私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するアサヒロジ株式会社は、総合68点、シビックランクCです。
アサヒロジ株式会社の特に強い点は、25メートルのダブル連結トラックで大型トラック1台・ドライバー1人と比べ輸送力を約2倍に高める技術と、2025年の大規模サイバー障害で物流システムが停止した後、翌日にBCPへ移行し約3日後に出荷を再開した復旧力です。そのため、この企業の物流サービスを利用する企業が増えれば、限られたドライバーでより多くの商品を運びながら、デジタル障害が起きても生活に必要な飲料・食品を再び届けられる物流網につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、女性管理職比率3.6%、男女平均賃金比率64.2%という格差が残り、社長自身が重大事故を二度経験したと明かしているにもかかわらず、アサヒロジ単体の死亡・休業労災、度数率、強度率が継続比較できる形で公表されていないことが残ります。
この記事では、アサヒロジ株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
アサヒロジ株式会社の企業審査結果
アサヒロジは、飲料・酒類・食品を中心に、工場内物流、倉庫、荷役、輸配送、配車、需給管理、3PL、通関までを担う物流会社です。2026年4月時点で79拠点、従業員2,192人、1日最大延べ6,000台の全国輸配送ネットワークを公表しています。
物流DXと実際の危機復旧には強みがあります。一方、現場にはフォークリフト、工場ライン、倉庫作業、夜勤・交替勤務など身体・安全負荷の高い仕事もあり、男女格差と労災結果の透明性が現行基準では大きな課題です。
| 評価軸 | 点数 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 30/50 | 賞与5.3か月、平均残業約20時間、男性育休65.2%、安全DXを評価。男女格差、重大事故、単体労災KPI不足が課題 |
| Innovation | 21/25 | ダブル連結で輸送力約2倍、自動運転実証、映像AI、K2改善活動を高評価。自動化成果の全社的な労働時間還元は不足 |
| Protection | 17/25 | 79拠点・複数輸送モード、サイバー障害3日後の出荷再開を評価。大規模システム停止と情報セキュリティ事故が大きな課題 |
| 総合 | 68/100 | シビックランクC |
主な強み
・25メートルダブル連結トラックは、通常の大型トラックのドライバー1人と比較して輸送力約2倍、CO2排出量約27%削減が期待されます。
・自動運転トラックによる関東―関西の酒類・飲料幹線輸送実証へ、他の飲料系物流会社と共同参加しています。
・映像AIの試行拠点では、従来十分把握できていなかったヒヤリハットが約1か月で50件近く確認され、全国約50拠点へ展開する計画です。
・2025年9月のサイバー攻撃で通常の物流システムが使えなくなった後、翌日にBCP方針を決め、約3日後に出荷を再開しました。10月の出荷量は通常時の約8割まで維持しました。
主な課題
・2025年度の女性管理職比率は3.6%、男女平均賃金比率は全労働者64.2%、正規雇用71.2%です。
・従業員2,192人のうち、正社員1,359人、契約社員833人で、契約社員が約38%を占めます。
・社長は就任後に重大事故を二度経験したと公表していますが、事故の種類、死傷状況、アサヒロジ単体の最新死亡・休業労災、度数率、強度率は公表されていません。
・2025年のサイバー攻撃では、アサヒグループ国内の受注・出荷関連システムが停止し、物流関連システムも機能不全となりました。グループ全体では個人情報の流出・流出可能性も大規模に発生しています。
事業内容と人間への貢献
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | アサヒロジ株式会社 |
| 法人番号 | 2010801000006 |
| 本社 | 東京都品川区東五反田3丁目20番14 住友不動産高輪パークタワー7階 |
