私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する王子ホールディングス株式会社は、総合69点、シビックランクCです。
王子ホールディングス株式会社の特に強い点は、包装技術で人が行っていた組立作業を自動化し、作業員40%、組立時間33%を削減した実績と、2026年には伊藤園の使用済みクラフト袋約20トンを段ボール原料へ戻す資源循環を始めたことです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、人の反復作業を減らしながら、廃棄物を新しい包装資材へ戻せる社会につながる可能性が高まります。王子ホールディングス
一方で、改善点として王子ホールディングス単体の正規雇用の男女賃金比が72.9%にとどまること、王子グループで2025年に死亡災害2件が発生したこと、主要拠点やシステムが停止した際の実復旧時間・供給回復率が公表されていないことが残ります。開示ワイヤー
この記事では、王子ホールディングス株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
王子ホールディングス株式会社の企業審査結果
王子ホールディングスは純粋持株会社であり、紙・段ボールなどの実製造は主としてグループ会社が担います。そのため、賃金や男女賃金差などは王子ホールディングス単体を優先し、労働安全、製品安全、災害対応など、持株会社がグループ統括している項目については対象範囲を明示してグループ実績も評価しています。会社公式では2026年3月末の連結従業員数を38,757人としています。王子ホールディングス
| 評価軸 | 得点 | 満点 |
|---|---|---|
| Safety | 33点 | 50点 |
| Innovation | 20点 | 25点 |
| Protection | 16点 | 25点 |
| 総合 | 69点 | 100点 |
シビックランク:C
主な強み
- 2026年3月期の王子ホールディングス単体の平均年間給与は849万6,000円で、平均年齢44.5歳、平均勤続15.6年です。有価証券報告書データベース
- 王子グループ東京本社地区26社の年間総労働時間は2025年度1,841時間で、2024年度の1,850時間から減少しています。王子ホールディングス
- 王子ホールディングス単体の男性育児休業取得率は100%です。正規雇用の自発的離職率も2026年3月末で1.94%まで低下しています。開示ワイヤー
- 大型業務用エアコン用段ボールトレイの自動組立では、組立作業員40%、組立時間33%を削減しました。王子ホールディングス
- 2026年9月から伊藤園と協働し、年間約20トン発生する使用済みポリエチレン付クラフト袋を段ボール原料へ再資源化しています。王子ホールディングス
- 全国の自治体とグループ合計163の防災協定を結び、2026年熊本地震では衛生用品や段ボールベッドを実際に提供しました。王子ホールディングス
主な課題
王子ホールディングス単体の男女賃金比は、全労働者73.4%、正規雇用72.9%、非正規87.8%です。女性管理職比率は14.7%まで上昇していますが、賃金結果には大きな男女差が残ります。開示ワイヤー
また、王子グループでは2025年に休業災害70件、死亡災害2件が発生しました。国内の労働災害度数率は0.46と製造業平均1.33を下回っていますが、死亡・重篤災害ゼロという目標は達成できていません。王子ホールディングス
事業内容と人間への貢献
王子ホールディングスは、生活産業資材、機能材、資源環境ビジネス、印刷情報メディアなどを展開する王子グループを統括しています。紙を作るだけではなく、包装、森林、エネルギー、衛生用品、物流、新素材まで生活と産業の広い範囲に関係しています。王子ホールディングス
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 王子ホールディングス株式会社 |
| 法人番号 | 5010001034743 |
| 本社 | 東京都中央区銀座4丁目7番5号 |
| 代表者 | 代表取締役 社長執行役員 CEO 磯野裕之氏 |
| 創業 | 1873年2月12日 |
| 設立 | 1949年8月1日 |
| 資本金 | 1,038億8,000万円 |
| 単体従業員数 | 464人 |
| 連結従業員数 | 38,757人 |
| 主な役割 | グループ経営、研究開発、技術、安全、環境、人権、リスク管理 |
