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株式会社ダイエーを企業審査|シビックランクC・66点/100点|残業9.9時間・2年連続賃上げとDXを評価、アレルゲン表示回収と統合後の労災・BCP開示が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット

今回審査する株式会社ダイエーは、総合66点、シビックランクCです。

株式会社ダイエーの特に強い点は、2024年度の月平均所定外労働時間9.9時間、2025年・2026年の2年連続の大幅賃上げに加え、AI需要予測型発注、電子棚札、セルフレジ、レジ専用イスなど、人の作業時間や身体負担を減らす取り組みを進めていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、店舗で働く人の長時間労働や立ち作業の負担を減らしながら、地域で食品や日用品を買える生活インフラを維持する社会につながる可能性が高まります。

一方で、改善点として2026年の光洋との統合後を対象にした残業・有休・労災などの統一KPIがまだ十分に公開されていないことと、同年に自社加工商品のアレルゲン表示欠落による自主回収が発生したことが残ります。

この記事では、株式会社ダイエーの強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

目次

株式会社ダイエーの企業審査結果

株式会社ダイエーは、食品スーパーマーケットを中心に地域の食と日用品を供給する小売企業です。2026年3月に株式会社光洋と経営統合し、近畿を中心とする「新生・ダイエー」として再編されました。現在の公式店舗数は187店舗です。

旧ダイエーの2024年度データでは月平均所定外労働時間9.9時間、平均有給休暇取得10.1日、平均勤続年数27.1年でした。2025年と2026年の春闘でも正社員・パート双方の大幅賃上げが確認できます。一方、これらの労働KPIの多くは光洋統合前の旧ダイエーを対象とした数字であり、現在の187店舗体制全体へそのまま当てはめることはできません。

評価軸点数
Safety32/50
Innovation17/25
Protection17/25
総合点66/100
シビックランクC

評価時点:2026年10月

主な強み

・2024年度の月平均所定外労働時間9.9時間
・年間休日122日、年間計20日の長期休日制度
・2025年の正社員賃上げ総額4.91%、パート時給7.08%
・2026年の正社員賃上げ総額4.81%、パート時給6.91%
・2024年度の平均勤続年数27.1年
・女性育休取得率94.7%
・健康診断99.9%、ストレスチェック100%などの健康管理実績
・全店舗で毎月の労働安全衛生委員会を実施する仕組み
・レジ専用イスによる足腰負担の軽減
・AI需要予測型発注、電子棚札、セルフレジによる店舗作業の省力化
・2022年に経済産業省のDX認定事業者へ選定
・阪神・淡路大震災で被災直後から営業を継続した実績
・2025年に近畿全店舗でシェイクアウト訓練を実施
・2026年に人権基本方針を制定し、相談・通報制度を明示
・2026年に健康経営優良法人へ認定

主な課題

・統合後の新生ダイエー全体について月平均残業、有休取得、勤続年数などの最新統一実績がまだ不足
・男女賃金差、女性管理職比率、雇用形態別の賃金・登用率の公開が不足
・男性育休取得率は2024年度25%で、女性94.7%との差が大きい
・死亡、休業、軽微を分けた労災件数、度数率・強度率を継続公開していない
・ハラスメント相談件数、認定件数、是正率を単体で公開していない
・AI発注や電子棚札で年間何時間の作業を削減したかを公開していない
・自動化によって浮いた時間や利益が賃金、休日、人員配置へどう還元されたかが不明
・2026年に自社加工のローストビーフフレークでアレルゲン等の表示欠落が発生
・単体のBCPについて、非常電源、代替物流、目標復旧時間、訓練結果の横断開示が不足
・MFA、EDR、バックアップ復元試験などサイバー対策の詳細な結果開示が不足

事業内容と人間への貢献

株式会社ダイエーは1957年設立の小売企業です。2026年3月に株式会社光洋と経営統合し、近畿エリアを軸とする新生ダイエーとして再スタートしました。現在の公式店舗数は187店舗で、食品スーパーを中心に日常生活に必要な商品を販売しています。

