私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するキリングループロジスティクス株式会社は、総合70点、シビックランクBです。
キリングループロジスティクス株式会社の特に強い点は、海老名物流センターで飲料ケースの重筋ピッキングとフォークリフト搬送を自動化し、実証時に生産性42%向上を確認したことに加え、鉄道・内航海運・共同配送を組み合わせて長距離トラックへの依存を減らしていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、人が重い飲料ケースを扱う作業と長距離輸送への負担を減らしながら、食品・飲料を安定して届ける物流が広がる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、KGLが管理する物流現場全体について死亡・休業労災、交通事故、フォークリフト接触などの現在の統合KPIが十分に公表されていないことに加え、2025年度の女性経営職比率8.6%、正規雇用の男女賃金比率80.6%が残ります。
この記事では、キリングループロジスティクス株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
キリングループロジスティクス株式会社の企業審査結果
キリングループロジスティクスは、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンなどの物流を担い、受注、需給、配車、拠点管理、物流企画、外販3PLを行う物流会社です。採用情報では、実際の配送や倉庫内作業はパートナー会社に委託し、対象法人は物流の管理・マネジメントを担うことが明示されています。
| 評価軸 | 点数 | 評価の要点 |
|---|---|---|
| Safety | 32/50 | 残業20.5時間、有休84.7%、男性育休66.7%、福利厚生、安全教育を評価。賃上げ実績、委託現場の労災KPI、男女格差が課題 |
| Innovation | 20/25 | 自動ピッキング実証42%向上、重筋作業・フォークリフト搬送の自動化を評価。最新DXの賃金・休日・雇用への還元は不足 |
| Protection | 18/25 | 鉄道・船・トラックの代替輸送、バックアップ協定、全国網、サイバー対策を評価。KGL固有RTO・RPOと直接市民支援が不足 |
| 総合点 | 70/100 | シビックランクB |
評価時点:2026年10月14日
主な強み
・2025年度の月平均所定外労働時間20.5時間、平均有給休暇取得14.5日、有休取得率84.7%
・2025年度の男性育児休業取得率66.7%、女性100%
・年間所定労働時間は1,920時間から1,896時間へ24時間削減
・海老名物流センターでAGF4台、AGV11台、ピッキングロボット1台を連携
・自動ピッキング共同実証で生産性42%向上
・重量飲料の重筋作業とフォークリフト搬送を自動化
・鉄道障害時にトラック等へ切り替えるバックアップ輸送体制を構築
・2026年にサッポログループ物流と神奈川エリアの共同配送を開始
・2026年に異業種間の繁閑差を利用した人材シェアを開始
・2026年6月に女性活躍推進企業「えるぼし」3段階目を取得
主な課題
・既存社員全体の現在のベースアップ率、賃金中央値、職種・等級別賃金が公表されていない
・2025年度の女性経営職比率8.6%
・男女賃金比率は全労働者70.3%、正規雇用80.6%、パート・有期54.7%
・KGLの管理する物流現場全体について、死亡・休業労災、交通事故、フォークリフト事故等を同じ分母で追える現在の公開KPIがない
・自動化、共同配送、モーダルシフト後に残業・賃金・事故・待機時間がどれだけ改善したかを施策別に追える数字が不足
・KGL単体のBCP訓練結果、重要物流機能のRTO・RPO、サイバー復旧時間が公表されていない
事業内容と人間への貢献
KGLの仕事は、商品を自社トラックで運ぶことだけではなく、全国の物流を設計・管理することです。注文量と在庫を見て出荷拠点を決め、トラック、鉄道、船、倉庫、協力会社を組み合わせ、欠車や災害が起きれば輸送計画を組み替えます。飲料や食品を必要な地域へ必要な時期に届ける「物流の司令塔」に近い役割です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | キリングループロジスティクス株式会社 |
| 法人番号 | 7010001104899 |
| 本社 | 東京都中野区中野4丁目10番2号 中野セントラルパークサウス |
| 創業 | 1899年 |
| 設立 | 1941年8月 |
