私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する株式会社T2は、総合60点、シビックランクCです。
株式会社T2の特に強い点は、2025年7月に国内初となるレベル2自動運転トラックによる関東―関西間の商用運行を開始し、2026年3月には約500kmの高速道路本線を一度もドライバーの一時的なハンドル操作を発生させずに自動運転で完走したことです。さらに2026年8月にはISO9001認証を取得し、2027年度に予定するレベル4自動運転幹線輸送へ向け、安全論証、遠隔監視、切替拠点、通信インフラまで含めた物流システムを構築しています。
そのため、この企業のサービスが選ばれれば、長距離運転を人だけに依存せず、ドライバー不足が進んでも生活物資を届け続けられる物流へ近づく可能性があります。
一方で、改善点として、現在のオペレーションドライバー求人には50時間分の固定残業手当が設定され、深夜勤務・休日出勤もあります。会社単体の平均残業、有給取得率、男女賃金差、育休取得率、死亡・休業労災、事故率などの年次KPIは公開されていません。自動運転で社会全体の長距離運転負担を減らす企業だからこそ、自社で働くドライバーや開発・実験担当者の時間と安全を数字で示す必要があります。
この記事では、株式会社T2の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社T2の企業審査結果
T2は、自動運転によって長距離トラック輸送そのものを変えるInnovationでは非常に高く評価できます。一方、会社設立から4年程度の未上場スタートアップであることもあり、従業員の労働実績、労災、人権、BCPの結果開示は大企業ほど整っていません。
| 評価軸 | 点数 | 評価の要点 |
|---|---|---|
| Safety | 26/50 | 高水準の求人年収、入社時有給20日、ISO9001、安全管理・教育体制を評価。50時間固定残業、深夜・休日勤務、労働・労災・人権KPI非公表が課題 |
| Innovation | 21/25 | 約500km自動運転、商用運行、遠隔監視、トランスゲート、安全論証、V2Xを高評価。現時点ではレベル2でドライバー乗車が必要で、人への還元結果は未確立 |
| Protection | 13/25 | 複数拠点・多社連携、鉄道とのモーダルコンビネーション、情報セキュリティ方針、遠隔監視・バックアップ設計を評価。BCP・RTO・サイバー実績・災害時市民支援の公開不足が課題 |
| 総合点 | 60/100 | シビックランクC |
主な強み
・2025年7月、国内初のレベル2自動運転トラックによる関東―関西間の商用運行を開始
・2026年3月、関東―関西約500kmの高速道路本線を一時的なハンドル操作なしで完走
・2026年4月、神奈川県綾瀬市と兵庫県神戸市に無人/有人運転切替拠点「トランスゲート」を設置
・2026年6月、高速道路料金所を自動運転のまま通過する実験に成功
・2026年8月、品質マネジメントシステムISO9001:2015認証を取得
・2026年1月時点で従業員211人まで拡大し、AI、車両、運行管理、ドライバー、安全検証など幅広い職種を継続採用
・機械学習エンジニアは年収600万~2,000万円、運行管理・ドライバーは年収500万~800万円の求人を公開
・正社員の一部求人では入社時に有給20日を付与し、企業型確定拠出年金、ベビーシッター補助、テレワーク制度などを整備
・自動運転の安全性を走行距離だけでなく形式手法を用いて数学的・論理的に説明する安全論証を開発
・物流、通信、保険、自動車、鉄道、不動産など多数の企業と協力し、社会実装を一社だけに依存しない体制を構築
主な課題
・オペレーションドライバー求人では50時間分の固定残業手当を設定
・ドライバー・運行管理では深夜勤務、休日出勤を含む変形労働時間制
・会社単体の平均残業時間、45時間・60時間超人数、有給取得率、勤務間休息の達成率が非公表
・男女賃金差、女性管理職比率、育児休業取得率、離職率などの人的資本KPIが非公表
・死亡労災、休業災害、交通事故、自動運転・手動運転別事故率、ヒヤリハット件数が非公表