| 設立 | 2006年1月1日 |
| 代表者 | 代表取締役社長 児玉徹夫 |
| 資本金 | 8,000万円 |
| 売上高 | 1,002億4,900万円、2024年12月期 |
| 事業所数 | 79拠点、2026年4月 |
| 従業員数 | 2,192人、正社員1,359人・契約社員833人、2026年4月 |
| 主な事業 | 貨物自動車運送、貨物利用運送、倉庫、荷役・梱包、通関、3PL、工場内製造請負等 |
本社所在地、売上高、事業内容は2026年1月現在の会社公式情報、事業所・従業員数は2026年4月現在の公式値を使用しています。
主な事業
アサヒロジは、完成品をトラックで運ぶだけの会社ではありません。原材料や包材を工場へ供給し、完成品を倉庫へ入れ、出荷指示に合わせてピッキングし、フォークリフトで積み込み、配車担当が車両を割り当て、店舗・卸・物流センターへ輸送する一連の工程を担います。
会社は自動車だけでなく、鉄道コンテナと内航海運の貨物利用運送許可も持っています。道路が混雑した場合や長距離輸送でドライバー不足が深刻な場合、鉄道・船舶を組み合わせられることは、物流の代替性を高めます。
主な利用企業・取引先
主要取引先には、アサヒ飲料、アサヒビール、アサヒグループ食品、ニッカウヰスキーのほか、カゴメ、東洋製罐、MizkanLogitecなどが掲載されています。グループ外取扱い比率は2024年12月期で30.8%です。
アサヒグループだけに閉じず、外部食品メーカーの3PLや共同配送も担うことで、倉庫や配送網を複数荷主で使いやすくしています。
事業による人間への貢献
飲料・酒類・食品は、工場で作っただけでは生活者へ届きません。倉庫、在庫、荷役、配車、トラック、配送先の納品時間がつながって初めて、店頭で買える状態になります。
アサヒロジは1日最大延べ6,000台の輸配送ネットワークを持ち、事務職914人、フォークリフト職572人、工場ライン職321人、倉庫作業職243人、配車職97人など、異なる役割をつないでいます。
物流を効率化できれば、欠品や過剰在庫、低積載のトラック、長時間の荷待ちを減らせます。一方、効率化によって現場へ無理な速度や仕事量を押しつければ人間への貢献にはなりません。そのためInnovationでは、技術導入だけでなく働く人の負担が実際に減ったかも評価します。
Safety
Safetyでは、物流現場の給与、時間、雇用形態、育児、人権、交通・フォークリフト事故、商品の安全な輸送を分けて評価します。制度面には強みがありますが、重大事故を経験している会社として、単体の安全結果を数字で公開することが重要です。
賃金・利益の還元|6/10
2026年4月の新卒初任給は全国転勤のNコース23万1,300円、エリアのAコース21万8,400円です。地域手当、家族手当、早出残業、休日、深夜、交替勤務などは別途支給され、賞与は2025年実績で基本給5.3か月分です。昇給は年1回です。
賞与5.3か月と各種手当を評価して6/10点です。一方、アサヒロジ全社員の平均年収、中央値、2026年の平均ベースアップ率、正社員・契約社員別の年収分布は公表されていません。
8/10点には、職種・雇用形態別の平均・中央値、毎年のベースアップ率を公開し、物価上昇を上回る実質賃金改善を複数年確認できる必要があります。
労働時間・休息|6/10
新卒採用FAQでは全社月平均の残業時間は約20時間です。年間休日は現在117日で、2027年1月から120日へ増える予定です。会社公式の平均有給休暇取得日数は2024年12.25日、2023年12.26日です。
月20時間は極端な長時間労働とは言えませんが、物流は拠点・職種・繁忙期による差が大きい仕事です。転職会議の投稿者集計では残業28.9時間、有給消化率60.4%となっており、公式全社値より負担の大きい職場がある可能性を示します。
休日と平均残業を評価して6/10点です。8/10点には、全社だけでなくフォークリフト、工場ライン、配車など職種別平均残業を月15時間以下、有給平均15日以上または取得率80%以上とし、月60時間超の労働者0人を継続して公開する必要があります。
