私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するサントリービジネスシステム株式会社は、総合65点、シビックランクCです。
サントリービジネスシステム株式会社の特に強い点は、経理・人事・総務・購買などの事務作業を集約し、デジタル化することで、人が反復作業へ使っていた時間を具体的に減らしていることです。
請求書発行では、電子化とシステム連携によって月間約720時間の作業を削減しました。購買システムでは、操作案内を画面上へ組み込むことで問い合わせを最大9割削減しています。RPAを導入した業務では、毎日約1時間かかっていた定型作業を機械へ移し、利用部門から「有給休暇を取りやすくなった」という声も確認されています。
そのため、この企業のサービスを利用するサントリーグループ各社の商品やサービスを選ぶことは、人が転記、印刷、封入、問い合わせ対応などに使う時間を減らし、判断、企画、顧客対応など人にしかできない仕事へ時間を移す企業活動を間接的に支えることにつながる可能性があります。
一方で、改善点として、サントリービジネスシステム株式会社単体の平均給与、賃金中央値、平均残業、有給休暇、男女賃金差、離職率、死亡・休業労災などが十分公開されていません。
また、サントリーグループとしてBCPや情報セキュリティ対策は整備されていますが、同社が担う経理・人事・購買などの重要システムについて、障害発生時に何時間で復旧するのかというRTO・RPOや、復旧試験の実績は公開されていません。
この記事では、サントリービジネスシステム株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
サントリービジネスシステム株式会社の企業審査結果
サントリービジネスシステム株式会社は、サントリーグループ共通の経理、総務、人事、営業支援などを集約し、業務の標準化・効率化を進める機能会社です。
2017年2月設立、資本金1億円。本社は東京都港区台場にあり、大阪にも主要事業所があります。2026年10月1日時点の代表取締役社長は笹原朋子氏です。
| 評価軸 | 得点 |
|---|---|
| Safety | 29/50点 |
| Innovation | 24/25点 |
| Protection | 12/25点 |
| 総合点 | 65/100点 |
| シビックランク | C |
主な強み
・請求書DXで月間約720時間の作業時間を削減
・請求書関連コストを年間約7割削減
・500社超の取引先へ月1,800件超の電子請求書を発行
・購買システムの問い合わせを最大9割削減
・購買システムの推奨品購入率を14%向上
・年末調整システムの問い合わせを4割削減
・年末調整の差し戻しを5割削減
・RPAによって毎日約1時間の定型作業を自動化した事例を確認
・RPA導入先で「有給休暇を取りやすくなった」という利用者の声あり
・紙の請求書、押印、封入、郵送、スキャン、転記等をデジタルへ移行
・知的障がいのある社員41人がコラボレイティブセンターで勤務
・コラボレイティブセンターは全国7拠点へ拡大
・2026年に「健康経営優良法人2026~ホワイト500~」認定対象会社
・サントリーグループではCSIRT、標的型メール訓練、情報セキュリティ教育を実施
・グループBCPでは年2回の安否確認訓練を実施
・2025年12月期は純利益1億600万円
・2025年12月末の利益剰余金は4億1,300万円
主な課題
・対象会社単体の平均年間給与・賃金中央値が非公表
・対象会社単体の既存社員のベースアップ率が非公表
・対象会社単体の平均残業・有休取得日数が非公表
・対象会社単体の男女賃金差・女性管理職比率が非公表
・現在の総就業人数と、直接雇用・出向者の内訳が明確ではない
・対象会社単体の離職率・平均勤続年数が非公表
・対象会社単体の死亡・休業労災、度数率、強度率が非公表
・720時間削減等の成果が対象会社自身の賃金・休日へどう還元されたか非公表
・自動化後の配置転換、再教育、人員推移を継続的に追える情報が不足
・会社単体の重大サイバーインシデント件数が非公表
・MFA、EDR等の適用率が非公表
・重要システムのRTO・RPOが非公表