会社概要では、2026年3月末時点の資本金1,038億8,000万円、連結従業員38,757人が公表されています。提出会社単体は464人です。王子ホールディングス
主な事業内容
王子ホールディングス自身は純粋持株会社で、製紙工場や段ボール工場を直接大量運営する事業会社とは役割が異なります。研究開発、技術、安全、サステナビリティ、リスク管理などを通じ、グループ各社の事業を支えています。
包装技術では、自動組立や紙素材への置換によって、顧客企業の梱包作業そのものを減らしています。2026年の日本パッケージングコンテストでも、輸送効率や包装作業を改善する複数の包装技術が表彰されています。王子ホールディングス
主な利用企業・取引先
食品、飲料、日用品、自動車、物流など幅広い産業に王子グループの包装材・紙素材が使われています。
今回のお茶ランキングとの関係で特に重要なのは伊藤園です。2026年9月から、伊藤園静岡工場で茶葉運搬に使われたポリエチレン付クラフト袋を、王子グループの「Renewa」で再資源化しています。従来は古紙回収が難しく大部分が焼却されていた年間約20トンの袋からパルプを回収し、伊藤園のリーフ製品用段ボールへ戻します。王子ホールディングス
事業による人間への貢献
紙や段ボールには、商品を壊さず、汚さず、必要な場所まで届ける役割があります。さらに包装を軽くしたり組立工程を減らしたりすれば、梱包する人の作業時間や重量物を扱う負担も減らせます。
大型エアコン用の梱包トレイでは、人が手作業で組み立てていた工程を自動化し、作業員を40%、組立時間を33%削減しました。包装を変えることが、そのまま働く人の反復作業を減らす具体例になっています。王子ホールディングス
Safety
Safetyでは、持株会社単体の賃金、労働時間、育児、待遇の公平性を中心に確認し、グループ統括機能に関係する人権・労働安全・製品安全についてはグループ実績も範囲を明示して評価します。給与、休息、育児は比較的強い一方、男女賃金差と死亡労災が大きな課題です。
賃金・利益の還元|6/10
2026年3月期の王子ホールディングス単体の平均年間給与は849万6,000円で、平均年齢44.5歳、平均勤続15.6年です。提出会社単体の平均としては高い給与水準です。有価証券報告書データベース
一方で、平均給与だけでは若手、一般社員、雇用区分別に利益がどの程度還元されているか判断できません。既存社員全体のベースアップ率、賃金中央値、賞与月数を継続比較できる公開情報も不足しています。
そのため6点です。
次の8点には、既存社員のベースアップ率、雇用区分別の賃金中央値、賞与実績を毎年公開し、物価上昇を上回る賃金改善を複数年確認できることが必要です。
労働時間・休息|8/10
2025年度の王子グループ東京本社地区26社の年間総労働時間は1,841時間で、2024年度1,850時間から9時間減っています。王子ホールディングス
従業員口コミの集計では、転職会議が残業21.5時間/月、有給消化率72.1%としています。これは投稿者ベースの情報なので会社公式値とは分けて扱います。転職会議
実労働時間を継続公開し、1,800時間台まで抑えている点を評価して8点です。一方、王子ホールディングス単体の有給取得率や、部署別の月45時間超・60時間超の人数が十分に公開されていません。
次の10点には、有給取得率90%以上、月60時間超0%などを単体・職種別で公開し、複数年維持することが必要です。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
2026年3月期の王子ホールディングス単体では、女性管理職比率14.7%、男女賃金比は全労働者73.4%、正規72.9%、非正規87.8%です。開示ワイヤー
同じ仕事をする男女に異なる賃金表を適用していることを示す数値ではありません。職種、役職、勤続年数などの構成差も影響します。
それでも、正規雇用で男性100に対し女性72.9という結果差は大きいため3点とします。
次の4点には、正規雇用の男女賃金比90%以上へ近づけ、職種・等級・勤続年数を調整した賃金差も公開し、女性の上位職登用を継続して増やすことが必要です。
福利厚生・育児・介護|4/5
王子ホールディングス単体の男性育児休業取得率は100%です。グループ対象でも2025年度の男性育休等・育児目的休暇取得率は102.6%となっています。開示ワイヤー
制度を設けるだけでなく男性が実際に取得しているため4点です。
一方、介護休業利用率、育休復職後の離職率、育児・介護制度利用者の昇進結果などは十分に公表されていません。
