私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するペットリファインテクノロジー株式会社は、総合51点、シビックランクDです。
ペットリファインテクノロジー株式会社の特に強い点は、使用済みPETを分子レベルまで分解・精製し、食品に触れる飲料ボトルへ再び使える品質まで戻す商用ケミカルリサイクル技術です。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、石油由来PETへの依存と廃棄物を減らしながら、高品質な容器を繰り返し循環させる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として会社単体の労災KPI、平均残業・有給休暇取得率、技術改善によって働く人へ返った成果、川崎工場停止時の代替生産・復旧時間が十分に公表されていないことが残ります。
この記事では、ペットリファインテクノロジー株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
ペットリファインテクノロジー株式会社の企業審査結果
ペットリファインテクノロジーは、PET資源循環の技術と社会実装に明確な強みがあります。川崎工場は年2万2,000トンの再生PET樹脂を生産でき、500mlボトルを1本21gとした場合は約10億本分に相当します。会社LCAでは石油由来ポリエステル製造との比較でCO₂排出量を47%削減するとしています。一方、働く人の安全結果と、川崎工場が止まった場合の供給継続を外部から検証できる数字が不足しており、総合51点としました。[出典2・3]
3軸の得点表
| 評価軸 | 点数 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 30/50 | 年休124日、現在求人の平均残業20時間前後、資格支援、安全衛生組織、食品接触用途の品質を評価。労災・有休・男女待遇の単体結果が課題 |
| Innovation | 14/25 | BHET法、年2.2万トン商用化、使用済みPET100%原料化、非食品PETから飲料用途への展開を評価。人の作業負担削減と還元の定量結果が不足 |
| Protection | 7/25 | 防災・避難訓練、原料調達網、2021年再稼働後の安定操業を評価。川崎1拠点、サイバー、RTO・代替生産の開示不足が課題 |
| 総合 | 51/100 | シビックランクD |
主な強み
・使用済みPETをBHETまで化学分解し、色素や金属などの不純物を除去したうえで再重合し、食品接触用途に使える高品質PETへ戻します。[出典2]
・川崎工場の再生PET樹脂生産能力は年2万2,000トンで、500mlボトル約10億本分に相当します。[出典3]
・会社LCAでは、石油由来ポリエステル製造との比較でCO₂排出量を47%削減しています。[出典2・3]
・2025年には使用済みPETボトルのみを原料にした再生PET樹脂を製造し、2026年にはキリンのビール用1L PETボトルにもHELIX™が採用されました。[出典8・10]
・現在の正社員求人では年間休日124日、資格取得支援、確定拠出年金、家族手当、育児休暇などを確認できます。[出典5・6]
主な課題
・ペットリファインテクノロジー単体の休業災害件数、労災度数率・強度率、死亡災害数、火災・漏えい・熱中症の継続データは公表されていません。
・会社単体の平均有給休暇取得率、離職率、男女賃金差、女性管理職比率は公表されていません。
・中央操作室や各種設備でプラントを制御していますが、設備導入によって人の作業時間、危険作業、必要人数、残業が何%減ったかは公表されていません。
・対象法人自身の主要生産拠点は川崎工場で、停止時に顧客向け再生PETをどこで何%、何日以内に代替できるかは公表されていません。
・サイバー防御、工場制御系ネットワークの分離、バックアップ復元訓練、RTO・RPOの対象法人単体の結果は公表されていません。
事業内容と人間への貢献
ペットリファインテクノロジーは、PETボトルを回収するだけの会社ではありません。回収後のPETを化学的に分解し、異物や色を取り除き、飲料ボトルなどへ再利用できる再生PET樹脂を製造する会社です。飲料・化粧品メーカーと自治体の資源循環をつなぎ、使用済みPETを再び高品質用途へ戻すことが主な人間への貢献です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | ペットリファインテクノロジー株式会社 |
