私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するゼブラ株式会社は、総合50点、シビックランクDです。
ゼブラ株式会社の特に強い点は、平均残業11.4時間、有給休暇取得の高さ、男女とも育児休業取得率100%という働き方の実績に加え、筆圧・筆記速度などをデータ化するKakulogを教育・健康・医療研究へ広げていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、働く時間と家庭生活を両立しやすくしながら、「書く」技術を学習や健康の支援へ広げる企業活動につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、2025年度の正規雇用労働者の男女賃金比が70.2%にとどまり、女性管理職比率も1割未満です。また、国内唯一の製造拠点である野木工場について、死亡災害、休業災害、度数率、強度率などの年次労災KPIや、工場停止時の代替生産・復旧時間が公表されていないことが残ります。
この記事では、ゼブラ株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
ゼブラ株式会社の企業審査結果
ゼブラ株式会社は、1897年創業の筆記具メーカーです。ボールペン、シャープペン、マーカーなどを開発・製造・販売し、2026年3月期の連結売上高は396億円、グループ従業員数は2,037人です。国内の主要製造は栃木県野木町の野木工場へ集約されています。[出典1・8]
| 評価軸 | 得点 |
|---|---|
| Safety | 30/50点 |
| Innovation | 15/25点 |
| Protection | 5/25点 |
| 総合点 | 50/100点 |
| シビックランク | D |
主な強み
・2025年度の月平均所定外労働時間11.4時間
・2025年度の平均有給休暇取得日数16.0日
・2025年度の男女育児休業取得率100%
・2025年度の平均勤続年数19.7年
・2027年新卒採用で年間休日125日
・退職金に加えて確定拠出年金制度を整備
・病気やけがで長期就業不能になった場合の所得補償制度Z-LTDを会社負担で導入
・育児・介護事情がある社員向けに在宅勤務や地域限定職を整備
・野木工場でISO14001を取得し、太陽光発電も導入
・2023年に約50億円を投じた新工場を野木工場内に整備
・2026年に筆記データとデジタル技術を融合する「Shimauma Lab.」を本格始動
・センサー搭載ペンKakulogを教育、健康、医療研究へ展開
・4年かけ70種類以上の材料を検討し、替芯チューブのバイオマスプラスチック化を実現
・2026年3月期の当期純利益11億8,300万円、利益剰余金196億5,200万円
主な課題
・2025年度の正規雇用労働者の男女賃金比70.2%
・全労働者の男女賃金比57.5%
・女性管理職比率は1割未満
・対象会社単体の平均給与、賃金中央値、既存社員のベースアップ率が非公表
・野木工場の死亡災害、休業災害、度数率、強度率など年次労災KPIが非公表
・現行の野木工場求人でも25kgの原材料を1日数回荷下ろしする作業が残る
・新工場・生産設備の導入で削減した人時や必要人数、残業、事故件数が非公表
・設備投資による生産性向上が賃金や休日へどれだけ還元されたか非公表
・国内製造拠点が野木工場へ集中
・野木工場停止時の代替生産拠点、切替時間、復旧目標が非公表
・BCP実地訓練、非常用電源、重要在庫などの結果情報が非公表
・情報セキュリティ方針はあるが、MFA、EDR、バックアップ復旧試験などの実装結果が非公表
事業内容と人間への貢献
ゼブラ株式会社は、筆記具を通じて人が情報を記録し、学習し、考え、意思を他者へ伝える行為を支える会社です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | ゼブラ株式会社 |
| 法人番号 | 4011101011311 |
| 創業 | 1897年 |
| 代表者 | 代表取締役社長 石川 太郎 |
| 本社 | 東京都新宿区東五軒町2-9 |
| 資本金 | 9,000万円 |
| 主な事業 | ボールペン、シャープペン、マーカー等の開発・製造・販売 |
| 国内主要製造拠点 | 野木工場 |
| 2026年3月期連結売上高 | 396億円 |
