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エア・ウォーター株式会社を企業審査|シビックランクB・70点/100点|平均年収816万円・災害時の医療用酸素供給を評価、不適切会計と医薬品回収が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット

今回審査するエア・ウォーター株式会社は、総合70点、シビックランクBです。

エア・ウォーター株式会社の特に強い点は、全国に分散した産業・医療ガス供給網を持ち、災害時にも医療用酸素などの供給を継続してきたことです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、地震や停電などが起きても医療や産業に必要なガスを届け続けやすい社会につながる可能性が高まります。

一方で、改善点として、2026年に判明した不適切会計と内部統制の実質的な無効化、正規雇用の男女賃金比60.0%、会社単体の労災KPI不足、医薬品ガスの複数回の自主回収が残ります。

この記事では、エア・ウォーター株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

エア・ウォーター株式会社の企業審査結果

エア・ウォーターは、産業ガス、医療用ガス、LPガス、医療設備、農業・食品などを幅広く扱う企業です。単体の平均年間給与は816万4,000円、採用サイト上の平均残業時間は月13.5時間、2025年度の男性育休取得率は83.3%・平均取得日数50.1日です。一方、正規雇用労働者の男女賃金比は60.0%で、2026年には不適切会計によって東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されました。強い供給基盤と働き方の改善を評価しながら、企業風土・安全・商品品質の問題を反映し、総合70点としました。[出典1・2・3・4・5]

3軸の得点表

評価軸点数主な評価
Safety32/50平均年収816.4万円、残業13.5時間、年休124日、男性育休83.3%を評価。男女賃金差、不適切会計、単体労災KPI、医薬品回収が課題
Innovation16/25DX、自動化・省力化、医療・産業ガス技術、CO₂回収技術を評価。自社DXで削減した時間を人へどう返したかの定量結果が不足
Protection22/25分散型VSU、全国供給網、災害時医療酸素、24時間365日監視、LPガスBCPを高評価。サイバー復旧時間の開示に課題
総合70/100シビックランクB

主な強み

・2026年3月期の単体平均年間給与は816万4,000円で、前年比2.6%増です。[出典2]

・採用サイトでは平均残業時間13.5時間/月、年間休日124日を公表しています。[出典6・7]

・2025年度の男性育児休業・休暇取得率は83.3%、平均取得日数は50.1日です。[出典3]

・全国に産業・医療ガス供給拠点を持ち、東日本大震災では分散型VSUを使って停止地域を別拠点からバックアップしました。[出典8]

・2024年の能登半島地震では、医療用酸素・酸素濃縮装置を供給し、カセットコンロ用ボンベ約2,000本なども提供しました。[出典9]

・2026年10月には、ごみ処理施設でCO₂回収率90%以上を目指す実証施設が竣工し、液化酸素供給・CO₂回収・液化設備を担当しています。[出典10]

主な課題

・2026年の特別調査委員会調査で、エア・ウォーター本体と複数子会社に不適切会計が確認され、一部では経営トップやマネジメント層の関与が認定されました。[出典4・5]

・東京証券取引所は2026年5月1日付で特別注意銘柄に指定し、上場契約違約金9,120万円を徴求しました。[出典5]

・2026年3月期の男女賃金比は全労働者60.5%、正規雇用60.0%、女性管理職比率5.9%です。[出典2]

・会社単体の最新の休業災害度数率・死亡災害数は公表されておらず、グループの2025年度休業災害度数率0.92を単体実績としては扱えません。[出典11]

・医薬品ガスでは、2024年に日本薬局方酸素・二酸化炭素のクラスII回収、2025年と2026年にも日本薬局方二酸化炭素のクラスIII回収が確認できます。[出典12・13・14]

事業内容と人間への貢献

エア・ウォーターは、産業・医療に必要なガスやエネルギー、医療設備、食品などを供給する企業です。特に酸素・窒素・アルゴンなどの産業ガス、医療用酸素、LPガスは、製造業、病院、家庭の生活基盤を支えます。

基本情報

項目内容
会社名エア・ウォーター株式会社
英文名AIR WATER INC.
設立1929年9月24日
代表者代表取締役 社長執行役員 千歳 喜弘
本社大阪市北区大深町5番54号 グラングリーン大阪南館パークタワー13階
資本金558億5,500万円
2026年3月期売上収益連結1兆668億円、単体1,434億円
従業員数連結21,824人、単体685人
平均年齢42.5歳
平均勤続年数9.9年
平均年間給与816万4,000円
主な事業産業ガス・エネルギー、医療、農業・食品、物流、海水関連等