・人権方針、ハラスメント相談件数、内部通報・是正実績などの公開情報が不足
・自動運転で削減した運転時間が、T2自身や協力会社のドライバーの労働時間・賃金・休日へどの程度還元されたかはまだ確認できない
・BCP、災害訓練、非常電源、重要システムのRTO・RPOなどの結果開示が不足
・サイバーセキュリティ方針はあるが、MFA、EDR、SOC・CSIRT、攻撃演習、重大インシデント件数などの公開が不足
・レベル4自動運転の商用運行は2027年度開始予定であり、現時点の商用運行はドライバーが乗車するレベル2
事業内容と人間への貢献
株式会社T2は、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの実現を目指す物流・自動運転企業です。2022年8月30日に設立され、本社は東京都千代田区内幸町、技術・運行拠点として神奈川県座間市などを持っています。代表取締役CEOは熊部雅友氏です。2026年1月1日時点の従業員数は211人、資本金は1億円です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社T2 |
| 英文名 | T2 Inc. |
| 設立 | 2022年8月30日 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 熊部雅友 |
| 資本金 | 1億円 |
| 本社 | 東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル |
| 座間オフィス | 神奈川県座間市広野台2-10-7 プロロジスパーク座間1 3階 |
| 従業員数 | 211人(2026年1月1日時点) |
| 主な事業 | 自動運転システム開発、自動運転トラックによる幹線輸送サービス、関連サービス |
| 認証 | ISO9001:2015 |
| 累計資金調達額 | 2026年7月時点で165億円超 |
主な事業内容
T2は、自動運転システムだけを販売する会社ではありません。自動運転トラックを自社で開発し、車両を保有し、運送事業として顧客の貨物を実際に運ぶところまで手掛けています。2025年7月1日から関東―関西間でレベル2自動運転トラックの商用運行を開始し、食品、日用品、化学品、建材、郵便、紙製品など多様な貨物へ対象を広げています。
レベル4実現後は、高速道路区間を無人で運転し、一般道では有人運転へ切り替える構想です。そのために神奈川県綾瀬市と兵庫県神戸市へ「トランスゲート」を設置し、ドライバー交代、コンテナ交換、車両点検、運行管理などを行うオペレーションを構築しています。
主な利用企業・連携先
2026年時点で、SGホールディングス、西濃運輸、日本郵便、福山通運、三井倉庫ロジスティクス、大和物流、鈴与、住友化学、江崎グリコ、キユーピー、PALTAC、大王製紙、東レ、アサヒグループ、キリングループなど、多数の企業が商用運行や実証へ参加しています。
また、「自動運転トラック輸送実現会議」には物流、自動車、通信、鉄道、不動産など15社が参加し、国土交通省などとも意見交換を行っています。自動運転車両だけでなく、高速道路、通信、切替拠点、遠隔監視、保険、荷役まで含む社会インフラとして構築していることが特徴です。
事業による人間への貢献
長距離トラック輸送では、一人のドライバーが何百kmも運転する必要があります。長時間の運転は睡眠・家族時間を圧迫し、集中力低下による事故リスクにもつながります。さらにドライバー不足が進めば、食品、医薬品、日用品、工業製品などが必要な地域へ届かなくなる可能性があります。
T2が目指すレベル4では、高速道路の長距離区間をシステムが運転し、人は一般道、拠点内作業、遠隔監視、整備などを担当します。これが実現すれば、「長距離を何時間も走り続ける仕事」を機械へ移し、人間はより短距離・判断・管理・整備へ移ることができます。
一方、自動化が人を幸せにするには、ドライバーを減らすだけでは不十分です。自動化で削減された運転時間を、残業削減、休日増加、賃金維持・向上、安全な仕事への配置転換として働く人へ返す必要があります。本審査では、技術そのものだけでなく、この「人への還元」が確認できるかを重視します。