| 英文名 | PET REFINE TECHNOLOGY CO., LTD. |
| 設立 | 2008年10月10日 |
| 代表者 | 代表取締役 執行役員社長 伊賀 大悟 |
| 資本金 | 5億8,000万円(資本準備金含む) |
| 所在地 | 神奈川県川崎市川崎区扇町12-2 |
| 従業員数 | 56人(関東経済産業局、2026年4月資料) |
| 主な事業 | 使用済みPETボトルのケミカルリサイクル、再生PET樹脂の製造・販売 |
| 製品 | 再生PET樹脂 HELIX™ |
| 生産能力 | 年2万2,000トン |
| 主な認証 | ISO9001:2015、ISO14001:2015、Climate Bond Certified |
| 親会社 | 株式会社JEPLAN |
[出典1・2・3]
同社の前身は2004年設立のペットリバースです。2008年に東洋製罐が事業を承継して現在の会社を設立し、2018年にJEPLANが全株式を取得しました。川崎工場は2017年から停止していましたが、2021年5月末に運転を再開し、同年10月から本格稼働しています。[出典1・11]
主な事業内容
PETボトルの原料はPETという樹脂です。ペットリファインテクノロジーでは、使用済みPET由来のフレークを受け入れ、エチレングリコールと反応させてBHETという中間原料まで分解します。その後、脱色や金属イオンなどの不純物除去を行い、高純度BHETへ精製し、再び重合してPET樹脂に戻します。[出典2]
川崎工場にはフレーク棟、中央操作室、検査室、製品倉庫があります。フレークは最大3,500トンを保管でき、工場では1日約70トンの樹脂を生産すると会社採用ページで説明されています。中央操作室ではプラントを制御・管理し、検査室では異物、色、強度、粘度などを確認します。[出典4]
主な利用企業・取引先
実際の商品や共同事業で関係を確認できる企業・自治体があります。
| 相手 | 確認できる関係 |
|---|---|
| アサヒ飲料株式会社 | 使用済みPETボトル100%原料の再生PET樹脂を共同製造し、「カルピスソーダ 1.5L」の一部でテスト使用 |
| キリンビール株式会社 | 「キリン ホームタップ」1L PETボトルにHELIX™を採用 |
| 花王株式会社 | 複数ブランド・50品番以上の化粧品容器へHELIX™を採用 |
| キリンビバレッジ株式会社等 | 非食品用途PETをケミカルリサイクルし、飲料ボトル等へ戻す業界横断事業 |
| 吹田市、都城市、美唄市など | 家庭等から回収したPETボトルをボトルtoボトルへ戻す連携 |
[出典8・9・10・15]
事業による人間への貢献
私たちが飲料や化粧品を使う限り、容器材料は必要です。使用済みPETを繊維やシートへ一度だけ転用するだけでは、最終的に新しい石油由来PETを作る必要が残ります。
ペットリファインテクノロジーの技術は、PETを分子レベルまで戻して精製するため、色素や金属などを除去し、食品に触れる飲料ボトルへ使える品質まで戻せます。2026年4月の関東経済産業局資料も、食品接触用途に利用できる高品質PETへ再生する事例として同社を紹介しています。[出典2]
会社LCAでは石油由来ポリエステル製造と比べてCO₂を47%削減します。この47%はあらゆるPET製品の全ライフサイクルで常に47%減るという意味ではなく、同社が設定した製造比較条件での数値です。それでも、同じPET原料を作る際の排出を下げる選択肢を大規模に実装していることは、人が今後も容器を利用しながら資源消費と温室効果ガスを減らすことにつながります。[出典2・3]
Safety
Safetyでは、化学プラントで働く人の賃金・休息・安全と、食品用途へ供給する再生樹脂の安全性を評価します。ペットリファインテクノロジーは年休124日、資格支援、安全衛生担当の配置、品質認証に強みがあります。一方、労災結果、実際の有休取得、男女待遇などの会社単体データが少なく、制度が実際にどこまで働く人を守っているかを外部から確認しにくい状態です。
賃金・利益の還元:6/10
