており、長時間労働が現在も残ります。
この記事では、株式会社セイセイトラフィックの強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社セイセイトラフィックの企業審査結果
セイセイトラフィックは、静岡県富士市を中心にコンビニエンスストア向けの食品・飲料配送と物流センター内の入荷、格納、仕分け、出荷を担う会社です。2024年問題への対応では、12時間ルートだけに依存していた配送を見直し、6時間・9時間ルートを組み合わせることで月10~20時間の時間外労働削減と新たな雇用創出を実現しました。[出典5]
一方、2026年のハローワーク求人では配送職の月平均時間外労働が50時間、年間休日107日、36協定の特別条項は年間960時間です。会社自身も「体力負荷の大きな業務や長時間労働が前提」と現状の課題を明記し、2031年までに全社員の残業を月平均30時間以内にする計画を掲げています。[出典3・4]
| 評価軸 | 得点 | 満点 |
|---|---|---|
| Safety | 21 | 50 |
| Innovation | 19 | 25 |
| Protection | 4 | 25 |
| 総合 | 44 | 100 |
| シビックランク | E | — |
主な強みは、長時間ルートを短いルートへ分解・再構成し、働く時間を実際に減らしたこと、2025年度に自動車事故報告規則第2条に該当する事故0件・人身事故0件を達成したこと、富士営業所と新富士営業所がGマーク認定拠点として掲載されていることです。[出典5・6・7]
主な課題は、現在も配送職で月平均50時間の残業が残ること、固定残業代が55時間分を前提とした求人があること、労災・ハラスメント対応の結果、BCP、災害時の代替輸送、サイバー対策、復旧時間の公開が不足していることです。[出典3・10]
事業内容と人間への貢献
セイセイトラフィックは一般貨物運送業と物流業務を行う会社です。本社は静岡市清水区、主な現場は富士市にあり、富士営業所、新富士営業所、富士事務所を持っています。公式サイトでは配送部門202人、庫内部門133人、間接部門8人の計343人を派遣社員を除く人員として掲載し、派遣社員30人も別に掲載しています。営業車両は冷蔵・冷凍・常温車を合わせて127台です。[出典1]
gBizINFOでは社会保険被保険者256人、2026年のハローワーク求人では企業全体358人とされており、集計対象と時点が異なるため人数には差があります。[出典2・3]
主な事業内容
主な仕事は、物流センターからコンビニエンスストアへ弁当、パン、チルド品、飲料、ラーメン類などを配送することと、物流センター内で商品の入荷、棚入れ、補充、在庫管理、仕分けを行うことです。現在のハローワーク求人ではチルド品を5℃前後で管理し、静岡県東部を中心に1日15~17店舗程度を固定ルートで回る仕事内容が示されています。[出典3]
主取引先として株式会社エスアイシステムが公式に掲載されています。[出典1]
事業による人間への貢献
コンビニでは、朝・昼・夜を問わず弁当、パン、飲料、冷蔵食品を購入できます。その裏側では、物流センターで商品を店舗別に仕分け、温度を管理し、決められた時間帯に各店舗へ届ける仕事が必要です。
セイセイトラフィックは静岡県東部の店舗へ固定ルート配送を行い、127台の冷蔵・冷凍・常温車を使い分けています。弁当やチルド食品が必要な温度帯で届けば、消費者は身近な店舗で日常の食料を入手できます。[出典1・3]
一方、この生活利便性がドライバーの長時間労働によって成立しているなら、企業審査では高く評価できません。そこでSafetyでは現在の労働時間と安全、Innovationではルート改善が人へ返った成果、Protectionでは災害などの有事でも配送を続けられるかを分けて評価します。
Safety:21/50点
Safetyでは、配送員や庫内作業員が十分な賃金と休息を得て安全に働けるか、また配送中の事故や食品物流上の問題から利用者や道路利用者を守れているかを評価します。
セイセイトラフィックは交通安全活動と事故結果をかなり具体的に公開しています。2025年度は報告対象となる重大事故0件、人身事故0件でした。一方、現在も配送職の月平均残業50時間があり、労災全体、人権・ハラスメント対応の結果などは公開が不足しています。[出典3・6]
賃金・利益の還元:4/10点
