私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するサカタインクス株式会社は、総合73点、シビックランクBです。
サカタインクス株式会社の特に強い点は、2025年の平均月間所定外労働時間を14.9時間まで抑え、男性育児休業取得率80%を実現しながら、国内4工場すべてでISO45001/JIS Q 45100、国内主要拠点でISO/IEC 27001の認証を取得していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、働く時間を抑えながら、工場安全と情報保護を第三者認証で継続管理する企業経営が広がる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として女性管理職比率4.3%、男女賃金比率59.4%という結果差、2024年の単体休業災害3件・度数率2.38、BCPの具体的な復旧時間や代替能力の公開不足が残ります。
この記事では、サカタインクス株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
サカタインクス株式会社の企業審査結果
サカタインクスは、労働時間、育児支援、安全衛生・情報セキュリティの仕組みを具体的な数字や第三者認証で示している一方、女性登用、男女賃金結果、労災実績、自動化による人への還元、災害時の復旧力には改善余地があります。3軸の得点は次のとおりです。
| 評価軸 | 点数 | 評価の要点 |
|---|---|---|
| Safety | 38/50 | 残業14.9時間、平均年収825.8万円、男性育休80%、国内4工場のISO45001を評価。女性管理職4.3%、男女賃金比59.4%、2024年の休業災害3件が課題 |
| Innovation | 18/25 | TPM・SDPS、物流負担削減、研究開発自動化、PFASフリー・食品包装技術を評価。自動化前後の削減人時や賃金・休日への還元開示が不足 |
| Protection | 17/25 | BCP、CSIRT、年2回の復旧訓練、国内主要拠点ISO/IEC 27001を評価。代替生産能力・公開RTOと危機時の直接支援実績が不足 |
| 総合点 | 73/100 | シビックランクB |
主な強み
・2025年の平均月間所定外労働時間は14.9時間で、2024年の18.2時間から改善
・2025年の平均年間給与は825.8万円、平均勤続年数は18.9年
・2025年の男性育児休業取得率80%、女性100%、育休復職率100%
・2025年8月までに東京・羽生・滋賀・大阪の国内4工場すべてがISO45001/JIS Q 45100認証を取得
・2026年6月に国内主要拠点を対象としてISO/IEC 27001認証を取得
・TPMと独自生産方式SDPSを継続し、設備故障、クレーム、製造リードタイム、安全面の改善を進めている
・研究開発向け自動化装置、PFASフリー食品包装用コーティング、Direct Food Contact対応設備など技術開発を継続
・国内4工場、複数物流拠点、海外事業網を持ち、供給網を一拠点へ集中させていない
主な課題
・2025年の女性管理職比率は4.3%で、女性社員比率17.9%に比べ低い
・2025年の男女賃金比率は全労働者59.4%、正規雇用67.1%、非正規54.7%。職種・年齢・勤続・等級などの構成差を含むが、結果差は大きい
・2025年の障害者雇用率は2.15%で、同社が資料上に示す法定雇用率2.50%を下回る
・2024年のサカタインクス単体の休業災害は3件、度数率2.38で、2023年の1件・0.88から悪化
・2025年の国内4工場の安全認証取得は前進だが、認証後の2025年単体労災結果を同じ形式で比較できる公開が不足
・TPMや自動化によって何時間の作業、何kgの重量物、何件の危険作業が減ったかという人への効果が十分に数値化されていない
・主要工場停止時の代替可能量、切替時間、重要業務のRTO・RPOが公開されていない
事業内容と人間への貢献
サカタインクス株式会社は、1896年創業、1920年設立の印刷インキ・機能性材料メーカーです。新聞・出版・パッケージ向け印刷インキ、電子・情報機器関連材料、機能性材料、印刷関連機器などを扱っています。2025年12月31日時点の資本金は74億7,200万円、単体従業員数902人、2025年の単体売上高は666億円です。[出典1]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | サカタインクス株式会社 |