雇用の安定・待遇の公平性|2/5
2026年4月時点の従業員2,192人のうち、正社員は1,359人、契約社員は833人です。契約社員は約38%で、多くの有期・非正規雇用者が現場を支えています。女性は全従業員の31%です。
2025年度の女性管理職比率は3.6%、男女平均賃金比率は全労働者64.2%、正規雇用71.2%、パート・有期66.2%です。これは同じ職務の女性へ男性の64.2%しか払っているという意味ではなく、職種、役職、勤続、雇用形態、勤務時間の構成差を含みます。
それでも女性31%に対し管理職3.6%、正規雇用でも賃金比71.2%という結果には大きな改善余地があります。2/5点です。3/5点には、女性管理職比率10~15%以上、正規男女賃金比80%以上をまず実現し、契約社員の正社員登用率、平均勤続、賃金差も公開する必要があります。
福利厚生・育児・介護|4/5
採用情報では、アサヒグループ共済会、健康保険組合、財形、社員持株会、ベネフィットステーション、保養施設、育児休暇・短時間勤務、介護休暇・短時間勤務などが確認できます。
2025年度の男性育児休業取得率は65.2%です。男性の育児参加が一部の例外にとどまらず広がっている点を評価して4/5点です。
5/5点には、男性取得率90~100%、男女の復職率、平均取得日数、工場・倉庫・交替勤務者の利用率、介護制度の利用実績まで単体で継続公開する必要があります。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
公式安全ページでは、従業員だけでなくパートナー・協力会社を含めたハラスメント防止を掲げ、教育と報告体制を整備しています。飲料系物流4社による飲酒運転根絶の共同宣言も行っています。
相談・報告の仕組みと協力会社を含めた対象範囲を評価して4/5点です。一方、アサヒロジ単体の相談件数、ハラスメント認定件数、是正件数、解決期間は公表されていません。
5/5点には、匿名性を守りながら相談・認定・是正の年次実績を公開し、再発率や研修受講率まで示す必要があります。
労働安全・健康|4/10
アサヒロジは、フォークリフト競技大会、愛車運動、安全教育、飲酒運転防止を継続しています。愛車運動では、ある事業所で半年後に仕事量を変えずケガ・物損0件となり、全国展開後にフォークリフト関連の商品破損件数を約40%削減したと公表しています。
2026年には映像AIを使った安全DXも進め、試行拠点で約1か月に50件近いヒヤリハットを可視化しました。さらに全国約50拠点へ展開する計画です。全国27拠点にはクールダウンスペースを設け、WBGT、身体冷却、熱中症疑い時の初期対応を組み合わせています。
一方、児玉社長は就任後に「重大事故を二度経験した」と明かしています。事故の種類、死傷状況、発生時期、原因の詳細は公表されていません。またアサヒロジ単体の死亡労災、休業労災、度数率、強度率、交通事故・フォークリフト人身事故の年次実績も公表されていません。
予防策と具体的改善を評価して4/10点です。公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。6/10点には、死亡・重大労災0、休業災害件数、度数率、強度率、交通・フォークリフト事故を単体で毎年公開し、低い事故率を複数年確認する必要があります。
商品・サービスの安全|4/5
物流では、事故なく商品を届けること自体がサービス品質です。アサヒロジはフォークリフト・トラックの安全運転教育、飲酒運転防止、荷役改善を進めています。愛車運動後のフォークリフト関連商品破損約40%削減は、働く人だけでなく顧客商品の損傷を減らす成果です。
4/5点です。5/5点には、誤配・破損・温度逸脱・重大交通事故・顧客クレームなどを単体の年間KPIとして公開し、低い水準を複数年継続する必要があります。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedのアサヒロジ株式会社ページでは、勤務時間・残業、定着・昇進などに厳しい評価が見られます。2026年4月19日の匿名投稿には、「あらかじめ残業できる日を指定しないと帰れません」とあります。