2026年の配送職求人では、日勤の月給例が27万2,990円で、基本給19万5,000円と55時間分の固定残業代7万7,990円を含みます。55時間を超えた時間外労働には追加支給する条件です。夜勤求人では深夜手当を加えた月給30万円台の募集もあります。[出典10]
賞与は年2回で、ハローワーク系求人には前年度1.5カ月分、2026年度から2カ月分へ増額したとの記載があります。中型免許取得費用の支援、無事故報奨、子ども手当なども確認できます。[出典3・10]
さらに2024年問題への対応では、時間給中心の給与体系から月給へ変更し、配送時間を短縮しても収入が下がりにくい仕組みにしました。働く時間を減らすと収入まで減る状態を避けた点は評価できます。[出典5]
一方、会社全体の平均年収、賃金中央値、既存社員のベースアップ率、利益に対する人件費比率は公表されていません。また、現在の給与の相当部分が55時間分の固定残業代で構成される求人もあります。
以上から4/10点としました。
6点へ上げるには、基本給そのものの継続的な引き上げ、社員全体の賃金中央値・賃上げ率を公開し、残業時間を減らしても現在の総収入を維持・向上できていることを確認する必要があります。
労働時間・休息:2/10点
2024年問題への対応では、従来の12時間ルートを見直し、6時間ルートや9時間ルートを新設しました。その結果、月10~20時間の時間外労働削減を実現しました。働き方を設計し直して実際に時間を減らしたことは明確な加点材料です。[出典5]
しかし、2026年のハローワーク求人では配送職の月平均時間外労働が50時間、年間休日107日です。36協定の特別条項は年間960時間で、求人には1日約2時間の時間外労働が示されています。[出典3]
固定残業代も55時間分を含む求人が現在存在します。固定残業代55時間分は実際に55時間残業することを意味しませんが、現在の実績として月平均50時間が公的求人に記載されているため、長時間労働は解消していません。[出典3・10]
会社の一般事業主行動計画でも、2031年までに従業員全体の残業を月平均30時間以内にする目標を掲げています。2025年度の年次有給休暇取得率は社員61%、パート76%で、今後は1人年間12日以上の取得を目標としています。[出典4]
改善努力は具体的ですが、現在の50時間という実績は重いため2/10点としました。
4点へ上げるには、まず全社および配送職の月平均残業を30時間以下まで下げ、会社自身の目標を達成する必要があります。6点へ上げるには、月20時間程度以下、年間休日120日前後、有給平均12日以上を継続し、長時間労働者の人数まで公開することが必要です。
雇用の安定・待遇の公平性:3/5点
2026年2月時点の女性管理職比率は40.0%、女性役員比率は33.3%です。物流業界で女性が意思決定層へ入っている結果として評価できます。正社員の男女賃金比率も90.4%です。[出典4]
一方、全労働者の男女賃金比率は31.0%、パートでは67.9%です。雇用形態、労働時間、職種構成の差が影響する可能性があるため、この31.0%を同一労働での差別賃金とみなすことはできません。ただし、結果として大きな差があることは改善すべき情報です。[出典4]
会社自身も、体力負荷の大きな業務や長時間労働によって家庭生活との調整が難しく、女性の採用・定着が進まないと課題を公表しています。女性労働者比率30%以上を目標にしています。[出典4]
管理職登用の結果を評価しつつ、採用・定着と全労働者の賃金差に課題があるため3/5点としました。
4点へ上げるには、女性労働者比率30%以上を達成し、正社員の男女賃金比率を95%以上へ近づけ、パートを含む賃金差の要因と改善結果を毎年公開する必要があります。
福利厚生・育児・介護:3/5点
現在の求人では社会保険、退職金制度、中型免許取得支援、無事故報奨、子ども手当、健康診断、インフルエンザ予防接種会社負担などが確認できます。運転免許取得費用を会社が支えることは、未経験者が物流職へ入る際の金銭負担を減らします。[出典10・12]
一方、2026年のハローワーク系求人では育児休業、介護休業、看護休暇の取得実績はいずれも「なし」とされています。会社は今後、育児休業取得率を男性50%以上、女性80%以上にする目標を掲げていますが、現時点では目標段階です。[出典4・12]
住宅制度や託児所も現在のハローワーク求人では確認できません。
制度と生活支援を評価して3/5点としました。
4点へ上げるには、男性育休50%・女性80%という自社目標を実際に達成し、介護・看護休暇の利用実績や復職率まで公開する必要があります。
