私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するサントリーホールディングス株式会社は、総合79点、シビックランクBです。
サントリーホールディングス株式会社の特に強い点は、AIを使った需給改革で年間約6,000時間の業務を削減し、工場でも重量物を含む原料取扱作業の自動化を進めながら、災害時には実際に飲料を被災地へ供給していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、人が単純作業や重い荷物を扱う時間を減らし、有事にも飲料を届けられる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、2025年の「なっちゃん りんご」約5万8,000本の自主回収と、2026年10月7日に酒類取引を巡る独占禁止法違反の疑いでグループ会社のサントリー株式会社が公正取引委員会の立入検査を受けたことが残ります。
この記事では、サントリーホールディングス株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
サントリーホールディングス株式会社の企業審査結果
サントリーホールディングスは、飲料・食品、酒類、健康食品、外食、花、文化・スポーツなどを展開するサントリーグループの持株会社です。持株会社自体はグループ全体の経営戦略、コーポレート機能、人事、研究、デジタル、リスク管理などを担います。2025年12月末のグループ従業員は4万1,628人、提出会社単体は1,557人です。[出典1・2]
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 38/50 |
| Innovation | 20/25 |
| Protection | 21/25 |
| 総合点 | 79/100 |
| シビックランク | B |
評価時点:2026年10月13日
主な強み
・2025年12月期の提出会社単体平均年間給与は1,176万2,284円
・2025年の年間有給休暇取得日数16.7日
・国内主要グループの月平均残業18.7時間
・2025年の男性育児休業等取得率108.2%
・2025年の自発的退職等を含む離職率1.9%
・2025年の国内休業災害度数率0.13、死亡災害0人
・AI需給改革で年間約6,000時間の業務を削減
・原料取扱自動化で人手作業時間約50%削減を目標とし、重量物作業の削減を進める
・100%リサイクルPETボトル累計200億本、化石由来原料40万トン超削減
・「天然水の森」1万2,000ヘクタール超、国内工場取水量の2倍以上を涵養
・安否確認訓練を年2回実施
・能登半島地震で天然水約18万本を供出
・2026年熊本地震で伊右衛門1万本、義捐金3,000万円を提供
・災害救済用自動販売機で停電時にも飲料を取り出せる仕組みを提供
・SOCによる24時間365日監視やCSIRTなどサイバー対応を整備
主な課題
・2025年の正規雇用労働者の男女賃金比率は77.4%
・2025年の女性管理職比率は13.0%
・グループ平均臨時従業員7,149人について、持株会社と同水準の賃金・休暇・安全実績を確認できない
・2025年の休業災害強度率は0.005で、2024年0.001から悪化
・2025年にグループ全体で自主回収2件
・「なっちゃん りんご」約5万8,000本を酵母混入による容器膨張・香味変化で自主回収
・酒類そのものに依存、疾病、事故などの健康・社会リスクがある
・2026年10月7日に酒類取引を巡る独占禁止法違反の疑いでサントリー株式会社が公取委の立入検査を受けた
・自動化後の配置転換、雇用維持、残業削減、賃金・休日への還元を施策別に追える開示が不足
・主要製品の工場別代替能力、RTO・RPO、サイバー復旧時間の公開が不足
事業内容と人間への貢献
サントリーグループは、天然水、茶、コーヒー、清涼飲料、ビール、ウイスキー、ワイン、ノンアルコール飲料、健康食品、外食などを通じて、日常の水分補給、嗜好、栄養、外食、文化的な楽しみを提供しています。持株会社は、その事業群を人事、研究、財務、DX、品質、リスク管理などから統括します。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | サントリーホールディングス株式会社 |
| 英文名 | Suntory Holdings Limited |
| 創業 | 1899年 |
| 設立 | 2009年2月16日 |
| 本社 | 大阪市北区堂島浜2丁目1番40号 |
| 東京拠点 | 東京都港区台場2丁目3番3号 |
| 資本金 | 700億円 |
| グループ会社 | 259社、2025年12月31日時点 |
| 連結従業員数 | 41,628人 |
| 連結年間平均臨時従業員 | 7,149人 |