次の5点には、育児と介護の双方について利用・復職・定着まで継続して公開することが必要です。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
王子グループは2025年2月からJaCERの外部苦情処理プラットフォームへ参加しています。2025年度はJaCERへの通報・相談が7件ありました。国内連結会社では人権侵害6件を公表し、すべて内部通報によって判明したパワハラ・セクハラで、社内処分と再発防止を行ったとしています。王子ホールディングス
問題が発生していること自体は課題ですが、通報制度によって発見し、件数と対応まで公表している点は評価できます。
一方、人権教育受講率は2024年度95.4%から2025年度88.1%へ低下しています。王子ホールディングス
そのため4点です。
次の5点には、教育受講率を再び95~100%へ高め、ハラスメント認定件数を減らし、対象法人単体の相談・是正結果まで継続公開する必要があります。
労働安全・健康|4/10
2025年の王子グループ全体の労働災害度数率は0.77、国内は0.46でした。製造業全体1.33、パルプ・紙・紙加工品製造業1.40より国内の発生頻度は低い水準です。王子ホールディングス
一方、休業災害は70件、死亡災害は2件でした。2024年にも死亡災害1件があり、死亡事故を継続的にゼロへできていません。王子ホールディングス
死亡・重篤災害ゼロを自社目標として掲げ、事故数まで公開し、国内度数率を改善している点は評価します。しかし、人命に関わる重大事故が続いているため4点とします。
次の6点には、まず死亡・重篤災害0を達成し、休業災害と強度率も複数年減少させることが必要です。
商品・サービスの安全|4/5
王子グループは製品安全を重要課題に位置づけ、製造物責任事故0件を毎年度のKPIとしています。2024年度は0件でした。王子ホールディングス
包装、衛生用品、食品と接触する紙素材などを広く供給しているため、製品安全は利用者の日常生活に直接関係します。製品事故KPIを設定し、0件を確認しているため4点です。
次の5点には、2025年度以降も重大な製造物責任事故0を維持し、主要な回収・品質事故について原因と再発防止を継続して公開することが必要です。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議の2025年投稿では、20代後半の女性研究職から「フレックスがしっかり機能している。」という声がある一方、「管理職はサービス残業が多い。」という指摘もあります。【情報ランクB】転職会議
同じ投稿者は職場について、コンプライアンス教育が行われていると感じる一方、管理職間の忙しさに差があるとも書いています。転職会議
公式の総労働時間だけでは管理職の働き方までは見えないため、職位別・部署別労働時間の公開が望まれます。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名と残業、退職、ハラスメント、自動化、人員削減などを組み合わせて確認しました。
企業評価を変更できるほど対象法人・時期・雇用関係を裏づけられる投稿は確認できなかったため、SNS・匿名掲示板の情報を加点・減点には使用していません。
Innovation
Innovationでは、人が行ってきた組立、梱包、森林調査などを技術でどこまで減らし、そこで生まれた時間や利益を人へ返せているかを評価します。王子ホールディングスは包装技術の負担削減を実測値まで公表している点が強く、一方で省力化成果が自社社員の労働時間や賃金へどう還元されたかは十分に見えません。
作業負担・危険の削減|8/10
ダイキン工業、王子コンテナー、王子ホールディングスが共同開発した大型業務用エアコン用段ボールトレイでは、人が手作業していた組立工程を自動化しました。
その結果、組立作業員40%、組立時間33%を削減しています。単に「自動化設備を導入した」という説明ではなく、人が何をしていたか、人数と時間がどれだけ減ったかまで測定されています。王子ホールディングス
そのため8点です。
次の10点には、同様の省力化を複数の現場で拡大し、腰痛、事故、残業、重量物作業などの低下まで実測することが必要です。
商品・サービスの改善|5/5
2026年の包装技術でも、紙素材への置換、包装容積削減、輸送効率向上など複数の改善が続いています。王子ホールディングス
さらに伊藤園との取り組みでは、これまで焼却されていた年間約20トンのクラフト袋を新しい段ボール原料へ戻す仕組みを実用化しています。王子ホールディングス