人権・ハラスメント・労使関係:0/5点
今回の公開情報調査では、株式会社セイセイトラフィック単体の人権方針、ハラスメント相談窓口、内部通報制度、相談・調査・是正件数、人権研修実績について公開情報がありません。
ハローワーク系求人では労働組合「なし」とされています。労働組合が存在しないこと自体を問題として減点するものではありませんが、代わりにどのような労使協議・相談制度が機能しているかも公表されていません。[出典12]
問題行為が確認されたという意味ではありません。働く人がハラスメントや労務問題を安全に相談できる仕組みと、その運用結果を評価する情報が公表されていない点が課題です。採点上も減点対象です。
そのため0/5点としました。
1点以上へ上げるには、社内・社外相談窓口、通報者保護、ハラスメント研修などの制度を明示する必要があります。3点以上へ上げるには、匿名性を守りながら相談件数、調査件数、是正・再発防止実績まで公開する必要があります。
労働安全・健康:6/10点
2025年度は自動車事故報告規則第2条に該当する事故0件を達成しました。会社の事故統計では2025年度の加害人身事故0件、加害物損事故3件、被害人身事故0件、被害物損事故4件です。前年2024年度は加害人身1件、加害物損4件だったため、人身事故を0件へ戻し、加害物損も1件減っています。[出典6]
安全活動では、荷主との配送員ミーティングを原則月1回、安全衛生管理委員会を月1回、小集団活動を月2回、添乗指導、個人面談、パトロールなどを実施しています。2026年度方針では、集中力低下を防ぐため1時間以上の連続運転とならないよう安全な場所で休憩するルールも示しています。[出典6]
静岡県トラック協会のGマーク一覧には富士営業所が2022年度、新富士営業所が2025年度の認定拠点として掲載されています。第三者認定を取得した営業所が複数あることも評価できます。[出典7]
一方、交通事故以外の労働災害、倉庫内の転倒・挟まれ事故、腰痛、熱中症、休業災害度数率、強度率について会社単体の公開情報がありません。また、加害物損事故は2025年度も3件残っています。
交通安全の結果と継続的な活動を評価して6/10点としました。
8点へ上げるには、報告対象事故・加害人身事故0件を複数年継続し、加害物損事故を年1件以下へ減らすとともに、配送・庫内を含む労災件数、休業度数率、熱中症、腰痛等まで毎年公開する必要があります。
商品・サービスの安全:3/5点
同社は冷蔵・冷凍・常温車127台を保有し、現在の配送求人ではチルド品を5℃前後で管理するとしています。食品を適切な温度帯で配送することは、品質劣化や衛生上のリスクを抑えるために重要です。[出典1・3]
さらに、富士・新富士の2営業所がGマーク認定拠点として掲載され、2025年度の報告対象事故は0件でした。[出典6・7]
一方、2025年度の加害物損事故は3件あります。また、温度逸脱件数、誤配送率、商品破損率、納品遅延率、顧客クレーム率など物流品質の結果指標は公表されていません。
安全認定と温度管理を評価しつつ、物流品質KPIと物損事故が残るため3/5点としました。
4点へ上げるには、重大事故0を継続しながら物損事故をさらに減らし、温度逸脱・誤配送・破損・遅配を年度別に公開して低水準を確認できる必要があります。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは、今回確認できた口コミは2件で評価が大きく分かれています。
2024年1月の富士市のパート勤務者は「体力仕事ですので長くは働けません」と投稿しています。情報ランクBの個人経験ですが、会社自身が2026年の行動計画で「体力負荷の大きな業務」を課題としていることと方向性が一致しています。[出典9]
一方、2023年7月のアルバイト・パート勤務者は「休みが取りやすく急なお休みも柔軟に対応してくれ」と投稿しています。シフトの柔軟性を評価する経験も存在します。[出典9]
口コミは2件しかなく、どちらか一方を会社全体の実態として一般化しません。現在の長時間労働はハローワークの公的求人を優先し、口コミは現場の補助情報として扱いました。
転職会議では会社ページと1件の評価は確認できますが、今回の検索結果から採点へ使える口コミ本文を確認できなかったため、本文の評価根拠には使用していません。[出典13]
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名と「残業」「給料」「事故」「退職」「パワハラ」「長時間労働」などを組み合わせて調べました。
