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株式会社ニチネンを企業審査|シビックランクD・50点/100点|災害時の水・火・電気供給力を評価、カセットこんろ2件火災と労災・BCP・サイバー開示不足が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット

今回審査する株式会社ニチネンは、総合50点、シビックランクDです。

株式会社ニチネンの特に強い点は、飲料水、カセットボンベ、固形燃料、携帯発電機という「水・火・電気」に直結する商品を自社事業として持ち、災害時にも生活を支えられることです。承継前の同一事業では、東日本大震災時にカセットボンベの供給を継続し、能登半島地震では約1万ケースの飲料水を被災地へ届けた実績があります。

そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、平時の飲料・調理・電源確保に加え、停電や断水が起きたときにも生活を維持しやすい商品を供給する事業を支えることにつながる可能性が高まります。

一方で、改善点として、カセットこんろ「マイコンロ・グッドシェフ」5,000台が2件の火災事故を理由に回収・交換となったこと、現法人単体の死亡・休業労災、度数率、強度率、BCP訓練、サイバー防御・復旧訓練の結果が十分に公開されていないという課題が残ります。

この記事では、株式会社ニチネンの強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

目次

株式会社ニチネンの企業審査結果

今回の対象は、埼玉県上尾市大字領家57-1に本社を置き、清涼飲料水、卓上カセットコンロ、カセットボンベ、固形燃料、家庭用発電機などを製造・販売する株式会社ニチネンです。

現在の法人番号は7010401172513です。現在の法人は、ポストコロナ・リカバリーファンドが旧ニチネンの全事業を会社分割で承継した法人で、旧会社は株式会社北上尾商事へ商号変更した後に特別清算へ移行しました。事業、工場、従業員などは新しい株式会社ニチネンへ承継され、営業は継続しています。

評価軸点数
Safety24/50
Innovation14/25
Protection12/25
総合点50/100
シビックランクD

主な強み

最大の強みは、日常生活にも災害時にも必要になる商品を複数持っていることです。

ニチネンは飲料水、カセットコンロ、カセットボンベ、固形燃料、携帯発電機などを扱っています。カセットボンベは容器製造からガス充填まで一貫生産してきた事業で、外部の缶工場だけに依存しないことが供給継続力につながっています。

承継前の同一事業では、東日本大震災で自社も影響を受けながら工場の稼働を続け、カセットボンベを供給しました。また、能登半島地震では正月休み中に工場を開け、約1万ケースの飲料水を被災地へ届けています。

携帯発電機にはカセットボンベ式やガソリンとの2WAY式があり、COセンサーなど安全機能を備えた商品も開発しています。

主な課題

最大の課題は、製品安全と労働安全の結果公開です。

カートリッジガスこんろ「マイコンロ・グッドシェフ KC-353A」は、2件の火災事故が発生したため、対象5,000台について回収・交換が実施されました。

また、製缶、プレス、ガス充填、飲料水製造、機械オペレーションなどを行う製造会社ですが、現法人単体の死亡労災、休業労災、度数率、強度率、火災・爆発を含む工場事故件数を年次で確認できる公開情報がありません。

商品事故と労働事故の双方について、発生件数と再発防止結果を継続的に公開する必要があります。

事業内容と人間への貢献

ニチネンの事業は、水、火、電気という生活インフラを小型の商品として家庭・飲食店・自治体などへ届けることです。

電気や都市ガスが止まっても、備蓄していた水、カセットボンベ、コンロ、発電機があれば、飲料、調理、照明・通信機器の充電などを一定時間維持できます。

基本情報

項目内容
会社名株式会社ニチネン
本社埼玉県上尾市大字領家57-1
代表取締役社長内山 建二
創業事業1984年に開始
資本金8,000万円
従業員数187人(公式、2026年1月現在)
公的職場情報190人、男性136人・女性54人
主な事業清涼飲料水、カセットコンロ、カセットボンベ、各種燃料、家庭用発電機、洗剤など
主な拠点上尾、久喜、岩手、尾瀬、川場など