包装の機能改善と資源循環の両方で実用化を継続しているため5点です。
改善成果の人間への還元|2/5
包装工程で作業人数40%、組立時間33%を減らしたこと自体は明確です。
しかし、その省力化によって削減された時間や利益が、王子ホールディングスやグループ従業員の残業削減、休日増加、賃上げ、配置転換、安全向上へどの程度還元されたのかを直接結ぶ公開データは不足しています。
技術による効率化と「人が豊かになること」は分けて評価するため2点です。
次の3点には、自動化前後の残業、必要人数、配置転換、賃金、休日、事故を同じ時系列で公開し、少なくとも一部で明確な人への還元を確認できる必要があります。
研究開発・現場改善の継続|5/5
包装自動化、資源循環、紙素材への置換、森林DX、新素材研究など、複数分野で継続的な開発が確認できます。2026年も包装技術やRenewaの実用化が続いており、単発の研究で終わっていません。王子ホールディングス
継続性と実用化の広がりがあるため5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
包装の自動組立、森林調査DXなど省人化につながる技術が確認できます。
一方、これらの技術を理由とする王子ホールディングス単体の大規模な希望退職、人員整理、契約終了を裏づける公開情報は確認されていません。
また、王子ホールディングス単体の正規従業員の自発的離職率は2025年3月末2.60%から2026年3月末1.94%へ低下しています。王子ホールディングス
ただし、これだけで「自動化が雇用を守った」とは判断しません。自動化工程ごとの配置転換人数、採用数、契約更新、退職数については公開情報が不足しています。
Protection
Protectionでは、地震、洪水、工場停止、物流途絶、サイバー攻撃などが起きても、生活に必要な紙・衛生用品・包装を供給できるかを評価します。王子グループは災害協定と実際の被災地支援が非常に強い一方、工場や情報システムを何時間で復旧できるのかという結果が外部から見えない点が大きな課題です。
災害への備え・訓練|3/5
国内生産拠点では自治体のハザードマップを使って水害や土砂災害リスクを確認し、長期間の全面停止を防ぐため電気室の防水などを進めています。
さらに全国の自治体とグループ合計163の防災協定を締結し、避難所設営訓練も実施しています。王子ホールディングス
例えば地震で多数の住民が避難所生活になった場合、自治体からの要請に応じて段ボールベッドや衛生用品を届ける仕組みが事前に作られています。
一方、主要拠点ごとの訓練頻度、設備復旧時間、訓練目標達成率までは十分に公開されていないため3点です。
生産・物流・調達の代替|4/5
王子グループは国内外に多数の生産・物流拠点を持ち、BCPを各事業で策定しています。主要拠点の自然災害リスクも洗い出し、対策事例をグループ内へ横展開しています。王子ホールディングス
一拠点に生産を集中する会社より代替の選択肢を持ちやすい点を評価して4点とします。
一方、主要製品ごとに「A工場停止時にB工場へ何時間で、何%切り替えられるか」という定量結果は公表されていません。
次の5点には、主要製品の代替拠点、代替生産量、切替時間を定め、実地訓練で機能することを継続確認する必要があります。
サイバー防衛・情報保護|4/5
王子グループは王子ビジネスセンターを情報システムリスク管理統括部門とし、グループ横断点検を行っています。またサイバーインシデントへ対応する専門チームを置き、標的型メール訓練も定期的に実施しています。王子ホールディングス
制度や訓練が具体的なため4点です。
一方、ランサムウェアなどで基幹システムが停止した場合のRTO・RPO、バックアップからの実復元時間、工場制御系を含む復旧訓練結果は公表されていません。
次の5点には、重大障害を想定した復元訓練を行い、目標時間と実測結果を継続公開する必要があります。
供給継続・復旧能力|0/5
BCPや防災対策はありますが、主要工場、物流、受発注システムが実際に止まった場合、何時間・何日で通常供給の何%へ戻せるのかという対象企業・主要事業の結果は公表されていません。
重要な結果情報が公表されていないため0点です。
これは「復旧できない」という評価ではありません。復旧能力を外部から結果で検証できないため0点としています。
次の1点には、まず主要機能のRTOを公表し、年1回以上の復旧訓練で目標時間内に最低限の供給を再開できた実績を示すことが必要です。
危機時の市民への対応|5/5