今回の検索範囲では、対象会社の現社員・元社員であることを確認でき、採点根拠として利用できる本文付きの投稿はありませんでした。
有用な投稿が見つからないことを、問題が存在しない証拠として加点には使いません。
Innovation:19/25点
Innovationでは、運送会社が人手不足を単純な長時間労働で補うのではなく、ルート、勤務設計、機器などを変えて人の負担を減らし、その成果を収入や働く選択肢へ返しているかを評価します。
セイセイトラフィックでは、2024年問題への対応で12時間ルートを分解し、短時間ルートを組み合わせる設計へ変更した結果、月10~20時間の残業削減と新たな雇用創出まで確認できます。これは非常に具体的なInnovationです。一方、2026年現在も配送職の平均残業50時間が残り、改善が会社全体へ十分行き渡っていません。[出典3・5]
作業負担・危険の削減:8/10点
従来は12時間ルートが中心で、天候や渋滞によって時間外労働が年960時間の上限へ近づくリスクがありました。会社は6時間ルートを新設し、既存ルートと組み合わせて月内の労働時間を調整できるようにしました。9時間ルートも新設しています。[出典5]
その結果、月10~20時間の時間外労働削減を実現しました。月20時間減れば、1年間では最大240時間を仕事以外へ戻せる計算になります。ルートそのものを変えて実際の労働時間を減らしたため高く評価できます。[出典5]
現在の配送では固定ルート、台車納品など、運転・荷役の負担を減らす求人情報もあります。[出典3・10]
一方、2026年の平均残業50時間を見ると、全配送職で負担削減が十分完成したとは言えません。庫内業務についても重量物取扱時間や身体負担の導入前後比較は公表されていません。
以上から8/10点です。
10点へ上げるには、全配送ルートで月平均残業20時間以下、荷待ち時間・荷役時間の削減、重量物取扱回数や腰痛・事故の減少まで定量的に確認できる必要があります。
商品・サービスの改善:4/5点
12時間・6時間・9時間の複数ルートを組み合わせる設計は、ドライバーの働き方だけでなく、店舗への配送を維持しながら労働規制へ対応するサービス改善です。[出典5]
固定ルートで静岡県東部の店舗を回り、冷蔵・冷凍・常温車を使い分ける体制もあります。ドライバーが不足しても短い勤務枠を作れば、新しい人を採用して配送網を維持しやすくなります。[出典1・3]
一方、改善前後の定時納品率、誤配送率、店舗欠品、配送コスト、1便当たりの生産性などは公開されていません。
配送サービスを止めずに勤務設計を変えたことを評価して4/5点としました。
5点へ上げるには、定時納品率や誤配送率を維持・改善しながら、ドライバー1人当たり拘束時間を減らしたことを年度比較で示す必要があります。
改善成果の人間への還元:4/5点
2024年問題への改善では、配送時間を減らすだけでなく、給与を時給中心から月給へ変更し、時間短縮による収入低下を抑える設計を行いました。さらに9時間ルートなどを新設した結果、新しい雇用の創出にもつながりました。[出典5]
長時間働ける人だけを前提とするのではなく、勤務時間に制約のある人も応募できる仕事を作ったことは、人間への還元として高く評価できます。
会社の2026年行動計画でも、長時間労働と体力負荷が女性の採用・定着を妨げていると認識し、女性比率30%、残業30時間以内を目標にしています。[出典4]
一方、2026年の配送求人では月平均残業50時間です。改革で得た成果が全社・全ルートへ十分広がったとは言えません。また、収入が改善前後で何%変わったか、短時間ルート採用者が何人定着したかは公表されていません。
そのため4/5点としました。
5点へ上げるには、ルート改革後の全社残業、給与、離職率、女性比率、短時間ルート採用・定着人数を時系列で公開し、労働時間削減と収入・雇用維持を複数年継続して確認できる必要があります。
研究開発・現場改善の継続:3/5点
2024年問題に合わせたルート再設計に加え、2026年から2031年までの一般事業主行動計画でも、部門ごとの業務見直し、人員配置の見直し、残業削減好事例の全社共有を予定しています。[出典4・5]
交通安全でも毎月の社内報で危険予知、死角、ながら運転、長時間運転などを継続して扱っています。[出典11]
一方、AI配車、動態管理、荷待ち時間の自動計測、倉庫自動化などの投資効果を継続的に測った公開情報はありません。改善がルート設計と安全教育に偏っており、技術投資と生産性の長期推移までは見えません。