Safety|26/50
Safetyでは、T2自身で働くエンジニア、ドライバー、運行管理、実証担当者の賃金・休息・安全と、自動運転トラックを利用する顧客・道路利用者の安全を評価します。T2は安全技術と福利厚生には強みがありますが、労働時間と労災の結果開示はまだ弱い企業です。
賃金・利益の還元|6/10
機械学習エンジニア・リサーチャーの求人は年収600万~2,000万円、運行管理は500万~800万円、オペレーションドライバーも想定年収500万~800万円です。高度な自動運転技術者だけでなく、物流現場のドライバーにも500万円以上のレンジを設定している点は評価できます。
一方、T2は未上場企業であり、全社員の平均給与、中央値、職種別賃金、ベースアップ率、利益・資金調達分を社員へどれだけ還元したかは公表されていません。
求人水準は高いため6/10点です。8/10には、全社員の賃金中央値、職種別給与、毎年の基本給改定率を公開し、ドライバーを含めて物価上昇を上回る固定給改善が継続していることを示す必要があります。
労働時間・休息|3/10
オペレーションドライバー求人では、月収35.4万~53.3万円のうち、50時間分の固定残業手当10.6万~16万円を含みます。50時間を超えた分は追加支給されます。勤務は1か月単位の変形労働時間制で、深夜勤務・休日出勤があります。
固定残業50時間は、実際に毎月50時間残業することを意味するものではありません。しかし、会社単体の実残業平均が公表されていないため、「50時間分を設定しているが実際には10時間程度なのか」「40~50時間が常態化しているのか」を外部から判断できません。
Indeedには2025年3月の匿名1件で、実験担当は勤務時間が不規則になりやすいとの趣旨の投稿があります。1件だけなので会社全体へ一般化しませんが、実証走行という仕事特性と方向性は一致します。
正社員求人では入社時に有給20日を付与する職種もあり、休暇制度は強い一方、ドライバー勤務の実績開示不足と50時間固定残業を重く見て3/10点です。6/10には、ドライバー・実験担当を含む平均残業20時間以下、月45時間・60時間超の社員比率、有休取得率、勤務間休息を公開する必要があります。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
従業員数は2026年1月時点で211人まで増え、求人一覧ではAI、ソフトウェア、ハードウェア、安全検証、SCM、運行管理、ドライバー、営業、法務、総務など多数の職種を募集しています。障がい者採用枠も設けています。
2024年時点の資金調達60.7億円から、2026年7月には累計165億円超へ拡大しており、事業拡大と採用を続けています。短期的な大規模人員削減を示す情報も今回の検索では確認していません。
一方、男女別従業員数、女性管理職比率、男女賃金差、離職率、正社員転換率は公開されていません。このため3/5点です。
福利厚生・育児・介護|4/5
正社員の一部求人では入社時に年次有給休暇20日を付与しています。社会保険、企業型確定拠出年金、交通費、定期健康診断、ベビーシッター利用補助券、テレワーク、PC貸与、フリードリンクなども確認できます。ドライバー職でも産前産後、育児介護、アニバーサリー、慶弔などの特別休暇があります。
制度の幅は充実しているため4/5点です。一方、男性育休取得率、育休復職率、介護休暇利用、実際の有休取得率は公表されていません。
人権・ハラスメント・労使関係|1/5
T2はValuesとして「Safety first」「Be happy」「Empathy」などを掲げ、社員を尊重し自由度を与える組織を目指すとしています。
一方、現在の公開情報では、独立した人権方針、ハラスメント相談窓口、内部通報制度、相談・是正件数、研修受講率、労働組合や従業員代表との定期協議を確認できませんでした。
制度が存在しないと断定するものではありませんが、外部から運用を確認できないため1/5点です。
労働安全・健康|5/10