| グループ従業員数 | 2,037人 |
| 2026年3月期当期純利益 | 11億8,300万円 |
| 2026年3月末利益剰余金 | 196億5,200万円 |
[出典1・13]
主な事業内容
野木工場では、チップやインクなどの部品生産から、樹脂部品の成形、中芯製造、組立、包装、出荷まで一貫して行っています。野木町の公式情報では国内唯一の製造拠点とされ、敷地面積は約7万5,000平方メートルです。[出典8]
2022年には野木工場内で約50億円を投じた新工場の建設を開始し、2023年に竣工しました。会社は原材料から完成品までの無駄を省く生産ラインを構築し、生産性向上と安定供給を進めると説明しています。[出典9]
事業による人間への貢献
筆記具は、学習、仕事、医療、行政、家庭など幅広い場面で、情報を記録して伝えるための基礎的な道具です。
例えば学校では、ノートを取り、問題を解き、考えを整理するためにペンを使います。仕事では、メモ、署名、チェック、図示などに使われます。電池や通信がなくても書けるため、デジタル機器が使えない場面でも情報を残せます。
ゼブラはさらに、「書く」という行為自体をデータとして活用する方向へ事業を広げています。2026年に本格始動したShimauma Lab.では、センサー搭載ペンKakulogで筆記速度、筆圧、角度、時間などを取得し、教育、健康、医療分野で活用する研究を進めています。[出典10]
Safety|30/50点
Safetyでは、ゼブラで働く人の賃金、労働時間、雇用、育児、人権、労働災害と、利用者が使う筆記具の品質・安全を評価します。
残業時間、有給休暇、育児休業、福利厚生は明確な強みです。一方、男女賃金差と女性管理職比率、製造現場の労災結果の非公表が評価を大きく抑えています。
賃金・利益の還元|6/10点
2027年新卒採用では、大学卒の総合職基本給が月24万6,000円、大学院卒が26万1,000円で、賞与は年2回、昇給は年1回です。[出典2]
2026年3月期の当期純利益は11億8,300万円、利益剰余金は196億5,200万円です。安定して利益を蓄積しているため、賃金や福利厚生へ還元できる財務基盤は確認できます。[出典13]
一方、ゼブラ株式会社単体の平均年間給与、賃金中央値、職種別給与、2026年の既存社員ベースアップ率は公表されていません。
新卒賃金、賞与制度、利益水準を確認できるため6/10点です。8/10点には、雇用区分・職種別の平均給与と中央値、基本給改定率を毎年公開し、広い従業員層で実質賃金が継続的に上昇していることを確認する必要があります。
労働時間・休息|8/10点
マイナビ掲載の2025年度実績では、月平均所定外労働時間11.4時間、平均有給休暇取得日数16.0日、平均勤続年数19.7年です。2027年新卒採用の年間休日は125日です。[出典2・21]
月11.4時間の残業は、1カ月20勤務日で単純換算すると1日約34分です。有給16日と年間休日125日を組み合わせると、休息時間を確保しやすい水準です。
一方、工場、営業、研究、本社など職種別の残業中央値や、月45時間・60時間を超えた社員の比率は公表されていません。
そのため8/10点です。職種別でも残業15時間以下を維持し、長時間労働者比率と勤務間インターバルを公開できれば10/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5点
2025年度の平均勤続年数は19.7年で、長期雇用の実績があります。正規雇用労働者の中途採用比率も毎年公開されています。[出典3・21]
一方、2025年度の男女賃金比は全労働者57.5%、正規雇用70.2%、非正規69.3%です。女性管理職比率も1割未満です。[出典3]
賃金比率は職種、役職、勤続年数等の構成差を含むため、同じ仕事の女性に一律で3割低い賃金を支払っていることを意味しません。しかし、女性が高賃金職・管理職へどれだけ進めているかを見る結果指標として差が大きく残っています。
長期雇用を評価しつつ、男女の処遇差を考慮して3/5点です。正規雇用の男女賃金比90%以上、女性管理職比率12%以上を達成し、その要因分析まで公開できれば4~5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|5/5点
ゼブラは退職金に加えて確定拠出年金制度を設けています。また、病気やけがで長期間働けなくなった場合の所得補償保険Z-LTDを会社負担で全員へ付保しています。[出典4]