水・火・電気を一社で扱う

飲料水は断水時の直接的な生活必需品です。

カセットボンベとコンロは、都市ガスや電気が止まっても温かい食事を作る手段になります。

携帯発電機は、停電時に照明、スマートフォン、通信機器などへ電力を供給できます。

商品群の役割が明確で、災害の多い日本では生活継続への貢献が大きい事業です。

飲料水の安全検査

川場事業所の原水については、第三者検査機関によるPFOS・PFOA検査結果が公開されています。

検査結果はPFOS・PFOA合計0.000005mg/L未満、つまり5ng/L未満で、当時の暫定目標値50ng/L以下の10分の1未満です。

数値を外部検査機関の結果書として公開している点は、利用者が水の安全性を判断する基礎情報になります。

Safety|24/50

Safetyでは、燃料・ガス・飲料水を作る従業員の賃金、労働時間、工場安全と、利用者がカセットこんろや飲料水を安全に使えるかを評価します。

ニチネンは年休120日への改善、家族手当などの制度、事業承継時の雇用条件維持方針では加点できます。一方、新卒給与の水準、労災KPIの非公表、カセットこんろの火災リコールが大きな課題です。

賃金・利益の還元|4/10

公式の新卒採用情報では、大卒営業職21万円、設計・品質管理18万8,000円、製造職は久喜18万2,000円、川場17万2,000円とされています。営業職は14時間分の固定残業代を含みます。

一方、現在の中途管理職求人では月給35万~50万円、年収500万~700万円、賞与年2回、家族手当などが示されています。

職種・年代によって給与幅が大きく、管理職待遇は一定水準ですが、新卒製造・品質管理の給与は高水準とは評価しにくい状態です。

また、全社平均賃金、賃上げ率、利益増加を従業員へどの程度還元したかという時系列データは公表されていません。

そのため4/10点です。

全社の平均賃上げ率を毎年公開し、製造職を含め物価上昇を上回る実質賃金改善を複数年確認できれば6~8点を検討できます。

労働時間・休息|6/10

公式採用情報では年間休日120日とされ、以前の109日から改善されています。現在の中途求人では残業月10~20時間程度とする職種が複数あります。

年間休日120日は、製造業として一定の休息を確保しやすい水準です。

一方、川場事業所の製造職には17時~翌2時の夜勤があり、事業所によって勤務形態が異なります。また、会社全体の平均残業、有給取得率、月45時間超の従業員数などは公表されていません。

そのため6/10点です。

全社平均残業15時間以下、有給取得率70%以上、月45時間超の従業員割合を継続公開できれば8/10点を検討できます。

雇用の安定・待遇の公平性|3/5

事業承継時、支援ファンドは「全ての従業員の雇用条件の維持・向上」に社会的意義があるとして事業を承継しました。

現在も187~190人規模の従業員が在籍し、採用も継続しています。

公的職場情報では女性労働者は54人、正社員に占める女性割合29.7%、女性管理職3人、管理職全体55人です。女性管理職比率は約5.5%で、管理職の男女差はまだ大きい状態です。

男女賃金比率、雇用区分別賃金、育休取得率、正社員転換率なども公表が不足しています。

そのため3/5点です。

女性管理職比率20%以上、男女賃金比率90%前後、雇用区分別の待遇データを公表できれば4/5点を検討できます。

福利厚生・育児・介護|4/5

公式採用情報では、社会保険、財形貯蓄、慶弔見舞金、産前産後休暇、育児休暇、定期健康診断を確認できます。

現在の中途求人では、退職金、厚生年金基金、家族手当、資格手当、副業可、時短勤務相談なども示されています。家族手当は配偶者月2万円、第1子1万円、第2子1万5,000円、第3子2万円とする求人があります。

生活費や子育て費用を補助する制度は具体的です。

一方、男性育休取得率、育児休業復帰率、介護休業利用実績などは公表されていません。

そのため4/5点です。

人権・ハラスメント・労使関係|2/5

現在の株式会社ニチネンについて、ハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、労働組合との協議状況などを確認できる公開情報がありません。

2024年の事業承継前に同事業を運営した旧法人には従業員口コミがありますが、現在の法人は別法人で経営体制も変更されているため、その口コミを現在の採点根拠として直接使用しません。

現法人について独立した相談窓口、相談件数、是正結果を公開できれば3~4点を検討できます。

そのため2/5点です。

労働安全・健康|2/10

製造職はカセットボンベの製缶、プレス、ガス充填、飲料水の充填、容器製造、機械オペレーションを担当します。

プレス機械、可燃性ガス、充填設備を扱うため、挟まれ・巻き込まれ、火災、爆発、転倒などの管理が重要です。

しかし、現法人単体の死亡労災、休業労災、度数率、強度率、工場別事故件数の公開情報がありません。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。