一方、口コミは拠点・職種・時期が限定された情報ランクBです。会社公式の全社平均残業約20時間と矛盾すると断定せず、特定職場では負担感が異なる可能性を示す補助材料として扱います。
転職会議の集計では215件の投稿を基に残業28.9時間、有給消化率60.4%です。これも投稿者集計であり、全従業員の公式実績の代わりにはしません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
Xなどの一般SNS、5ちゃんねる、爆サイについて、アサヒロジ株式会社と「残業」「事故」「夜勤」「退職」「フォークリフト」「解雇」などを分けて確認しました。
2026年の対象法人について、本文まで確認でき、採点を変更できるほど具体的な従業員投稿は見つかりませんでした。このため、SNS・匿名掲示板だけを根拠に加点・減点はしていません。
Innovation
Innovationでは、人手不足を理由に働く人へ負担を集中させるのではなく、トラック、AI、共同配送、改善活動によって同じ仕事を少ない時間・危険でできるかを評価します。アサヒロジは複数の技術を実運用へ進めている一方、現場には身体負荷の高い仕事も残っています。
作業負担・危険の削減|8/10
2025年1月に茨城―福島間で運行を始めた25メートルダブル連結トラックは、通常の大型トラックのドライバー1人と比べ輸送力約2倍、CO2約27%削減が期待されます。1人が一度に運べる量が増えれば、同じ貨物量に必要な長距離運転回数を減らせます。
2025年6月からはT2、キリン、サッポロ、サントリー系物流会社と関東―関西の自動運転幹線輸送実証にも参加しました。
フォークリフトでは映像AIで危険場面を自動抽出し、管理者が映像を探す時間を減らしながらヒヤリハットを把握できます。
ただし工場内では重量物、交替勤務、手作業も残っています。全社で何時間の運転・荷役・重量物取扱いが減ったかまでは公表されていないため8/10点です。10/10点には、導入前後の運転時間、荷役時間、重量物取扱回数、事故・ヒヤリハットを同じ条件で比較する必要があります。
商品・サービスの改善|5/5
ダブル連結、自動運転実証、鉄道コンテナ、内航海運、共同配送、3PLを組み合わせ、輸送手段と物流設計そのものを改善しています。アサヒロジは道路輸送だけに固定されず、顧客の拠点・物量・納品条件を分析して物流網を組み替えられます。
輸送能力を約2倍にする実運行と、次世代の自動運転実証を並行しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5
ダブル連結では、同じドライバー1人で約2倍の輸送力を持たせられるため、貨物量当たりの運転者負担を下げる方向性は明確です。安全AIも、管理者が膨大な映像から危険場面を探す作業を自動化します。
一方、これらの技術によってアサヒロジ全社の平均残業が何時間下がったか、夜勤・長距離運転が何回減ったか、浮いた利益が賃金・休日・教育へどう返ったかは公表されていません。
3/5点です。5/5点には、技術導入部署で残業を20%以上削減し、長距離運転時間、休日、賃金、配置転換、再訓練を導入前後で公開する必要があります。
研究開発・現場改善の継続|5/5
アサヒロジ発足当初から続くK2「改革改善チャレンジ」は、QC手法を使った全従業員参加型の改善活動です。安全競技大会、愛車運動、ダブル連結、自動運転、安全AIへ改善テーマが広がっています。
現場の小集団改善と大型技術投資を継続しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
アサヒロジは自動運転実証と安全AIを進めていますが、2026年現在も新卒約20人を募集し、物流拠点、工場、配車、需給、企画、営業など複数職種で採用を続けています。
公開情報では、自動運転・AIを理由にした大規模希望退職、採用全面停止、人員整理は確認できません。一方、従業員数の変動が技術導入によるものか、事業量や組織再編によるものかを切り分けるデータもありません。
今後は自動化対象部門について、導入前後の人数、配置転換、契約更新、採用数、再訓練時間、退職率を同じ基準で公開する必要があります。