育児・介護をする社員には週2日までの在宅勤務、転居を伴う異動を一時的に避ける地域限定職、育児や介護等で退職した社員の再雇用制度Z-returnがあります。[出典3]
2025年度の育児休業取得率は男女とも100%です。制度だけでなく実利用を確認できるため5/5点です。[出典3・21]
人権・ハラスメント・労使関係|4/5点
ゼブラグループはILO中核的労働基準、世界人権宣言、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」等を基礎とする人権方針を公表し、強制労働・児童労働・差別を禁止しています。人権リスク評価とサプライチェーンへの協力要請も明記しています。[出典5]
匿名性を確保した内部通報制度と通報者への報復禁止、ハラスメント防止宣言、定期研修、労働組合も確認できます。[出典2・3・7]
一方、ゼブラ株式会社単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、再発率は公表されていません。
制度と救済経路を評価して4/5点です。相談・調査・是正結果を匿名化して毎年公開し、再発防止まで確認できれば5/5点を検討できます。
労働安全・健康|0/10点
野木工場では樹脂成形、インク、部品製造、組立、包装、設備保全などを行います。現行求人では、成形機の材料投入や台車運搬に加え、25kgの原材料を1日数回荷下ろしする作業もあります。[出典18]
本社・野木工場には安全衛生委員会があり、ストレスチェック、産業医面談、健康企業宣言「銀の認定」なども実施しています。[出典3]
しかし、ゼブラ株式会社単体の死亡災害、休業災害、労災件数、度数率、強度率、挟まれ・巻き込まれ、腰痛等の年次結果は公表されていません。
製造会社の安全性を判断するために重要な結果KPIが公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。そのため0/10点です。
2~4点を検討するには、死亡・重篤災害、休業災害、度数率・強度率、事故類型を毎年公開する必要があります。6点以上には、重大災害0と低い災害率を複数年継続して確認する必要があります。
商品・サービスの安全|4/5点
品質管理部門では、製造工程、協力会社製品、購入部品、新製品をそれぞれ検査し、お客様相談室へ寄せられた声を製品改善へ戻す仕組みを持っています。[出典12]
サステナブル調達方針では、品質・安全基準、原材料・化学物質管理、不良品や安全リスク発見時の迅速な是正を明記しています。[出典5]
製品ページでも材質、インク、替芯、環境認証等を公開しています。
一方、年間の重大不具合件数、回収件数、不良率、顧客事故件数などの結果KPIは体系的に公表されていません。
管理体制と是正経路を評価して4/5点です。重大回収0や不良率等を年次公開できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議の投稿集計では、残業19.5時間/月、有給消化率は約64%と表示されています。投稿年度・職種が混在するため、2025年度の会社全体実績には置き換えません。[出典15]
Indeedには2021年の一般職投稿として「良くも悪くも古き良きな家族経営の会社です。」という口コミがあります。[出典14]
Yahoo!しごとカタログでは、2020年頃に働いていた30代男性エンジニアの投稿に「人手不足で業務が重なってしまう時がある。」との記載があります。[出典16]
匿名口コミには古い投稿も多く、現在の制度改善後の状態と同一視できません。ただし、部署差や人員配置の問題を探る補助情報として扱います。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、ゼブラ株式会社、野木工場と、残業、退職、パワハラ、労災、事故、省人化、人員削減などを組み合わせて確認しました。
対象会社の現社員・元社員であること、時期・職種・拠点、投稿本文まで確認でき、採点を変更できるほど具体的な現行投稿は確認できませんでした。
Innovation|15/25点
Innovationでは、筆記具そのものを改善する技術に加え、製造現場の負担削減と、その成果が働く人へどのように返っているかを評価します。