| 提出会社従業員数 | 1,557人 |
| 提出会社平均年齢 | 43.7歳 |
| 提出会社平均勤続年数 | 17.7年 |
| 提出会社平均年間給与 | 1,176万2,284円 |
| 2025年連結売上収益 | 3兆701億円、酒税控除後 |
平均年間給与1,176万2,284円は持株会社単体1,557人の数字で、飲料工場、物流、自販機補充、外食店舗などを含むグループ全従業員の平均給与ではありません。[出典1・2]
主な事業内容
飲料・食品では、サントリー天然水、BOSS、伊右衛門、GREEN DA・KA・RA、なっちゃんなどを展開しています。酒類では、ザ・プレミアム・モルツ、金麦、角瓶、山崎、白州、響、ジムビームなどを扱います。
グループでは、国内外の工場、研究所、営業、物流、外食、EC、健康食品などを運営しています。持株会社は、これらの経営戦略、人事、研究開発、DX、サステナビリティ、品質・リスク管理を横断的に統括します。[出典1]
主な利用者・取引先
一般消費者が主な利用者です。スーパー、コンビニ、飲食店、自動販売機、ECなどを通じて商品を提供します。法人向けには飲食店、小売店、オフィス、学校、自治体などへ飲料・酒類・自販機・業務支援を提供します。
事業による人間への貢献
天然水、茶、コーヒー、スポーツ飲料などは日常の水分補給を支えます。ノンアルコール飲料は、飲酒しない人、運転する人、アルコールを控えたい人にも飲食の選択肢を広げます。
「天然水の森」は2026年3月時点で16都府県27カ所、1万2,000ヘクタール超へ拡大し、国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を水源涵養エリアで育んでいるとしています。飲料会社が原料として使う水を、森林・流域の保全までさかのぼって管理する取り組みです。[出典10]
一方、酒類は味、食文化、交流、観光などの価値を持つ一方、アルコール依存、がん、肝疾患、飲酒運転、暴力などの健康・社会リスクがあります。サントリーは純アルコール量表示、適正飲酒啓発、ノンアルコール・低アルコール商品を展開していますが、酒類事業が生む負担をゼロにはできません。[出典19]
Safety|38/50
Safetyでは、持株会社と国内主要グループの賃金、労働時間、雇用、公平性、福利厚生、労災、商品安全を確認しました。給与・休暇・育児・労災指標は高い水準ですが、雇用区分と会社間の差、男女賃金差、品質回収、アルコール商品の健康リスクを残します。
賃金・利益の還元|8/10
2025年12月期のサントリーホールディングス単体の平均年間給与は1,176万2,284円です。賞与と基準外賃金を含む数字で、提出会社1,557人が対象です。[出典2]
2026年の新卒初任給は大学卒30万1,000円、修士了31万7,800円、博士卒39万2,000円です。昇給年1回、賞与年2回としています。[出典4]
給与水準は高く、働く人への利益還元を確認できるため8/10点です。一方、連結では年間平均7,149人の臨時従業員がおり、そのうち6,035人は「その他」セグメントです。持株会社の高い平均給与を外食、店舗、サービスを含む全員へ当てはめることはできません。[出典2]
主要子会社・雇用区分別の賃金中央値、ベースアップ率、賞与、退職金を毎年比較できる形で開示し、低賃金層を含めた実質賃金上昇を確認できれば10/10点を検討できます。
労働時間・休息|8/10
2025年の国内主要グループの月平均残業は18.7時間、サントリーホールディングス・サントリービバレッジ&フード籍正規社員の年間有給取得日数は16.7日です。採用情報では年間休日121日です。[出典3・4]
残業は2024年19.9時間から18.7時間へ低下しています。年間16日以上の有休取得を推奨し、パソコン使用時間など勤怠情報を日次確認する仕組みも導入しています。[出典3・5]
実績と管理制度を確認できるため8/10点です。一方、転職会議の投稿者集計では残業25.5時間、有給消化率75.5%で、部署差を示唆する口コミもあります。公式値と口コミは母集団が異なるため単純比較はしません。[出典20]
月平均残業15時間以下を継続し、月45時間超・60時間超の従業員比率と部署別残業を公開できれば10/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
2025年のサントリーホールディングス・サントリービバレッジ&フード籍正規社員では、新規入社411人、自発的退職79人、自由選択定年を含む離職率1.9%です。正規社員数は9,095人です。[出典3]
一方、男女賃金比率は全従業員77.2%、正規雇用77.4%、非正規88.7%、女性管理職比率13.0%です。会社は同一労働の賃金体系に男女差はなく、年齢、在籍年数、管理職比率などが差へ影響すると説明しています。[出典3]