基本情報

項目内容
会社名株式会社ダイエー
設立1957年4月
代表者代表取締役社長 西峠泰男
店舗数187店舗
主な事業食品・日用品を中心とする小売業
現在の事業軸近畿エリア
主なブランドダイエー、イオンフードスタイル、KOHYOなど
2026年の大きな再編光洋との経営統合

旧ダイエーの2025年2月末時点の正社員数は1,861人でしたが、現在は光洋との統合で組織範囲が変わっています。旧会社の社員数を現在の新生ダイエー全体の人数としては扱いません。

主な事業内容

ダイエーは、野菜、肉、魚、惣菜、加工食品、飲料、日用品などを店舗で販売します。ネットスーパーやオンラインマルシェ、即配サービスも展開し、店舗へ行きにくい人でも商品を購入できる選択肢を提供しています。

2026年の統合後は、近畿エリアでダイエーとKOHYOの店舗網を一体運営し、商品、物流、店舗運営、人材育成の統合を進めています。

主な利用者・取引先

利用者は、日常の食品や生活用品を購入する地域住民です。とくに高齢者、子育て世帯、共働き世帯、車を使えない人にとって、住宅地や駅周辺にある食品スーパーは生活インフラになります。

商品は生産者、食品メーカー、卸売会社、物流会社、食品加工会社など多数の取引先から調達します。小売業では自社社員だけでなく、仕入先、加工会社、物流会社で働く人の安全・人権も重要です。

事業による人間への貢献

食品スーパーが地域に存在することで、住民は遠方まで移動せず、野菜、肉、魚、米、飲料、衛生用品などをまとめて購入できます。

例えば高齢者が車を使えない場合でも、自宅近くの店舗やネットスーパーがあれば、食料を確保するための移動負担を減らせます。共働き世帯では、惣菜や即配サービスを使うことで買い物や調理に必要な時間を短縮できます。

災害時には役割がさらに大きくなります。水道・物流が混乱したときも、スーパーが水、食品、衛生用品を確保し営業を再開できれば、地域住民が生活物資を得られるまでの時間を短くできます。

Safety|32/50

Safetyでは、店舗で働く正社員・パートの賃金、労働時間、育児、人権、労災と、販売する食品の安全を評価しました。2025年と2026年の継続的な賃上げ、旧ダイエーの残業9.9時間、健康管理、安全衛生委員会は強みです。一方、2026年の統合後の全社労働KPI、労災結果、男女賃金差、食品表示事故が課題です。

賃金・利益の還元|8/10

2025年春闘では、ダイエーユニオンが正社員1人平均1万6,450円、4.91%の賃上げで妥結しました。パート時給は86.8円、7.08%上昇しました。

2026年春闘でも、旧ダイエーユニオンは正社員1人平均1万6,469円、4.81%の賃上げで妥結し、このうちベースアップは9,893円、2.89%でした。パート時給は90.7円、6.91%上昇しています。統合前の光洋労働組合も正社員5.19%、パート6.75%の賃上げで妥結しました。

2年続けて正社員・パート双方の賃金を大きく引き上げているため8/10点です。

一方、統合後のダイエー全体について賃金中央値、男女賃金差、店舗職種別の基本給、利益のうち何%を人件費へ還元したかは公開情報が不足しています。

これらを公開し、物価上昇を上回る実質賃金改善を複数年継続できれば10/10点を検討できます。

労働時間・休息|6/10

2024年度の旧ダイエーでは、月平均所定外労働時間9.9時間、平均有給休暇取得日数10.1日でした。平均勤続年数は27.1年です。2026年採用では年間休日122日、年間合計20日の長期休日制度も確認できます。

月9.9時間の残業は低い水準です。仕事後に睡眠、家事、育児、学習へ使える時間を確保しやすくなります。

一方、2026年3月に光洋と統合して店舗・従業員構成が大きく変わりました。9.9時間は統合前の旧ダイエーの実績であり、現在の187店舗全体で同じ水準とはまだ判断できません。