[出典1・2]

主な事業内容

産業分野では、酸素、窒素、アルゴンなどを、シリンダー、ローリー、地域分散型のVSU、大型オンサイト設備など複数の方法で供給します。顧客の使用量に合わせて供給方法を変え、製鉄、半導体、化学、食品などの製造工程を支えています。[出典15]

医療分野では、医療用酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化窒素製剤、医療ガス配管設備などを扱います。医療用ガスの供給・設備状況を監視するライフサポートセンターは24時間365日体制です。[出典16]

エネルギー分野ではLPガスやLNGを扱います。LPガスは導管に依存せず容器で運べるため、都市ガス・電気が停止したときにも代替エネルギーとして使える特性があります。[出典17]

主な利用企業・取引先

製鉄、半導体、化学、食品、病院、介護、自治体、家庭など幅広い利用者へ製品・サービスを提供しています。具体的な顧客別売上構成は事業ごとに異なるため、特定企業への依存度を推測して評価には使いません。

事業による人間への貢献

酸素は病院で患者の呼吸を支え、窒素やアルゴンは製造工程の安全・品質維持に使われます。LPガスは家庭の調理・給湯や工業燃料になり、災害時には分散型エネルギーとして利用できます。

例えば大地震で地域の大型ガス工場が止まった場合でも、全国に分散したVSUやシリンダー供給網から代替輸送できれば、病院で酸素を必要とする患者や、ガスを必要とする工場への影響を小さくできます。東日本大震災では新潟・松本・相模原・静岡などの拠点を連携させ、停止地域をバックアップした実績があります。[出典8]

Safety

Safetyでは、エア・ウォーター本体で働く人の賃金・休息・公平性と、産業・医療ガスを安全に提供できているかを評価します。平均年収、残業、休日、育児支援は強い一方、男女賃金差、不適切会計で明らかになったトップダウン型の企業風土、法人単体の労災開示、医薬品回収が大きな課題です。

賃金・利益の還元:8/10

2026年3月期の単体平均年間給与は816万4,000円で、前年795万4,000円から2.6%上昇しました。2024年度までの人的資本資料では、組合員の賃上げ率6.3%も確認されています。[出典2・18]

平均年収は賞与・基準外賃金を含み、職種別中央値や基本給だけの上昇ではありません。それでも単体で高い給与水準と上昇を確認できるため8/10点です。

10点には、職種・年代・雇用形態別の中央値、ベースアップ率、物価上昇を差し引いた実質賃金の継続的な増加まで公開することが必要です。

労働時間・休息:8/10

採用サイトでは平均残業時間13.5時間/月、年間休日124日としています。人的資本資料では、組合員の時間外労働月間平均が2021年度14.8時間、2022年度14.8時間、2023年度12.8時間へ低下しています。年次有給休暇取得率は2024年度62.5%です。[出典6・7・18・19]

平均残業15時間未満と年間休日124日は高く評価できます。一方、有休取得率は80%には届いておらず、月45時間超・60時間超の人数比率も公表されていません。そのため8/10点です。

有休取得率80%以上、月60時間超をゼロに近づけ、職種別・拠点別の労働時間も公開できれば10点を検討できます。

雇用の安定・待遇の公平性:2/5

2026年3月期の女性管理職比率は5.9%、男女賃金比は全労働者60.5%、正規雇用60.0%、パート・有期62.5%です。会社は、女性の平均年齢が男性より約7歳若いことと、女性管理職比率が低いことを差の主因として説明しています。[出典2]

制度上の差別を示す数字ではありませんが、正規雇用で女性平均賃金が男性の60%という結果は大きな差です。女性管理職比率も低いため2/5点です。

職種・等級ごとの差を開示し、正規雇用の男女賃金比を80~90%台へ改善し、女性管理職比率を15%以上へ高められれば4点以上を検討できます。

福利厚生・育児・介護:5/5

2025年度の男性育児休業・休暇取得率は83.3%、平均取得日数50.1日です。女性育休取得率は近年100%で推移しています。育児のための短時間勤務は子どもが小学校6年生を終えるまで利用でき、介護相談窓口や介護休業制度も整備しています。[出典3・19・20]