2026年の正社員求人では、安全衛生担当が年収420万~620万円、月給35万~52万円、調達担当が年収430万~650万円、月給36万~54万円、設備保全職が年収400万~500万円などの条件を確認できます。残業手当は別途支給され、昇給年1回、業績連動型賞与を設けています。[出典5・6]
職種別の求人賃金としては一定の水準を確認でき、残業代を固定残業として基本給へ含めず支給する職種があることも評価できます。一方、会社単体の平均年間給与、中央値、ベースアップ率、賞与実績、正規・非正規別の賃金を継続比較できる公開情報はありません。
そのため6/10点です。平均・中央値、職種・雇用形態別の賃金、毎年の基本給引き上げ率を公開し、実質賃金の継続的な上昇を確認できれば8点以上を検討できます。
労働時間・休息:6/10
2026年の複数の求人では年間休日124日、完全週休2日制、年次有給休暇、ウエルカム休暇を確認できます。dodaの機械保全・調達などの求人では「平均残業20h」と案内されています。[出典5・6]
年間休日124日は、週2日の休日に加えて祝日等を含む休息を確保しやすい水準です。一方、HRMOSの一部求人では想定年収の計算条件として月20時間または30時間の残業を置いており、会社全体の実平均とは区別する必要があります。会社単体の有休取得率、平均取得日数、月45時間超・60時間超の従業員比率も公表されていません。
現在求人で年間休日と平均残業の目安を確認できるため6/10点です。会社全体で月平均残業15時間以下、有休取得率80%以上、月60時間超をゼロに近い水準で維持し、結果を毎年公開できれば8点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性:2/5
関東経済産業局の2026年4月資料では従業員56人です。現在も安全衛生、設備保全、調達、販売など複数職種の正社員求人があり、65歳以降の雇用延長を示す求人もあります。2021年の再稼働後に事業と採用が続いている点は評価できます。[出典2・5・6]
一方、離職率、正規・非正規人数、女性管理職比率、男女賃金差、障害者雇用、外国人労働者の待遇について会社単体の公開情報がありません。公平性を結果で確認できないため2/5点です。
男女賃金差を職種・等級別に公開し、管理職登用、離職率、正社員登用などで公平な実績が確認できれば3~4点以上を検討できます。
福利厚生・育児・介護:4/5
現在求人では、家族手当、通勤手当、確定拠出型年金、資格取得支援、ウエルカム休暇、夏季・年末年始休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、育児休暇を確認できます。資格取得支援では、電気主任技術者、電気工事士、機械保全技能士、エネルギー管理士、公害防止管理者、危険物取扱者など、化学プラントで必要性の高い資格が対象です。[出典5・6]
制度は幅広い一方、育児休業取得率、男性育休取得率、平均取得期間、復職率、介護休業利用実績は公表されていません。そのため4/5点です。育児・介護制度を利用した結果まで継続公開できれば5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係:1/5
JEPLANグループには内部通報制度が存在することを確認できます。ペットリファインテクノロジーもグループ会社ですが、対象会社単体のハラスメント研修参加率、相談件数、是正件数、労使協議、外国人・非正規を含む人権デューデリジェンスの結果は公表されていません。[出典12]
グループ制度の存在だけでは高得点にできないため1/5点です。対象会社で全社員研修、相談・是正結果、再発防止、労使協議の実績を公開できれば3点以上を検討できます。
労働安全・健康:6/10
現在の安全衛生担当求人では、安全衛生委員会、安全パトロール、防災・避難訓練、廃水・排ガス、騒音・振動、緑化、安全・環境規制に関する行政対応を担当します。安全衛生を専門に扱う組織があり、日常的にパトロールと訓練を行う体制を確認できます。[出典5]
化学プラントでは、高温設備、薬品、受電設備、回転機械、屋外作業など複数の危険があります。設備保全求人では受電設備、制御盤、PLC、センサー等の故障対応・維持・更新を担当しており、故障を放置せず予防保全する人員を置いています。[出典6]