| 英文名 | SAKATA INX CORPORATION |
| 創業 | 1896年11月1日 |
| 設立 | 1920年9月5日 |
| 代表者 | 代表取締役 社長執行役員 上野吉昭 |
| 資本金 | 74億7,200万円 |
| 大阪本社 | 大阪市中央区淡路町4丁目2番13号 |
| 東京本社 | 東京都文京区後楽1丁目4番25号 |
| 単体売上高 | 666億円(2025年) |
| 単体従業員数 | 902人(2025年12月31日) |
| 国内主要工場 | 東京工場、羽生工場、滋賀工場、大阪工場 |
| 主な事業 | 印刷インキ・補助剤、印刷・製版機材、電子・情報機器、機能性材料など |
主な事業内容
食品・飲料、日用品、出版、新聞などで使われる印刷インキは、文字や絵柄を表示するだけでなく、包装材の耐久性、食品安全、リサイクル適性にも関わります。サカタインクスは油性・水性・UVなど複数の印刷方式に対応するインキに加え、包装向けコーティング、機能性材料、顔料分散技術などを提供しています。[出典1]
2025年からは食品包装向けのPFASフリーコーティングを展開し、2026年には東京工場へDirect Food Contact対応設備を導入しました。食品に接する包装材料では、印刷性能だけでなく、移行物質や化学物質の管理が利用者の安全へ直結します。[出典19・20]
主な利用企業・取引先
個別の主要顧客名は広く公開されていませんが、印刷会社、包装材メーカー、食品・飲料メーカー、新聞社、出版関連企業、電子機器・材料メーカーなどが利用先になります。包装、出版、情報、電子部品という生活に近い領域を支えるBtoB企業です。
事業による人間への貢献
例えば食品メーカーが菓子や飲料を販売する場合、中身が安全でも包装の印刷やコーティングに問題があれば、表示が読めない、内容物へ物質が移行する、輸送中に品質が落ちるといった問題が起こります。サカタインクスは、食品包装に使えるインキ・コーティングの品質管理や化学物質管理を通じ、消費者が安全に商品を受け取れる仕組みを支えています。
また、低環境負荷型インキ、PFASフリー材料、リサイクルしやすい包装技術を広げれば、包装の便利さを維持しながら有害性が懸念される物質や資源消費を減らせます。研究開発と製造を国内外で継続していることは、生活に必要な包装・情報材をより安全で環境負荷の小さい形へ変える人間への貢献です。[出典18・20]
Safety|38/50
Safetyでは、国内工場・研究・営業で働く人の賃金、休息、雇用、公平性、安全と、食品包装を含む製品の品質を評価します。サカタインクスは残業時間、育児支援、安全衛生認証、品質管理で高い水準が確認できる一方、女性登用・賃金結果と直近の労災実績には課題があります。
賃金・利益の還元|8/10
2025年のサカタインクス単体の平均年間給与は825.8万円、平均年齢44.6歳、平均勤続年数18.9年です。2024年の平均年間給与787.4万円から上昇しています。新卒採用では2026年4月実績で学部卒28万1,100円、修士了29万5,700円、高校卒23万3,900円が示されています。[出典3・4・6]
採用FAQでは近年連続してベースアップを実施していることも説明されています。平均給与の水準と上昇、初任給の明示、継続的な賃金改定を評価して8/10点です。[出典6]
一方、2026年のベースアップ率、職種・等級別の賃金中央値、非正規を含む生活賃金との比較は十分に公開されていません。10/10には、全雇用区分の賃金分布と実質賃金改善を複数年公開し、高水準の固定給還元が広い従業員へ届いていることを確認できる必要があります。
労働時間・休息|8/10
2025年の平均月間所定外労働時間は14.9時間で、2024年の18.2時間から3.3時間減少しました。有給休暇取得率は62.9%です。採用条件では年間休日平均123日、標準労働時間は1日7.5時間で、フレックスタイムやテレワーク制度もあります。[出典3・6]
月14.9時間は、仮に月20勤務日なら1日平均約45分に相当し、製造業を含む企業として日々の自由時間を確保しやすい水準です。一方、有休取得率62.9%にはなお改善余地があります。
残業15時間前後まで抑えていることを評価して8/10点です。10/10には、残業10時間以下、有休取得率80%以上または平均15日以上、月45時間・60時間超の社員比率、勤務間休息の達成率を職種・工場別に公開し、高水準を複数年継続する必要があります。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