運行管理求人では、36協定や改善基準告示などの法規に従ってドライバーのシフトを作成し、安全を最優先に運行を管理すると明記されています。また、座間営業所には安全管理・ドライバー教育を担当する専任求人があり、事故分析、再発防止、法定添乗指導、専用コースや公道での技能訓練を行う体制があります。
一方、T2単体の死亡労災、休業災害、交通事故、自動運転走行中事故、手動走行事故、ヒヤリハット、度数率は公開されていません。
安全管理の仕組みは具体的なため5/10点です。8/10には、死亡0を継続し、休業災害、交通事故、走行100万km当たり事故率、重大インシデントを年次公開し、低い水準を複数年示す必要があります。
商品・サービスの安全|4/5
T2は2026年8月に品質マネジメントシステムISO9001:2015認証を取得しました。自動運転システムではLiDAR、Radar、Cameraなどを使い、2026年3月には関東―関西約500kmの高速道路本線をドライバーの一時的なハンドル操作なしで完走しています。
さらに、株式会社イミロンと連携し、衝突回避、安全停止などを形式手法で数学的にモデル化し、安全性を論理的に説明する仕組みを開発しています。単に「事故がなかった距離」を積み上げるだけではなく、なぜ安全なのかを説明可能にしようとしている点は高く評価できます。
一方、レベル4商用運行はまだ開始前で、自動運転・手動運転別の事故率やシステム介入回数、緊急停止件数は公開されていません。このため4/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
正しい対象法人である東京都千代田区内幸町の株式会社T2について、転職会議では9件の口コミがあり、投稿集計の残業は月40時間、有給消化率100%と表示されています。ただし件数が極めて少なく、職種・時期の偏りもあるため、会社全体の実績へ置き換えません。
Indeedでは1件のみで、2025年3月の日比谷・自動運転開発の匿名投稿から、会社が発展途上で急な指示が多く、実験担当では勤務時間が不規則になりやすいとの趣旨が確認できます。休みは取れるとの記載もあります。
口コミは少数であり、現時点では公式の実労働時間データが不足しています。そのため、「長時間労働が確定している」とは判断せず、「求人上の50時間固定残業と不規則勤務に対し、実績開示が必要」と評価します。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイ等について、株式会社T2、自動運転、ドライバー、残業、事故、退職、パワハラなどを組み合わせて確認しました。
対象法人の現役社員・元社員と特定でき、採点を変更できる具体的な現行投稿は今回の公開検索では確認できませんでした。公式Xなどには実証・技術情報がありますが、労働実態の根拠としては使用していません。有用な匿名投稿が見つからなかったこと自体は減点していません。
Innovation|21/25
Innovationでは、人が担ってきた長距離運転をどこまで自動運転へ移し、物流の供給力と安全を高め、人の時間へ返せるかを評価します。T2は企業の存在目的そのものが「人が長距離を運転し続けなくても物流を維持すること」であり、この軸では非常に高い評価です。
作業負担・危険の削減|9/10
2026年3月、T2は関東―関西約500kmの高速道路本線をレベル2自動運転で完走し、途中でドライバーによる一時的なハンドル操作を一度も発生させませんでした。2026年6月には料金所も自動運転のまま通過する技術を実証しています。
2027年度にレベル4が実現すれば、高速道路区間ではドライバーが乗車せず、一般道と物流拠点間の有人運転だけを人が担う構造へ変えられます。長距離運転そのものを機械へ移せるため、反復作業削減としては非常に大きな効果があります。
現時点はレベル2でドライバーが乗車しており、人の運転時間を完全に削減した実績にはまだなっていないため9/10点です。
商品・サービスの改善|5/5
2025年7月の商用運行開始後、食品、化学品、日用品、紙、郵便、建材などへ貨物を拡大し、2026年には定期商用運行も複数企業へ広がっています。