一方、会社単体の死亡災害、休業災害件数、度数率・強度率、火災、化学物質漏えい、熱中症、ヒヤリハット、是正完了率の年次結果は公表されていません。今回の重大問題検索では、2026年10月12日時点で同社単体の近年の死亡事故、重大労災による行政処分、大規模火災・爆発を具体的に確認していませんが、公開情報が見つからないことを事故ゼロとは扱いません。
具体的な安全管理を評価して6/10点です。直近3年以上の死亡0、休業災害件数、度数率・強度率、火災・漏えい件数を公開し、製造業平均以下の事故水準を継続できれば8点以上を検討できます。
商品・サービスの安全:5/5
同社はISO9001:2015を取得し、再生PET樹脂HELIX™を飲料ボトル用途へ供給しています。2026年の関東経済産業局資料は、ケミカルリサイクルによる精製後のPETを食品接触用途にも使える高品質樹脂として紹介しています。アサヒ飲料、キリンなど実際の飲料容器への採用も確認できます。[出典1・2・8・10]
食品に直接触れる容器原料では、色や見た目だけでなく、微細な不純物を除き安全性を確認できる品質が必要です。分子レベルで分解・精製し、実際に大手飲料メーカーの容器へ採用されていることから5/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議では4件の投稿から算出した月平均残業11.7時間、有給消化率30%が表示されています。ただし件数が4件と少なく、古い投稿を含むため現在の会社全体統計としては扱いません。[出典13、情報ランクB]
2017年の40代後半男性・正社員による投稿には「交代勤務者の勤務開始時間、終了時間、休憩時間はあいまい。」とあります。[出典13、情報ランクB]
この投稿はJEPLANが同社を取得した2018年より前で、川崎工場が停止した時期のものです。現在の職場へそのまま適用せず、過去には勤務時間管理への不満があったという歴史的な情報として扱います。
キャリコネでは投稿者1人の集計で月平均残業20時間、有給消化率40%です。母数が1人のため会社全体の実態とはみなしません。[出典14、情報ランクB]
OpenWork等も確認しましたが、一般公開部分だけで時期・職種・対象法人との関係を十分確認できる本文は限られていました。現在の労働実態は2026年の求人条件を優先し、古い少数口コミだけで採点を下げていません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名、川崎工場、残業、退職、パワハラ、事故、火災、人員削減などを組み合わせて個別に検索しました。
対象法人で働いたこと、投稿時期、本文内容を確認でき、今回の採点を変更できる具体性を持つ投稿は確認できませんでした。SNS・匿名掲示板で有用な投稿が見つからなかったこと自体は加点にも減点にも使いません。
Innovation
Innovationでは、PETを循環させる技術そのものだけでなく、人が担う危険作業・反復作業を減らし、その成果が働く人へ返っているかを評価します。ペットリファインテクノロジーは商品・技術の改善と研究開発では非常に強い一方、設備によって人の作業が何時間減り、残業・休日・安全へどう返ったかの定量情報が不足しています。
作業負担・危険の削減:4/10
現在の採用ページでは、中央操作室からケミカルリサイクル工場を制御・管理し、生産と品質の安定を図る仕組みを確認できます。過去の工場取材では、ベールから缶・びんを自動分離し、粉砕・洗浄する工程も紹介されています。[出典4・16]
設備で化学反応や選別・搬送を行い、中央制御することで、人がすべての工程を直接手作業で扱う必要を減らせる構造は評価できます。一方、現在の工場で自動化前後の必要人数、重量物取扱回数、薬品への曝露、巡回時間、労災件数が何%減ったかは公表されていません。
具体的な設備化は確認できるものの、人の負担削減量を結果で測れないため4/10点です。危険作業時間、手作業回数、巡回時間、事故の前後比較を公開し、明確な削減を確認できれば6~8点以上を検討できます。
商品・サービスの改善:5/5
同社のBHET法は、PETを分子レベルまで戻し、色素や金属などの不純物を除去したうえで再重合します。食品接触用途へ戻せるだけでなく、2025年には工業用フィルムや化粧品容器など非食品用途PETを原料にして飲料ボトル等へ戻す事業も開始しました。[出典2・9]