2025年の平均勤続年数は18.9年、自己都合退職者は26人、自己都合退職率は2.8%です。新卒・中途採用も継続しており、長期雇用の基盤は確認できます。[出典3]
一方、2025年の女性社員比率17.9%に対し、女性管理職比率は4.3%です。男女賃金比率は全労働者59.4%、正規雇用67.1%、非正規54.7%です。会社は賃金制度自体に性別による差を設けておらず、年齢、勤続、等級、職種、短時間勤務、手当等の構成差が数値へ影響すると説明しています。このため同一労働に対する差別的賃金とは断定しませんが、昇進・配置・雇用構成を含めた結果差は大きいと判断します。[出典3・4]
さらに2025年の障害者雇用率は2.15%で、同社資料に記載された法定雇用率2.50%を下回っています。雇用の安定は強い一方、機会と結果の公平性に改善余地があるため3/5点です。4/5には、女性管理職比率の上昇、調整後男女賃金差、男女別昇進率、障害者雇用率の改善を継続的に示す必要があります。
福利厚生・育児・介護|5/5
2025年の育児休業取得率は男性80%、女性100%で、育休からの復職率は100%です。健康診断受診率100%、ストレスチェック受検率96.8%も確認できます。[出典3]
住宅、財形、退職金、育児・介護、フレックス、テレワークなどの制度があり、男性育休も高い利用率まで実績化しています。制度の存在だけでなく利用結果まで確認できるため5/5点です。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
管理職を除く一般社員が労働組合へ加入し、中央・各事業所で労使協議を複数回実施しています。労働時間、賃金、安全衛生などを会社と労働組合が協議する仕組みがあります。[出典7]
人権面では、健康・安全、労働時間、ハラスメント、差別などを重点課題としてリスクマッピングを行っています。ハラスメント防止委員会、匿名相談を含む相談窓口、管理職研修、人権eラーニングも実施しています。内部通報制度「インクス・ヘルプライン」は社内・社外窓口を設け、匿名相談と通報者保護を定めています。2025年の内部通報は3件でした。[出典8・9]
制度と実際の通報件数を公表しているため4/5点です。5/5には、通報・ハラスメント相談の内容分類、是正完了率、再発率、従業員サーベイ結果を個人が特定されない形で継続公開し、問題が減少していることを実証する必要があります。
労働安全・健康|6/10
2025年8月までに東京、羽生、滋賀、大阪の国内4工場すべてでISO45001とJIS Q 45100の認証を取得しました。これは安全衛生リスクを継続的に特定し、改善するマネジメントシステムが国内全生産拠点に導入されたことを示します。[出典10・11]
一方、サカタインクス単体の2024年実績は、休業災害3件、度数率2.38、強度率0.01、死亡0人でした。2023年は休業災害1件、度数率0.88だったため、2024年は休業災害の頻度が悪化しています。[出典3]
認証取得による改善体制と死亡0を評価する一方、直近で確認できる単体労災実績は十分に低いとは言えないため6/10点です。8/10には、認証取得後の2025年以降について死亡0を継続し、単体度数率1.0以下、休業災害件数の減少、災害型別の原因・対策を複数年公開する必要があります。
商品・サービスの安全|4/5
2025年12月時点で国内生産拠点のISO9001認証取得率は100%です。原材料、委託品、自社製品を対象とした化学物質管理基準も設け、法規制や顧客要求に応じて含有物質を管理しています。[出典10・18]
食品包装分野では、PFASを使用しないコーティング材を2025年から展開し、2026年には東京工場にDirect Food Contact対応設備を導入しました。食品に直接接触する包装向けではISO22000認証取得に向けた対応も進めています。[出典19・20]
品質と化学物質管理の仕組みは具体的なので4/5点です。5/5には、重大品質事故、回収、食品接触不適合、顧客苦情、不適合率などを会社単体の年次KPIとして公開し、低水準を複数年維持する必要があります。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議では、投稿集計で月平均残業22時間、有給消化率52.4%とされています。公式の2025年平均残業14.9時間・有休取得率62.9%より負担が大きく見えるため、部署や時期による差を確認する補助情報として扱います。[出典22、情報ランクB]