そのため6/10点です。新生ダイエー全体で月平均残業10時間前後、有給平均12日以上、月45時間超の従業員比率が低い状態を公開できれば8~10/10点を検討できます。

雇用の安定・待遇の公平性|3/5

旧ダイエーの2024年度平均勤続年数は27.1年で、長期雇用が確認できます。パートを含む店舗従業員にも労働組合があり、賃上げ交渉によって短時間労働者の時給上昇が確認できます。

一方、2026年には関東事業の再編と光洋との統合が進み、現在の雇用構成は旧ダイエー単体から大きく変わっています。統合後の正社員・パート人数、旧ダイエー・旧光洋別の離職、配置転換、正社員登用率、女性管理職比率、男女賃金差について十分な公開情報がありません。

そのため3/5点です。統合後の雇用区分別人数、離職率、登用率、男女賃金差、女性管理職比率を公開し、再編後も安定雇用を維持できれば4~5/5点を検討できます。

福利厚生・育児・介護|4/5

年間休日122日、長期休日20日、年次有給休暇、産前産後休暇、育児休暇、介護休暇、看護休暇、マタニティ休暇、生理休暇などがあります。確定拠出年金、イオングループ従業員割引、共済会制度も確認できます。

2024年度の育児休業は、女性38人中36人が取得し94.7%、男性12人中3人で25.0%でした。

女性は高い取得率ですが、男性には差が残ります。そのため4/5点です。

男性育休取得率を80~100%へ近づけ、復職率、介護休業・看護休暇の利用実績を統合後の会社全体で公開できれば5/5点を検討できます。

人権・ハラスメント・労使関係|3/5

2026年、ダイエーは新たに人権基本方針を制定し、国連ビジネスと人権に関する指導原則、国際人権章典、ILO中核的労働基準を支持すると明記しました。役員・全従業員を対象とし、取引先にも理解と協力を求めています。相談・通報体制も設けています。

さらに求職者へのハラスメント防止ガイドラインも制定し、密室での1対1面会を原則避けること、私的な連絡先交換や飲食への誘い、セクハラなどを禁止しています。

方針と窓口が対象会社単体で明示されたことは評価できます。一方、ハラスメント相談件数、認定件数、是正率、再発件数は公開されていません。

そのため3/5点です。相談・通報件数と是正結果を匿名化して公開し、問題が減少していることを複数年確認できれば4~5/5点を検討できます。

労働安全・健康|6/10

健康経営資料では、2023年度の定期健康診断受診率99.9%、二次健康診断98.3%、産業医措置が必要な人への面談100%、ストレスチェック100%を確認できます。店舗では毎月、店長・安全管理者・衛生管理者・労働組合などが参加する職場労働安全衛生委員会を開催し、年2回の安全衛生講習会も実施しています。

会社案内では、レジ従業員の足腰負担を軽減するレジ専用イスも導入しています。立ち続けること自体を接客品質とみなさず、座れる設備を置くことは、腰・膝・足への身体負担を直接減らす改善です。

2026年には健康経営優良法人2026にも認定されています。

一方、死亡労災、休業労災、軽微労災、度数率・強度率、転倒・切創・腰痛など店舗特有の事故件数は公開されていません。

そのため6/10点です。労災を重大度別に毎年公開し、転倒・切創・腰痛の発生率が改善していることを示せれば8/10点以上を検討できます。

商品・サービスの安全|2/5

ダイエーは食品を扱うため、アレルゲン、消費期限、加熱条件、温度管理などの表示と品質管理が利用者の健康へ直接影響します。

2026年6月、自社の八尾センターで加工し、関西の直営40店舗で販売した「鹿児島県産黒毛和牛のローストビーフフレーク」で、値付け機の設定トラブルにより原材料表示などが印字されず、卵、乳成分、牛肉のアレルゲン表示、特定加熱食肉製品である旨、水分活性の表示が欠落しました。対象は3,138パックで、店頭に残っていた38パックが撤去されました。健康被害の報告はありませんでした。