さらに2025年12月には、石油由来原料を使わず使用済みPETボトルのみを原料とする再生PET樹脂の製造を実現しています。これは再生材を一部混ぜる段階から、投入原料を使用済みPETだけに近づける技術改善です。[出典8]
複数年にわたり原料範囲と採用用途を拡大し、実商品へ導入しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元:0/5
技術改善や設備投資が進んでいる一方、それによって従業員の残業が何時間減ったか、休日が増えたか、賃金・賞与が上がったか、危険作業から何人を外せたかという因果関係を確認できる公開情報がありません。
現在の年間休日124日など良い求人条件は評価できますが、それがケミカルリサイクル設備の改善によって実現したと結びつける根拠はありません。
人への還元結果が公表されていないため0/5点です。設備導入前後の残業、危険作業時間、人員配置、教育時間、賃金・休日を同じ条件で公開し、雇用を維持しながら残業や危険作業が明確に減ったことを確認できれば3点以上を検討できます。
研究開発・現場改善の継続:5/5
同社の商用プラントは10年以上の操業実績を持ち、2021年の再稼働後も改善を継続しています。2024年には再生樹脂をHELIX™としてブランド化し、2025年には非食品PETの循環、使用済みPETボトル100%原料化、2026年にはビール用PETボトルへの採用まで用途を広げました。[出典3・8・9・10]
研究段階だけでなく年2万2,000トンの商用設備と実商品採用まで継続しているため5/5点です。
Protection
Protectionでは、地震、火災、設備故障、原料不足、サイバー攻撃が起きても再生PET樹脂を供給できるかを評価します。ペットリファインテクノロジーは防災訓練と複数地域からの原料調達、長期停止した工場を再建した実績があります。一方、対象法人自身の生産は川崎工場へ集中しており、代替生産と復旧時間、サイバー対策を具体的に確認できません。
災害への備え・訓練:3/5
現在の安全衛生担当の業務には、防災・避難訓練の計画・実施が明記されています。日常の安全パトロールと合わせ、災害時の避難・初動を担当する組織が存在します。[出典5]
例えば地震や工場火災が起きた場合、避難訓練を実施していれば、従業員がどこへ退避し、誰が点呼し、設備停止をどう進めるかを事前に確認できます。
一方、訓練の年次回数、避難完了時間、非常用電源の稼働時間、備蓄量、訓練で見つかった問題と改善結果は公表されていません。そのため3/5点です。年1回以上の実地訓練と達成結果を公開し、非常電源・備蓄能力まで確認できれば4~5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替:2/5
同社は自治体や飲料メーカー、リサイクル企業との協定を広げ、複数地域から使用済みPETを循環させる仕組みを構築しています。川崎工場のフレーク棟は最大3,500トンの原料を保管できます。[出典4・15]
複数地域から原料を確保できることは、一つの自治体だけに依存するより調達停止リスクを下げます。一方、ペットリファインテクノロジー自身の主要生産拠点として確認できるのは川崎工場です。JEPLANグループには北九州にもPETケミカルリサイクル拠点がありますが、別法人・別用途を含むグループ設備であり、PRT顧客向けHELIX™を何%代替できるかは公表されていません。
原料調達の広がりを評価して2/5点です。顧客製品ごとの代替生産先、原料の複数調達比率、切替可能量を具体化できれば3~4点以上を検討できます。
サイバー防衛・情報保護:0/5
中央操作室でプラントを制御し、設備保全担当がPLCやセンサーなどを扱うため、サイバー攻撃や制御系障害への備えは生産安全に直結します。[出典4・6]
一方、ペットリファインテクノロジー単体のMFA、EDR、SOC・CSIRT、工場制御系と社内ITのネットワーク分離、オフラインバックアップ、脆弱性診断、標的型メール訓練、ランサムウェア復元試験、重大インシデント件数について公開情報がありません。
こうした重要情報が公開されていない点は課題です。採点上も減点対象です。そのため0/5点です。技術対策と第三者検証、復元訓練の結果を公開できれば3点以上を検討できます。
供給継続・復旧能力:2/5