低い離職率と採用継続を評価して3/5点です。正規雇用の男女賃金比率を90%程度以上、女性管理職比率を20~30%以上へ高め、職種・等級・勤続年数を調整した賃金差も公開できれば4~5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|5/5
2025年の男性育児休業等取得率は108.2%、女性94.7%、育休後復職率は男性98.5%、女性97.1%です。取得率は法定算定上100%を超えることがあります。[出典3]
育児休職は子どもが満3歳になる前日まで、短時間・時差勤務、フレックス、テレワーク、ベビーシッター補助などを用意しています。介護休職、ホームヘルパー補助、介護向け短時間勤務・特別休暇もあります。[出典4・5]
制度と実利用の両方を確認できるため5/5点です。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
サントリーグループは人権方針を設け、差別、ハラスメント、強制労働、児童労働、結社の自由などを対象にしています。労働組合と経営層は労使協議会を定期開催し、2025年の団体交渉権を持つ対象従業員割合は59.5%です。[出典3・6]
2025年のグループホットライン通報件数は382件です。通報件数そのものは問題件数と同義ではありませんが、相談経路が実際に利用されていることは確認できます。[出典3]
人権方針、労使協議、相談制度を評価して4/5点です。一方、持株会社単体のハラスメント認定件数、是正件数、再発率までは公表されていません。単体・主要会社別の結果を匿名化して公開できれば5/5点を検討できます。
労働安全・健康|8/10
2025年の国内サントリーグループの休業災害度数率は0.13で、2024年0.14、2023年0.21から改善しました。労働安全衛生教育人数は927人です。死亡災害はサントリーホールディングス・サントリービバレッジ&フード籍正規社員で3年連続0人です。[出典3]
健康診断受診率は100%、ストレスチェック受検率95.5%です。安全と健康を定量的に管理している点を評価できます。[出典3]
一方、休業災害強度率は2023年0.001、2024年0.001から2025年0.005へ悪化しました。事故頻度は下がっても、休業日数で見た重さは悪化しています。また死亡災害0人の対象範囲は全グループ・請負まで同一ではありません。[出典3]
そのため8/10点です。強度率を0.001程度以下へ戻し、派遣・請負を含む死亡・重篤・休業災害を同じ分母で公開できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|2/5
サントリーグループは品質マネジメント規程を設け、原料、製造、物流、販売まで品質保証を行っています。水や原料の分析、食品安全マネジメント、トレーサビリティも運用しています。[出典7]
一方、2025年はグループ全体で自主回収が2件ありました。「サントリー なっちゃん りんご 250ml紙パック」では、製造委託先の充填設備に微量の酵母が残り、ごく一部の商品へ混入したことが原因と考えられ、約5万8,000本を自主回収しました。健康被害の可能性はないと確認されています。[出典7・8]
さらに酒類では、製品自体が依存性や疾病、事故のリスクを持ちます。純アルコール量表示や適正飲酒啓発は評価できますが、商品の安全性を一般食品と同じようには扱えません。[出典19]
品質管理体制と迅速な回収を評価する一方、直近の回収と酒類の固有リスクを重く見て2/5点です。重大回収0を複数年継続し、委託先を含む再発防止結果と、低・無アルコールへの販売構成変化や健康被害低減指標を公開できれば3~4/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議の投稿者集計では、サントリーホールディングスの残業時間は月25.5時間、有給消化率75.5%です。公式値とは対象・算出方法が異なるため、全社員の実態として置き換えません。[出典20]
2025年頃の20代後半男性・正社員・社内SEの投稿では「スタッフ職は年間360時間以上の残業ができないため、厳しくマネジメントされる。」とあります。一方で同じ投稿は、一部部署で残業時間の扱いに課題が残るとの趣旨も述べています。媒体は転職会議、情報ランクBです。[出典20]
Indeedでは2024年の業務用営業の投稿に、営業ノルマや業務上の飲酒・接待負担への言及があります。媒体はIndeed、情報ランクBです。[出典21]
口コミでは本社系職種と営業・研究・現場で働き方に差があることが示唆されます。会社が職種・拠点別の残業、有休、離職を公開すれば、平均値の内側をより判断しやすくなります。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイで「サントリー」「サントリーホールディングス」に残業、給料、退職、パワハラ、工場、AI、自動化、人員削減などを組み合わせて検索しましたが、対象法人との雇用関係、時期、職種まで本文で確認でき、採点根拠として使える投稿は今回の公開検索では確認できませんでした。