同じ2026年6月には、仕入先が製造したおにぎりでもアレルゲン表示欠落による自主回収が発生し、ダイエー店舗で販売されていました。こちらは製造者側の問題であるため、ダイエー単体の重大事故と同じ扱いにはしません。

自社加工商品でアレルゲン表示が欠落した事実は利用者の安全に直結するため2/5点です。値付け機設定の二重確認、自動照合、出荷前監査を導入し、重大表示事故ゼロを複数年継続できれば4~5/5点を検討できます。

従業員・元従業員の口コミ

OpenWorkではダイエーの社員口コミ875件、投稿者集計の残業時間20.8時間、有給休暇消化率50.4%です。会社側の2024年度残業9.9時間とは差があります。対象時期・職種・集計方法が違うため、どちらか一方だけを全社実態として扱いません。

2024年に投稿された惣菜部門の口コミには「出勤日は朝7時から夜22時まで働いていた。サービス残業が多い。」という記述があります。個人の勤務経験であり全店舗へ一般化はできませんが、店舗・役職によって会社平均より負担が大きい可能性を示す情報として扱います。[情報ランクB]

一方、2026年にIndeedへ投稿された大阪のパート社員からは「社員の当たり外れが大きい。」という指摘もあります。統合直後の職場運営で教育・管理者の質にばらつきがある可能性を示す補助情報です。[情報ランクB]

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、5ちゃんねる、爆サイについて、ダイエー、残業、パワハラ、退職、統合、社員などを分けて検索しました。

古い5ちゃんねる投稿やグループ会社・棚卸業務会社に関する投稿は確認できましたが、現在の株式会社ダイエーの社員であること、職種・店舗、投稿時期を十分に特定でき、2026年の採点を変更できる情報は得られませんでした。

そのためSNS・匿名掲示板による追加の加点・減点は行いません。

Innovation|17/25

Innovationでは、店舗で人が行っていた発注、価格表示、レジ、立ち作業などを技術や設備で減らしているかを評価しました。ダイエーはAI発注、電子棚札、セルフレジ、ネットスーパー、クラウドカメラなどを継続導入しており、店舗運営のデジタル化は具体的です。一方、何時間・何人分の作業を減らしたのかという結果KPIが不足しています。

作業負担・危険の削減|6/10

AIを使った需要予測型発注システムでは、勘や経験に頼って担当者が発注量を考える作業を自動化する方向へ進めています。電子棚札では紙の値札を印刷し、売場で一枚ずつ交換する作業を減らしています。セルフレジ・セミセルフレジは会計作業の一部を利用者側へ移し、レジ従業員の反復操作を減らします。

さらにレジ専用イスは、技術ではなく設備によって立ち作業そのものを減らす改善です。

一方、AI発注で1店舗あたり何時間削減したのか、電子棚札で年間何万回の値札交換をなくしたのか、レジイスで腰痛や離職が何件減ったのかは公表されていません。

そのため6/10点です。主要施策ごとに年間削減作業時間、歩行距離、立位時間、残業、腰痛・労災を測定し公開できれば8~10/10点を検討できます。

商品・サービスの改善|4/5

ネットスーパー、オンラインマルシェ、即配サービスを提供し、店舗へ行かなくても食品を購入できる仕組みを広げています。セルフレジ、電子レシート、売場案内、デジタルサイネージ、AIカメラも買い物の待ち時間や探す手間を減らす方向に働きます。

2022年には経済産業省のDX認定事業者にも選定されました。認定時にはAI発注、電子棚札、サプライチェーン効率化などをDX施策として公表しています。

複数のサービス改善を実運用しているため4/5点です。待ち時間、欠品率、配送時間、利用者満足度などを施策導入前後で公開できれば5/5点を検討できます。

改善成果の人間への還元|3/5

旧ダイエーでは残業9.9時間という低い水準があり、店舗ではレジ専用イスなど身体負担を直接減らす設備も導入されています。

一方、低残業がAI発注や電子棚札によって何時間改善した結果なのかは公開されていません。効率化によって生まれた利益を賃上げへどれだけ振り向けたかという因果も明示されていません。