Protection
Protectionでは、災害やサイバー攻撃で物流システム・道路・拠点が止まったとき、飲料や食品をどれだけ早く再び動かせるかを評価します。アサヒロジは2025年のサイバー危機で大きな弱点を露呈した一方、実際にBCPを動かし復旧した実績も持っています。
災害への備え・訓練|3/5
アサヒロジは全国79拠点を持ち、2025年の大規模システム障害では翌日に物流BCP方針を策定して実際に代替運用へ移りました。BCPが文書だけではなく、危機時に動く仕組みであることは確認できます。
例えば地震で一つの物流拠点や情報システムが止まった場合、出荷拠点を絞り、紙や手入力など代替フローへ切り替えられれば、完全停止を避けられます。
一方、自然災害を想定した全社訓練回数、参加率、安否確認時間、各拠点の備蓄、RTOは公表されていません。3/5点です。4/5点には、主要79拠点の訓練実績と目標復旧時間を年次公開する必要があります。
生産・物流・調達の代替|5/5
アサヒロジは79拠点、1日最大延べ6,000台の輸送網を持ち、自動車に加えて鉄道コンテナ、内航海運の利用運送許可を保有しています。
さらに共同配送、ダブル連結を運用し、2025年のサイバー障害では出荷対応拠点を絞るなど、実際にネットワークを組み替えました。
道路、鉄道、船舶、複数拠点、協力会社を組み合わせる代替能力と、実危機での切替実績があるため5/5点です。
サイバー防衛・情報保護|2/5
2025年9月29日のアサヒグループへのサイバー攻撃では、物流関連システムを含む国内の業務システムが大規模に停止しました。攻撃者はネットワーク機器から侵入し、パスワードの脆弱性を悪用して管理者権限を取得したとグループ調査で説明されています。
グループ全体では従業員・退職者、家族、取引先担当者、顧客問い合わせ者などの個人情報が流出または流出した可能性があり、2026年7月に対象範囲が更新されました。ただし、この人数をアサヒロジ単体の漏えい人数とは扱いません。
事件後はVPN機器の廃止、ゼロトラスト対応端末、ネットワーク分離、EDR強化、第三者ペネトレーションテスト、脅威ハンティング、ログ監視、バックアップ強化、復旧訓練などを進めています。
大規模障害という実害を重く見て2/5点です。4/5点には、アサヒロジが使う主要物流システムへの対策実装範囲、重大事故0、第三者テスト、バックアップ復元訓練、RTO・RPO、検知・封じ込め・復旧時間を単体または国内物流範囲で公開し、複数年の改善を確認する必要があります。
供給継続・復旧能力|5/5
サイバー障害発生日の翌9月30日に対策会議で物流BCPを決め、通常システムが使えない中で代替業務フローを構築し、約3日後に出荷を再開しました。
10月の出荷量は通常時の約8割でした。グループ全体の物流システムによる受注・出荷は12月に段階的に再開し、配送リードタイムを含む物流全体の正常化は2026年2月と公表されています。
最初の3日で出荷を再開したことは、生活者から見れば「何か月も商品が出ない」状態を防ぐ効果があります。一方、完全正常化には時間を要したため、今後もシステム停止そのものを短くする改善が必要です。
計画ではなく実障害で復旧力を示したため5/5点です。
危機時の市民への対応|2/5
2025年のサイバー危機では、通常の物流機能が使えない中でも出荷を再開し、食品・飲料供給を完全停止させない対応を取りました。生活に必要な商品を動かし続けたことは、市民生活を守る機能として一定の加点対象です。
一方、アサヒロジ単体が自治体や支援団体と災害時緊急輸送協定を結び、避難所へ物資を直接届けた数量・時間を示す公開情報はありません。
2/5点です。3~4点には、自治体等との緊急輸送協定を整備し、実災害で支援物資の配送量、要請から到着までの時間、対象地域を公開する必要があります。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、ドライバー不足、安全、猛暑という物流現場の具体的課題へ技術と設備を直接当てています。アサヒロジのサービスを選ぶ企業が増え、こうした取り組みが広がれば、少ない運転者で供給を維持しながら、倉庫・荷役の事故や熱中症を減らせる可能性があります。