無人/有人運転を切り替えるトランスゲート、遠隔監視、コンテナ交換、V2X通信、料金所通過など、「車が自動で走る」だけでは事業にならない周辺オペレーションまで改善していることを評価します。
物流サービスそのものを継続的に社会実装しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|2/5
T2の技術が目指す最大の人への還元は、長距離ドライバーが高速道路を何時間も走り続けなくてよい状態をつくることです。
しかし現時点の商用運行はレベル2であり、ドライバーが乗車します。また、T2自身のドライバー求人には50時間固定残業、深夜・休日勤務があります。自動運転を導入した顧客企業で、実際にドライバーの残業が何時間減ったか、休日が何日増えたか、賃金が維持・向上したかという結果もまだ十分に公表されていません。
そのため2/5点です。4/5には、レベル4導入前後でドライバー1人当たり運転時間、残業、夜間勤務、有休、賃金、配置転換を追跡し、複数企業で明確な改善を示す必要があります。
研究開発・現場改善の継続|5/5
T2は2020年のPoC開始から、乗用車実験車両、トラック実験車両、公道実証、500km走行、商用運行、遠隔監視、形式手法による安全論証、V2X、トランスゲートへ段階的に開発を進めています。
クラウド上に96台のNVIDIA H200を搭載したGPUクラスタを構築し、大量の走行データを学習へ利用する研究基盤も整備しています。
研究開発が単発の実証で終わらず商用運行へ進んでいるため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
T2は「ドライバーを不要にする技術」を開発していますが、現時点では自社でドライバー、運行管理、安全管理、整備、遠隔監視、ソフトウェア、AIなどを積極採用しています。2026年1月時点の従業員数は211人で、自動化の開発と同時に新しい職種を増やしています。
レベル4では高速道路を無人化しても、一般道運転、拠点運営、運行管理、遠隔監視、整備、安全評価など人が担う仕事は残ります。このため「自動運転=全ドライバー失業」と単純化するのは適切ではありません。
一方、顧客企業でレベル4導入後に削減されるドライバー人数、配置転換、再訓練、採用抑制、退職人数はまだ公表されていません。社会実装後に雇用の追跡が必要です。
Protection|13/25
Protectionでは、地震、道路寸断、システム障害、通信障害、サイバー攻撃などが起きても物流を続けられるかを評価します。T2は鉄道・物流会社・通信会社との多社連携を構築していますが、会社単体のBCP・復旧KPIは十分に公開されていません。
災害への備え・訓練|2/5
T2は情報セキュリティ方針で、事故・災害・犯罪などの脅威から情報資産を守る方針を掲げています。また、自動運転システムでは緊急停止、遠隔監視、運行管理などを実証しています。
一方、地震・大規模停電・拠点火災を想定した会社BCP、安否確認、非常用電源、備蓄、トランスゲート間切替、防災訓練の頻度・結果は公開されていません。
物流インフラを担う企業としては具体的な災害対応の外部開示が不足しているため2/5点です。
生産・物流・調達の代替|4/5
T2は関東・関西のトランスゲートを設置し、多数の物流会社と協業しています。2026年には自動運転トラックとJR貨物を組み合わせる「モーダルコンビネーション」も展開し、関東―九州・中四国まで中継輸送を広げています。
高速道路輸送だけに依存せず、鉄道や他社トラックと組み合わせる設計は、道路障害や輸送力不足に対する代替手段になります。
一方、特定拠点・車両・高速道路が停止した場合に何%の貨物を何時間で別経路へ切り替えられるかは公開されていません。このため4/5点です。
サイバー防衛・情報保護|3/5
2025年8月に情報セキュリティ方針を制定し、経営責任、社内体制、従業員教育、事故対応を明示しています。求人では、遠隔監視・運行システムのクラウド設計において、暗号化、認証、ネットワーク分割、WAF、VPN、バックアップ・リカバリ、ログ管理、監視などを実装する方針が確認できます。