ゼブラは製品開発と研究開発が非常に強く、2026年には「書く」行為をデジタルデータへ広げています。一方、新工場や設備投資が自社従業員の残業、重量物作業、必要人数をどれだけ減らしたかは十分に公表されていません。
作業負担・危険の削減|4/10点
2023年に竣工した新工場では、原材料から完成品までの無駄を省いたラインを構築し、生産性向上を進めると公表しています。設備設計・開発を自社職種として持ち、生産設備の新規立ち上げも継続しています。[出典9・12]
一方、現行求人では25kgの材料を1日数回荷下ろしする作業が残ります。[出典18]
新工場導入前後で、手作業時間、重量物取扱回数、必要人数、腰痛、挟まれ事故、残業が何%減ったのかは公表されていません。
設備投資による効率化は確認できるものの、人間側の負担削減量を定量確認できないため4/10点です。8点以上には主要工程で削減人時・重量・事故件数を公開する必要があります。
商品・サービスの改善|5/5点
ゼブラは、デルガード、ブレン、クリッカートなど、筆記時の不便を減らす機構やインクを継続的に開発しています。
環境分野では、替芯チューブをバイオマスプラスチックへ変更するため4年間で70種類以上の材料を検討し、実用化しました。[出典11]
2026年にはKakulogを軸とするShimauma Lab.を本格始動し、筆記速度・筆圧・角度等のデータを教育、健康、パーキンソン病研究へ展開しています。[出典10]
筆記具の改善から新しいサービス・研究領域まで継続して広げているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|1/5点
2025年度の平均残業11.4時間、有休取得日数16日という働き方自体は良好です。[出典21]
しかし、新工場や設備改善によって何人時が減り、その結果として残業が何時間減ったのか、何人をより高度な業務へ配置転換したのか、賃金・休日・教育時間がどれだけ増えたのかという因果は公表されていません。
そのため1/5点です。
3/5点には、新工場導入前後の作業時間・人数・残業を公開し、削減時間を雇用維持、教育、休暇、賃金へ還元した実績を確認する必要があります。
研究開発・現場改善の継続|5/5点
ゼブラは筆記具メーカーとして長期的に研究開発を続けています。
バイオチューブは4年にわたる材料研究の成果です。Kakulog関連研究は2016年から継続し、2026年にはDeNAとの健康研究、中高での探究学習、順天堂大学・アラヤとのパーキンソン病研究へ広がりました。[出典10・11]
単発の商品改良ではなく、長期研究を新しい製品・サービス・社会実装へつなげているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
野木工場では新工場や生産設備の開発・導入が進んでいます。
一方、設備導入前後の工場人員、配置転換人数、非正規契約、採用抑制、希望退職、再訓練後の定着率は公表されていません。
現在も野木工場では検品、設備保全、成形等の求人があり、人を完全に排除する方向ではなく、機械と人が並行して働く製造体制が続いています。[出典18]
ただし、自動化が雇用維持や技能向上につながったのかを判断するには、導入前後の人員と仕事内容を同一範囲で追える情報が必要です。
Protection|5/25点
Protectionでは、地震、火災、停電、設備故障、サイバー攻撃、原材料不足が起きても、筆記具の供給と従業員の安全を維持できるかを評価します。
情報セキュリティ方針と災害支援実績は確認できますが、国内製造が野木工場へ集中し、BCP訓練や代替生産、復旧時間の結果情報がほとんど公開されていません。
災害への備え・訓練|0/5点
ゼブラ株式会社単体について、地震・火災・停電を想定したBCP訓練回数、安否確認時間、非常用電源の稼働時間、訓練後の改善内容は公表されていません。
例えば野木工場周辺で地震が発生した場合、従業員を安全に避難させ、インク・樹脂・設備を安全停止し、どの時点で再稼働できるかを訓練しているかが重要です。
結果を外部から判断できないため0/5点です。年1回以上の実地訓練と結果を公開できれば2~3点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|0/5点
野木工場は公式に「国内唯一の製造拠点」とされています。[出典8]
一拠点へ部品成形、インク、中芯、組立、包装を集約することは平時の効率を高めますが、工場全体が停止した場合の集中リスクがあります。