有用な投稿が見つからないことは、問題がないことの証明には使いません。
Innovation|20/25
Innovationでは、AI・IoT・自動化によって、人が担ってきた需給調整、定型作業、重量物作業、設備監視をどれだけ減らし、その成果を働く人へ返しているかを確認しました。サントリーは削減時間まで公開したAI改革と、工場での原料取扱自動化を実装しています。一方、削減した仕事量が配置転換、残業、賃金、休日へどう還元されたかの開示は不足しています。
作業負担・危険の削減|8/10
サントリーはAIを活用した需給業務改革により、年間約6,000時間の業務削減を実現したと公表しています。従来は担当者が販売計画、在庫、生産などの情報を確認しながら需給調整を行っていましたが、AIやデータ活用によって定型業務を減らし、担当者が戦略的な業務へ時間を移せる仕組みを進めています。[出典12]
工場では、原料の開封、計量、確認、タンクへの投入などの原料取扱工程を自動化しています。会社は人手による作業時間を約50%削減することを目標とし、重量物を扱う高負荷作業の削減も進めています。2025年にはサントリー大阪工場で原料取扱エリアの自動化設備を稼働させました。[出典13]
年間6,000時間という実削減と、重量物作業を技術へ移す具体策を確認できるため8/10点です。一方、工場全体で夜勤、腰痛、挟まれ事故、必要人員、残業が導入前後で何%減ったかは公表されていません。対象工程で人の作業時間・重量物取扱・危険作業を50%以上削減し、労災や残業も継続的に減ったことを公開できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
サントリーは使用済みPETボトルを再び飲料用PETボトルへ戻す「ボトルtoボトル」を拡大し、100%リサイクルPETボトルの累計使用本数は200億本に達しています。これにより化石由来原料の使用量を累計40万トン以上削減したと公表しています。[出典11]
飲料ボトルを繊維など別用途へ一度だけ再利用するのではなく、再び飲料容器へ戻せれば、同じ資源を繰り返し使える可能性が高まります。2026年には海外でもリサイクル技術の展開を進めています。
また、酒類ではノンアルコール・低アルコール商品の開発を進め、缶商品には純アルコール量をグラム表示する取り組みを進めています。飲酒しない人やアルコール量を抑えたい人が選択しやすくする改善です。[出典19]
資源循環と商品の選択肢を大規模に実装しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|2/5
AI需給改革では、年間約6,000時間を削減し、従来の定型業務に使っていた時間を戦略的な需給計画などへ移す考え方を示しています。工場の原料取扱自動化でも、人が重量物を扱う高負荷作業を減らす方向は明確です。[出典12・13]
2025年の国内主要グループの残業は前年19.9時間から18.7時間へ低下し、有給取得日数は16.7日です。[出典3]
一方、残業が1.2時間減ったうち何時間がAI・自動化による効果か、6,000時間の削減によって何人をどの職務へ配置転換したか、工場自動化後に夜勤や必要人数がどう変わったか、削減利益を賃金・休日へどれだけ返したかは公表されていません。
技術による負担削減は確認できても、社員への時間・所得としての還元を直接追えないため2/5点です。自動化対象部署について、削減人時、配置転換人数、残業、休日、賃金、離職を導入前後で公開し、雇用を維持しながら労働時間や危険作業が実際に減ったことを確認できれば3~5/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
サントリーは水科学、発酵・醸造、容器、食品・健康、デジタル、生産技術など複数領域で継続的な研究開発を行っています。地下水流動シミュレーションと現地水文調査を組み合わせた水源管理、ボトルtoボトル、AI需給改革、スマートファクトリー、原料取扱自動化など、研究やデジタル技術を実際の事業へ展開しています。[出典10~14]
単発の実証実験ではなく、長期間にわたり商品、工場、資源循環、業務プロセスへ改善を広げているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
サントリーでは、需給業務のAI化、工場のIoT・AI、原料取扱自動化などの省人化を進めています。AI需給改革では会社自身が、削減した時間をより戦略的な業務へ移す方向を説明しています。[出典12]