そのため3/5点としました。
4点へ上げるには、配車・倉庫・運行管理のデジタル化について、導入前後の残業、荷待ち、走行距離、燃料、事故、必要人数を毎年公開し、複数の改善を継続できる必要があります。
Protection:4/25点
Protectionでは、地震、豪雨、停電、燃料不足、通信障害、サイバー攻撃などが起きても、コンビニへ食品・飲料を届け続けられるかを評価します。
セイセイトラフィックは富士営業所と新富士営業所、127台の車両、複数の勤務ルートを持つため平時の運用には一定の分散があります。しかし、会社単体のBCP、災害訓練、非常用燃料、代替拠点への切替時間、サイバー防御、復旧時間について公開情報がほとんどありません。地域の食品物流を担う会社としてProtectionは大きな改善余地があります。
災害への備え・訓練:0/5点
株式会社セイセイトラフィック単体について、地震・豪雨・停電を想定したBCP、安否確認訓練、災害対策訓練、非常用電源、燃料備蓄、備蓄物資について公開情報がありません。
例えば富士市周辺で大地震が発生し、道路や物流センターの一部が使えなくなった場合、どの営業所が指揮を代替し、どのルートを使い、燃料を何日確保できるかが分からなければ、店舗側も配送再開時期を判断できません。
こうした重要情報が公開されていない点は課題です。採点上も減点対象です。
そのため0/5点です。
2点へ上げるには、BCPを策定し、年1回以上の訓練を実施して、安否確認率、代替拠点への切替、緊急連絡、燃料確保などが実際に機能した結果を公開する必要があります。
生産・物流・調達の代替:2/5点
同社には富士営業所と新富士営業所があり、冷蔵・冷凍・常温を合わせて127台の営業車両があります。配送拠点と車両が一つだけではないため、車両故障や一部ルートの変更には対応しやすい構造です。[出典1]
一方、富士営業所と新富士営業所はいずれも富士市内にあり、同じ広域災害の影響を受ける可能性があります。また、一方の営業所が停止した場合に他方が何%の便を代替できるか、別地域の協力会社や代替センターを使えるかは公表されていません。
そのため2/5点としました。
3点へ上げるには、営業所停止を想定した代替配送ルート、協力会社、代替車両、燃料調達先を具体化し、何便・何%を何時間以内に代替できるかを訓練で確認する必要があります。
サイバー防衛・情報保護:0/5点
配車、勤怠、配送先、物流センターの情報を扱う企業ですが、対象会社単体の情報セキュリティ方針、MFA、EDR、バックアップ、サイバー訓練、インシデント件数、RTO・RPOについて公開情報がありません。
サイバー攻撃で配車・配送先情報へアクセスできなくなれば、車両自体が動けても店舗へ正しく商品を届けられない可能性があります。
重要情報が公表されていない点は課題で、採点上も減点対象です。
そのため0/5点です。
1点以上へ上げるには、まず情報セキュリティ方針と責任体制、認証・バックアップ・教育などの基本対策を公開する必要があります。3点以上には、訓練結果や復旧実績まで必要です。
供給継続・復旧能力:2/5点
2024年問題への対応では、12時間ルートを6時間ルートと組み合わせ、9時間ルートも新設するなど、配送計画を組み替える能力を示しました。人員や時間の制約に合わせて配送ルートを再設計し、サービスを続けながら残業を10~20時間減らした実績は、平時の運用継続力として評価できます。[出典5]
一方、これは災害からの復旧実績ではありません。地震、停電、センター停止、燃料不足、通信障害が起きた場合の目標復旧時間、実際の復旧時間、手作業への切替方法などは公開されていません。
そのため2/5点です。
3点へ上げるには、主要センターや配車システム停止時のRTOを設定し、代替運行を訓練して目標時間内で配送を再開できることを示す必要があります。
危機時の市民への対応:0/5点
平時にはコンビニへ食品・飲料を届ける地域インフラとして重要な役割があります。
しかし、自治体との災害時物資輸送協定、避難所への緊急配送、被災地への物資輸送実績など、危機時の市民支援として採点できる対象会社単体の公開情報はありません。
日常の配送を行っていることだけで、災害時支援の実績として二重加点はしません。
公開情報がないため0/5点です。