海外グループ会社の製造機能をゼブラ株式会社単体の代替拠点として使えるのか、主要製品の何%を何日以内に切り替えられるのかは公表されていません。
代替生産を確認できないため0/5点です。国内外の別拠点で主要製品を代替でき、切替時間と代替率を実績で示せれば2~4点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|2/5点
ゼブラは情報セキュリティ基本方針を公開し、全従業員への教育、社内規程、内部統制、事故発生時の対応と再発防止を定めています。[出典7]
一方、MFA、EDR、SOC、工場ネットワーク分離、オフラインバックアップ、復旧テスト、サイバー演習、重大インシデント件数の実績は公表されていません。
方針と教育体制を評価して2/5点です。技術対策の適用率と復旧テスト結果を公開できれば3~4点を検討できます。
供給継続・復旧能力|1/5点
2023年の新工場は主力商品の増産と安定供給を目的に建設されました。[出典9]
しかし、野木工場が停電・火災・設備故障で停止した場合の予備設備、重要部品在庫、目標復旧時間、基幹システムRTO・RPO、過去の復旧実績は公表されていません。
安定供給を意図した設備投資を評価して1/5点です。24~48時間等の復旧目標と訓練結果を確認できれば3点以上を検討できます。
危機時の市民への対応|2/5点
2024年の能登半島地震では、日本赤十字社を通じて300万円の義援金を寄付しました。[出典17]
また、赤い羽根共同募金と連携した寄付金付き筆記具を販売し、売上の一部を地域福祉・学習支援へ継続寄付しています。[出典5]
実際の金銭支援があるため2/5点です。
一方、災害時に学校・避難所へ筆記具を何本、何時間以内に届けるといった物資供給協定や継続的な緊急供給体制は公表されていません。供給協定と実災害での提供実績まで確認できれば3~4点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近のゼブラでは、従来の筆記具メーカーの範囲を越えて、働き方、人権、デジタル技術、医療・教育へ活動を広げています。
こうした動きが続けば、筆記具の売上を製品開発だけでなく、働く人の両立支援や「書く」行為の新しい社会価値へつなげる企業になり得ます。
2026年8月 Shimauma Lab.を本格始動
ゼブラは2026年8月、筆記具とデジタル技術を融合する新ブランドShimauma Lab.を本格始動しました。[出典10]
Kakulogでは筆圧、速度、角度、時間を取得し、紙へ書く行為をデータとして分析できます。すでに健康、学校教育、パーキンソン病研究で共同研究が進んでいます。
例えば手書きデータから身体や認知の変化を早く捉えられる技術へ発展すれば、筆記具が記録道具から健康支援ツールへ広がります。Innovation上の大きな強みです。
2025年度 男女とも育児休業取得率100%
2025年度の男女育児休業取得率は100%です。[出典3・21]
男性も育休を取得できれば、出産・育児の負担が女性だけへ偏りにくくなり、女性が退職や昇進断念を迫られる要因を減らせます。
一方、会社自身も男性の取得日数が短い社員や職種差を課題として認識しています。今後は取得率だけでなく、4週間以上取得する男性の割合を増やすことが重要です。
2026年3月期 当期純利益11億8,300万円
2026年3月期の当期純利益は11億8,300万円、利益剰余金は196億5,200万円です。[出典13]
財務的な蓄積があることは、安全設備、賃上げ、研究開発、工場BCPへ投資できる余地を意味します。
今後は利益をどれだけ賃金、男女格差縮小、労災防止、代替生産へ振り向けたかを結果として示すことが重要です。
悪いニュース・問題となった動き
現在のゼブラで大きな課題は、重大不祥事が多数発覚していることではなく、働く人の安全結果と男女処遇、単一工場リスクについて、改善状況を判断するデータが不足していることです。
企業が良い制度を持っていても、事故率や男女賃金差、工場停止時の復旧力を公開しなければ、市民は実態に基づいて判断できません。
2025年度 正規雇用の男女賃金比70.2%
2025年度の正規雇用労働者の男女賃金比は70.2%です。全労働者では57.5%です。[出典3]
正規雇用で約30ポイントの差が残っているため、役職、職種、勤続年数など、どの要因が差を生んでいるかを分解し、女性の昇進と高賃金職への配置を進める必要があります。