連結従業員数は2023年4万1,511人、2024年4万1,357人、2025年4万1,628人で推移しており、少なくともグループ全体で自動化後に急激な人員削減が起きた形にはなっていません。2026年も新卒・キャリア採用を継続しています。[出典2・4]
今回の公開調査では、AI・工場自動化を理由とするサントリーホールディングスの大規模希望退職、整理解雇、採用停止を確認していません。X、5ちゃんねる、爆サイでも、自動化により契約終了や大量解雇が行われたことを現在の対象法人へ明確に結びつけられる投稿は確認できませんでした。
一方、年間平均7,149人の臨時従業員や、実際に自動化された工場・業務部門について、契約更新、募集人数、配置転換先、配置転換後の退職まで追える公開情報は不足しています。自動化が雇用削減ではなく、人を単純・危険作業から別の仕事へ移すために使われたかを判断するには、対象部門の時系列データが必要です。
Protection|21/25
Protectionでは、地震、豪雨、停電、感染症、原料不足、サイバー攻撃が起きても商品・サービスを供給し、市民の生活を支えられるかを確認しました。BCP、年2回の安否確認訓練、生産・調達・物流を含む分散対策、24時間365日のサイバー監視、実災害での飲料供給まで確認できることが強みです。
災害への備え・訓練|5/5
サントリーグループは自然災害、感染症、サイバー攻撃などを想定したBCPを策定し、重大災害時にはサントリーホールディングスと飲料会社の総務部門を中心とする災害対策本部を設置します。従業員・家族の安否、情報システム、救援物資、事業所・生産機能の復旧、地域支援などを分担する仕組みです。[出典15]
安否確認訓練は年2回実施し、大規模地震を想定した防災訓練、徒歩帰宅訓練なども行っています。計画だけでなく繰り返し訓練しているため、災害発生時に「誰が無事か」「どの機能を優先して戻すか」を迅速に判断しやすくなります。[出典15]
BCP、組織体制、定期訓練、実際の災害支援まで継続性を確認できるため5/5点です。
生産・物流・調達の代替|4/5
サントリーのBCPは工場の生産だけでなく、原材料調達、物流、営業、本部機能まで対象とし、有事の本部機能やインフラの分散も進めています。[出典15]
国内外に複数の飲料・酒類工場を持ち、気候変動による原料供給リスクについても産地・サプライヤーと連携した安定調達策を検討しています。[出典15]
工場だけでなく供給網全体をBCP対象にしているため4/5点です。一方、「サントリー天然水」「伊右衛門」「BOSS」など主要商品ごとに、特定工場が停止した場合に別工場で何%を代替できるか、切替に何時間・何日かかるか、主要原料の複数調達率が何%かは公表されていません。製品別の代替能力と切替時間を実地訓練で確認し公開できれば5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|4/5
サントリーは、多層防御、定期的なフィッシングメール訓練、eラーニング、セキュリティ評価などをグローバルに展開しています。国外にグローバルSOCを設置し、デジタルサービス、従業員端末、クラウドサービスへの攻撃を24時間365日監視しています。[出典16]
受注、工場、生産計画、在庫、配送がサイバー攻撃で止まれば、製造設備が無事でも商品を届けられない可能性があります。常時監視と多層防御により、異常検知と初動を早める基盤があります。
具体的な技術・運用対策を確認できるため4/5点です。一方、重要システムへのMFA・EDR適用率、重大インシデント件数、検知から封じ込めまでの時間、オフラインバックアップ、復旧訓練の成功率は十分に公表されていません。結果KPIまで公開できれば5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|3/5
BCPでは生産、原料、物流、営業、本部、情報システムの復旧を対象にし、災害対策本部が「事業所機能復旧」「情報システム復旧」「生産機能復旧」を統括します。[出典15]
一方、主要工場・商品・情報システムごとの目標復旧時間RTO、許容データ損失RPO、最低在庫、代替生産数量、停電時の継続時間、サイバー攻撃からの実測復旧時間は公表されていません。
仕組みと訓練は強いものの、外部から復旧時間を比較できないため3/5点です。主要商品について24時間以内の代替判断、72時間以内の一定量供給再開などのRTOを設定し、実地訓練または実災害で達成した結果を公開できれば4~5/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|5/5
2024年の能登半島地震では、サントリーグループが被災地へ「サントリー天然水」約18万本を供出し、義捐金5,000万円も拠出しました。[出典18]
2026年の熊本地震でも「サントリー緑茶 伊右衛門」1万本を提供し、義捐金3,000万円を拠出しました。災害が起きるたびに、飲料会社として保有する商品と物流を実際の支援へ使っています。[出典18]