・システム復旧訓練の所要時間・成功率が非公表
・代替オフィス、代替処理拠点への切替時間が非公表
事業内容と人間への貢献
サントリービジネスシステムは、飲料や酒を製造する会社ではありません。
サントリーグループ各社に共通する経理、人事、総務、営業支援などをまとめ、標準化・デジタル化する会社です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | サントリービジネスシステム株式会社 |
| 英文名 | Suntory Business Systems Limited |
| 法人番号 | 9010401129536 |
| 設立 | 2017年2月 |
| 代表者 | 代表取締役社長 笹原 朋子 |
| 本社 | 東京都港区台場2丁目3番3号 |
| 大阪オフィス | 大阪市北区堂島浜2丁目1番40号 |
| 資本金 | 1億円 |
| 主な事業 | グループ共通シェアードサービス、業務革新支援 |
| 2025年12月期純利益 | 1億600万円 |
| 2025年12月末利益剰余金 | 4億1,300万円 |
| 2025年12月末総資産 | 14億6,000万円 |
現在の従業員数は注意が必要です。
Gビズインフォの社会保険情報では被保険者1人とされています。一方、電子請求書サービスの導入事例では従業員規模101~500人と分類され、コラボレイティブセンターだけでも知的障がいのある社員41人が働いています。
さらにサントリーホールディングス採用者が同社へ配属・出向する事例も確認できます。
このため、社会保険被保険者1人を「会社で働いている人数」とは扱いません。直接雇用、出向等を含む現在の就業構造を会社自身が公開することが望まれます。
主な事業内容
経理では、国内グループ会社の決算、税務、請求書発行・受領、支払処理などを担います。
人事・総務領域では、年末調整、タレントマネジメント、各種申請など、多くの社員が共通で使う仕組みを支えます。
購買では、サントリーグループで使用する間接材をまとめて管理し、集中購買、標準化、適正価格化を進めています。
営業支援では、現場で繰り返される事務処理を集約・自動化し、営業担当者が顧客対応や提案へ時間を使えるよう支援します。
事業による人間への貢献
同社の人間への貢献は、「人がしなくてもよい仕事を減らすこと」にあります。
例えば請求書を紙で処理すると、印刷、押印、仕分け、封入、郵送、スキャン、伝票入力、保管など、多くの作業が発生します。
これを電子データとシステム連携へ移せば、社員が紙を持って移動したり、数字を転記したり、郵便を待ったりする必要が減ります。
同社の請求書DXでは、試算で月720時間の作業時間を削減しています。
月720時間は、1日8時間で換算すると90人日です。毎月それだけの時間を定型作業から解放できれば、より必要性の高い仕事へ人の時間を移せます。
購買システムでも、分かりにくい画面へ案内を追加し、問い合わせを最大9割削減しています。
これは単純な「人員削減」とは異なります。
利用者が操作方法を調べたり、問い合わせたり、回答を待ったりする時間を直接減らすからです。
Safety|29/50点
Safetyでは、同社で働く人の賃金、休息、雇用、公平性、育児・介護、人権、健康・安全と、経理・人事等のサービスを利用する社員の安全性を評価します。
会社単体の労働データは不足していますが、サントリーグループの共通制度の対象となる就業者が多く、障がい者雇用、健康経営、内部通報などに具体的な強みがあります。
賃金・利益の還元|4/10点
2026年のサントリーホールディングス・サントリービバレッジ&フード合同採用では、大学卒初任給30万1,000円、修士了31万7,800円です。
経験者採用でも、サントリーホールディングスで採用され、サントリービジネスシステムのグループ経理部へ配属される求人が確認できます。
このため、同社で働く人の一部にはサントリーグループの給与体系が適用されます。
2025年12月期には純利益1億600万円を計上し、利益剰余金も4億1,300万円あります。
一方、サントリービジネスシステム株式会社が直接雇用する社員の平均給与、給与中央値、賞与、2026年の基本給改定率は公開されていません。