女性管理職比率も1割未満で、会社は2030年までに12%以上を目標としています。
製造会社として労災KPIが非公表
野木工場では成形機、搬送、インク、組立、設備保全を扱い、現行求人では25kg原料を扱う作業もあります。[出典18]
しかし死亡・休業災害、度数率、強度率の年次数値は公開されていません。
安全衛生委員会や健康施策があることは評価できますが、事故が実際にどれだけ減っているかを判断できないことはSafety上の大きな課題です。
国内生産が野木工場へ集中
野木工場は国内唯一の製造拠点です。[出典8]
一拠点へ技術と工程を集約することで効率や品質を高められる反面、大規模災害や火災、長期停電で同工場が停止した場合、国内供給へ大きな影響が出る可能性があります。
工場停止時に海外生産へ切り替えられる製品、代替可能量、切替日数を公開することが必要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在50点・シビックランクDです。
次のCランクは60点からなので、あと10点必要です。
ゼブラ株式会社は、労働時間、休暇、育児支援、研究開発では強い企業です。一方、労災結果、自動化の人間への還元、単一工場リスクという「結果を見せる部分」が弱く、ここを改善すれば評価は大きく上がります。
労災結果を公開し、重大事故ゼロを継続する|労働安全・健康 0→4点
現在の労働安全・健康は0/10点です。
安全衛生委員会や健康施策はありますが、死亡・休業災害、度数率、強度率が公表されていません。
ゼブラが実行すべきことは、野木工場を含む全事業所で、死亡・重篤災害、休業災害、度数率、強度率、事故類型を毎年公開し、事故が起きた場合は原因と再発防止策まで示すことです。
死亡・重篤災害0を継続し、休業災害度数率が低水準で推移することを確認できれば0→4点、+4点を検討できます。
総合点は50→54点です。
参考企業はTOPPAN株式会社です。当サイトの現行審査では、2025年に労災死亡0人、休業災害度数率0.043、強度率0.000を単体で公開しており、労働安全・健康8/10点です。[参考企業1]
設備投資の削減人時を残業・教育・賃金へ返す|改善成果の人間への還元 1→3点
現在の改善成果の人間への還元は1/5点です。
ゼブラは約50億円の新工場を建設し、生産性向上を掲げていますが、何人時を削減したか、その時間を誰へどう返したかは公表されていません。
主要工程で導入前後の作業時間、重量物取扱回数、必要人数、残業、配置転換を測定し、削減時間を技能教育や休暇へ充てることが必要です。
年間作業人時や残業の削減と、配置転換・教育の実績を確認できれば1→3点、+2点を検討できます。
総合点は50→52点です。
参考企業はTOPPAN株式会社です。熊本工場で巡回点検作業を7割強削減し、浮いた時間を別業務へ振り向けた実績があり、当サイトの現行審査ではInnovation 21/25点です。[参考企業1]
主要製品の代替生産ルートを整える|生産・物流・調達の代替 0→2点
現在の生産・物流・調達の代替は0/5点です。
国内唯一の野木工場が長期停止した場合、主要製品をどこで代替するかが公表されていません。
ゼブラが実行すべきことは、サラサ、マッキーなど主要製品ごとに海外工場や協力先で代替できる範囲を定め、切替可能量、必要日数、緊急物流ルートを訓練することです。
少なくとも主要製品の一部を別拠点へ切り替え、具体的な切替時間を示せれば0→2点、+2点を検討できます。
総合点は50→52点です。
参考企業はコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社です。全国17工場と物流拠点を持ち、災害時の代替供給を行い、当サイトの現行審査ではProtection 22/25点です。[参考企業2]
年1回以上のBCP実地訓練を行い結果を公開する|災害への備え・訓練 0→2点
現在の災害への備え・訓練は0/5点です。
野木工場で地震、火災、停電が起きた際の安否確認時間、非常用電源、設備安全停止、再開手順の訓練結果が公表されていません。
年1回以上、工場停止を想定した実地BCP訓練を行い、安否確認時間、代替連絡、非常用電源、復旧手順の改善結果を公開できれば0→2点、+2点を検討できます。
総合点は50→52点です。