2026年の熊本地震では、王子ネピアがトイレットロール、大人用おむつ、おしりふき、ウェットティシュを提供し、王子コンテナーが段ボールベッドを提供しました。政府、自治体、業界団体からの要請に実際に対応しています。王子ホールディングス
例えば自宅で生活できなくなり避難所へ移った場合、睡眠場所となる段ボールベッドや衛生用品は生活環境を直接改善します。
163の防災協定という準備に加え、実際の災害で本業の商品を供給した実績まであるため5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、茶の包装材を循環させる取り組みと、災害時の物資供給が特に重要です。Innovationでは廃棄物を新しい資材へ戻し、Protectionでは地震後の生活に必要な物を直接届けています。
2026年9月 伊藤園の使用済みクラフト袋年間約20トンを段ボールへ再資源化(Innovation)
伊藤園静岡工場で茶葉運搬に使われたポリエチレン付クラフト袋は、プラスチックラミネートのため一般的な古紙回収が難しく、大部分が焼却されていました。
王子グループのRenewaでパルプを回収し、伊藤園のリーフ製品用段ボールの原料へ戻す循環を2026年9月から開始しました。対象量は年間約20トンです。王子ホールディングス
お茶を作るほど包装廃棄物が増える構造から、お茶の包装を次の包装原料へ戻す構造に変わります。今回の無糖緑茶ランキングとの関連でも、具体性の高い資源循環です。
2026年8月 熊本地震で段ボールベッド・衛生用品を供給(Protection)
王子グループは2026年熊本地震で、政府・自治体などからの要請に対応し、段ボールベッド、トイレットロール、大人用おむつなどを提供しました。王子ホールディングス
防災協定を締結して終わるのではなく、実際の災害で物資を動かした実績です。避難生活で不足しやすい睡眠環境と衛生環境を直接支えるため、Protectionで高く評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
現在の最大の問題は、死亡労災と男女の待遇差です。労災については発生件数を自ら公開し改善活動を続けていますが、人命に関わる事故が続いている以上、他の高得点で相殺できません。
2025年 王子グループで死亡災害2件(Safety)
2025年はグループ全体で休業災害70件、死亡災害2件でした。死亡災害は国内正規社員1件、海外正規社員1件です。王子ホールディングス
国内度数率0.46は製造業平均より低いものの、死亡事故の重さは「事故件数が平均より少ない」ことで消えません。
死亡・重篤災害ゼロを最優先し、設備面・作業手順・自動化の改善後に同種事故が再発していないかを継続確認する必要があります。
2025年度 人権侵害6件、人権教育受講率88.1%(Safety)
国内連結会社では2025年度に6件の人権侵害が公表され、すべて内部通報で明らかになったハラスメントでした。会社は社内処分と再発防止を実施しています。王子ホールディングス
発見・是正して公開している点は評価できますが、人権教育受講率は前年95.4%から88.1%へ低下しています。王子ホールディングス
相談者が不利益を受けず、同種事案そのものが減る状態まで改善結果を示すことが必要です。
2026年3月期 正規雇用の男女賃金比72.9%(Safety)
王子ホールディングス単体の正規女性賃金は男性100に対して72.9です。女性管理職比率は14.7%まで上がっていますが、賃金の結果差は依然として大きい状態です。開示ワイヤー
同一職務に対する直接的な賃金差とは限らないため、職種・役職・勤続年数別の分析を公開し、どこで差が生じているのかを確認できるようにする必要があります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
王子ホールディングス株式会社は現在69点、シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと1点必要です。
包装自動化、資源循環、給与水準、育児、災害時支援には明確な強みがあります。一方、労働災害では死亡事故が続き、男女賃金差も大きく、有事の復旧能力は計画ではなく結果を確認できません。
実際の復旧時間を測定・公開してほしい(Protection)
現在の「供給継続・復旧能力」は0/5点です。
BCP、防水対策、サイバー対応組織、複数拠点という準備はありますが、「工場や基幹システムが止まった場合、何時間で最低限の供給を戻せたか」が公開されていません。