| 代表取締役社長 | 小林 信弥 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 連結年商 | 768億円(2025年度) |
| グループ従業員数 | 1,882人(2026年1月) |
| 主な事業 | 貨物利用運送、作業請負、倉庫、酒類販売媒介、通関 |
会社公式の従業員1,882人はグループ従業員数です。直接社員と、実際の運転・荷役を担うグループ会社・パートナー社員を混同せずに評価します。
主な事業内容
対象法人の直接社員は、物流企画、受注、需給、輸配送手配、外販営業、出荷拠点管理などを担当します。
実際の大型トラック輸送やフォークリフト荷役は、ケーエルサービス東日本・西日本・九州や協力会社が大きく担います。そのため、KGLの社員だけが安全であればよいのではなく、KGLが設計・発注・管理する物流現場全体で事故や拘束時間を減らすことが重要です。
主な利用企業・取引先
主なグループ顧客は、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン、永昌源などです。キリン製品をベースカーゴとした全国輸配送網を使い、グループ外企業にも物流サービスを提供しています。
事業による人間への貢献
食品・飲料は工場で製造しただけでは消費者へ届きません。KGLが在庫と輸送を組み合わせることで、スーパー、コンビニ、飲食店へ商品が届き、欠品を減らせます。
人への負担削減も具体的です。海老名物流センターでは、従来人が判断しながら行っていた重量飲料ケースの積み付けを、AGF、AGV、ピッキングロボットで自動化しました。実証では生産性が42%向上しています。導入設備はAGF4台、AGV11台、ピッキングロボット1台です。
この自動化によって、人が重いケースを繰り返し持つ重筋作業とフォークリフト搬送を機械へ移せます。会社は、ピッキング人員を検品など別の仕事へ再配置できることも説明しています。つまり、人を減らすことだけを目的とする自動化ではなく、重い作業から別業務へ移す設計を確認できます。
2026年にはサッポログループ物流と神奈川エリアで共同配送を始めました。同じ地域へ各社が別々のトラックを走らせる代わりに荷物をまとめれば、必要車両とドライバーを減らし、物流人手不足の中でも配送網を維持しやすくなります。
Safety|32/50
Safetyでは、KGL直接社員の賃金・休息・育児・公平性と、KGLが管理する物流ネットワークの安全・品質を分けて確認します。
2025年度の労働時間と有休取得は良好です。一方、現場作業をパートナーへ委託する物流会社として重要な「KGLの物流に従事する人全体の事故結果」の公開が不足しています。
賃金・利益の還元|6/10
2026年の中途求人では、物流事務で基本給27万~30万円、賞与実績4.15カ月、残業手当別支給などの条件が確認できます。
固定残業代へ大きく依存せず、実際に働いた時間へ時間外手当を払う設計は評価できます。
一方、求人は採用時の条件です。既存社員全体の2026年ベースアップ率、平均基本給、賃金中央値、役職・職種別賃金は公表されていません。
物流効率化で生まれた利益が社員へどれだけ固定給として返ったかを外部から追えないため6/10点です。
全社員の賃金中央値と基本給改定率を公開し、物価上昇を上回る実質賃金上昇を複数年確認できれば8/10点を検討できます。
労働時間・休息|8/10
2025年度の月平均所定外労働時間は20.5時間、平均有給休暇取得日数14.5日、有給休暇取得率84.7%です。
2024年度は月平均残業24時間、平均有休取得13.3日だったため、残業は3.5時間減り、有休取得日数は1.2日増えました。
さらに年間所定労働時間は1,920時間から1,896時間へ24時間削減され、現在の採用情報でも1,896時間が確認できます。
残業20.5時間は10時間台には届きませんが、有休取得率84.7%と改善傾向を評価して8/10点です。
全社平均残業15時間以下、部署別でも20時間以下、有休取得率90%以上、月45時間・60時間超の従業員が低水準であることを継続開示できれば10/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
2025年度の法定開示では、女性経営職比率8.6%です。
男女賃金比率は、全労働者70.3%、正規雇用80.6%、パート・有期54.7%です。
これらの数字は、同じ仕事をする女性だけに低い賃金表を適用していることを示すものではありません。役職、職種、勤続年数、勤務時間などの構成差も影響します。
一方、結果として管理職・高賃金職への到達に差が残っています。