3点以上へ上げるには、自治体や荷主と災害時輸送協定を結び、どの物資を、何台で、どの地域へ、何時間以内に運べるかを定め、実地訓練または実災害での供給実績を公開する必要があります。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、配送ルートを作り直して残業を実際に減らしたInnovationと、2025年度に報告対象重大事故・人身事故を0件にしたSafetyを評価できます。セイセイトラフィックの物流サービスが選ばれ、こうした改善へ投資が続けば、食品を安定して届けながら、ドライバーの時間と道路上の安全を守りやすい物流へ近づきます。
2024年|配送ルート再設計で月10~20時間の残業を削減【Safety・Innovation】
2024年問題への対応として、従来の12時間ルートを見直し、6時間ルートとの組み合わせや9時間ルートを新設しました。給与も時間給中心から月給へ変え、時間を減らしても収入が不安定になりにくい設計としました。[出典5]
その結果、月10~20時間の時間外労働削減と新しい雇用の創出を実現しました。
月20時間の削減なら年間最大240時間です。ドライバーがその時間を睡眠や家族との時間に使えれば、疲労を減らしながら仕事を続けやすくなります。また、12時間勤務が難しかった人でも9時間など別の勤務枠なら応募できる可能性が広がります。
物流サービスを利用する企業が、単価だけでなくこのような労働時間改善も重視すれば、「人手不足だから既存ドライバーを長く働かせる」のではなく、配送設計そのものを変える会社へ需要を集められます。
2025年度|報告対象事故0件・加害人身事故0件【Safety】
2025年度は自動車事故報告規則第2条に該当する事故0件でした。事故統計でも加害人身事故0件です。2024年度は加害人身事故1件だったため、人身事故を0件へ改善しています。[出典6]
物損事故は3件残っていますが、重大な人身事故を防げたことはドライバー本人、歩行者、他車の利用者に直接利益があります。
同社は1時間以上の連続運転を避ける休憩ルール、月例安全衛生管理委員会、添乗指導なども続けています。事故0を一時的な結果で終わらせず、複数年継続できるかが次の評価点です。
2025年度|新富士営業所がGマーク認定拠点として掲載【Safety】
静岡県トラック協会のGマーク認定一覧では、新富士営業所が2025年度、富士営業所が2022年度の認定拠点として掲載されています。[出典7]
Gマークは貨物自動車運送事業者の安全性を評価する第三者制度です。2つの主要営業所が認定拠点として掲載されることで、安全管理が会社の自己申告だけではなく外部制度でも確認できます。
一方、認定があっても事故が自動的にゼロになるわけではないため、今後も実事故件数と併せて評価します。
悪いニュース・問題となった動き
現在の最大の問題は、2024年に残業削減の成果を出した後も、2026年の配送職で月平均50時間の時間外労働が残っていることです。これはSafetyに直接影響し、疲労が続けば運転中の判断力や家庭生活にも影響します。また、会社自身が長時間労働と体力負荷を女性の採用・定着を妨げる課題として認識しており、改善計画を実績へ変えられるかが重要です。
2026年|配送職の月平均残業50時間・年間休日107日【Safety】
2026年のハローワーク求人では、日勤・夜勤の配送職とも月平均時間外労働50時間、年間休日107日、年間960時間の特別条項が示されています。[出典3]
日勤求人では月給27万2,990円のうち7万7,990円が55時間分の固定残業代です。固定残業時間と実残業時間は同じではありませんが、実績値として50時間が掲載されているため、現在も長い時間外労働があります。[出典3・10]
会社の新しい行動計画は全社員平均30時間以内を目標としているため、現状50時間から少なくとも20時間の削減が必要です。
2024年のルート改革で月10~20時間を削減した実績がある会社だからこそ、その改善方法を現在の全ルートへ広げられるかが問われます。
2026年公表|会社自身が「体力負荷・長時間労働」を女性定着の課題と認識【Safety】
女性活躍推進法の行動計画で、会社は「体力負荷の大きな業務や長時間労働が前提」とし、家庭生活との調整が困難なため女性の採用・定着が進まないと明記しています。[出典4]
女性管理職40%、役員33.3%は強みですが、管理職に到達する一部の女性だけでなく、配送・庫内を含む幅広い職種で働き続けられる環境にする必要があります。
長時間労働を減らし、台車・荷役設備・短時間ルートなどで体力負担を下げれば、女性だけでなく高齢者、育児・介護を担う人、体力に制約のある人にも働く選択肢が広がります。