取得率だけでなく、男性の平均取得日数が50日を超えている点を高く評価し5/5点です。

人権・ハラスメント・労使関係:2/5

グループ人権方針、差別・ハラスメント禁止、社内外の内部通報窓口、管理職向けパワハラ研修、全従業員向けEラーニング、人権デューデリジェンスの仕組みがあります。[出典21・22]

一方、2026年の特別調査委員会は、不適切会計の背景として、業績目標を最優先する企業文化、トップダウン型マネジメント、倫理感の欠如、内部統制の実効性不足を指摘しました。一部の不適切処理では経営トップ・管理層の関与も認定されています。[出典4]

制度はあるものの、従業員が不適切な指示を拒否・是正できる組織風土が十分機能していなかった重大な実例が確認されたため2/5点です。

4点以上には、内部通報後の調査・是正件数、報復防止、従業員サーベイでの心理的安全性改善、管理職行動の変化を複数年で示す必要があります。

労働安全・健康:4/10

グループでは中央安全衛生委員会を中心に安全活動を行い、50人未満の事業所でも準安全衛生委員会を開催しています。2025年度の国内グループ休業災害度数率は0.92まで低下し、2024年度1.34から改善しました。[出典11]

ただし、0.92は国内グループ会社を含む値であり、エア・ウォーター株式会社単体の休業災害件数、度数率、強度率、死亡災害数ではありません。

対象法人単体の事故結果を確認できないため4/10点です。直近3年間の死亡0、休業災害件数、度数率・強度率を単体で公開し、製造業平均以下を継続できれば8点以上を検討できます。

商品・サービスの安全:3/5

医療ガスは医薬品として品質管理され、24時間365日の監視・供給体制を持ちます。一方、近年は医薬品ガスの自主回収が続いています。

2024年6月には、日本薬局方酸素と日本薬局方二酸化炭素について、容器内に外面研磨用の鋼製ブラスト粒・粉砕片が残留したことからクラスIIの自主回収を行いました。[出典12]

2025年9月には日本薬局方二酸化炭素のクラスIII回収、2026年4月にも製造販売届と異なる食品添加物二酸化炭素原料を誤使用した日本薬局方二酸化炭素334本についてクラスIII回収が確認されています。[出典13・14]

自主回収を実施していることは是正行動ですが、医療用ガスで複数年に回収が生じているため3/5点です。重大回収ゼロを複数年継続し、原因と再発防止結果まで公表できれば5点を検討できます。

従業員・元従業員の口コミ

転職会議では投稿者集計として月平均残業24.9時間、有給消化率47.3%が表示されています。会社公式の採用サイトにある平均残業13.5時間とは差があります。口コミは古い投稿や部署差を含むため、現在の単体平均としては使わず、職場ごとの差を示す補助情報として扱います。[出典23]

Indeedでは4件、総合3.3/5です。2023年の鹿嶋勤務の投稿には「休暇も取りやすい」「残業や、休日出勤はほぼ無い」とする内容がある一方、昇格・昇給への不満も記載されています。[出典24]

OpenWorkでは残業25.1時間/月、有給消化率50.4%と表示されています。こちらも投稿者集計であり、会社公式の全社指標とは区別します。[出典25]

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、5ちゃんねる、爆サイについて、社名と残業、パワハラ、退職、事故、不適切会計、自動化、人員削減などを組み合わせて検索しました。

対象法人での勤務関係、投稿時期、本文を確認でき、今回の採点を変更できる具体性を持つ投稿は確認できませんでした。SNSや匿名掲示板で有用情報が見つからなかったこと自体を加点・減点には使いません。

Innovation

Innovationでは、ガス製造や医療・産業現場を効率化する技術だけでなく、エア・ウォーター自身の働き方で人の反復作業や残業を減らし、その成果を人へ返しているかを評価します。顧客向けの自動化・省力化技術と研究開発は強い一方、自社DXが従業員の自由時間や賃金へどれだけ還元されたかの因果は十分公開されていません。