出向者と直接雇用者の賃金制度がどこまで共通なのかも外部から判断できません。
そのため4/10点です。
6点以上には、直接雇用・出向等を区分したうえで、職種別給与中央値、賃上げ率、賞与を公開することが必要です。
労働時間・休息|5/10点
2025年のサントリー国内グループの月間平均残業時間は18.7時間です。
この対象範囲にはサントリービジネスシステム勤務者が含まれています。
一方、有給休暇の平均取得日数16.7日は、サントリーホールディングスまたはサントリービバレッジ&フード籍の正規社員が主な対象であり、同社で働く全員を表す数字ではありません。
同社自身の平均残業、平均有休日数、月45時間超・60時間超の人数は非公表です。
ただしRPA導入事例では、毎日約1時間の定型業務をロボットへ移した結果、「有給休暇を取りやすくなった」という現場の声が確認されています。
効率化が休息へつながった具体例を評価し5/10点です。
8点には、対象会社単体で平均残業15時間以下、有休平均16日以上などを継続公開する必要があります。
雇用の安定・待遇の公平性|4/5点
同社の特徴的な取り組みが、コラボレイティブセンターです。
2024年時点で知的障がいのある社員41人が全国7拠点で働いています。
仕事内容も単純な軽作業だけではありません。
POSデータ抽出、アンケート入力、資料作成支援などのPC業務に取り組み、必要に応じて新しい仕事を学んでいます。
特例子会社として隔離する形ではなく、サントリーグループの一般の職場内で一緒に働く仕組みを採っています。
2015年に採用を開始し、2018年にコラボレイティブセンターを設立、その後も人数と拠点を拡大しているため、継続性も確認できます。
一方、会社全体の男女賃金差、女性管理職比率、離職率、雇用形態別人数は非公表です。
障がい者雇用の質と継続性を高く評価する一方、全社員の公平性指標が不足しているため4/5点です。
福利厚生・育児・介護|4/5点
サントリーの採用制度では、育児休職、介護休職、短時間・時差勤務、フレックス勤務、法人契約ベビーシッター費用補助、キッズサポート休暇、不妊治療支援などを整備しています。
サントリービジネスシステムは2026年、「健康経営優良法人2026~ホワイト500~」に認定されたサントリーグループ8社の一つです。
健康経営について会社単位の外部認定を確認できる点は評価できます。
一方、対象会社単体の男性育休取得率、平均取得期間、介護休業利用人数、復職率は公表されていません。
制度と会社単位の健康経営認定を評価して4/5点です。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5点
サントリーグループには社内・社外のコンプライアンスホットラインがあります。
通報を理由とした不利益取扱いを禁止し、必要に応じて調査、是正、再発防止を行う仕組みです。
同社のコラボレイティブセンターでは、障がいのある社員に対して「苦手を避ける」のではなく、新しい業務へ挑戦しながら得意分野を増やす支援が行われています。
雇用を法定人数の確保だけで終わらせず、スキル習得と業務範囲の拡張へつなげていることは評価できます。
一方、サントリービジネスシステム単体のハラスメント相談、認定、是正件数は公開されていません。
そのため4/5点です。
労働安全・健康|4/10点
同社は製造工場を中心とする会社ではないため、挟まれ・巻き込まれ、高温設備などのリスクは比較的小さい企業です。
主なリスクは長時間のデスクワーク、メンタルヘルス、通勤・出張、VDT作業などです。
2026年のホワイト500認定は健康管理体制を評価する材料です。
また、サントリー国内グループでは2025年の休業災害度数率0.13、強度率0.005を公開しています。
一方、これらはサントリービジネスシステム単体の事故率ではありません。
対象法人自身の死亡事故、休業災害、通勤災害、メンタル不調による休業等の件数が公開されていないため4/10点とします。
6点以上には、対象会社単体の事故件数・健康KPIを年次公開する必要があります。
商品・サービスの安全|4/5点
同社のサービスで重要なのは、経理・人事・購買データを正確に処理し、紛失・誤入力・不正アクセスを防ぐことです。