そのため3/5点です。DXで年間削減した総作業時間を公開し、その時間を残業削減、休日、人材育成へ振り分けた結果を示せれば4~5/5点を検討できます。

研究開発・現場改善の継続|4/5

ダイエーは2017年に需要予測型発注を導入し、その後も電子棚札、セルフレジ、ネットスーパー、即配、AIカメラなどへ改善範囲を広げています。2022年にはDX認定を取得し、現在も会社案内でDXを主要施策として掲げています。

単発ではなく複数年にわたり店舗業務と顧客体験の改善を続けているため4/5点です。

一方、設備投資額、年間削減時間、欠品率、不良率、DXによる人員再配置などを同じKPIで継続比較していません。これらを公開できれば5/5点を検討できます。

自動化・AI導入後の雇用状況

ダイエーはAI発注、電子棚札、セルフレジなどを長年導入していますが、それらを理由とする大規模な希望退職や一律の人員削減を裏づける公開情報は今回の調査で特定できませんでした。

一方、2026年の経営統合によって組織と店舗網そのものが大きく再編されています。これはDXだけが原因の人員削減ではありませんが、統合後に旧ダイエー・旧光洋の社員が何人配置転換され、何人退職し、新規採用がどう変化したかについて、十分な公開情報がありません。

今後、DX導入店舗と未導入店舗で必要人員、残業、採用、離職を比較し、機械化によって人を解雇するのではなく接客・商品開発・売場改善へ再配置した結果まで公開できれば、Innovationの評価をさらに上げられます。

Protection|17/25

Protectionでは、地震、豪雨、感染症、物流途絶、サイバー攻撃などが起きても、食品と生活用品を地域へ届け続けられるかを評価しました。ダイエーは阪神・淡路大震災や東日本大震災、感染症拡大時に営業・支援を行った実績があり、2025年にも近畿全店で防災訓練を行っています。一方、現在の新生ダイエーについてRTO、代替物流能力、非常電源、サイバー復旧結果の開示が不足しています。

災害への備え・訓練|4/5

2025年、阪神・淡路大震災から30年の防災キャンペーンとして、近畿エリアの全店舗でシェイクアウト訓練を実施しました。神戸三宮店では応急手当、防災食、ローリングストックなどを学ぶイベントも行っています。

店舗全体で訓練を実施することで、地震が起きた際に従業員が頭部を守る行動や客への案内を経験できます。スーパーは来店客が多いため、従業員だけの訓練より利用者を巻き込んだ訓練の意味があります。

一方、停電、物流断、システム停止まで想定したBCP訓練の回数、参加率、改善結果は会社全体で公開されていません。

そのため4/5点です。毎年のBCP訓練結果、非常電源稼働時間、安否確認率まで公開できれば5/5点を検討できます。

生産・物流・調達の代替|3/5

現在のダイエーは187店舗を持ち、イオングループの調達・物流網も利用できます。多数の店舗と複数の加工・物流機能を持つことは、一店舗・一拠点が停止しても周辺拠点から商品を融通できる可能性を高めます。

一方、主要プロセスセンターや物流拠点が停止した場合、どの拠点が何%代替できるか、何時間で別ルートへ切り替えられるか、重要商品の在庫日数は公開されていません。

そのため3/5点です。食品カテゴリーごとの代替加工拠点、物流拠点、切替時間を公開し、訓練で確認できれば4~5/5点を検討できます。

サイバー防衛・情報保護|2/5

ダイエーは個人情報保護方針で監査責任者を設け、不正アクセス、紛失、改ざん、漏えいへの対策を行うとしています。WebではSSLとファイアウォールを採用し、ネットスーパーの決済にはPCI DSSやISO27001等へ準拠する外部決済基盤を利用しています。