作業負担・危険の削減:4/10

エア・ウォーターは、協働ロボット、溶接ロボット、パレタイズ・ピッキングなどの自動化・省力化システムを顧客へ提供しています。協働ロボットは人との接触時に安全停止し、単純反復作業を機械へ移すことで人をより付加価値の高い仕事へ回すことを狙っています。[出典26]

社内でも営業事務の自動化や業務システム化を進め、2025年の中期計画では全業務を30%効率改善する目標を掲げています。[出典27]

一方、自社社員について「何時間の手作業を削減したか」「危険作業を何件減らしたか」という導入前後の実績は十分公表されていないため4/10点です。

商品・サービスの改善:5/5

同社は、医療ガスの24時間監視、分散型ガス製造VSU、協働ロボット、自動化システム、CO₂回収・液化、水素・バイオメタンなど複数分野で改善を継続しています。

2026年10月には、NEDOのグリーンイノベーション基金事業で、ごみ処理施設のCO₂回収率90%以上を目指す実証施設が完成しました。エア・ウォーターは液化酸素供給設備、CO₂回収設備、液化設備を担当しています。[出典10]

既存事業を維持するだけでなく、新しい技術を実設備へ導入しているため5/5点です。

改善成果の人間への還元:2/5

単体の組合員では時間外労働が2021年度14.8時間から2023年度12.8時間へ低下し、2024年度の組合員賃上げ率は6.3%でした。[出典18]

同時期にDXや勤怠管理強化を進めていますが、残業削減や賃上げのうち何%が自動化・DXによる成果なのかは公表されていません。

働く人への良い結果自体は確認できるものの、技術改善との因果が弱いため2/5点です。DX導入前後の作業時間と人員、残業、教育時間、賃金を同一業務で比較し、削減した工数が休息・賃金・教育へ返ったことを示せれば4点以上を検討できます。

研究開発・現場改善の継続:5/5

産業ガス、医療、エネルギー、CO₂回収、バイオメタン、水素、ロボットなど複数の分野で研究・社会実装を継続しています。2026年10月に完成したCO₂回収実証施設も、既存の酸素供給・ガス液化技術を廃棄物処理へ応用した事例です。[出典10・28]

長期かつ複数領域で技術改善が続いているため5/5点です。

自動化・AI導入後の雇用状況

社内では営業事務の自動化、システム化、AI・DXによる業務効率化を進め、全業務30%効率改善を目標にしています。[出典27]

2026年3月末の単体従業員は685人で、前年693人から8人減っています。ただし出向・組織再編・採用など複数要因があるため、この減少をDXによる人員削減とは扱いません。現在も新卒・キャリア採用を継続しています。[出典1・2・7]

自動化・DXを理由とした大規模希望退職や一斉解雇を示す公開情報は確認できませんでした。一方、業務別の導入前後人員、配置転換、再教育、契約終了、採用抑制の時系列データは公表されていません。

Protection

Protectionはエア・ウォーターの最も強い評価軸です。産業ガス・医療用酸素・LPガスは、地震や停電時にも止めにくい供給体制が必要です。同社は全国の分散型製造拠点、シリンダー・ローリー・オンサイトという複数供給方式、24時間365日の監視、実災害でのバックアップ実績を持っています。

災害への備え・訓練:5/5

医療用ガスの供給設備はライフサポートセンターが24時間365日監視しています。LPガスについても災害・BCP用途を提案し、分散型エネルギーとして非常時に利用できる体制を整えています。[出典16・17]

加えて、能登半島地震など実際の災害で医療酸素・物資供給を行っているため、計画だけではなく運用実績まで確認できます。5/5点です。

生産・物流・調達の代替:5/5

産業ガスでは、シリンダー、ローリー、VSU、大型オンサイトと複数の供給方式があります。全国に分散した供給ネットワークを持つため、単一工場停止時に別拠点から供給する余地があります。[出典15]

東日本大震災では、関東・東北の複数設備が停止した際、新潟VSUが東北への前線基地になり、松本VSUが新潟をバックアップし、相模原・静岡から関東甲信越へ供給しました。実際の広域災害で代替供給が作動しているため5/5点です。[出典8]

サイバー防衛・情報保護:3/5

グループでは外部アクセス制限、攻撃検知、マルウェア侵入検知、eラーニング、標的型メール訓練、各社セキュリティ担当の配置を実施しています。[出典29]