請求書を電子化した事例では、紙の紛失リスクを減らし、ワークフローから会計システム、電子請求書までAPI連携しています。
これにより人が同じ情報を転記する機会を減らし、入力ミスの原因を減らせます。
また、同社はサントリーグループのプライバシーポリシー対象企業であり、ISO10002に沿ったお客様対応規定の対象会社にも含まれます。
一方、対象会社単体の情報処理ミス、重大障害、個人情報事故件数は体系的に公開されていません。
管理体制と業務の自動化を評価して4/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
サントリービジネスシステム株式会社単体について、現在の転職口コミサイトでは十分な件数の投稿を確認できませんでした。
OpenMoneyでも残業に関する会社単体の投稿は0件です。
口コミがないこと自体は減点しません。
一方、サントリー採用サイトには同社グループ経理部などで働く社員のインタビューが複数掲載され、サントリーホールディングス等で採用された後、同社で決算、税務、業務改善等を担当する働き方が確認できます。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイ等について、会社名と「残業」「退職」「パワハラ」「労災」「情報漏えい」「RPA」「人員削減」などを組み合わせて確認しました。
対象会社の現社員・元社員と確認でき、現在の採点を変更するほど具体的な投稿は確認できませんでした。
匿名情報が確認できないこと自体は加点・減点しません。
Innovation|24/25点
Innovationはこの会社最大の強みです。
「デジタル化しています」という方針だけでなく、何時間減ったか、問い合わせが何割減ったかという結果まで確認できます。
作業負担・危険の削減|10/10点
請求書DXでは、発行業務をデジタル化し、月間約720時間の作業を削減しました。
紙の請求書では、押印、印刷、封入、郵送、保管、スキャン、伝票入力などが必要でした。
導入後は、各拠点で入力されたデータが電子承認され、会計システムを経由し、APIによって電子請求書として自動発行されます。
さらにRPAでは、毎日約1時間行っていた定型作業をロボットへ移しました。
購買システムでは、操作ガイド導入によって問い合わせを最大9割削減しています。
人の手作業、問い合わせ、転記という具体的な負担を複数領域で大幅に削減し、数値も確認できるため10/10点です。
商品・サービスの改善|5/5点
購買システムでは、問い合わせを減らすだけでなく、推奨品購入率を14%向上させました。
年末調整では問い合わせ4割削減、差し戻し5割削減を実現しています。
タレントマネジメントでは、管理職が自部門の社員情報へ簡単にアクセスできる仕組みを導入しています。
請求書では、紙ではなく即日届く電子データへ移行しています。
単なる事務効率化から、利用者が迷わないシステム設計へ改善を続けているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|4/5点
この項目では「効率化した」だけではなく、浮いた時間が人へ返ったかを確認します。
RPA事例では、営業社員が外出・顧客対応へ時間を増やし、戦略担当者が考える仕事へ移れたと説明されています。
さらに定型作業が減り、「有給休暇を取りやすくなった」という利用部門の声も確認されています。
これは自動化の成果が人の時間へ返った具体例です。
一方、請求書業務で削減した月720時間について、雇用維持、残業削減、賃金、研修時間へどれだけ振り分けたかは公表されていません。
そのため4/5点です。
5/5点には、削減人時と、残業・休日・賃金・配置転換を同じ期間で追跡し、会社全体で成果が人へ返ったことを示す必要があります。
研究開発・現場改善の継続|5/5点
同社は2017年ごろからRPAを検証し、その後も請求書、購買、人事、年末調整、タレントマネジメントなどへ改善対象を広げています。
2025年にも購買データの活用や調達業務改善の事例共有を続けています。