2024年の製品開発職の投稿には「ワークライフバランスは非常に良い。いつでも有給取れる。」という記述があります。一方、別の投稿では「一部部署では残業時間が法定水準を突破している部署があり」との記述もあります。全社平均だけでは見えない部署差がある可能性があります。[出典22、情報ランクB]
OpenWorkでは多数の口コミ集計で月平均残業約23時間、有給休暇消化率約55%とされています。法令順守に対する評価は比較的高い一方、人材育成などへの評価は相対的に低い傾向があります。個々の投稿は経験した部署・時期に左右されるため、公式データと併用します。[出典23、情報ランクB]
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、サカタインクスと残業、給料、休日、退職、パワハラ、事故、自動化、人員削減などを組み合わせて個別に検索しました。
今回の公開検索では、現在のサカタインクス株式会社の従業員・元従業員と特定でき、採点を変更できる具体性を持ち、本文まで確認できる有用な現行投稿は見つかりませんでした。有用な投稿が得られなかったこと自体は減点していません。
Innovation|18/25
Innovationでは、インキ工場の製造、設備保全、物流、研究開発で人が担う反復作業や危険作業をどこまで減らし、その成果を働く人の時間へ返しているかを評価します。サカタインクスはTPM・独自生産方式、研究開発自動化、物流改善を長期継続していますが、人の作業時間・重量・残業の削減量を案件別に示す情報はまだ少ないため18点です。
作業負担・危険の削減|6/10
サカタインクスはTPM活動と独自生産方式SDPSを進め、設備の自主保全、故障低減、製造リードタイム短縮、安全な職場づくりを継続しています。対象者の99%が設備保全・自主保全関連の社内資格を取得しているとしています。[出典14]
物流ではパレット・かご台車、フェリー・RORO船・鉄道へのモーダルシフト、共同物流を進め、ドライバーの手荷役や待機時間を減らす方針を明示しています。2025年11月からは東洋インキ、DICグラフィックスと首都圏で共同配送も開始しました。[出典16・17]
設備・物流の負担軽減策は具体的ですが、従来何時間・何kg・何人で行っていた作業が導入後どう変わったか、年間削減人時や事故件数が案件別には公表されていません。このため6/10点です。8/10には、主要工場で自動化前後の削減人時、重量物作業、危険作業、荷待ち時間を数値化し、複数拠点で成果を示す必要があります。
商品・サービスの改善|5/5
研究開発向けには、液体・粉体の取り扱い、試料調製、反応、分析装置連携を自動化するラボオートメーションシステムを扱い、実験データとAI・マテリアルズインフォマティクスを組み合わせる研究効率化を提案しています。[出典15]
自社製品でもPFASフリー食品包装用コーティング、Direct Food Contact対応、機能性材料など、環境・安全要求に応じた改良を継続しています。顧客企業の研究・製造負担を減らしながら製品性能を改善する取り組みが複数領域で続いているため5/5点です。[出典19・20]
改善成果の人間への還元|2/5
2025年の全社平均残業が14.9時間まで低下していることは、働く時間という結果では良い水準です。TPMでも設備故障、製造リードタイム、安全面の改善を掲げています。[出典3・14]
一方、TPM、SDPS、自動化、共同物流によって「導入前の残業が何時間で、導入後に何時間になったか」「必要人数を減らした場合に誰をどこへ配置転換したか」「生産性向上分を賃金・休日へ何%返したか」という因果を追える公開情報はありません。
自動化や改善が人の負担へつながる方向性は確認できますが、成果の直接還元を十分に検証できないため2/5点です。3/5には、主要プロジェクトごとに削減人時、導入後残業、配置転換、賃金、休日、危険作業の変化を同じ時系列で公開し、少なくとも複数拠点で人の自由時間または安全が改善したことを示す必要があります。
研究開発・現場改善の継続|5/5
東京・大阪の研究開発拠点を中心に、インキ、包装、機能性材料、デジタル印刷、電子材料などの研究開発を継続し、海外の研究開発機能とも技術移転・共同開発を行っています。[出典2・15]
TPM、SDPS、ラボ自動化、PFASフリー、Direct Food Contactなど改善テーマが複数年にわたって続いているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