そのため2/10点です。

死亡労災0、休業災害件数、度数率・強度率、重大設備事故件数を毎年公開し、低水準を複数年維持できれば6~8点を検討できます。

商品・サービスの安全|3/5

飲料水では第三者機関によるPFOS・PFOA検査結果を公開しており、川場事業所の原水は5ng/L未満でした。

固形燃料の製造・販売ではISO9001認証取得の履歴もあります。

一方、カートリッジガスこんろ「マイコンロ・グッドシェフ KC-353A」は、2件の火災事故を理由に対象5,000台の回収・交換が実施されました。

事故後に回収・交換と専用窓口を設けた点は是正対応として評価しますが、火を扱う製品で2件の火災が発生したことは重大です。

そのため3/5点です。

対象回収率を公表し、同種不具合0件を複数年維持し、原因と再発防止策を詳細公開できれば4点以上を検討できます。

従業員・元従業員の口コミ

現法人である株式会社ニチネンについて、転職会議では現在「まだ投稿はありません」と表示されています。

Indeedでは「株式会社ニチネン」という同名企業のページが見つかりますが、大阪市のオフィス設計会社など別法人の情報が混在するため、今回の採点には使用していません。

旧法人の株式会社北上尾商事には多数の口コミがありますが、2024年の事業承継で法人・経営体制が変わっているため、現法人の労働環境を断定する材料にはしません。

現法人について口コミが蓄積されれば、公式求人との残業・有休・賃金の差を再確認する必要があります。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、5ちゃんねる、爆サイ等について、「株式会社ニチネン」「上尾」「久喜」「川場」と「残業」「パワハラ」「労災」「火災」「退職」などを組み合わせて確認しました。

現法人の勤務時期・職種・拠点を確認でき、採点を変更できるだけの具体的投稿本文は確保していません。

同名企業と旧法人の情報が多いため、現法人との一致を確認できない投稿は採点に使用していません。

Innovation|14/25

Innovationでは、製造設備や商品開発によって人の負担をどれだけ減らしているか、そして設備投資の成果を働く人や利用者へ返しているかを評価します。

ニチネンは商品開発力と設備投資に強みがあります。一方、15億円規模の設備投資が従業員の作業時間、重量物負担、必要人数、残業、賃金へどう影響したかは公開されていません。