2026年6月には、女性活躍推進企業として「えるぼし」3段階目を取得しました。取り組みの進展を評価しつつ、結果差が大きいため3/5点です。
女性経営職15~20%以上、正規雇用の男女賃金比率90%以上へ改善し、職位・職種・勤続年数を調整した賃金差も小さいことを公開できれば5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
2025年度は、男性の育児休業対象9人中6人が取得し66.7%、女性は14人中14人で100%でした。
借り上げ社宅、企業年金基金、確定拠出年金、キリングループ福祉会、財形貯蓄、育児・介護休暇なども用意されています。
制度と実利用を評価して4/5点です。
一方、男性育休取得率は2024年度の100%から66.7%へ低下しています。平均取得日数、育休後復職率、介護休業利用実績も十分に公開されていません。
男性育休90%以上を継続し、取得日数・復職率まで公開できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|3/5
KGLは他のビール系物流会社と共同で、従業員だけでなくパートナー・協力会社も含めたハラスメント防止方針を掲げています。
教育、安心して報告できる仕組み、適切な処置、職場改善まで明記している点を評価します。
一方、KGL単体の相談件数、認定件数、是正件数、研修受講率、再発率は公表されていません。
制度の存在だけでなく、その制度が実際に人を救えているかという結果が不足するため3/5点です。
相談・認定・是正・再発防止の結果を匿名化して毎年公開できれば4~5/5点を検討できます。
労働安全・健康|4/10
KGLは構内パートナーへ業務委託マネジメントシステムを導入し、毎月の安全品質会議・安全衛生委員会、事故事例共有、フォークリフト実技研修、KYT、アルコールチェックを実施しています。
安全をKGL社員だけでなく、乗務員、フォークリフトオペレーター、パートナーまで管理対象にしている点は重要です。
一方、2026年10月時点で、KGLの管理物流現場全体について、死亡事故、休業災害、交通事故、フォークリフト接触、熱中症などの件数と度数率を毎年比較できる統合KPIは公表されていません。
安全の仕組みは具体的ですが、結果を横断比較できないため4/10点です。
KGLの仕事に従事する自社・グループ会社・主要委託先を対象範囲別に集計し、死亡・重篤災害0、休業災害度数率、交通事故率、フォークリフト事故率を年次公開して低下傾向を確認できれば8/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5
KGLは誤積み、誤配送、誤受注、配送時間不適合を継続管理し、誤積・誤配と配送時間不適合は業界平均より低い事故発生率だと説明しています。
物流品質を取扱量に対するppmで管理することは、単純な事故件数よりも業務量の増減を考慮して品質を追える利点があります。
一方、比較に使われている外部調査は古く、現在のKGL実績ppmを毎年比較できる数値の公開が不足しています。
管理体制と低事故率を評価して4/5点です。現在の誤配・破損・時間不適合ppmと重大品質事故0を複数年公開できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
口コミサイトでは、公式値より残業・有休について厳しい集計もあります。
2026年の勤務経験者による投稿では、本社・支社ではフレックスを使える一方、拠点勤務では適用されないという内容も確認できます。
公式の2025年度平均残業20.5時間、有休取得率84.7%とは対象者・集計方法が異なるため、口コミの数字へ置き換えません。
全社平均が改善していても、拠点・部署によって負担差がある可能性を確認する補助情報として扱います。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名と残業、退職、人員削減などを組み合わせて確認しました。
対象法人との関係と投稿本文を確認でき、公式資料・求人・従業員口コミを上回って採点を変更できる公開投稿は見つかりませんでした。
投稿が見つからないこと自体は安全性や働きやすさの証明ではないため、加点していません。
Innovation|20/25
Innovationでは、人手不足を長時間労働で埋めるのではなく、重量物作業、搬送、共同配送、輸送モード、繁閑差を技術と物流設計で変えているかを評価します。
KGLは物流企業の中でも具体的な自動化成果を持ちます。一方、最新施策で減った時間や利益を、賃金・休日・安全へどこまで返したかの定量化が不足しています。
作業負担・危険の削減|8/10