2026年6月|映像AIで約1か月に50件近いヒヤリハットを可視化
南茨木支店での試行では、現場が「それほど多くない」と考えていたヒヤリハットが約1か月で50件近く確認されました。6つのリスクシーンを定義し、AIで危険映像を自動抽出する仕組みへ進化させ、全国約50拠点への展開を計画しています。
事故が起きてから原因を見るのではなく、事故前の危険行動を見つけられる点が重要です。今後、実際の接触事故・休業災害が何%減ったかまで公開されればSafety評価をさらに上げられます。
2026年夏|全国27拠点へクールダウンスペースを導入
猛暑対策として、全国27拠点へクーラーテントとスポットエアコンを導入しました。WBGTによる危険把握に加え、一定時間ごとの身体冷却と熱中症疑い時の初期対応に使います。
物流現場では屋外や大型倉庫で体温が上がりやすく、休憩室まで遠ければ冷却が遅れます。作業場所の近くに冷却空間を置くことは、熱中症の重症化と休業を減らす方向です。
2025年1月|ダブル連結で輸送力約2倍
茨城―福島間で25メートルダブル連結トラックの自グループ運行を開始しました。大型トラック1台のドライバー1人と比較して輸送力約2倍、CO2約27%削減が期待されます。
物流の人手不足に対し、労働時間を長くするのではなく、一人が安全に運べる量を増やす方向として評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
悪いニュースでは、現実に発生した重大事故とサイバー障害、働く人の格差を重く見ます。物流が止まれば店頭供給が止まり、事故が起きれば働く人の生命・健康が損なわれます。改善されない場合、効率化の利益より大きな人間的損失が残ります。
2025~2026年|社長が「重大事故を二度経験」と公表
2026年6月のインタビューで児玉社長は、社長就任後に重大事故を二度経験したと説明しました。これを契機に、人の注意力だけに頼らない安全DXへ進んでいます。
事故後に仕組みを変えたことは評価できます。一方、事故の時期、類型、死傷状況、原因、再発防止後の事故率が公表されていないため、「改善した結果」を外部から確認できません。
2025年9月|サイバー攻撃で物流システムが停止
9月29日の攻撃では、物流関連システムが機能しなくなり、通常方式の受注・出荷・配送ができなくなりました。3日後に出荷を再開した復旧力は強みですが、10月の出荷量は通常時の8割で、供給力2割が失われた状態でした。
さらにグループ全体では個人情報の大規模な流出・流出可能性が判明しました。アサヒロジ単体の件数ではありませんが、物流機能が依存するグループIT基盤の弱点としてProtectionでは減点対象です。
2025年度|女性管理職3.6%・男女賃金比64.2%
女性は全従業員の31%ですが、女性管理職比率は3.6%です。全労働者の男女賃金比率64.2%、正規雇用でも71.2%でした。
同一労働への差別的賃金を示す数字ではありません。しかし女性がどの職種・雇用形態・役職へ配置され、昇進しているかという構造の差が結果に表れている可能性があるため、要因分解と改善が必要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
アサヒロジ株式会社は68点、シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと2点必要です。
ダブル連結、自動運転、安全AI、全国物流網、実際のサイバー危機からの復旧は大きな強みです。一方、次のランクへ上がるには、新技術を増やすだけでなく、事故と労働時間を実際に減らした結果を単体数値で示すことが最も重要です。
単体の死亡・休業労災を公開し、重大事故0を継続する|労働安全・健康 4→6/10
現在の「労働安全・健康」は4/10点です。映像AI、愛車運動、暑熱対策など具体策はありますが、社長が重大事故を二度経験したと明かす一方、アサヒロジ単体の死亡・休業労災、度数率、強度率がありません。