一度システムを導入して終わるのではなく、利用分析から離脱画面や問い合わせ箇所を発見し、ガイドを改善するPDCAも行っています。
長期間、複数部門で業務改善を継続しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
サントリービジネスシステムではRPA、API連携、デジタルガイド等による自動化が進んでいます。
公開事例を見る限り、初期のRPA導入では、削減した作業時間を営業活動や戦略立案など別業務へ移しています。
「ロボット導入後に社員を削減した」という説明ではなく、「人をより付加価値の高い仕事へ移す」という考え方が明示されています。
また、コラボレイティブセンターでは障がいのある社員の人数を増やし、業務種類も広げています。
そのため、現在確認できる事例からは「自動化と同時に人間の仕事を切り捨てる」方向は確認できません。
一方、RPA・請求書DX等の導入前後で、対象部署の総人員、派遣・外部委託人数、配置転換、採用数を同一基準で比較できるデータはありません。
自動化と雇用の関係を完全に評価するには、継続的な人員情報の公開が必要です。
Protection|12/25点
Protectionでは、災害、停電、システム障害、サイバー攻撃などが発生しても、経理、人事、購買といったグループの基盤業務を継続できるかを評価します。
同社の事業は物理的な工場ではありませんが、システム停止の影響は非常に大きい会社です。
給与、請求、支払、購買、人事システムが長期間停止すれば、サントリーグループ各社の運営へ直接影響します。
災害への備え・訓練|3/5点
サントリーグループでは、安否確認システムを運用し、年2回の安否確認訓練を実施しています。
大規模地震を想定した防災訓練、徒歩帰宅訓練も行っています。
グループ国内各社向けの初動対応マニュアルも整備されています。
サントリービジネスシステムはグループ共通機能会社であり、これらの体制の対象となります。
一方、同社自身の経理・人事・購買部門を停止させる実地訓練や、業務再開までの時間は公表されていません。
そのため3/5点です。
生産・物流・調達の代替|2/5点
サービス会社なので「工場の代替」ではなく、オフィス・処理拠点・人員の代替を評価します。
同社は東京と大阪に主要拠点を持っています。
また請求書等を電子化し、在宅でも承認できる仕組みに移したことで、特定オフィスへ出社しなければ処理できない業務を減らしています。
コロナ禍を通じて在宅勤務でも承認作業ができることが確認され、その後も在宅勤務を働き方の一つとして利用しています。
一方、東京拠点停止時に大阪へ何%の業務を何時間で移せるか、海外・別拠点への処理移管が可能かは公開されていません。
そのため2/5点です。
サイバー防衛・情報保護|4/5点
サントリーグループは情報セキュリティ基本方針を持ち、2016年からCSIRTを設置しています。
全従業員向けの情報セキュリティ教育、標的型メール攻撃訓練、脆弱性分析、技術的な不正アクセス対策なども実施しています。
経理、人事、購買等を扱う同社にとって、こうしたグループ防御体制の対象となることは重要です。
一方、同社単体のMFA・EDR適用率、バックアップ方式、サイバー攻撃による停止件数、復元テスト結果は公表されていません。
そのため4/5点です。
供給継続・復旧能力|3/5点
請求書を電子化したことで、郵便・物流の遅延に左右されず、発行後すぐに取引先へ届けられるようになっています。
紙の紛失リスクも減り、自然災害時の継続性向上にもつながります。
グループとしては、情報システム復旧を含む災害対応体制を整えています。
一方、サントリービジネスシステムが運営・支援する重要業務について、
・目標復旧時間
・RTO
・RPO
・バックアップからの実測復元時間
・年次復旧訓練成功率
などは公表されていません。
一定の仕組みは確認できますが、結果が分からないため3/5点です。
危機時の市民への対応|0/5点
同社はグループ内のシェアードサービス会社であり、災害時に飲料を避難所へ届けるなどの市民向け機能を直接担う会社ではありません。
サントリーグループ全体には災害支援実績がありますが、それをサントリービジネスシステム自身の実績として加点しません。