一方、ISO27001、SOC・CSIRT、EDR、MFA、標的型メール訓練、第三者攻撃演習、重大インシデント件数などの会社全体の公開情報は不足しています。このため3/5点です。
供給継続・復旧能力|3/5
T2は遠隔監視システム、運行管理、トランスゲート、複数物流会社との中継輸送を構築しています。クラウドシステムの求人でも、24時間365日運用、モニタリング、バックアップ・リカバリ、可用性を要件として設計するとしています。
物流サービスを止めないための技術設計は確認できますが、重要システムのRTO・RPO、通信断時の継続時間、バックアップ復元試験、実障害からの復旧時間は公開されていません。
このため3/5点です。
危機時の市民への対応|1/5
T2の事業そのものは、食品、医薬品、日用品などを将来も届け続ける物流インフラを守る目的があります。北九州市・鳥栖市とは自動運転トラックを活用した広域輸送ネットワークの拠点整備に関する官民連携協定も締結しています。
ただし、地震・豪雨などの実災害で、T2自身が救援物資を避難所へ運んだ実績、自治体との災害時緊急輸送協定、支援量・到着時間は今回確認できませんでした。
将来の社会インフラ性は高いものの、実災害での直接支援実績がないため1/5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近のT2では、レベル4に向けて「技術実証」から「商用運行・拠点・品質管理」へ進んだことを高く評価します。自動運転が研究室の技術ではなく、実際に貨物を運び、顧客企業から料金を得る物流サービスへ変わり始めています。
2026年3月|関東―関西約500kmをハンドル操作なしで本線完走(Innovation・Safety)
2026年3月、T2はレベル2自動運転トラックで関東―関西間約500kmの高速道路本線を走り、ドライバーによる一時的なハンドル操作を一度も発生させず完走しました。
長距離の本線で車線変更、合流、道路工事などへ対応できれば、レベル4で人が乗らずに運行できる範囲が広がります。ドライバーが長距離運転へ使う時間を機械へ移す上で重要な前進です。
2026年4月|神奈川・神戸に「トランスゲート」を設置(Innovation・Protection)
2026年4月、神奈川県綾瀬市と兵庫県神戸市に、無人運転と有人運転を切り替える「トランスゲート」を設置しました。
レベル4が高速道路だけで実現しても、一般道や荷主拠点まで完全無人化できなければ物流サービスは成立しません。人が必要な区間と機械へ任せる区間を分けることで、現実的に長距離運転負担を減らす仕組みです。
2026年8月|ISO9001認証を取得(Safety)
2026年8月、T2はISO9001:2015認証を取得しました。
自動運転トラックではソフトウェア、センサー、車両整備、運行管理、遠隔監視など多数の工程が関係します。品質マネジメントを第三者認証の枠組みで管理することは、実証段階から商用サービスへ移行する上で重要です。
悪いニュース・問題となった動き
現時点で重大な自動運転事故や行政処分を特定できなかった一方、働く人の時間については求人から明確な課題が確認できます。Innovationの目的が「人の長距離運転負担を減らすこと」であるだけに、自社ドライバーの働き方は重要です。
2026年|オペレーションドライバー求人で50時間分の固定残業を設定(Safety)
現在のオペレーションドライバー求人では、基本給24.7万~37.3万円に対し、50時間分の固定残業手当10.6万~16万円を含む月収35.4万~53.3万円としています。
50時間分の固定残業制度そのものが、実際の残業50時間を意味するわけではありません。しかし会社は実残業時間を公表していないため、働く人がどの程度の自由時間を確保できているか確認できません。
T2が長距離ドライバー不足と働き方の課題を解決する企業であるからこそ、自社のドライバーについて平均残業、夜勤回数、連続休息、有休取得を公開し、自動化でその数字が下がることを示してほしいところです。
2025年|実験担当の勤務が不規則との匿名口コミ(Safety)
Indeedには2025年3月の匿名口コミ1件で、実験担当では急な指示や不規則勤務があるとの趣旨が掲載されています。