2026年時点|BCP・サイバー復旧情報が非公表【Protection】
同社は地域のコンビニへ食品・飲料を届ける物流会社ですが、BCP訓練、災害時の代替配送、燃料備蓄、配車システムのサイバー防御、目標復旧時間について公開情報がありません。
例えば大地震で富士市の一部道路や営業所が使えなくなった場合、「別拠点へ何時間で切り替えられるか」「何%の店舗へ配送を継続できるか」が分からない状態です。
平時のルート改善は高く評価できますが、有事の配送維持についても同じレベルで具体化する必要があります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社セイセイトラフィックは現在44点、シビックランクEです。次のDランクは50点からなので、あと6点必要です。
強みは、ルートを再設計して月10~20時間の残業削減と新しい雇用を実際に生み出したこと、2025年度に報告対象事故・人身事故を0件にしたことです。弱点は、現在の配送職で月平均残業50時間が残ること、庫内を含む労災KPIが不足すること、BCP・サイバー・復旧情報がほぼ公開されていないことです。
配送職の残業を20時間程度まで下げ、休日日数も増やしてほしい【Safety・労働時間・休息:2→6/10点】
現在の「労働時間・休息」は2/10点です。
2024年に月10~20時間の残業を削減した実績がある一方、2026年の配送職求人は月平均50時間、年間休日107日です。会社自身の目標は月平均30時間以内です。[出典3・4・5]
企業が具体的に実行してほしいことは、6時間・9時間ルートをさらに広げ、欠員時に既存社員の残業で穴埋めするのではなく必要人員を確保し、配送職の月平均残業をまず30時間以下、その後20時間程度以下へ下げることです。年間休日も120日前後へ増やし、有給は平均12日以上を継続して取得できる勤務表にする必要があります。
月平均残業20時間程度以下、年間休日120日前後、有給平均12日以上を複数年確認できれば2→6点、プラス4点を想定します。
これだけで総合44→48点となり、EのままですがDまであと2点です。働く人には年間数百時間の自由時間が戻り、疲労による運転リスクも下げやすくなります。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Google Drive上の現行審査は総合65点・Cで、「労働時間・休息」は6/10点です。同社は業務改善・多能工化を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮し、その勤務設計を現在も維持しています。物流改善の成果を人の時間へ返した点が比較材料になります。
人身事故0を継続し、庫内を含む労災結果まで公開してほしい【Safety・労働安全・健康:6→8/10点】
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。
2025年度の報告対象事故0件、加害人身事故0件は強い結果ですが、加害物損事故は3件残ります。また、庫内作業の休業災害、腰痛、転倒、フォークリフト事故、熱中症、休業災害度数率は公開されていません。[出典6]
企業が実行してほしいことは、交通事故だけでなく配送・庫内を一体で安全管理し、死亡・重大・休業・軽微労災、交通事故、フォークリフト事故、熱中症を毎年公開することです。そのうえで報告対象事故・加害人身事故0件を複数年維持し、加害物損事故を年間1件以下まで減らし、休業災害度数率も低水準であることを示してほしいところです。
条件を満たせば6→8点、プラス2点を想定します。
労働時間改善のプラス4点と合わせれば、
44+4+2=50点
となり、シビックランクDへ上がります。
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。Google Drive上の現行審査は84点・Aで、「労働安全・健康」は8/10点です。グループ実績として死亡0人、重大事故0件、交通事故0件に加え、作業災害11件、休業度数率2.39、強度率0.038まで公開しています。事故ゼロだけを示すのではなく、残った事故も数値で見せている点が参考になります。
BCP訓練と代替配送の切替時間を公開してほしい【Protection・災害への備え・訓練:0→2/5点】
現在の「災害への備え・訓練」は0/5点です。
富士市に2つの主要営業所と127台の車両がありますが、広域災害時のBCP、安否確認、燃料、代替ルート、代替センター、訓練結果は公表されていません。