一方、エア・ウォーター単体のEDR・MFA適用率、工場制御系ネットワーク分離、バックアップ復元試験の成功率、RTO・RPO、重大インシデント件数は十分公開されていません。

基本対策と教育を確認できるため3/5点です。第三者侵入試験、復元訓練、工場制御系を含むRTO・RPOの達成結果まで公開できれば5点を検討できます。

供給継続・復旧能力:5/5

分散型VSUと全国物流網が実際の大震災で機能し、医療用ガスを別地域から供給した実績があります。医療ガスの24時間365日監視と、複数供給方式を合わせることで、一部設備停止時にも別経路から供給を継続できます。[出典8・16]

RTOの時間値そのものは十分公開されていませんが、重大災害下で代替供給が実際に作動した実績を重く評価し5/5点です。

危機時の市民への対応:4/5

2024年の能登半島地震では、災害対策専用の医療用酸素、酸素濃縮装置、カセットコンロ用ボンベ約2,000本などを提供しました。2026年の熊本地震では1,000万円を寄付し、一部拠点で停電・断水による停止が発生する中、復旧対応を進めました。[出典9・30]

医療と生活の両面で具体的な支援実績があるため4/5点です。災害時の供給数量、対象病院・避難者数、要請から供給までの時間を定量公開できれば5点を検討できます。

良いニュース・最近の前向きな動き

最近の前向きな動きでは、災害対応、働く人の育児支援、CO₂回収技術の実装が進んでいます。これらはProtection、Safety、Innovationにそれぞれ効きます。同社の商品・サービスが選ばれることで、災害時にも医療・産業を止めにくくし、働く人が育児と仕事を両立しやすくし、廃棄物処理時のCO₂削減技術を社会実装する方向を支えることになります。

2026年10月 CO₂回収率90%以上を目指す廃棄物燃焼実証施設が竣工(Innovation)

2026年10月5日、東京都の品川清掃工場内でCO₂高濃度化廃棄物燃焼技術の実証施設が竣工しました。エア・ウォーターは液化酸素供給設備、CO₂回収設備、CO₂液化設備を担当し、排ガスからのCO₂回収率90%以上を目標としています。[出典10]

目標を達成し実用化できれば、ごみ処理で発生するCO₂を排気せず回収・液化し、別用途へ利用する選択肢が増えます。現時点では実証開始段階なので、90%を達成済みとは扱いません。

2026年8月 熊本地震へ1,000万円を寄付し、被災拠点の復旧対応(Protection)

2026年の熊本地震では、熊本県へ1,000万円を寄付しました。県内拠点では従業員の安否確認を完了し、産業ガスプラント等に直接被害は確認されなかった一方、停電・断水で停止した一部拠点の復旧対応を進めました。[出典30]

災害時に事業拠点の安否確認と復旧を進めることは、地域の産業ガス供給を早期に戻すための前提になります。

2025年度 男性育休83.3%、平均取得50.1日(Safety)

男性の育児休業・休暇取得率は83.3%、平均取得日数は50.1日でした。前年の平均15.4日から大きく伸びています。[出典3]

数日の形式的取得にとどまらず、平均で約7週間取得できているため、育児を一方の親だけに集中させにくい職場づくりにつながります。

悪いニュース・問題となった動き

2026年の最大の問題は、不適切会計によって企業風土・内部統制の弱さが外部から具体的に認定されたことです。また医薬品ガスの自主回収も複数年に続いています。これらが改善されなければ、働く人が不適切な指示を拒否できる環境と、医療現場へ安全な製品を届ける品質管理の両方で信頼が損なわれます。

2026年5月 不適切会計で特別注意銘柄、違約金9,120万円(Safety・企業風土)

特別調査委員会は、在庫の過大計上、損失処理の先送り、売上の先行・過大計上、引当金の計上回避、資産性のない支出の資産計上などを確認しました。一部には経営トップ・管理層の関与も認められました。[出典4]

東京証券取引所は、内部管理体制の改善必要性が高いとして2026年5月1日付で特別注意銘柄に指定し、上場契約違約金9,120万円を徴求しました。[出典5]

会社は企業風土改革、ガバナンス改革、内部統制再構築、事業ポートフォリオ見直しを進めていますが、再発防止策は実行・検証段階です。

2026年4月 日本薬局方二酸化炭素334本をクラスIII回収(Safety)