海老名物流センターの自動ピッキングは、AGF4台、AGV11台、ピッキングロボット1台を連携し、重量飲料の積み付けとフォークリフト搬送を自動化しています。
2022~2023年の共同実証では、生産性が実証前より42%向上しました。2024年12月から実設備が稼働しています。
人が重い段ボールを繰り返し持つ重筋作業と、庫内のフォークリフト搬送を機械へ移すため、腰・肩への負担や人車接触リスクを減らす方向が明確です。
一方、導入前後の腰痛、休業災害、残業、待機時間が何%減ったかは公表されていません。
具体的な負担削減を評価して8/10点です。人の負担・事故・時間の実測改善まで公開できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|4/5
KGLは共同配送、モーダルシフト、輸送障害時のバックアップ、荷待ち・荷役時間の改善などを組み合わせています。
2026年にはサッポログループ物流と神奈川エリアの共同配送を開始しました。
トラック不足時に同じ方向へ別々の車を走らせるより、共同配送の方が車両を有効利用でき、ドライバー不足でも供給を維持しやすくなります。
一方、共同配送後の車両削減台数、待機時間、配送遅延率などの定量結果は公開が限られるため4/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5
KGLは業務改善と多能工化を背景に年間所定労働時間を24時間削減しました。
さらに2025年度には、月平均残業が2024年度24時間から20.5時間へ改善しています。
生産性改善によって生まれた時間を勤務設計と実残業の両方で人へ返している点を評価できます。
一方、自動ピッキング、共同配送、モーダルシフトなど個々の施策が、何時間の残業削減、何円の賃上げ、何件の事故減少につながったのかは公表されていません。
そのため3/5点です。施策別の削減時間と、配置転換、賃金、休日、安全を結びつけて公開できれば4~5/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
自動ピッキングの実証・本稼働、トラック荷積み・荷降ろし自動化の共同実証、共同配送、モーダルシフト、改善活動の横展開などを継続しています。
2026年には、異業種の繁閑差を利用して人員を融通する新しい取り組みも始まりました。
単発の設備投資ではなく、技術、輸送方式、人材運用の複数方向から改善を続けているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
海老名の自動ピッキングについて、会社はピッキング人員を検品など他の作業へ再配置できると説明しています。重筋作業から別の仕事へ移す設計が明示されています。
また、KGL本体では新卒・中途採用が継続しています。2025年新卒22人、2026年新卒15人について、マイナビでは離職者0人と掲載されています。
今回の調査では、自動ピッキングを理由とする大規模な希望退職、契約終了、採用全面停止を示す公表情報は確認できませんでした。
一方、自動化対象工程から実際に何人を検品などへ移し、配置転換後の賃金、雇用形態、退職率がどう変わったのかは公開されていません。
2026年6月には、タカラ倉庫運輸サービスとの間で異業種間の繁閑差を利用した人材活用も開始しました。人手が余る時期と不足する時期を企業間で組み合わせる考え方です。
Protection|18/25
Protectionでは、災害、輸送障害、サイバー攻撃が起きても飲料・食品を届け続けられるかを評価します。
KGLは鉄道、船、トラックを平時から組み合わせ、輸送障害時の代替手段まで準備している点が強みです。一方、KGL固有の復旧目標時間と直接的な市民支援には改善余地があります。
災害への備え・訓練|3/5
鉄道輸送障害に備えたバックアップ輸送協定、キリングループのBCP、全国の拠点・パートナー網を確認できます。
例えば豪雨や地震で貨物鉄道が止まった場合、トラックなどの代替輸送を調整できれば、飲料・食品の供給停止を短くできます。
一方、KGL単体のBCP訓練回数、安否確認完了時間、主要拠点停止を想定した訓練結果は公表されていません。
協定と仕組みを評価して3/5点です。実地訓練の頻度・結果まで公開できれば4~5/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|5/5
KGLはトラック、鉄道、内航海運を平時から使い分け、全国の支店、外部倉庫、グループ会社、輸送パートナーを組み合わせています。
一つの輸送手段が止まってから初めて代替手段を探すのではなく、平時から複数の輸送モードを使用しているため5/5点です。
サイバー防衛・情報保護|4/5