アサヒロジには、死亡・重大労災0を目標とし、休業災害件数、度数率、強度率、交通事故、フォークリフト人身事故、熱中症休業件数を毎年公開してほしいです。AI導入拠点ではヒヤリハットと接触事故の導入前後も比較します。
重大事故0と低い事故率を複数年確認できれば4→6点、+2点を想定します。68+2=70点となり、CからBへ上がります。
参考企業はTOPPAN株式会社です。当サイトDriveの現行審査は73点・Bで、2025年の単体労災死亡0、休業災害度数率0.043、強度率0.000を公開し、「労働安全・健康」は8/10点です。アサヒロジも予防策に加え、結果を数字で示すことが参考になります。
職種別残業を15時間以下、有休平均15日以上へ改善する|労働時間・休息 6→8/10
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。全社平均残業約20時間、有休平均12.25日は極端に悪い数字ではありませんが、職種・拠点差が見えにくく、口コミ集計では残業28.9時間という差もあります。
ダブル連結、共同配送、配車改善、自動運転、安全AIを主要拠点へ広げ、全社・職種別平均残業を15時間以下、有休平均15日以上または取得率80%以上、月60時間超0人へ改善してほしいです。
これを確認できれば6→8点、+2点です。68+2=70点となり、別経路でもBランクへ到達します。
参考企業はネスレ日本株式会社です。当サイトDriveの現行審査は72点・Bで、2024年度の月平均所定外労働3.7時間、有休平均15.6日を確認し、「労働時間・休息」は8/10点です。
次のランクへ上がるための具体例
現在:68点・C
Bランク下限:70点
不足:2点
・労働安全・健康 4→6:死亡・重大労災0、休業災害件数、度数率、強度率、交通・フォークリフト事故、熱中症休業を単体で年次公開し、低い事故率を継続する。+2点
68+2=70点となり、シビックランクCからBへ上がります。
別の経路として、ダブル連結、共同配送、自動化を職種全体の時間削減へつなげ、平均残業15時間以下、有休平均15日以上、月60時間超0人を達成・公開して「労働時間・休息」を6→8点へ上げても70点に到達します。
アサヒロジが次のランクへ上がる鍵は、物流DXの導入数ではなく、その技術で事故と残業が実際に何件・何時間減ったかを示すことです。
出典一覧
1.アサヒロジ株式会社「会社概要」
2.アサヒロジ株式会社「数字で見るアサヒロジ」
3.Gビズインフォ「アサヒロジ株式会社」
4.アサヒロジ株式会社 新卒採用「採用情報」
5.アサヒロジ株式会社「安全」および児玉徹夫社長・安全DXインタビュー
6.アサヒロジ「茨城―福島間25mダブル連結トラック稼働開始」2025年2月6日
7.アサヒグループジャパン・アサヒロジ「自動運転トラックによる酒類・飲料の幹線輸送実証に参画」2025年6月5日
8.アサヒグループホールディングス 2025年12月期 有価証券報告書
9.アサヒグループホールディングス「サイバー攻撃によるシステム障害の再発防止策とガバナンス強化」2026年2月18日
10.アサヒグループホールディングス「サイバー攻撃により流出した可能性のある個人情報について」2026年7月17日
11.カーゴニュース/ダイヤモンド・オンライン「絶望から3日で出荷再開、アサヒロジ社長がサイバー攻撃の極限下で見出した打開策」2026年4月23日
12.カーゴニュース/ダイヤモンド・オンライン「サイバー攻撃でアサヒの物流システム停止→現場が作り上げた簡易システム」2026年4月23日
13.Indeed「アサヒロジ株式会社の社員クチコミ」
14.転職会議「アサヒロジ株式会社の評判・口コミ」
15.物流ウィークリー「アサヒロジ クールダウンスペースを全国27拠点に設置」2026年9月18日
16.当サイトGoogle Drive「TOPPAN株式会社を企業審査|73点/100点・シビックランクB」現行版
17.当サイトGoogle Drive「ネスレ日本株式会社を企業審査|72点/100点・シビックランクB」現行版
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