また、災害救済用自動販売機は、停電時でも非常用キーで扉を開け、内部の飲料を取り出せる仕組みです。学校、自治体、事業所などに平時から在庫を分散し、通信・決済が止まっても飲料を使えるようにします。[出典17]
複数の実災害で具体的な飲料供給を行い、平時から分散型の供給手段も提供しているため5/5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、AI・自動化による作業削減、再生PETの大規模実装、災害時の飲料供給を評価します。これらはInnovationとProtectionに関係し、サントリーの商品が選ばれることで、単純・重量作業を減らし、資源を循環させ、有事にも生活に必要な飲料を届ける仕組みを支えることにつながります。
2026年 AI需給改革で年間約6,000時間の業務を削減(Innovation)
サントリーはAIを使った需給業務改革により、年間約6,000時間の業務を削減したと公表しています。需給担当者が定型的な確認・調整へ使う時間を減らし、より戦略的な計画へ時間を移す取り組みです。[出典12]
6,000時間は、1人が年間2,000時間働くと仮定すれば約3人分の年間労働時間に相当します。削減した時間を解雇ではなく、需要予測、供給計画、改善など人が判断すべき仕事へ移せれば、技術が人の時間を増やす方向に働きます。
今後は、対象部署の残業、配置転換、離職、賃金を導入前後で公開し、6,000時間が実際に人の自由時間やより価値の高い仕事へ移ったことを確認できるようにすることが重要です。
2025年 100%リサイクルPETボトル累計200億本へ(Innovation)
サントリーは2025年9月、100%リサイクルPETボトルの累計使用本数が200億本に達したと公表しました。化石由来原料の使用量は累計40万トン以上削減したとしています。[出典11]
飲料容器を再び飲料容器へ戻す水平リサイクルを大規模に継続することで、新しい石油由来PETの使用量を減らせます。
一方、PETボトルそのものの総使用量、回収されず焼却・散乱する量は残ります。今後は水平リサイクル率だけでなく、容器総量の削減や再使用容器も含めて成果を示すことが望まれます。
2026年 熊本地震へ伊右衛門1万本と義捐金3,000万円を提供(Protection)
2026年の熊本地震では、被災地へ「サントリー緑茶 伊右衛門」1万本を提供し、義捐金3,000万円を拠出しました。[出典18]
2024年の能登半島地震でも天然水約18万本を供出しており、災害のたびに自社商品と物流を実際の支援へ使っています。
飲料会社が災害時に果たせる最も直接的な役割の一つは、安全な水分を早く届けることです。支援量だけでなく、発災から出荷・到着までの時間も今後公開すれば、初動能力をさらに評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
最近の問題では、食品安全の自主回収と、酒類取引を巡る公正取引委員会の立入検査を確認します。回収では原因と対象を公表して被害拡大を防ぐことが重要であり、立入検査については調査段階と違反認定を明確に区別します。
2025年11月 「なっちゃん りんご」約5万8,000本を自主回収(Safety)
サントリーグループは2025年、「サントリー なっちゃん りんご 250ml紙パック」の一部で容器の膨張や香味変化が発生する可能性があるとして、約5万8,000本を自主回収しました。調査では、製造委託先の充填設備に微量の酵母が残り、ごく一部の商品へ混入したことが原因と考えられています。健康被害の可能性はないと確認されています。[出典8]
対象ロット、製造所、原因、回収方法を公開した対応は評価できます。一方、自社ブランドの商品では、委託製造であっても消費者はサントリーの品質を信頼して購入します。
今後は、設備洗浄、微生物検査、委託先監査をどのように変更し、改善後に同種事故が何年間ゼロだったかまで公開することが重要です。
2026年10月7日 酒類取引を巡りサントリー株式会社が公取委の立入検査(Safety)
2026年10月7日、グループの酒類事業会社であるサントリー株式会社は、酒類取引に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立入検査を受けました。サントリーホールディングスは事実を公表し、調査へ全面的に協力するとしています。[出典9]
立入検査は違反認定ではありません。審査時点では調査中であり、「カルテルを行った」と確定事実のようには扱いません。
酒類は生活必需品ではなく、消費者が価格と商品を比較して選ぶ市場です。仮に企業間で価格競争が不当に制限されれば、購入者がより安い商品を選ぶ機会が損なわれます。調査終了後、結果と社内調査、必要な是正策を明確に公表することが求められます。