1件のみの口コミなので、会社全体に問題があるとは判断しません。ただし自動運転実証は道路状況、時間帯、顧客貨物に合わせた試験が必要で、勤務が不規則になりやすい仕事です。
会社単体の残業、深夜勤務、休日出勤の実績を公開すれば、匿名口コミに頼らず実態を判断できます。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社T2は60点、シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと10点必要です。
自動運転技術そのものは非常に強く、Innovationは21/25点です。一方、T2が目指す「人の長距離運転負担を減らす社会」を自社の労働環境でも証明できていないことが最大の弱点です。次のランクへ進むには、レベル4開発をさらに進めるだけではなく、自社ドライバーと社員の残業、安全、人権、災害復旧を数字で示す必要があります。
ドライバーの実残業を20時間以下へ下げて公開する|労働時間・休息 3→6/10
現在の「労働時間・休息」は3/10点です。求人では50時間分固定残業、深夜・休日勤務がありますが、実際の平均残業は公開されていません。
ドライバー、運行管理、実験担当について月平均残業20時間以下、月60時間超0%、勤務間休息11時間以上、有休取得率70%以上を実現し、職種別に公開できれば3→6点、+3点を検討できます。単独なら63点・Cです。
参考企業はネスレ日本株式会社です。当サイトDriveの現行審査では月平均所定外労働3.7時間、有休平均15.6日を確認し、「労働時間・休息」8/10点です。T2も自動運転による時間削減を、自社社員の自由時間として見せることが重要です。
労災・交通事故・自動運転介入を年次公開する|労働安全・健康 5→7/10、商品・サービスの安全 4→5/5
現在は「労働安全・健康」5/10点、「商品・サービスの安全」4/5点です。安全管理、教育、形式手法、ISO9001は強い一方、事故結果が公開されていません。
死亡・休業労災、交通事故、自動運転走行100万km当たり事故率、緊急停止、ドライバー介入回数を毎年公開し、重大事故0と低い事故率を複数年維持できれば、労働安全5→7で+2、商品安全4→5で+1を検討できます。前項と合わせると66点・Cです。
参考企業はTOPPAN株式会社です。当サイトDriveの現行審査では死亡0、休業災害度数率0.043、強度率0.000を単体で公開し、労働安全8/10点です。T2でも安全技術の説明だけでなく結果の数字が必要です。
人権・働き方の運用結果を公開する|人権・ハラスメント・労使関係 1→3/5
現在の「人権・ハラスメント・労使関係」は1/5点です。Valuesはありますが、相談・通報制度と運用結果を外部から確認できません。
人権方針を制定し、匿名の社内・社外相談窓口、内部通報者保護、年次研修を整え、相談件数・是正結果・研修率を公開できれば1→3点、+2点を検討できます。前2項目と合わせると68点・Cです。
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。当サイトDriveの現行審査ではグループ人権方針、内部・外部ホットライン、労働組合などを確認し、人権4/5点としています。
BCP・サイバー復旧時間を公開する|災害への備え 2→3/5、サイバー 3→4/5
現在は「災害への備え・訓練」2/5点、「サイバー防衛・情報保護」3/5点です。
トランスゲート、遠隔監視、クラウド、車両、通信のいずれかが止まった場合を想定し、年次BCP訓練を実施してください。安否確認、非常電源、車両切替、別拠点運行、クラウド復旧について目標・実測時間を公開し、MFA、EDR、24時間監視、バックアップ復元、攻撃演習を具体化できれば災害2→3、サイバー3→4で+2点を検討できます。
これまでの+8点と合わせ、60+3+3+2+2=70点となり、シビックランクBへ到達します。
参考企業は伊藤忠商事株式会社です。当サイトDriveの現行審査では、拠点バックアップ、備蓄、BCP訓練、ITCCERT、標的型メール訓練、第三者攻撃演習などを確認しています。