一方、会社単体のMFA、EDR、SOC監視、標的型メール訓練、POSネットワーク分離、オフラインバックアップ、復元試験、重大インシデント件数、RTO・RPOについて公開情報が不足しています。

そのため2/5点です。技術対策と訓練、復旧テストを会社単体で公表できれば3~5/5点を検討できます。

供給継続・復旧能力|4/5

1995年の阪神・淡路大震災では、甚大な被害を受けながら営業を続け、商品を被災地域へ集めました。2011年の東日本大震災でも復興支援を実施し、2020年の感染症拡大時には地域のライフラインとして全店営業を継続したと会社は公表しています。

危機時に実際に店舗を動かし、生活物資を供給した過去の実績はProtectionの強い根拠です。

一方、現在の187店舗体制で重要システム、プロセスセンター、物流が停止した場合の目標復旧時間は公表されていません。

そのため4/5点です。主要拠点ごとのRTOを設定し、訓練や実災害で目標内復旧を確認できれば5/5点を検討できます。

危機時の市民への対応|4/5

阪神・淡路大震災では被災直後から店舗営業と物資確保を進め、地域の生活再建を支えました。2025年の防災キャンペーンでは近畿72店舗で備蓄食品や防災用品を展開し、家庭のローリングストックも啓発しました。

例えば大地震で水道や物流が止まった場合、地域店舗が水、レトルト食品、缶詰、衛生用品を確保し営業できれば、住民が必要物資を遠方まで探しに行く負担を減らせます。

一方、現在の自治体別災害協定数、緊急供給可能量、何人へ何日分を届けられるかという横断的な公開情報は不足しています。

そのため4/5点です。自治体協定、供給可能数量、実地訓練の結果を全社で公開できれば5/5点を検討できます。

良いニュース・最近の前向きな動き

最近のダイエーでは、賃上げ、人権方針、健康経営、リサイクル、統合後の店舗刷新が進んでいます。これらはSafety、Innovation、Protectionの複数に関係します。ダイエーで買い物をすることで、低残業・賃上げ・作業負荷軽減・地域の生活インフラへ投資する企業の売上を支える関係があります。

2026年も正社員・パートへ大幅賃上げ

2026年春闘では旧ダイエー労組の正社員総額4.81%、パート時給6.91%の引き上げで妥結しました。旧光洋も正社員5.19%、パート6.75%でした。

2025年に続く大幅賃上げであり、食品や家賃など生活費が上がる中、働く人の購買力を維持する直接的な還元です。

2026年に人権基本方針を制定

新生ダイエーは、人権基本方針と求職者ハラスメント防止ガイドラインを公表しました。対象を役員・従業員だけでなく取引先へ広げ、相談・通報体制も示しています。

今後、相談件数と是正結果を公開できれば、方針から実効性の評価へ進めます。

2026年にエコストア協働宣言

ダイエーはエフピコと「エコストア協働宣言」を締結し、店舗で回収した食品トレーを再生し、再び店舗で使う「ストア to ストア」を拡大しています。2026年2月期の食品トレー回収量は124トンです。

食品トレーを焼却・廃棄するのではなく、同じ用途へ戻す循環を拡大することで、新品原料の使用と廃棄量を減らせます。

悪いニュース・問題となった動き

現在の主な問題は、自社加工商品の表示事故と、2026年の大規模再編後の労働・安全実績をまだ十分に比較できないことです。食品表示事故が繰り返されればアレルギーを持つ利用者の健康に直接危険が生じます。また、統合後の人員・残業・労災を公開しなければ、組織効率化が働く人の負担増につながっていないかを判断できません。

自社加工ローストビーフでアレルゲン表示欠落

2026年6月、自社加工のローストビーフフレークで、卵、乳成分、牛肉などの表示が欠落する自主回収が発生しました。対象は3,138パックで、値付け機の設定トラブルが原因とされています。健康被害の報告はありませんでした。