研究開発や製造・物流で自動化、省力化を進めていますが、サカタインクス株式会社が自動化を理由として大規模な希望退職、整理解雇を発表した公開情報は今回の検索では見つかっていません。
2025年の単体従業員数は902人で、2024年の904人から大きな変化はなく、新卒・中途採用も継続しています。自己都合退職率は2.8%です。[出典1・3]
ただし、自動化を導入した部署ごとの導入前後の必要人数、配置転換人数、契約更新、採用抑制、再訓練後の退職者数は公表されていません。全社人員が安定していることだけで、自動化工程の雇用が維持されたとは断定しません。今後は、効率化で不要になった作業から、より安全で付加価値の高い仕事へ人を移せているかを部署単位で示すことが重要です。
Protection|17/25
Protectionでは、地震、火災、停電、物流停止、サイバー攻撃などが起きても、包装・出版・電子材料などを供給し続けられるかを評価します。サカタインクスはBCP、複数工場、CSIRT、復旧訓練、国内拠点のISO/IEC 27001で基盤を整えていますが、代替生産能力と復旧時間を外部から検証できる数字は不足しています。
災害への備え・訓練|3/5
サカタインクスは事業継続計画を整備し、リスク・コンプライアンス委員会で全社リスクを管理しています。災害、感染症、情報セキュリティなどの重大リスクについて、BCMSのPDCAを回す仕組みを公表しています。[出典12]
例えば首都圏の大地震で東京工場や本社機能が停止した場合、事前に代替拠点、連絡網、復旧手順を定めていれば、顧客の包装材・インキが届かない期間を短くできます。
BCPの仕組みは確認できるため3/5点です。一方、防災訓練の具体的な頻度、安否確認時間、非常電源の稼働時間、工場間切替の実測結果は十分に公表されていません。4/5には、年次訓練と目標・実測時間を公開する必要があります。
生産・物流・調達の代替|3/5
国内には東京、羽生、滋賀、大阪の4工場があり、研究拠点、支店、物流拠点も複数地域へ分散しています。海外にも製造・販売拠点があり、一地域だけに生産基盤を集中させていません。[出典2]
物流では鉄道・海上輸送、共同配送など複数手段を利用しています。道路輸送が止まった場合に別の輸送手段へ切り替えやすくする方向性は確認できます。[出典16・17]
一方、東京工場停止時に羽生・滋賀・大阪で何%代替できるか、特定原料が途絶した場合の代替調達量、切替に何時間・何日かかるかは公表されていません。このため3/5点です。4/5以上には、主要製品別の代替可能量と切替時間を訓練または実績で示す必要があります。
サイバー防衛・情報保護|5/5
サカタインクスは、ウイルス対策、ネットワーク利用制限、標的型メール訓練、外部評価・脆弱性診断、CSIRTを含む情報セキュリティ体制を公表しています。重大インシデント発生時の対応手順を整備し、年2回の復旧訓練も行っています。[出典12]
2026年6月には、本社、国内4工場、研究所、支店など国内主要拠点を対象としてISO/IEC 27001認証を取得しました。情報を扱う工場・営業・研究拠点へ第三者認証を広く適用していることを評価します。[出典13]
防御、訓練、CSIRT、第三者認証を国内主要拠点へ広げているため5/5点です。今後は重大事故0、検知・封じ込め・復旧時間も単体で継続公開すると、実績をさらに確認しやすくなります。
供給継続・復旧能力|4/5
複数の国内工場、物流手段、海外ネットワークに加え、BCPと情報システム復旧訓練を運用しています。特定拠点・システムが停止した場合に供給と業務を再開する準備は具体的です。[出典2・12]
特に情報システムについて年2回の復旧訓練を行っていることは、計画だけでなく復旧動作を試している点で評価できます。
一方、主要製造工程、受発注、物流、基幹システムのRTO・RPO、訓練時の実測復旧時間は公表されていません。このため4/5点です。5/5には、重要機能ごとに目標復旧時間を定め、訓練で目標内復旧を複数年実証して公開する必要があります。
危機時の市民への対応|2/5
2024年の能登半島地震では日本赤十字社を通じ200万円、2025年のミャンマー地震では国連UNHCR協会を通じ100万円を寄付するなど、災害時の支援実績があります。[出典21]