総合評価と、これから改善してほしいこと
サントリーホールディングス株式会社は現在79点・シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと1点必要です。
高い給与水準、休暇、育児支援、低い労災頻度、AI・自動化、水源保全、容器循環、BCP、実災害支援は強みです。一方、直近の品質回収、男女賃金差、AI・自動化の成果を人へ返した結果、復旧時間の開示に改善余地があります。Aへ上がるには、制度や技術をさらに増やすより、直近の弱点を結果で改善することが重要です。
委託製造を含む重大回収0を継続してほしい|商品・サービスの安全 2→3/5
現在の「商品・サービスの安全」は2/5点です。品質管理制度は整っていますが、2025年にグループ全体で自主回収2件があり、「なっちゃん りんご」約5万8,000本では委託先設備に残った酵母が原因と考えられています。[出典7・8]
企業が実行する改善行動は、自社工場と主要委託工場で同じ洗浄・微生物管理基準を適用し、監査頻度、重大不適合、是正完了率を毎年公開することです。「なっちゃん」については、原因工程の変更内容と再監査結果を公開し、同種の重大回収0を少なくとも3年間継続します。
酒類では、純アルコール量表示、低・無アルコール商品の拡大に加え、商品1本あたりの純アルコール量や高アルコール商品の販売構成がどう変化したかも公開します。
これらを確認できれば2→3/5点、+1点を検討できます。79+1=80点となり、シビックランクAへ到達します。
参考企業はティーエムパック株式会社です。Google Drive上の現行審査は54点・Dですが、「商品・サービスの安全」は5/5点です。FSSC22000、HACCPに沿った衛生管理、薬剤を使用しない容器殺菌、製品の全数検査を確認しています。総合点ではなく、製造・食品安全を工程で管理する小項目の参考例です。[出典24]
男女賃金差と管理職構成を改善してほしい|雇用の安定・待遇の公平性 3→4/5
現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。離職率1.9%は低い一方、正規雇用の男女賃金比率は77.4%、女性管理職比率は13.0%です。[出典3]
企業が実行する改善行動は、職種、等級、勤続年数、勤務地、労働時間を調整した男女賃金差を公開し、女性を営業、研究、生産、デジタル、経営職へ継続登用することです。正規雇用の男女賃金比率を90%程度以上、女性管理職比率を20~30%以上へ高めます。
これを確認できれば3→4/5点、+1点を検討できます。これだけでも79→80点となりAへ到達します。
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。Google Drive上の現行審査は84点・Aで、「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点です。正規雇用の男女賃金比率91.5%、管理的地位にある女性比率47.4%を確認しています。業種・人員構成は異なりますが、賃金と昇進の両方を結果で示す点が参考になります。[出典23]
AI・自動化の削減時間を社員へ返した結果を公開してほしい|改善成果の人間への還元 2→3/5
現在の「改善成果の人間への還元」は2/5点です。AI需給改革では年間約6,000時間を削減し、工場でも人手作業時間約50%削減を目標に自動化しています。しかし、対象部署の残業、配置転換、雇用、賃金が導入前後でどう変化したかは公表されていません。[出典12・13]
企業が実行する改善行動は、AI・自動化を導入した部署や工場について、削減人時、夜勤人数、重量物作業、残業、配置転換人数、退職、賃金を同じ時系列で公開することです。削減した仕事が解雇ではなく、より安全な仕事、休息、教育、賃上げへ移ったことを確認できるようにします。
導入部門で雇用を維持しながら残業・危険作業が実際に低下したことを確認できれば2→3/5点、+1点を検討できます。79→80点となりAへ到達します。
参考企業は大日本印刷株式会社です。Google Drive上の現行審査は81点・Aで、「改善成果の人間への還元」3/5点です。DNP単体の月平均残業は2021年度19.5時間から2025年度11.2時間へ低下し、同時期にRFID、生成AI、スマート工場などのDXを進めています。完全な因果は公表されていないため3点ですが、技術導入と人の時間を同じ時系列で追える点が参考になります。[出典22]
主要商品・システムの実測復旧時間を公開してほしい|供給継続・復旧能力 3→4/5
現在の「供給継続・復旧能力」は3/5点です。BCP、年2回の訓練、生産・原料・物流・本部の分散はありますが、主要商品・システムごとのRTO・RPOと実測復旧時間は公表されていません。[出典15・16]