対象会社単体の自治体災害協定や、市民への直接支援実績も今回確認できませんでした。
そのため0/5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、健康経営、障がい者雇用、業務DXの継続を評価します。
2026年3月 健康経営優良法人2026「ホワイト500」に認定
サントリービジネスシステムは、サントリーホールディングスなどグループ8社とともに、健康経営優良法人2026「ホワイト500」の認定を受けました。
健康管理を制度として用意するだけでなく、第三者評価を受けている点はSafetyのプラス材料です。
今後は対象会社単体の休職率、ストレスチェック、残業、有休取得等を公開することで、認定の根拠を市民からも確認しやすくすることが望まれます。
2025年 購買システムの問い合わせ9割削減を継続
間接材購買システムでは、もともと月約500件の問い合わせが発生していました。
画面上へ操作ガイドを追加し、利用状況を分析しながら改善した結果、問い合わせを9割削減しています。
問い合わせ対応を減らすだけでなく、社員自身が迷わず手続きを終えられるため、問い合わせる側と回答する側の両方の時間を減らせます。
コラボレイティブセンターが41人・全国7拠点へ拡大
知的障がいのある社員の採用は2015年に始まりました。
2018年にコラボレイティブセンターを設立し、2024年時点で41人、全国7拠点へ広がっています。
アンケート入力、POSデータ処理、資料作成など、実際のグループ業務を担い、新しい作業へ挑戦する教育も続いています。
一時的な採用数ではなく、約10年にわたり業務と拠点を拡大している点を高く評価します。
悪いニュース・問題となった動き
現在の大きな問題は、不祥事が多数確認されることではありません。
最大の問題は、この会社自身の人事・安全・復旧結果が十分に公開されていないことです。
効率化の数字は詳しい一方、自社の働き方が見えにくい
月720時間削減、問い合わせ9割削減など、Innovationの成果は非常に詳しく公開されています。
一方で、自社社員の平均残業、平均給与、有休取得、離職率などは公開されていません。
「他の社員の働き方を改善する会社」であるからこそ、自社自身についても同じレベルで働き方の結果を公開することが望まれます。
現在の就業人数・雇用構造が分かりにくい
Gビズインフォの社会保険被保険者数は1人ですが、コラボレイティブセンターだけでも41人が働いています。
外部サービスでは従業員規模101~500人とされる例もあります。
これは出向等の人員構成が大きく影響している可能性があります。
人数が少ないという意味ではなく、「誰がどの法人に雇用され、どの制度で働いているか」を外部から把握しにくい状態です。
直接雇用、在籍出向等を区分して就業人数を公開する必要があります。
重要システムの復旧時間が非公表
経理、人事、購買等を集約すれば効率は高まります。
一方、一つのシステム障害が多数のグループ会社へ波及する集中リスクも大きくなります。
重要システムごとのRTO・RPO、復旧試験結果が公開されていないため、Protectionの最大評価にはできません。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在65点・シビックランクCです。
次のBランクは70点からなので、あと5点必要です。
サントリービジネスシステムは、Innovationについてはすでに非常に高い水準です。
次に必要なのは、さらに多くの仕事を自動化することより、自動化の成果が働く人へ返ったことと、重要業務が危機時にも復旧できることを数字で公開することです。
単体の給与・賃上げ実績を公開する|賃金・利益の還元 4→6点
現在は4/10点です。
グループ採用社員の初任給等は確認できますが、サントリービジネスシステムで働く人全体の給与分布が分かりません。
直接雇用・出向等を区分し、職種別の平均・中央値、基本給改定率を毎年公開する必要があります。
広い社員層で継続的な賃上げが確認できれば4→6点、+2点を検討できます。
総合点は65→67点です。
単体の労災・健康KPIを公開する|労働安全・健康 4→6点
現在は4/10点です。