作業負担・危険の削減|2/10

飲料水製造では充填、容器製造、機械オペレーションを行い、カセットボンベでは製缶から充填まで一貫生産しています。

設備によって大量生産を行っているため、人手のみで行う製造より反復作業を機械へ移していることは明らかです。

一方、特定工程について「何人から何人へ減った」「重量物運搬が何回減った」「作業時間が何%短縮した」「事故が何件減った」という導入前後の数字は公表されていません。

そのため2/10点です。

具体的な工程ごとに作業時間50%削減、重量物作業削減、労災低下などを公開できれば4~6点を検討できます。

商品・サービスの改善|5/5

ニチネンは、カセットボンベとガソリンの2WAY式携帯発電機、カセットボンベ式発電機、COセンサー搭載商品などを開発しています。

災害時にはガソリンが確保できない場合でもカセットボンベがあれば発電でき、反対にボンベが不足した場合にはガソリンを使える商品があります。

また、飲料水事業では尾瀬・川場に製造拠点を展開し、現在も品質管理と生産増強を続けています。

利用者の「停電時に電源がほしい」「安全な水を備蓄したい」という課題を具体的な商品へ変えているため5/5点です。

改善成果の人間への還元|2/5

2025年から年間休日を120日へ変更し、働き方の改善が進んでいることは確認できます。

ただし、15億円規模の設備投資や生産増強によって浮いた時間・利益が、賃金、休日、残業削減、人員余力、安全対策へどの程度還元されたかは公表されていません。

設備投資と年休増加の因果関係も確認できないため、高得点にはできません。

そのため2/5点です。

設備導入前後の残業、休日、賃金、事故、配置転換を公表し、人への還元を確認できれば3~4点を検討できます。

研究開発・現場改善の継続|5/5

1984年の固形燃料から始まり、カセットコンロ、カセットボンベ、飲料水、携帯発電機へ事業を広げています。

固形燃料ではISO9001を取得し、カセットボンベでは製缶・充填一貫生産、飲料水では新工場建設を進めてきました。

現在も飲料水事業へ15億円規模の設備投資を行い、生産量増強を進めています。

長期にわたり製造技術と商品分野を広げ続けているため5/5点です。

自動化・AI導入後の雇用状況

現在の公開情報では、大規模なAI導入による人員削減は確認していません。

事業承継時には、支援ファンドが全従業員の雇用条件維持・向上を掲げ、現在も187~190人規模で事業を継続しています。

一方、15億円規模の設備投資の前後で、製造人員、採用数、契約更新数、配置転換、退職率がどう変化したかは公表されていません。

そのため「設備投資によって雇用を維持した」「人員削減を避けた」とまでは断定しません。

Protection|12/25

Protectionでは、地震・停電・断水・物流停止・サイバー攻撃が起きたときに、市民へ水・火・電気を届け続けられるかを評価します。

ニチネンは商品そのものの防災価値と、承継した複数工場・一貫生産体制が強みです。一方、現在の法人としてのBCP訓練やサイバー復旧実績は十分に公表されていません。

災害への備え・訓練|1/5

防災向け商品を多数扱っていますが、現法人自身の地震訓練、停電訓練、安否確認時間、非常用電源稼働時間などを確認できる公開情報がありません。

例えば久喜のガス関連工場が地震で停止した場合、何時間以内に安全確認を終え、代替生産へ切り替えるかは外部から分かりません。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。

そのため1/5点です。

年1回以上の実地BCP訓練、安否確認率、工場再開時間を公開できれば2~3点を検討できます。

生産・物流・調達の代替|4/5

上尾、久喜、岩手、尾瀬、川場など複数拠点を持っています。

カセットボンベ事業では、容器となる缶の製造からガス充填まで一貫して行ってきたため、外部の缶供給だけに依存しない強みがあります。

承継前の同一事業では、東日本大震災時にも工場の稼働を維持してカセットボンベを供給した実績があります。

複数拠点と一貫生産は供給途絶を減らす具体的な仕組みなので4/5点です。

満点としない理由は、現法人で主要商品をどの工場へ切り替えられるか、代替調達先、切替時間を公開していないためです。

サイバー防衛・情報保護|0/5

現法人単体について、MFA、EDR、SOC、標的型メール訓練、ランサムウェア対策、工場ネットワーク分離、重大インシデント件数、バックアップ復元訓練の公開情報がありません。

飲料水や燃料の受発注、生産、物流がシステム停止すれば、災害時の商品供給にも影響します。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。

そのため0/5点です。

MFA・EDR導入範囲、年次教育、標的型メール訓練、重大事故件数、復元訓練結果を公開できれば2~4点を検討できます。

供給継続・復旧能力|3/5

承継前の同一事業では、東日本大震災時にカセットボンベ工場を止めず供給を継続した実績があります。

また、能登半島地震では正月休み中に飲料水工場を開け、約1万ケースを被災地へ送りました。

現在の法人はその工場・人員・事業を承継しているため、基礎的な供給能力は引き継がれていると評価します。

一方、事業承継後の現法人で大規模災害時の供給継続実績はまだ確認できず、工場別RTOや在庫日数も非公表です。

そのため3/5点です。

危機時の市民への対応|4/5

水、カセットボンベ、コンロ、発電機は、停電・断水時の市民生活を直接支える商品です。

承継前の同一事業では能登半島地震で約1万ケースの飲料水を供給し、東日本大震災でもカセットボンベを供給しました。

さらに、携帯発電機は自治体の防災用途にも導入されており、災害時にスマートフォンや照明などへ電力を確保する手段になります。

危機時の市民生活へ直接役立つ商品と供給実績を確認できるため4/5点です。

満点としない理由は、現法人発足後の大規模災害対応実績、自治体との供給協定数、供給可能数量などが十分に公開されていないためです。

良いニュース・最近の前向きな動き

最近のニチネンでは、事業再生によって雇用と事業を引き継ぎ、年間休日を120日へ増やし、飲料水事業への大型設備投資を進めています。

利用者が同社の商品を選ぶことは、災害時にも必要になる水・火・電気関連商品の国内供給能力と、再生後の雇用維持を支えることにつながります。

2026年|飲料水事業へ15億円規模の設備投資(Innovation・Protection)

現在の求人では、飲料水事業へ15億円規模の設備投資を行い、生産量を増強していることが示されています。

平時の需要だけでなく、災害で飲料水需要が急増した際にも生産余力が大きければ供給しやすくなります。

一方、投資によって年間何本増産できるか、人の作業時間が何時間減るかは公開されていません。今後は生産能力と人への還元の両方を数字で示してほしいところです。

2025年|年間休日を120日へ改善(Safety)