企業が実行する改善行動は、天然水、茶、コーヒーなどの重要商品について代替工場、最低在庫、代替可能数量を定め、地震・停電を想定した訓練で24時間以内の代替判断、72時間以内の一定量供給再開を実測することです。情報システムではRTO・RPO、バックアップからの復元時間、手動受注・出荷への切替結果を公開します。
これを確認できれば3→4/5点、+1点を検討できます。79→80点となりAへ到達します。
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。Google Drive上の現行審査は84点・Aで、「供給継続・復旧能力」5/5点です。さいたま市と長野市の2拠点で事務機能を持ち、一方の業務継続が困難な場合にBCPプログラムを発動して非常時業務へ切り替える仕組みを確認しています。[出典23]
次のランクへ上がるための具体例
現在79点・Bで、Aは80点からです。あと1点必要です。
最も直接的な改善例は、2025年の「なっちゃん」回収を受けて、委託製造を含む品質管理を強化することです。
・主要委託工場に自社工場と同じ洗浄・微生物管理基準を適用する
・監査頻度、重大不適合、是正完了率を毎年公開する
・「なっちゃん」の原因工程で何を変更したか、再監査結果を公開する
・同種の重大な異物・微生物・容器膨張による回収0を3年間継続する
・酒類では低・無アルコールへの販売構成変化と純アルコール量削減を公開する
これらを実現し、「商品・サービスの安全」2→3点、+1点となれば、
79点+1点=80点
となり、シビックランクAへ到達します。
男女賃金差の縮小、AI・自動化成果の人への還元、RTOの実測公開のいずれでも+1点を得られる可能性がありますが、直近で実際に発生した品質回収の再発防止を結果で示すことが、現在のサントリーにとって最も優先度の高いA到達条件です。
出典一覧
1.サントリーホールディングス株式会社「会社概要」【情報ランクA】
2.サントリーホールディングス株式会社「2025年12月期 有価証券報告書」金融庁EDINET【情報ランクS】
3.サントリーホールディングス株式会社「サステナビリティデータ 2025」【情報ランクA】
4.サントリーホールディングス株式会社「新卒採用情報・FAQ」【情報ランクA】
5.サントリーホールディングス株式会社「多様な働き方・育児介護支援」【情報ランクA】
6.サントリーホールディングス株式会社「人権の尊重」【情報ランクA】
7.サントリーホールディングス株式会社「品質への取り組み」【情報ランクA】
8.サントリー食品インターナショナル株式会社「サントリー なっちゃん りんご 250ml紙パック自主回収のお知らせ」2025年【情報ランクA】
9.サントリーホールディングス株式会社「公正取引委員会によるサントリー株式会社への立入検査について」2026年10月7日【情報ランクA】
10.サントリーホールディングス株式会社「サントリー 天然水の森」【情報ランクA】
11.サントリーホールディングス株式会社「100%リサイクルPETボトル累計200億本」2025年【情報ランクA】
12.サントリーホールディングス株式会社「AIを活用した需給業務改革」【情報ランクA】
13.サントリーホールディングス株式会社「原料取扱工程の自動化・生産技術」【情報ランクA】
14.サントリーホールディングス株式会社「スマートファクトリー・デジタル活用」【情報ランクA】
15.サントリーホールディングス株式会社「リスクマネジメント・BCP」【情報ランクA】
16.サントリーホールディングス株式会社「継続的なセキュリティ対策強化」【情報ランクA】
17.サントリーグループ「災害救済用自動販売機」【情報ランクA】
18.サントリーホールディングス株式会社「令和6年能登半島地震への支援」「2026年熊本地震への支援」【情報ランクA】
19.サントリーホールディングス株式会社「アルコール関連問題への取り組み・純アルコール量表示」【情報ランクA】
20.転職会議「サントリーホールディングス株式会社の社員・元社員口コミ」【情報ランクB】
21.Indeed「サントリーホールディングス株式会社の社員クチコミ」【情報ランクB】
22.Google Drive最新版「大日本印刷株式会社を企業審査|シビックランクA・81点/100点」
23.Google Drive最新版「株式会社ミツウロコグループホールディングスを企業審査|シビックランクA・84点/100点」
24.Google Drive最新版「ティーエムパック株式会社を企業審査|シビックランクD・54点/100点」
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
サントリーホールディングス株式会社は79点のため、今回の評価はシビックランクBです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