参考企業はコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社です。年1回以上の危機管理シミュレーションを行い、2026年熊本地震では工場を安全確認のため停止しながら別経路で飲料供給を続けています。[参考企業2]
次のCランクへ上がるための具体例
| 改善項目 | 企業が実行する内容 | 達成条件 | 現在点→改善後 | 加点 |
|---|---|---|---|---|
| 労働安全・健康 | 労災KPIを公開し、設備・手順を改善 | 死亡・重篤災害0、低い度数率を継続 | 0→4 | +4 |
| 改善成果の人間への還元 | 新工場導入前後の人時・人数・残業を測定し教育・休暇へ還元 | 削減人時と残業低下、配置転換・教育を確認 | 1→3 | +2 |
| 生産・物流・調達の代替 | 主要製品の別拠点生産・緊急物流を設計 | 代替可能量と切替時間を実証 | 0→2 | +2 |
| 災害への備え・訓練 | 年1回以上の工場停止BCP訓練 | 安否確認・非常電源・復旧手順の結果を公開 | 0→2 | +2 |
| 合計 | 50→60 | +10 |
この4項目を実際に改善できれば、50点から60点となりシビックランクCへ上がります。
つまりゼブラが次のランクへ上がるためには、すでに強い休暇・育児・研究開発をさらに増やすだけでなく、「工場で事故がどれだけ起きているか」「設備投資で人がどれだけ楽になったか」「野木工場が止まったとき別拠点へ何日で切り替えられるか」を数字で示すことが重要です。
出典一覧
1.ゼブラ株式会社「会社概要」
https://www.zebra.co.jp/corp/profile/
2.ゼブラ株式会社 採用サイト「募集要項」
https://www.zebra.co.jp/recruit/essential/job/
3.ゼブラ株式会社「人と組織」
https://www.zebra.co.jp/sustainability/organization/
4.ゼブラ株式会社 採用サイト「福利厚生」
https://www.zebra.co.jp/recruit/essential/treatment/
5.ゼブラ株式会社「社会」
https://www.zebra.co.jp/sustainability/society/
6.ゼブラ株式会社「環境」
https://www.zebra.co.jp/sustainability/environment/
7.ゼブラ株式会社「法令遵守」
https://www.zebra.co.jp/sustainability/governance/
8.野木町「ゼブラ株式会社 野木工場」
9.ゼブラ株式会社「ゼブラの国内生産拠点に新工場建設開始」2022年4月4日
10.ゼブラ株式会社「Shimauma Lab.本格始動」2026年8月17日
11.ゼブラ株式会社「バイオチューブ搭載サラサクリップ」2024年7月8日
12.ゼブラ株式会社 採用サイト「職種紹介/品質管理・製造部門」
13.2026年6月17日付官報「ゼブラ株式会社 第125期決算公告」
14.Indeed「ゼブラ株式会社の社員クチコミ」
15.転職会議「ゼブラ株式会社」
16.Yahoo!しごとカタログ「ゼブラ株式会社の社員クチコミ」
17.ゼブラ株式会社「令和6年能登半島地震による被害に対する義援金の寄付について」2024年1月15日
18.ハローワークインターネットサービス「ゼブラ株式会社 野木工場 ボールペン部品の成型」求人番号09090-05526261
21.マイナビ2028「ゼブラ株式会社 働き方データ」
参考企業1.Google Drive内「TOPPAN株式会社を企業審査|73点/100点・シビックランクB」
参考企業2.Google Drive内「コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社を企業審査|シビックランクB・77点/100点」
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
ゼブラ株式会社は50点のため、今回のシビックランクはDです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者との関係を独立に確認しにくい情報 |
今回の評価では、ハローワーク、野木町、官報等の公的・第三者情報をS相当、ゼブラ公式・採用情報をA、従業員口コミをBとして扱い、法人・年度・職種・拠点を区別しています。