被災者支援へ資金を届けた実績はあるため2/5点です。一方、自治体との災害協定、避難所への物資提供、印刷・包装・物流機能を活用した直接支援、支援人数・到着時間などは十分に公表されていません。3/5以上には、自社の事業能力を使った災害支援を協定や実績として示す必要があります。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、国内工場の安全認証、国内拠点の情報セキュリティ認証、食品包装の安全・環境対応を評価します。これらはSafetyとProtectionを強め、利用者が安全な製品を受け取り、働く人が事故や情報被害に遭う危険を減らす方向の企業行動です。
2025年8月|国内4工場すべてでISO45001/JIS Q 45100認証を取得(Safety)
2025年8月までに、東京工場、羽生工場、滋賀工場、大阪工場の国内4生産拠点すべてでISO45001とJIS Q 45100の認証取得を完了しました。[出典11]
例えばインキ工場で薬品取扱いや設備保全、フォークリフト作業の危険がある場合、認証に基づくリスク評価、教育、是正の仕組みを全工場で共通化すれば、危険が特定拠点だけで放置される可能性を減らせます。
認証取得後に実際の休業災害や度数率が低下するかを継続確認する必要がありますが、国内全生産拠点へ安全衛生管理を広げたことはSafetyの前向きな動きです。
2026年6月|国内主要拠点でISO/IEC 27001認証を取得(Protection)
2026年6月16日、国内の本社、工場、研究所、支店などを含む主要拠点でISO/IEC 27001認証を取得しました。[出典13]
例えば顧客から預かった配合、製品、取引情報がサイバー攻撃で失われれば、製造だけでなく顧客側の包装・印刷も止まる可能性があります。情報セキュリティを営業部門だけでなく製造・研究拠点まで共通管理することで、情報漏えいと業務停止の両方を防ぎやすくなります。
年2回の復旧訓練と合わせて、Protectionの具体的な強みです。
2026年|東京工場にDirect Food Contact対応設備を導入(Safety・Innovation)
2026年には、食品包装向けのDirect Food Contactコーティングを製造するための設備を東京工場へ導入しました。食品に直接触れる用途を想定し、食品安全マネジメントの強化も進めています。[出典19]
食品包装でインキ・コーティングから内容物へ望ましくない物質が移行する危険を抑えられれば、利用者は包装された食品をより安心して利用できます。PFASフリー製品と合わせ、包装機能を維持しながら化学物質リスクを下げるInnovationとして評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
課題となる動きでは、雇用・昇進結果の男女差、直近で確認できる単体労災の悪化、障害者雇用率を見ます。制度や認証が整っていても、働く人の結果に差や事故が残れば、Safetyの実績として改善を続ける必要があります。
2025年|女性管理職4.3%・男女賃金比率59.4%(Safety)
2025年の女性社員比率17.9%に対して、女性管理職比率は4.3%です。男女賃金比率は全労働者59.4%、正規雇用67.1%、非正規54.7%でした。[出典3・4]
賃金制度自体に性別による差を設けていないと会社は説明しており、年齢・勤続・等級・職種・勤務時間などの構成差を含むため、この数字だけで同一労働の賃金差別とは判断できません。
一方、管理職比率と平均賃金の結果差が大きいことは、女性が長期勤続し上位等級へ進む機会が十分かを検証する材料になります。会社は女性管理職比率を2026~2027年度に8.5%、2030年に15%へ高める目標を掲げており、達成状況を追う必要があります。
2024年|単体休業災害3件・度数率2.38へ悪化(Safety)
2024年のサカタインクス単体は死亡災害0でしたが、休業災害3件、度数率2.38でした。2023年は休業災害1件、度数率0.88だったため、発生頻度は悪化しました。[出典3]
2025年には国内4工場でISO45001/JIS Q 45100認証をそろえたため、次に重要なのは認証取得後に事故件数が実際に減ったかです。安全管理制度の強化を、死亡0だけでなく休業災害と度数率の改善として示す必要があります。
2025年|障害者雇用率2.15%(Safety)
2025年の障害者雇用率は2.15%で、同社の資料に記載された法定雇用率2.50%を下回りました。[出典3]
障害のある人が能力に応じて安定して働ける職務設計、合理的配慮、採用・定着支援を強化し、法定水準を超えて継続雇用できる状態へ改善することが雇用の公平性につながります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