川崎工場は2017年から停止していましたが、2018年のJEPLAN子会社化後に再稼働プロジェクトが進み、2021年5月末に運転を再開、10月から本格稼働しました。2026年9月には、再稼働資金に使った総額4億円の劣後特約付普通社債を契約どおり全額償還し、会社は再稼働後も安定操業を継続していると説明しています。[出典11・17]
大型プラントを再建し約5年間継続操業した実績は評価できます。ただし、これは災害やサイバー攻撃からの短時間復旧実績ではありません。
川崎工場が停止した場合の目標復旧時間RTO、許容データ損失RPO、重要設備の予備品、非常電源、製品在庫日数、顧客別の代替供給率、訓練で実測した復旧時間は公表されていません。そのため2/5点です。主要機能のRTOを設定し、訓練で達成できれば4点以上を検討できます。
危機時の市民への対応:0/5
自治体とのボトルtoボトル協定は平時の資源循環として高く評価できますが、災害時の避難者支援、生活必需品の提供、緊急復旧支援などをペットリファインテクノロジー単体が担った具体的な公開実績は確認できません。
そのため0/5点です。地域防災協定、災害時の設備・用地・物資提供、復旧支援など具体的な役割と実績が確認できれば加点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、ケミカルリサイクルを研究成果で終わらせず、原料の循環率、採用用途、商用事業の継続性まで広げています。これらは主にInnovationとProtectionに効きます。同社の再生PETが選ばれれば、使用済みPETを高品質用途へ戻す需要が増え、石油由来PETを減らす商用循環を支えることにつながります。
2026年9月 再稼働資金4億円の社債を全額償還(Protection)
2026年9月14日、同社は2021年にグリーンファンドを活用して発行した総額4億円の劣後特約付普通社債を全額償還しました。資金は川崎工場の再稼働事業に使われ、会社は事業が計画どおり立ち上がり、その後も安定操業を続けたと説明しています。[出典17]
大型設備を再稼働して約5年間操業し、資金返済まで完了したことは、ケミカルリサイクルを一時的な実証ではなく事業として継続した成果です。
2026年4月 HELIX™をビール用1L PETボトルへ採用(Innovation)
2026年4月、キリンビールの「キリン ホームタップ」で使う1L PETボトルにHELIX™が採用されました。[出典10]
食品接触用途の中でも利用場面が広がることで、回収PETを新しい石油由来樹脂へ置き換える用途が増えます。採用量の拡大が続けば、再生材を高品質容器へ戻す需要を安定させやすくなります。
2025年12月 使用済みPETボトル100%原料の再生PET樹脂を製造(Innovation)
JEPLAN、ペットリファインテクノロジー、アサヒ飲料は、石油由来原料を使わず、使用済みPETボトルのみを原料にした再生PET樹脂を製造しました。「カルピスソーダ 1.5L」の一部ボトルでテスト使用されています。[出典8]
通常のHELIX™はリサイクル材料含有率72%以上ですが、この取り組みは原料段階で使用済みPETボトル100%へ進めた技術改善です。まだ一部テスト使用のため、全製品が100%原料化したとは扱いません。
悪いニュース・問題となった動き
直近の公開情報から、同社単体の新たな死亡事故、大規模火災・爆発、重大行政処分、サイバー情報漏えいを具体的に確認していません。一方、過去には工場が長期停止した事実があり、現在も労災結果・復旧時間・サイバー対策が十分公開されていません。問題が改善・開示されなければ、働く人の安全と再生PETの供給継続を購入者・取引先が判断しにくい状態が残ります。
2017~2021年 川崎工場が長期停止(Protection)
川崎工場は2017年から運転を停止し、JEPLANが2018年に子会社化した後、2021年5月末に運転を再開、10月に本格稼働へ戻りました。[出典11]
現在の経営体制は停止当時と異なるため、2017年の経営状況をそのまま現在評価へ移しません。ただし、大型プラントが一度停止すると再開まで長い時間と資金が必要になり得ることを示す歴史です。
現在は安定操業が続いている一方、地震・火災・設備故障で同じ川崎工場が停止した場合に、何時間・何日で供給を戻せるかという結果は公開されていません。
2026年現在 労災・復旧・サイバーKPIの法人単体開示が不足(Safety・Protection)