公式採用ページでは、従来109日だった年間休日を120日に変更する方針が示され、その後の求人でも年間休日120日が確認できます。

11日の増加は、年間で従業員が休息・家庭・学習へ使える日を直接増やす改善です。

会社全体で実際に120日が確保されているか、有休取得も改善しているかを継続公開できれば、Safetyの評価はさらに上がります。

2024年|事業承継で全事業と雇用を継続(Safety)

旧法人は多額の負債を抱え再生手続きへ進みましたが、事業は新しい株式会社ニチネンへ会社分割で承継されました。

支援ファンドは全従業員の雇用条件維持・向上を投資の社会的意義として掲げており、現在も事業・採用が継続しています。

旧会社の倒産によって工場・雇用・商品の供給が一括で消える事態を避けた点は、人への影響として評価できます。

悪いニュース・問題となった動き

最も重要な悪いニュースは、カセットこんろの火災事故とリコールです。

ニチネンは火とガスを扱う商品を防災用品として提供しているため、非常時に頼られる商品ほど安全性の失敗は重く評価する必要があります。また、製造現場の労災とサイバー・BCPの結果が見えない状態も改善が必要です。

2024年|カセットこんろ5,000台を2件の火災で回収・交換(Safety)

経済産業省によると、「マイコンロ・グッドシェフ KC-353A」の対象ロット5,000台が、2件の火災事故を理由に回収・交換となりました。

回収窓口とオンライン受付を設けて是正対応した点は評価できます。

しかし、コンロは火災・やけど・爆発につながり得る製品です。災害時にも使う商品だからこそ、原因、対象回収率、再発防止策、同種事故の再発有無まで継続公開する必要があります。

2026年時点|労災結果の開示不足(Safety)

製造工程ではプレス・ガス充填・機械オペレーションを行いますが、現法人単体の死亡・休業労災、度数率、強度率、火災・爆発事故件数は公表されていません。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。

2026年時点|BCP・サイバー復旧実績の開示不足(Protection)

ライフライン商品を扱う会社ですが、現法人単体のBCP実地訓練、工場間切替訓練、システム復元訓練、重大サイバー事故件数を確認できる公開情報がありません。

災害時に必要な商品を作る企業は、自社が被災・攻撃された場合でも供給できることを訓練結果で示す必要があります。

総合評価と、これから改善してほしいこと

株式会社ニチネンは現在50点・シビックランクDです。

次のCランクは60点からなので、あと10点必要です。

防災商品そのものは強く、Protectionには明確な社会的価値があります。次のランクへ上がるには、「商品が役立つ」だけでなく、「その商品を安全に作り、安全に使え、災害やサイバー攻撃でも供給を止めない」ことを現在の法人の数字で示す必要があります。

工場の労災KPIを公開してほしい|労働安全・健康:2→6/10

現在の「労働安全・健康」は2/10点です。

株式会社ニチネンが、

・死亡労災件数
・休業4日以上の労災件数
・プレス機械の挟まれ・巻き込まれ件数
・ガス充填工程の火災・漏えい事故件数
・度数率・強度率
・再発防止策

を工場別・全社で毎年公開し、死亡事故0・重大事故0と低い事故率を複数年継続できれば2→6/10点を検討できます。

+4点で総合54点です。

参考企業はKDDI株式会社です。当サイトの現行審査では、対象会社単体の労災件数、死亡事故、重篤工事事故、度数率、強度率を公開しているため「労働安全・健康」8/10点としています。

リコール後の再発防止結果を公開してほしい|商品・サービスの安全:3→5/5

現在の「商品・サービスの安全」は3/5点です。

「マイコンロ・グッドシェフ」の回収について、

・原因
・対象5,000台の回収率
・交換完了率
・設計・製造工程の変更内容
・同種火災の再発件数
・市場事故件数

を継続公開し、同種重大事故0を複数年維持できれば3→5/5点を検討できます。

+2点で総合56点です。

参考になるのは、重大事故や品質問題を「回収した」で終わらせず、対象数、対応数、再発防止、再発有無まで追跡する企業の開示方法です。

賃上げと女性管理職の結果を公開してほしい|賃金・公平性:合計+3点

「賃金・利益の還元」は4/10点、「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。

新卒製造職を含む全社員の平均賃上げ率を物価上昇率以上へ引き上げ、男女賃金比率、女性管理職比率、正社員登用率を毎年公開してください。

女性管理職は現在3人/55人で約5.5%です。女性管理職比率20%以上、男女賃金比率90%前後を達成し、全社実質賃金が複数年改善すれば、賃金4→6、公平性3→4として合計+3点を検討できます。