アレルギーを持つ人は表示を見て購入可否を判断するため、ラベルの設定ミスは重要な安全問題です。

再発防止では、人が設定した値付けデータを別担当者またはシステムで照合し、原材料データとラベル印字内容が一致しない商品を出荷できない仕組みにする必要があります。

統合後の労働KPIが不足

2026年3月に光洋と統合し、店舗網・本部組織・従業員構成が大きく変わりました。

旧ダイエーの残業9.9時間は高く評価できますが、現在の新生ダイエー全体で同じ働き方が維持できているかを判断する最新数字はまだ不足しています。

統合後の残業、有休、離職、男女賃金差、労災、育休を同じ基準で公開する必要があります。

2026年2月期は最終損失44億円

統合前の2026年2月期計算書類では、売上高2,841億400万円に対して営業損失29億8,500万円、当期純損失44億2,200万円でした。企業再編費用や減損なども計上されています。

赤字自体をシビックランクで直接減点はしません。しかし、再編・効率化の過程で人件費削減だけに依存せず、2025年・2026年に実施した賃上げと低残業を維持できるかが今後の重要な確認点です。

総合評価と、これから改善してほしいこと

株式会社ダイエーは66点・シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと4点必要です。

ダイエーは、2年連続の大幅賃上げ、旧ダイエーの残業9.9時間、健康管理、レジイス、AI発注・電子棚札、危機時の店舗営業実績という強みがあります。一方、統合後の労働KPIが十分にそろわず、自動化による削減時間も定量化されていません。2026年の自社加工品表示事故もSafety上の明確な弱点です。

統合後も残業10時間前後を維持してほしい|労働時間・休息 6→8/10

現在は6/10点です。

旧ダイエーの2024年度残業は9.9時間でしたが、2026年の統合後の187店舗全体の数字はまだありません。

新生ダイエー全体について、月平均残業10時間以下、平均有給取得12日以上、月45時間超の従業員比率を職種・店舗区分別に公開し、2年間維持してほしいです。

これが確認できれば6→8/10点、+2点となり、総合66→68点、Cのままです。

参考企業はイオン東北株式会社です。当サイト現行審査では総合62点・Cですが、月平均残業6.1時間、平均有給11.7日、年間休日125日を公開し、「労働時間・休息」8/10点です。ダイエーも統合後の低残業を同じように会社全体の数字で示せれば評価を上げられます。

アレルゲン表示をシステムで照合して重大表示事故ゼロを継続してほしい|商品・サービスの安全 2→4/5

現在は2/5点です。

2026年には値付け機設定のトラブルで、自社加工商品3,138パックが表示欠落の対象となりました。

商品マスタ上の原材料・アレルゲン情報と、実際に印字されたラベルを出荷前に自動照合し、不一致なら値付け・出荷を止める仕組みを全プロセスセンターへ導入してください。表示事故件数と再発防止結果も毎年公開してほしいです。

重大なアレルゲン表示事故ゼロを複数年継続できれば2→4/5点、+2点となり、前項と合わせて70点・Bに到達します。

参考企業は株式会社テルベです。当サイト現行審査では総合57点・Dですが、「商品・サービスの安全」は5/5点です。生椎茸・乾燥椎茸について有効なJGAP認証を維持し、食品安全を第三者認証で継続確認しています。ダイエーでも、アレルゲン表示データをシステムで自動照合し、事故ゼロを継続して第三者監査や年次結果で確認できる状態にすることが参考になります。

DXを「年間何時間減ったか」で公開してほしい|作業負担・危険の削減 6→8/10

現在は6/10点です。

AI需要予測型発注、電子棚札、セルフレジ、レジ専用イスなど、負担を減らす仕組み自体は充実しています。しかし、年間削減作業時間、削減歩数、立位時間、残業減少などが公開されていません。

発注、値札交換、レジ、品出しなど主要業務で導入前後を測定し、例えば1店舗あたり年間500時間以上の作業削減など、結果を数字で公開してほしいです。削減時間を人員削減だけに使わず、接客、売場改善、休憩、教育へ再配分した結果も示す必要があります。