安全衛生委員会や防災訓練、設備保全の体制は確認できます。しかし、死亡・休業労災、度数率、火災・漏えい、非常電源時間、RTO・RPO、バックアップ復元試験など、事故と復旧の結果指標は会社単体で公表されていません。
化学プラントでは、安全設備が存在することと、実際に事故を低く抑えられていることは別です。重要指標が公開されない状態が続けば、働く人・取引先・地域住民は、安全と供給継続の実力を外部から比較できません。
総合評価と、これから改善してほしいこと
ペットリファインテクノロジーは総合51点、シビックランクDです。次のCランクは60点からなので、あと9点必要です。食品接触用途まで戻せるPETケミカルリサイクル、年2万2,000トンの商用設備、CO₂47%削減、使用済みPET100%原料化は大きな強みです。一方、次のランクへ上がるには、環境技術の性能だけでなく、その技術を動かす人の安全・休息と、工場停止時の復旧能力を数字で示す必要があります。
労働時間と有休を法人単体で結果公開してほしい(Safety)
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。年休124日、現在求人の平均残業20時間前後は評価できますが、全社平均残業、有休取得率、45時間超・60時間超比率が公表されていません。
会社が実行してほしいのは、全従業員の実労働時間を集計し、月平均残業15時間以下、有休取得率80%以上、月60時間超0%に近い状態を継続し、職種・勤務形態別に年次公開することです。この条件を確認できれば6→8/10点、+2点を検討できます。総合は51→53点になります。
参考企業は遠東石塚グリーンペット株式会社です。当サイトの2026年10月8日時点の現行審査は68点・Cで、製造シフトでは年間休日180日、設備メンテナンスでは平均残業5時間以下、製造求人でも月10時間程度を確認し、「労働時間・休息」は8/10点です。有休取得率には課題がありますが、交替勤務を含めて休日と残業を具体的に示している点が参考になります。[参考出典19]
労災件数と度数率を公開し、安全実績を改善してほしい(Safety)
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。安全衛生委員会、パトロール、防災訓練、専任担当を確認できる一方、事故結果を外部から比較できません。
死亡災害0、休業災害件数、度数率・強度率、火災・化学物質漏えい、熱中症、ヒヤリハット、是正完了率を毎年公表し、休業災害度数率を製造業平均以下で継続できれば8/10点を検討できます。改善幅は+2点で、総合は51→53点です。
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。当サイトの現行審査は74点・Bで、2024年の労災死亡0人、休業災害度数率0.58、安全方針適用100%を法人単位で公開し、「労働安全・健康」を8/10点と評価しています。事故を隠さず、ゼロでない数字も含めて継続公開している点が参考になります。[参考出典20]
サイバーと工場停止時の復旧を実測してほしい(Protection)
現在の「サイバー防衛・情報保護」は0/5点、「供給継続・復旧能力」は2/5点です。
会社が実行してほしいのは、工場制御系と社内ITのネットワーク分離、MFA・EDR、オフラインバックアップ、脆弱性診断、年1回以上のランサムウェア復元訓練を実施し、その結果を公開することです。同時に、重要設備と受発注システムのRTO・RPOを設定し、代替生産・在庫出荷の訓練を行います。
例えば重大サイバー事故件数、バックアップ復元成功率、訓練結果を公開し技術対策が確認できれば「サイバー防衛・情報保護」0→3点で+3点、主要業務を24時間以内に復旧し、顧客向け再生PETの一定割合を在庫・代替手段で継続できることを実証すれば「供給継続・復旧能力」2→4点で+2点を検討できます。合計+5点で、総合は51→56点です。
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。当サイトの現行審査は82点・Aで、「サイバー防衛・情報保護」4/5点、「供給継続・復旧能力」5/5点です。LPガス約90日分の備蓄、複数調達、24時間365日の緊急出動など、止まったときに何を使って供給を続けるかを具体化しています。業種は異なりますが、代替と復旧を結果につなげる例として参考になります。[参考出典21]