製造販売届に記載された製造方法と異なる食品添加物二酸化炭素原料を誤って使用したことから、日本薬局方二酸化炭素334本を自主回収しました。[出典14]

クラスIIIは健康への危険度が比較的低い区分ですが、医薬品は承認・届出どおりの製造管理が前提です。2024年にもクラスII回収があるため、複数年の再発防止実績が必要です。

2024年6月 酸素・二酸化炭素をクラスII回収(Safety)

医薬品ガス容器内部から、容器外面研磨に使う直径約1.0mmの鋼製ブラスト粒とその粉砕片が見つかったため、日本薬局方酸素・二酸化炭素を自主回収しました。[出典12]

クラスIIは一時的または医学的に治癒可能な健康被害の可能性がある区分です。医療用ガスは患者へ直接使われるため、容器再検査を含めたサプライチェーン管理の再発防止が重要です。

総合評価と、これから改善してほしいこと

エア・ウォーターは総合70点、シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと10点必要です。平均年収、低残業、長い男性育休、全国の分散型ガス供給網、実災害での医療用酸素供給は明確な強みです。一方、不適切会計で明らかになった企業風土、男女賃金差、単体労災結果、医薬品回収を改善することがAランクへの条件です。

男女賃金差と女性管理職比率を改善してほしい(Safety)

現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は2/5点です。正規雇用の男女賃金比60.0%、女性管理職比率5.9%が主な課題です。[出典2]

職種・等級別の男女賃金差を毎年公開し、同一職務での差を縮小したうえで、正規雇用の男女賃金比を90%前後、女性管理職比率を15%以上へ改善できれば4/5点を検討できます。改善幅は+2点で、総合70→72点です。

参考企業は遠東石塚グリーンペット株式会社です。当サイトの現行審査では正規雇用の男女賃金比94.1%、女性管理職比率21.1%を確認し、「雇用の安定・待遇の公平性」を4/5点と評価しています。[参考出典31]

労災結果を会社単体で公開し、事故率を下げてほしい(Safety)

現在の「労働安全・健康」は4/10点です。グループの休業災害度数率は2025年度0.92まで改善しましたが、エア・ウォーター株式会社単体の結果ではありません。[出典11]

単体で死亡0、休業災害件数、度数率・強度率、火災・漏えいを毎年公開し、休業災害度数率0.6以下など低い水準を複数年維持できれば8/10点を検討できます。改善幅は+4点で、総合70→74点です。

参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。当サイトの現行審査は74点・Bで、2024年の死亡0、休業災害度数率0.58、安全方針適用100%を法人単体で公開し、「労働安全・健康」を8/10点と評価しています。[参考出典32]

企業風土改革を結果で検証してほしい(Safety)

現在の「人権・ハラスメント・労使関係」は2/5点です。制度上は内部通報、人権方針、ハラスメント研修がありますが、不適切会計ではトップダウン型の組織運営と倫理上の問題が実際に表面化しました。[出典4・21・22]

経営層からの不適切な指示を従業員が拒否・通報できる環境を作り、内部通報の処理期間、是正完了率、通報者への不利益取扱いゼロ、従業員サーベイでの心理的安全性改善を複数年公開できれば4/5点を検討できます。改善幅は+2点で、総合70→72点です。

医薬品ガスの回収を止め、再発防止結果を公開してほしい(Safety)

現在の「商品・サービスの安全」は3/5点です。2024年のクラスII、2025・2026年のクラスIII回収が確認されています。[出典12・13・14]

医薬品ガスの製造・容器管理工程を再点検し、重大回収ゼロを複数年継続し、監査不適合件数・是正完了率を公開できれば5/5点を検討できます。改善幅は+2点で、総合70→72点です。

参考企業は遠東石塚グリーンペット株式会社です。当サイトの現行審査では、食品接触用再生PETの外部登録・品質管理を確認し「商品・サービスの安全」を5/5点と評価しています。医薬品ガスとは製品特性が異なりますが、第三者基準と継続実績を外部から確認できる状態が参考になります。[参考出典31]