企業が実行してほしいことは、地震で富士営業所が使えない、主要道路が寸断する、配車システムが停止するといった想定で年1回以上の訓練を行い、次の項目を数値で公開することです。
・安否確認完了率
・代替営業所への指揮切替時間
・代替ルートで維持できる配送便の割合
・非常用燃料で走行できる日数
・配車システム停止時の手動運行手順
・通常配送へ戻るまでの目標時間
BCPと実地訓練を実施し、代替配送が実際に機能することまで確認できれば0→2点、プラス2点を想定します。単独なら総合46点・Eですが、労働時間・安全改善と合わせれば52点・Dとなります。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Google Drive上の現行審査では「災害への備え・訓練」3/5点、Protection 18/25点です。鉄道が自然災害などで止まった場合にトラック等へ切り替えるバックアップ輸送協定を持ち、平時から鉄道・トラック・内航船を組み合わせています。物流会社として「止まったら別の手段へ切り替える仕組み」を具体化している点が参考になります。
次のDランクへ上がるための具体例
現在44点・Eで、Dは50点からです。あと6点必要です。
最も直接的な組み合わせは、現在の長時間労働と安全を同時に改善することです。
・配送職について6時間・9時間ルートと必要人員を増やし、月平均残業を現在50時間から20時間程度以下、年間休日を107日から120日前後へ増やし、有給平均12日以上を継続する。労働時間・休息2→6点、プラス4点。
・2025年度に達成した報告対象事故・加害人身事故0件を複数年継続し、加害物損事故を3件から年1件以下へ減らす。同時に庫内を含む休業災害・度数率を公開し低水準を確認できる状態にする。労働安全・健康6→8点、プラス2点。
これで、
44+4+2=50点
となり、シビックランクDへ上がります。
参考にできるのは、キリングループロジスティクスの年間所定労働時間24時間短縮と、ミツウロコグループホールディングスの死亡・重大・交通事故に加えて度数率まで公開する安全管理です。
つまり、セイセイトラフィックが次のランクへ上がるために最優先で必要なのは、2024年に成功したルート改革を全配送職へ広げ、現在50時間ある残業を20時間程度まで下げることです。そのうえで、人身事故0を継続しながら物損・庫内労災まで減らした結果を公開できれば、Dランクへ到達できます。
出典一覧
| 出典 | 情報源 | 主な確認内容 | 情報ランク |
|---|---|---|---|
| 出典1 | 株式会社セイセイトラフィック「会社案内」 | 事業、人員、車両127台、拠点、主取引先 | A |
| 出典2 | gBizINFO | 法人番号、所在地、社会保険被保険者256人 | S |
| 出典3 | ハローワーク 2026年配送職求人 | 月平均残業50時間、年間休日107日、年間960時間、仕事内容 | S |
| 出典4 | セイセイトラフィック「一般事業主行動計画」 | 残業30時間目標、有給、育休、女性管理職、男女賃金差 | A |
| 出典5 | ITmedia ビジネスオンライン | 2024年問題対応、6・9時間ルート、残業10~20時間削減、新規雇用 | A |
| 出典6 | セイセイトラフィック「行動方針」 | 2025年事故、月次安全活動、2026年度安全方針 | A |
| 出典7 | 静岡県トラック協会 Gマーク一覧 | 富士営業所、新富士営業所のGマーク認定 | S |
| 出典8 | セイセイトラフィック「求人情報」 | ルート配送・庫内勤務、休日、福利厚生 | A |
| 出典9 | Indeed従業員口コミ | 富士市パート2件の現場経験 | B |
| 出典10 | 2026年採用求人 | 固定残業55時間分、給与、免許支援、無事故・子ども手当 | A |
| 出典11 | セイセイトラフィック「交通安全への取り組み」 | 月1回の安全コラム、危険予知・疲労等の教育 | A |
| 出典12 | ハローワーク系2026年求人詳細 | 育児・介護・看護休暇取得実績、労働組合等 | B |
| 出典13 | 転職会議 | 口コミ件数・総合評価の補助確認 | B |
シビックランクの基準
| シビックランク | 総合得点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立して確認しにくい情報 |