これで総合59点です。

参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。当サイトの現行審査では、女性管理職比率47.4%、正規雇用の男女賃金比率91.5%などを公開しており、「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点としています。

BCPとサイバー復旧訓練を公開してほしい|Protection:12→16/25

現在の「災害への備え・訓練」は1/5点、「サイバー防衛・情報保護」は0/5点です。

株式会社ニチネンが、

・年1回以上の地震・停電・ガス漏えいBCP訓練
・工場停止を想定した代替生産訓練
・MFA・EDRの導入範囲
・標的型メール訓練
・バックアップ復元訓練
・受発注・生産・物流システムのRTO・RPO
・重大サイバー事故件数

を公開し、目標復旧時間内に復旧できることを確認できれば、災害1→2、サイバー0→3へ改善し、少なくとも+4点を検討できます。

他の改善と合わせれば63点となり、シビックランクCへ上がります。

参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。当サイトの現行審査では、契約社員・協力会社を含むセキュリティ教育や抜き打ち標的型メール訓練を確認し、「サイバー防衛・情報保護」4/5点としています。

次のランクへ上がるための具体例

現在50点・Dで、Cランクは60点からです。あと10点必要です。

・労働安全・健康:2→6/10
工場別の死亡・休業労災、度数率・強度率、ガス関連事故を公開し、重大事故0を継続
→+4点

・商品・サービスの安全:3→5/5
リコール回収率、原因、工程変更、同種事故0を継続公開
→+2点

・賃金・待遇の公平性
実質賃金改善、女性管理職20%以上、男女賃金比率90%前後を公開
→+3点

・BCP・サイバー
実地訓練、MFA・EDR、復元訓練、RTO・RPOを公開し目標内復旧
→+4点

このうち合計10点以上を達成すれば、

50点+10点=60点

となり、シビックランクCへ到達します。

ニチネンは、水・火・電気という災害時の生活に直結する強い事業を持っています。次に必要なのは、製品安全、工場安全、雇用への還元、自社の危機対応を同じ水準で可視化することです。

最終評価は、

Safety:24/50
Innovation:14/25
Protection:12/25
総合:50/100
シビックランク:D

とします。

出典一覧

1.株式会社ニチネン「企業情報・沿革」【情報ランクA】

2.Gビズインフォ「株式会社ニチネン 法人・職場情報」【情報ランクS】

3.ポストコロナ・リカバリー株式会社「株式会社ニチネンの事業承継」【情報ランクA】

4.東京商工リサーチ「株式会社北上尾商事 特別清算」【情報ランクA】

5.株式会社ニチネン「新卒採用情報」【情報ランクA】

6.doda「株式会社ニチネン 中途求人・企業情報」【情報ランクA相当】

7.株式会社ニチネン/群馬県薬剤師会環境衛生試験センター「川場事業所 PFOS・PFOA水質検査結果」【情報ランクS】

8.経済産業省「株式会社ニチネン カートリッジガスこんろ リコール情報」【情報ランクS】

9.株式会社ニチネン「発電機」【情報ランクA】

10.株式会社ニチネン「LifeLine」【情報ランクA】

11.社長名鑑「株式会社ニチネン 旧経営体制インタビュー」【情報ランクA】

12.埼玉県「株式会社ニチネン 企業紹介」【情報ランクS】

13.株式会社ニチネン「よくあるご質問」【情報ランクA】

14.転職会議「株式会社ニチネン(旧:ニューブリッジ5株式会社)」【情報ランクB】

15.株式会社ニチネン「過去のお知らせ」【情報ランクA】

16.doda・リクルートエージェント「飲料水事業の設備投資・求人情報」【情報ランクA相当】

17.シビックギルド「KDDI株式会社を企業審査」【比較資料】

18.シビックギルド「株式会社ミツウロコグループホールディングスを企業審査」【比較資料】

シビックランクの基準

ランク総合点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

株式会社ニチネンは50点のため、シビックランクDです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S行政、公的機関、裁判所、規制当局、独立第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる情報
B従業員・元従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報

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