ホワイト500認定とグループの低い労災率は評価できますが、会社単体の結果は見えません。
死亡・休業労災、通勤災害、度数率、長期休職、健康診断受診率等を毎年公開し、重大事故0と低い事故率を継続できれば4→6点、+2点を検討できます。
総合点は65→67点です。
重要システムの復旧時間を実証する|供給継続・復旧能力 3→4点
現在は3/5点です。
経理・人事・購買等の重要システムについて、RTO・RPOを設定し、年1回以上の復旧試験を行い、実測復旧時間を公開する必要があります。
例えば重要システムについて24時間以内など明確な復旧目標を設定し、実地試験で達成できれば3→4点、+1点を検討できます。
総合点は65→66点です。
次のBランクへ上がるための具体例
| 改善項目 | 企業が実行する内容 | 達成条件 | 現在点→改善後 | 加点 |
|---|---|---|---|---|
| 賃金・利益の還元 | 雇用区分・職種別の給与と基本給改定率を公開 | 幅広い社員で継続的な賃上げを確認 | 4→6 | +2 |
| 労働安全・健康 | 会社単体の労災・健康KPIを公開 | 重大事故0、低い災害率を継続 | 4→6 | +2 |
| 供給継続・復旧能力 | 重要システムのRTO・RPOと復旧試験を公開 | 復旧目標を実地試験で達成 | 3→4 | +1 |
| 合計 | 65→70 | +5 |
この3項目を改善できれば、65点から70点となりシビックランクBへ上がります。
つまりサントリービジネスシステムが次のランクへ上がるために必要なのは、「さらに自動化すること」ではありません。
すでに月720時間削減や問い合わせ9割削減という高いInnovationがあります。
今後重要なのは、その技術で生まれた時間を働く人の賃金、休暇、教育、雇用へ返し、その結果を公開することです。
さらに、経理・人事・購買というグループの重要業務を集中させているからこそ、サイバー攻撃や災害でシステムが止まった場合に「何時間で復旧できるのか」まで実証することが、次の評価につながります。
出典一覧
1.サントリーホールディングス「サントリービジネスシステム株式会社|グループ企業一覧」
2.サントリーホールディングス「機能会社|事業紹介」
3.Gビズインフォ「サントリービジネスシステム株式会社」
4.doda「サントリービジネスシステム株式会社 企業概要」
5.官報決算データベース「サントリービジネスシステム株式会社 第9期決算公告」
6.インフォマート「BtoBプラットフォーム 請求書 導入事例|サントリービジネスシステム株式会社」
7.TIS「サントリービジネスシステム株式会社 RPA導入事例」
8.テックタッチ「サントリーグループ3万人のシステム操作性を向上。問い合わせを9割削減」
9.サントリーホールディングス「『コラボセ』に密着。サントリーが体現するオープンな職場の作り方」
10.高齢・障害・求職者雇用支援機構「ともに働き互いに成長する『やってみなはれ』精神」
11.サントリーホールディングス「データ一覧|働き方・労働安全」
12.サントリーホールディングス「健康経営優良法人2026~ホワイト500~認定」
13.サントリーホールディングス「リスクマネジメント」
14.サントリーホールディングス「サントリーグループ情報セキュリティ基本方針」
15.サントリーホールディングス「内部統制システム基本方針」
16.サントリーホールディングス「採用情報|よくある質問・募集要項」
17.サントリーホールディングス「プライバシーポリシー」
18.サントリーお客様センター「お客様満足のための基本方針」
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
サントリービジネスシステム株式会社は65点のため、今回のシビックランクはCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者との関係を独立に確認しにくい情報 |
今回の評価では、Gビズインフォ、高齢・障害・求職者雇用支援機構、官報等をS相当、サントリー公式資料や導入企業が確認できる事例をA、匿名口コミ等をBとして扱い、対象法人・雇用籍・年度の違いを区別しています。