サカタインクス株式会社は73点、シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと7点必要です。残業14.9時間、平均年収825.8万円、男性育休80%、国内全工場の安全衛生認証、国内主要拠点の情報セキュリティ認証は強みです。一方、女性登用・賃金結果、労災実績、自動化成果の人への還元、BCPの復旧実測値を改善・公開すればAランクが見えてきます。
女性登用と雇用の公平性を結果で改善する|雇用の安定・待遇の公平性 3→4/5
現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。平均勤続18.9年、自己都合退職率2.8%は強い一方、女性管理職4.3%、全労働者の男女賃金比59.4%、障害者雇用率2.15%という結果差があります。
会社が掲げる女性管理職比率8.5%の中期目標を達成し、男女別昇進率、職種・等級・勤続を調整した賃金差を公開して格差縮小を示し、障害者雇用率も法定水準を上回って定着率まで公開できれば3→4点、+1点を検討できます。単独なら総合74点・Bです。
参考企業はKDDI株式会社です。当サイトDriveの現行審査は82点・Aです。KDDIは女性管理職比率を継続的に引き上げ、賃金・登用の指標を公開しています。サカタインクスでも、制度上の平等に加えて管理職・賃金という結果が縮まることを示す点が参考になります。
認証取得後の休業災害を減らし、度数率1.0以下を継続する|労働安全・健康 6→8/10
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。国内4工場でISO45001/JIS Q 45100を取得した一方、直近で単体比較できる2024年は休業災害3件・度数率2.38でした。
認証後の2025年以降について死亡0を継続し、休業災害件数を減らし、単体度数率1.0以下を複数年維持してください。さらに工場別の災害型、原因、再発防止、改善後の結果を公開できれば6→8点、+2点を検討できます。前項と合わせれば76点・Bです。
参考企業はTOPPAN株式会社です。当サイトDriveの現行審査は73点・Bで、「労働安全・健康」は8/10点です。2025年に労災死亡0、休業災害度数率0.043、強度率0.000を単体で公表しています。安全制度だけでなく事故結果まで毎年数値化する点が参考になります。
自動化の削減時間を残業・配置転換まで追跡する|改善成果の人間への還元 2→3/5
現在の「改善成果の人間への還元」は2/5点です。TPM、SDPS、研究開発自動化、共同物流は進んでいますが、効率化が従業員の時間へ何時間返ったのかを案件別に追える情報が不足しています。
主要工場・研究・物流の改善案件ごとに、導入前後の作業時間、必要人数、残業、危険作業、配置転換、再訓練を時系列で公開し、少なくとも複数拠点で残業や危険作業が実際に減ったことを確認できれば2→3点、+1点を検討できます。前2項目と合わせれば77点・Bです。
参考企業はTOPPAN株式会社です。当サイトDriveの現行審査ではInnovation 21/25点で、熊本工場の巡回点検を7割強削減し、浮いた時間を別業務へ振り向けたことまで公表しています。単なる省人化ではなく「減った時間を人へどう返したか」を示す点が参考になります。
BCP訓練の実測値と災害時の直接支援を公開する|災害への備え 3→4/5、供給継続 4→5/5、危機時の市民対応 2→3/5
現在は「災害への備え・訓練」3/5点、「供給継続・復旧能力」4/5点、「危機時の市民への対応」2/5点です。BCP、複数拠点、復旧訓練、寄付実績はありますが、主要工場・重要システムの実測復旧時間と、自社事業を使った直接支援の結果が不足しています。
年1回以上、主要4工場の停止を想定した拠点間切替訓練を行い、主要製品の代替可能量、切替時間、重要システムのRTO・RPOと実測復旧時間を公開してください。これを継続できれば災害3→4、供給継続4→5で+2点を検討できます。
さらに自治体・支援機関と、包装材・印刷・物流など自社能力を活用する災害協定を結び、実災害での支援量、支援人数、到着時間を公開できれば危機時の市民対応2→3点、+1点を検討できます。前3項目の+4点と合わせ、73+1+2+1+3=80点となりAランクへ到達します。