まず主要工場・物流・情報システムについてRTOを設定し、年1回以上の停止・復旧訓練を行い、目標時間と実復旧時間、供給維持率を公開してほしいところです。
少なくとも主要機能の一つで、訓練または実障害から目標時間内に復旧した結果を確認できれば0→1/5点、+1点を想定します。
総合69→70点となり、シビックランクBへ上がります。
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。当サイトの最新版審査では84点・A、「供給継続・復旧能力」5/5点で、LPガス約90日分の備蓄や24時間365日の緊急出動体制などを具体化しています。
死亡・重篤災害ゼロを継続してほしい(Safety)
現在の「労働安全・健康」は4/10点です。
国内度数率0.46は製造業平均1.33より低い一方、2025年に死亡災害2件が発生しています。王子ホールディングス
設備、フォークリフト、重量物、高所作業など重大災害につながる工程について、事故原因ごとの設備改修、自動化、インターロック、立入防止などを進め、死亡・重篤災害0を複数年達成してほしいところです。
そのうえで休業災害、強度率も継続低下すれば4→6/10点、+2点を想定します。単独でも総合71点・Bになります。
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。当サイトの最新版では労働安全・健康8/10点で、死亡労災0の結果を公開しながら、最大25kgの茶葉投入などの重筋作業をロボットへ移しています。
男女賃金差を縮めてほしい(Safety)
現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。
正規男女賃金比72.9%に対して、女性管理職比率は14.7%です。開示ワイヤー
職種・等級・勤続年数別の差を分析し、女性の上位職登用、主要職種への配置、育児後のキャリア継続を進め、正規男女賃金比90%以上へ近づけてほしいところです。
調整後の賃金差も小さく、正規男女賃金比90%以上を継続できれば3→4/5点、+1点を想定します。総合69→70点となりBランクです。
参考企業は遠東石塚グリーンペット株式会社です。当サイトの最新版では正規雇用の男女賃金比94.1%、女性管理職比率21.1%を確認し、「雇用の安定・待遇の公平性」を4/5点と評価しています。
次のランクへ上がるための具体例
王子ホールディングスは69点なので、Bランクまであと1点です。
最短例は、主要な工場・物流・情報システムについて復旧目標時間を設定し、実地訓練を行い、目標時間内に供給を再開できた結果を公開することです。「供給継続・復旧能力」を0→1点へ上げられれば、
69点+1点=70点
となり、シビックランクBへ上がります。
より重要度の高い改善としては、死亡・重篤災害ゼロを複数年達成し、「労働安全・健康」を4→6点へ上げることです。この場合は71点・Bになります。
つまり、次ランクへ到達すること自体はあと1点ですが、社会への実質的な影響を考えると、最優先は死亡事故をなくすことです。そのうえで復旧時間と男女賃金差を改善できれば、Bランクの中でもより高い評価へ進めます。
出典一覧
1.王子ホールディングス株式会社「会社概要」王子ホールディングス
2.王子ホールディングス株式会社「有価証券報告書」IRライブラリ王子ホールディングス
3.王子ホールディングス株式会社「ESGデータ」王子ホールディングス
4.王子ホールディングス株式会社「リスクマネジメント」王子ホールディングス
5.王子ホールディングス株式会社「2023日本パッケージングコンテスト入賞」王子ホールディングス
6.王子ホールディングス株式会社「2026日本パッケージングコンテスト 王子グループ入賞作品」王子ホールディングス
7.王子ホールディングス株式会社・伊藤園「使用済みポリエチレン付クラフト袋を段ボールへ循環利用」王子ホールディングス
8.王子ホールディングス株式会社「令和8年熊本地震による被害に対する支援について」王子ホールディングス
9.王子ホールディングス株式会社「人権の尊重」王子ホールディングス
10.王子ホールディングス株式会社「サステナビリティレポート2025・情報セキュリティ」王子ホールディングス
11.王子ホールディングス株式会社「安全安心な製品の供給」王子ホールディングス
12.転職会議「王子ホールディングスの社員口コミ」【情報ランクB】転職会議
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