次のランクへ上がるための具体例
・ドライバー・実験担当の平均残業20時間以下、月60時間超0%、勤務間休息11時間以上、有休70%以上を職種別に公開する。「労働時間・休息」3→6点、+3点。
・死亡・休業労災、交通事故、走行距離当たり事故率、緊急停止、ドライバー介入回数を公開し、重大事故0を複数年継続する。「労働安全・健康」5→7点、「商品・サービスの安全」4→5点、+3点。
・人権方針、匿名相談、内部通報、研修、相談・是正件数を公開する。「人権・ハラスメント・労使関係」1→3点、+2点。
・地震、停電、通信断、クラウド障害を想定したBCP・サイバー復旧訓練を行い、RTO・実測復旧時間を公開する。「災害への備え」2→3点、「サイバー防衛・情報保護」3→4点、+2点。
60点+労働時間3点+安全3点+人権2点+BCP・サイバー2点=70点となり、シビックランクBへ上がります。
つまり、T2が次のランクへ上がるためには、自動運転技術をさらに高度化するだけでなく、「自動運転によって人が何時間楽になったか」「事故が何件減ったか」「障害が起きても何分・何時間で戻せるか」を、自社と顧客の実績として数字で示すことが重要です。T2が掲げる物流改革を、自社で働く人の時間と安全でも証明できれば、Innovationの高い評価を総合点へ反映しやすくなります。
出典一覧
1.株式会社T2「会社概要」
2.株式会社T2 採用求人「会社情報」従業員211人・資本金1億円
3.株式会社T2「事業内容」
4.株式会社T2「ニュース」2025~2026年商用運行・輸送実証
5.株式会社T2「トランスゲート綾瀬・神戸西を設置」2026年4月24日
6.株式会社T2「自動運転トラック輸送実現会議」
7.株式会社T2/HERP「機械学習エンジニア・リサーチャー」求人
8.株式会社T2/HERP「運行管理」求人
9.株式会社T2/HERP「オペレーションドライバー」求人
10.Indeed「株式会社T2の社員クチコミ」2025年3月[情報ランクB]
11.株式会社T2「シリーズBラウンド1stクローズで50億円調達、累計165億円超」2026年7月21日
12.株式会社T2「私たちについて/Values」
13.株式会社T2/HERP「座間営業所安全管理及びドライバー教育担当」求人
14.株式会社T2「ISO9001:2015認証取得」2026年8月7日
15.株式会社T2「関東―関西500kmの高速道路本線完走」2026年3月31日
16.株式会社T2・株式会社イミロン「形式手法による自動運転安全論証」2025年8月5日
17.転職会議「株式会社T2」東京都千代田区内幸町[情報ランクB]
18.株式会社T2「高速道路料金所を自動運転のまま通行」2026年6月15日
19.総務省関連「V2X通信システム技術的検討事業」2026年6月18日
20.株式会社T2「情報セキュリティ方針」2025年8月1日
21.株式会社T2「自動運転トラック×貨物鉄道のモーダルコンビネーション」2026年
22.株式会社T2/HERP「クラウドエンジニア/アウトカー領域」求人
23.株式会社T2「北九州市・鳥栖市等との自動運転拠点整備に関する官民連携」2026年7月
24.Google Drive「ネスレ日本株式会社を企業審査|72点/100点・シビックランクB」現行版[参考企業]
25.Google Drive「TOPPAN株式会社を企業審査|73点/100点・シビックランクB」現行版[参考企業]
26.Google Drive「キリンビバレッジ株式会社の企業審査|74点・シビックランクB」現行版[参考企業]
27.Google Drive「伊藤忠商事株式会社を企業審査」現行版[参考企業]
シビックランクの基準
| ランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
株式会社T2は60点のため、今回のシビックランクはCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体が明確な一次情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