次のランクへ上がるための具体例

Aランクへはあと10点必要です。

・雇用の安定・待遇の公平性:2→4点 +2点
正規雇用の男女賃金比を90%前後、女性管理職比率15%以上へ改善し、職種・等級別の差を公開する。

・労働安全・健康:4→8点 +4点
単体の死亡・休業災害、度数率・強度率を公開し、休業災害度数率0.6以下など低い状態を複数年維持する。

・人権・ハラスメント・労使関係:2→4点 +2点
内部通報の是正結果、報復防止、心理的安全性を継続測定し、不適切な指示を止められる企業風土へ変える。

・商品・サービスの安全:3→5点 +2点
医薬品ガスの重大回収ゼロを複数年継続し、監査・是正結果を公開する。

70点+2点+4点+2点+2点=80点となり、シビックランクBからAへ上がります。

つまり、エア・ウォーターが次のランクへ上がるためには、すでに強い災害対応・供給網をさらに拡大することより、働く人が経営層の不適切な指示を止められる組織へ変わり、男女待遇、安全、医薬品品質の結果を法人単体で改善・公開することが重要です。

出典一覧

1.エア・ウォーター株式会社「基本情報」2026年7月1日現在【情報ランクA】

2.エア・ウォーター株式会社 2026年3月期有価証券報告書【情報ランクA】

3.エア・ウォーター株式会社「DE&Iの取り組み」・2026年3月期有価証券報告書【情報ランクA】

4.エア・ウォーター株式会社「不適切会計事案を受けた経営改革、再発防止の徹底に向けて」【情報ランクA】

5.日本取引所グループ「特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求:エア・ウォーター」2026年4月30日【情報ランクS】

6.エア・ウォーター株式会社採用サイト「数字で知るエア・ウォーター」【情報ランクA】

7.エア・ウォーター株式会社採用サイト「募集要項」【情報ランクA】

8.エア・ウォーター株式会社「広がりを見せるVSU拠点」【情報ランクA】

9.エア・ウォーター株式会社「令和6年能登半島地震に対する支援について」【情報ランクA】

10.エア・ウォーター株式会社「CO₂高濃度化廃棄物燃焼技術の開発の実証施設が竣工」2026年10月6日【情報ランクA】

11.エア・ウォーター株式会社「労働安全衛生・健康経営」【情報ランクA】

12.厚生労働省・PMDA 2024年度医薬品自主回収情報「日本薬局方酸素・二酸化炭素」【情報ランクS】

13.PMDA 2025年度クラスIII医薬品回収情報「日本薬局方二酸化炭素」【情報ランクS】

14.PMDA 2026年度クラスIII医薬品回収情報「日本薬局方二酸化炭素」【情報ランクS】

15.エア・ウォーター株式会社「産業ガス供給方法」【情報ランクA】

16.エア・ウォーター株式会社「医療ガス」【情報ランクA】

17.エア・ウォーター株式会社「エネルギー供給/災害対応とBCP対策」【情報ランクA】

18.エア・ウォーター株式会社「人的資本経営コンセプトブック」【情報ランクA】

19.エア・ウォーター株式会社「主要ESGデータ」【情報ランクA】

20.エア・ウォーター株式会社「働き方改革」「採用・福利厚生」【情報ランクA】

21.エア・ウォーター株式会社「人権」【情報ランクA】

22.エア・ウォーター株式会社「コンプライアンス」【情報ランクA】

23.転職会議「エア・ウォーター株式会社の評判・口コミ」【情報ランクB】

24.Indeed「エア・ウォーター株式会社のクチコミ」【情報ランクB】

25.OpenWork「エア・ウォーター株式会社 社員クチコミ」【情報ランクB】

26.エア・ウォーター株式会社「自動化省力化システム」【情報ランクA】

27.エア・ウォーター株式会社 中期経営計画「terrAWell30 2nd stage」DX戦略【情報ランクA】

28.エア・ウォーター株式会社「脱炭素・グリーンイノベーション関連事業」【情報ランクA】

29.エア・ウォーター株式会社「事業等のリスク/情報セキュリティリスク」【情報ランクA】

30.エア・ウォーター株式会社「令和8年熊本地震に対する支援について」2026年8月7日【情報ランクA】

31.当サイト「遠東石塚グリーンペット株式会社を企業審査」現行正本【参考企業】

32.当サイト「キリンビバレッジ株式会社の企業審査」現行正本【参考企業】

シビックランクの基準

ランク点数
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報
B従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報

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