次のランクへ上がるための具体例
Cランクへはあと9点必要です。次の組み合わせなら、二重加点せず60点へ到達できます。
・労働時間・休息:6→8点 +2点
全社で月平均残業15時間以下、有休取得率80%以上、月60時間超をゼロに近づけ、職種別に結果公開する。
・労働安全・健康:6→8点 +2点
死亡・休業労災、度数率・強度率、火災・漏えいを年次公開し、度数率を製造業平均以下で継続する。
・サイバー防衛・情報保護:0→3点 +3点
制御系分離、MFA・EDR、オフラインバックアップ、復元訓練を実施し、結果を公開する。
・供給継続・復旧能力:2→4点 +2点
川崎工場停止を想定したRTO・RPO、重要部品・在庫、代替生産・出荷方法を定め、実地訓練で目標時間内の復旧を確認する。
51点+2点+2点+3点+2点=60点となり、シビックランクDからCへ上がります。
参考企業では、遠東石塚グリーンペットが長い年間休日と低残業を具体化し、キリンビバレッジが労災結果を法人単位で開示し、ミツウロコグループホールディングスが備蓄・複数調達・緊急対応を組み合わせています。
つまり、ペットリファインテクノロジーが次のランクへ上がるために必要なのは、PET循環技術をさらに派手に見せることではありません。すでに強い技術を動かす人が安全に休めていること、事故を低く抑えていること、川崎工場が止まっても一定量を短時間で供給できることを、法人単体の数字で実証することです。
出典一覧
1.ペットリファインテクノロジー株式会社「企業情報・品質環境方針」【情報ランクA】
2.経済産業省 関東経済産業局「管内自治体・企業におけるサーキュラーエコノミーの取組事例」2026年4月【情報ランクS】
3.株式会社JEPLAN「ペットリファインテクノロジー 商用プラント」【情報ランクA】
4.ペットリファインテクノロジー株式会社「RECRUIT/HELIX™のリサイクル・製造プロセス」【情報ランクA】
5.株式会社JEPLAN採用「安全衛生担当|ペットリファインテクノロジー株式会社」および2026年doda掲載求人【情報ランクA】
6.株式会社JEPLAN採用・doda「電気・機械保全、調達等|ペットリファインテクノロジー株式会社」2026年【情報ランクA】
7.HELIX™公式サイト「リサイクル材料含有率72%以上、CO₂排出削減率47%」【情報ランクA】
8.株式会社JEPLAN「JEPLANグループとアサヒ飲料、使用済みPETボトル100%の再生PET樹脂をケミカルリサイクルで製造」2025年12月15日【情報ランクA】
9.株式会社JEPLAN「業界を超えた連携でケミカルリサイクルの原料を非食品用途PETへ拡大」2025年4月21日【情報ランクA】
10.株式会社JEPLAN「再生原料HELIX™、『キリン ホームタップ』1L PETボトルに採用」2026年4月17日【情報ランクA】
11.株式会社JEPLAN「ペットリファインテクノロジー再生PET樹脂製造工場の本格稼働開始」2021年11月29日【情報ランクA】
12.株式会社JEPLAN「個人データ保護方針(GDPR)/内部通報制度」【情報ランクA】
13.転職会議「ペットリファインテクノロジー株式会社の評判・口コミ」【情報ランクB】
14.キャリコネ「ペットリファインテクノロジー株式会社の口コミ・統計」【情報ランクB】
15.吹田市・都城市・北海道自治体等のPETボトル水平リサイクル協定、公表資料【情報ランクS】
16.国際環境経済研究所「PETボトルからPETボトルへ」2017年工場取材【情報ランクA相当の記名取材/現経営体制以前】
17.株式会社JEPLAN「ペットリファインテクノロジー、グリーンファンドを活用した社債を全額償還」2026年9月14日【情報ランクA】
18.一般社団法人グリーンファイナンス推進機構「川崎市再生PET樹脂製造工場再稼働事業への資金拠出」【情報ランクS】
19.当サイト「遠東石塚グリーンペット株式会社を企業審査」2026年10月8日時点正本【参考企業】
20.当サイト「キリンビバレッジ株式会社の企業審査」現行正本【参考企業】
21.当サイト「株式会社ミツウロコグループホールディングスを企業審査」現行正本【参考企業】
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