これが確認できれば6→8/10点、+2点を検討できます。

参考企業はウイングアーク1st株式会社です。当サイト現行審査では総合81点・A、Innovation 24/25点で、導入先の月815時間削減など具体的な時間削減を公表しています。ダイエーも「技術を入れた」ではなく「人の時間が何時間減った」と測る点が参考になります。

BCPの復旧時間を公開してほしい|災害への備え・訓練 4→5/5

現在は4/5点です。

全店舗でのシェイクアウトや過去の実災害対応は強みですが、現在の新生ダイエーで、プロセスセンター、物流、POS、ネットスーパーなどが停止した際の復旧時間は公開されていません。

年1回以上、停電、物流停止、システム障害を含む実地訓練を行い、安否確認率、非常電源の稼働時間、物流切替時間、POS・EC復旧時間を測定して公開してください。

これが確認できれば4→5/5点、+1点を検討できます。

参考企業は株式会社トランス・グリップです。当サイト現行審査では総合56点・Dですが、「災害への備え・訓練」は5/5点です。年2回の全社安否確認訓練と全社員3日分の備蓄を公開し、過去の訓練結果まで示している点が参考になります。

次のBランクへ上がるための具体例

現在66点・Cで、Bは70点からです。あと4点必要です。

・統合後の全社残業を月10時間以下に維持し、有給12日以上、長時間労働者比率を公開する。「労働時間・休息」6→8/10、+2点。

・アレルゲン表示を商品マスタと自動照合し、重大表示事故ゼロを複数年継続する。「商品・サービスの安全」2→4/5、+2点。

66点+2点+2点=70点となり、シビックランクBに到達します。

つまり、ダイエーが次のランクへ上がるために最優先で必要なのは、統合前に実現していた低残業を新生ダイエー全体でも維持したことを数字で証明し、食品表示事故をシステムで防止することです。そのうえでDXの削減時間とBCPの復旧時間まで公開できれば、さらに上位の評価へ進めます。

出典一覧

No.出典情報ランク
1株式会社ダイエー「会社概要」A
2株式会社ダイエー「新生・ダイエーがスタート」A
3マイナビ2028「株式会社ダイエー 働き方データ」A
4UAゼンセン発表を基にした2025年ダイエー賃上げ妥結情報S
5UAゼンセン発表を基にした2026年ダイエー・KOHYO賃上げ妥結情報S
6株式会社ダイエー「会社案内2025」A
7株式会社ダイエー「DXの推進・EC・セルフレジ等」A
8マイナビ2028「2026年採用後の待遇」A
9株式会社ダイエー「人権への取り組み」A
10株式会社ダイエー「健康経営宣言・労働安全衛生への取り組み」A
11株式会社ダイエー「健康経営優良法人2026認定」A
12厚生労働省食品衛生申請等システム掲載のダイエー自主回収情報S
13シノブフーズ「Ksおにぎり紅鮭」自主回収情報A
14OpenWork「株式会社ダイエー 社員口コミ」B
15Indeed「株式会社ダイエー 社員口コミ」B
16経済産業省DX認定に関するダイエー公表資料S
17株式会社ダイエー「阪神・淡路大震災30年 防災キャンペーン」および会社案内A
18株式会社ダイエー「個人情報のお取り扱いについて」A
19ダイエーネットスーパー「セキュリティ」A
20株式会社ダイエー・エフピコ「エコストア協働宣言」A
21株式会社ダイエー 第75期計算書類A
22Google Drive上の当サイト既存企業審査「イオン東北株式会社」「株式会社テルベ」「ウイングアーク1st株式会社」「株式会社トランス・グリップ」比較用内部資料

シビックランクの基準

シビックランク点数
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

株式会社ダイエーは66点のため、今回の評価はシビックランクCです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報
B従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報

情報ランクは企業そのものの良し悪しではなく、個々の情報の出どころと検証状態を示します。Sは独立した裏づけがある情報として最上位です。AとBは単純な上下関係ではなく、残業、休憩、ハラスメント、配置転換などの実態ではBの従業員情報が公式資料を補う場合があります。

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