参考企業はTOPPAN株式会社とネスレ日本株式会社です。TOPPAN株式会社は当サイトDriveの現行審査で「災害への備え・訓練」4/5点で、拠点間連携訓練や重要事業の復旧計画を運用しています。ネスレ日本株式会社は72点・Bですが、「危機時の市民への対応」5/5点で、日本赤十字社との協定後、豪雨や能登半島地震で実際に製品を届けた実績を確認しています。
次のランクへ上がるための具体例
・女性管理職比率を4.3%から少なくとも会社目標の8.5%へ引き上げ、調整後男女賃金差と昇進率を公開し、障害者雇用率を法定水準以上で継続する。「雇用の安定・待遇の公平性」3→4点、+1点。参考企業はKDDI株式会社。
・国内4工場のISO45001運用後、死亡0を継続し、単体休業災害件数を減らし、度数率1.0以下を複数年維持する。「労働安全・健康」6→8点、+2点。参考企業は2025年度数率0.043を公表したTOPPAN株式会社。
・TPM、SDPS、自動化案件ごとに削減人時、残業、配置転換、危険作業の導入前後を公開し、複数拠点で人の自由時間または安全が改善したことを示す。「改善成果の人間への還元」2→3点、+1点。参考企業は熊本工場で巡回点検7割強削減と時間の再配置を公表したTOPPAN株式会社。
・4工場の停止を想定した年次BCP訓練で、代替生産量、切替時間、RTO・RPOを実測公開し、さらに災害時に自社の包装・物流能力を使う直接支援を実施する。「災害への備え」3→4点、「供給継続・復旧能力」4→5点、「危機時の市民への対応」2→3点で+3点。参考企業はTOPPAN株式会社とネスレ日本株式会社。
73点+雇用公平性1点+労働安全2点+人間への還元1点+Protection3点=80点となり、シビックランクAへ上がります。つまり、サカタインクスが次のランクへ上がるためには、すでに整っている制度・認証・技術を、女性登用、労災削減、自由時間、災害復旧時間という人に直接届く結果へ変え、その数値を単体で継続公開することが重要です。
出典一覧
1.サカタインクス株式会社「会社概要」
2.サカタインクス株式会社「国内事業所・研究開発拠点」
3.サカタインクス株式会社「ESGデータ/社会データ」2025年度
4.サカタインクス株式会社「有価証券報告書」2025年度
5.サカタインクス株式会社 採用サイト「数字で見るサカタインクス」
6.サカタインクス株式会社 採用情報・募集要項・FAQ
7.サカタインクス株式会社「労使関係・働き方」
8.サカタインクス株式会社「人権の尊重」
9.サカタインクス株式会社「コンプライアンス/インクス・ヘルプライン」
10.サカタインクス株式会社「ISO認証取得状況」
11.サカタインクス株式会社「国内4工場でISO45001およびJIS Q 45100認証取得」2025年
12.サカタインクス株式会社「リスクマネジメント・BCP・情報セキュリティ」
13.サカタインクス株式会社「ISO/IEC 27001認証取得」2026年6月16日
14.サカタインクス株式会社「TPM活動」
15.サカタインクス株式会社「研究開発・ラボオートメーション」
16.サカタインクス株式会社ほか「印刷インキ3社による共同配送」2025年
17.国土交通省「ホワイト物流」サカタインクス自主行動宣言
18.サカタインクス株式会社「化学物質管理・品質保証」
19.サカタインクス株式会社「Direct Food Contact対応設備」2026年
20.サカタインクス株式会社「PFASフリー食品包装用コーティング」
21.サカタインクス株式会社「社会貢献・災害支援」
22.転職会議「サカタインクス株式会社の評判・社員口コミ」[情報ランクB]
23.OpenWork「サカタインクス株式会社の社員クチコミ」[情報ランクB]
24.Google Drive「KDDI株式会社を企業審査|シビックランクA・82点/100点」現行版[参考企業]
25.Google Drive「TOPPAN株式会社を企業審査|73点/100点・シビックランクB」現行版[参考企業]
26.Google Drive「ネスレ日本株式会社を企業審査|72点/100点・シビックランクB」現行版[参考企業]
シビックランクの基準
| ランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
サカタインクス株式会社は73点のため、シビックランクBです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体が明確な一次情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