キリングループではグループ横断の情報セキュリティ体制を整備し、KGLもその対象会社として情報保護を進めています。
製造・物流では、受注、在庫、配車などのシステムが停止すると、商品自体が存在しても出荷できなくなるため、情報システムのProtectionは供給継続に直結します。
一方、KGL固有のMFA適用率、重要物流システムのRTO・RPO、オフラインバックアップ、ランサムウェア復元訓練時間は公表されていません。
グループ体制への参加を評価して4/5点です。実測復旧結果まで公開できれば5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|4/5
輸送モードの分散、バックアップ協定、全国拠点、共同配送によって、一つの路線・企業・輸送手段だけに依存しない物流構造を持っています。
一方、主要拠点停止時に何時間で代替拠点へ切り替え、通常処理量の何%まで戻せるのかというRTO・代替能力は公表されていません。
供給継続の構造は強いため4/5点です。実測の切替時間・回復率まで確認できれば5/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|2/5
KGLの本業は飲料・食品物流であり、災害時に通常の商品供給を維持すること自体が市民生活へ役立ちます。
一方、KGL本体が自治体と災害支援協定を結び、避難所へ飲料や生活物資を緊急輸送したといった現在の具体的な直接支援実績は公表されていません。
通常供給を守るProtectionと、市民へ直接支援するProtectionを分けるため2/5点です。
自治体との緊急物流協定、年次訓練、実災害での物資輸送実績をKGL自身の結果として公開できれば4~5/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近のKGLでは、女性活躍、共同配送、人材シェア、安全啓発など、物流を人手の追加だけで維持するのではなく、働き方と物流設計を変える動きが続いています。
KGLのサービスを選ぶことは、重複輸送や重筋作業を減らし、少ない人員でも生活物資を届け続ける物流への需要を増やすことにつながります。
2026年6月|えるぼし認定3段階目を取得(Safety)
2026年6月、女性活躍推進企業として「えるぼし」3段階目を取得しました。
外部基準に基づく認定を得た点は評価できます。
一方、2025年度の女性経営職比率は8.6%なので、認定取得だけで男女の役職差が解消したとは扱いません。
2026年6月|異業種間でフォークリフト人材を相互活用(Innovation)
タカラ倉庫運輸サービスとの間で、業種ごとの繁閑差を利用した物流人材の活用を開始しました。
繁忙期に一方の会社で残業が増え、同じ時期に別業種で人員が余るというズレを小さくできれば、人手不足を長時間労働だけで補う必要を減らせます。
2026年4月|サッポロと神奈川エリア共同配送を開始(Innovation・Protection)
サッポログループ物流と神奈川エリアの配送を共同化しました。
例えばドライバー不足で一社だけでは便を維持できない場合でも、荷物をまとめて積載率を高められれば、必要便数を抑えながら店頭への供給を維持しやすくなります。
2024年12月以降|海老名の自動ピッキングを本稼働(Innovation)
AGF、AGV、ピッキングロボットを組み合わせた自動ピッキングを本稼働しました。共同実証時には生産性42%向上を確認しています。
重量ケースを人が持つ工程を直接機械へ移している点が強みです。
今後、腰痛、労災、必要人数、残業の導入前後比較まで公開できれば、Innovationの評価をさらに上げられます。
悪いニュース・問題となった動き
直近でKGL本体の総合評価を大幅に下げる新たな大規模行政処分などは今回の公開調査では特定していません。
一方、働く人の公平性と、安全管理の「結果」を外部から追いにくい状態は残っています。改善されなければ、物流DXが進んでも、パートナーを含む現場の事故・待遇が本当に良くなったか判断できません。
2025年度|正規男女賃金比80.6%、女性経営職8.6%(Safety)
2025年度の法定開示では、女性経営職比率8.6%、男女賃金比率は全労働者70.3%、正規雇用80.6%、パート・有期54.7%でした。
えるぼし取得後も、管理職への登用と雇用区分を含む待遇差の縮小を、結果として確認する必要があります。
2026年時点|物流現場全体の労災KPIが十分に見えない(Safety)
毎月の安全品質会議、研修、KYT、アルコールチェック、委託管理は具体的です。
しかし、KGLの物流に従事する人全体について、死亡・休業労災、交通事故、フォークリフト事故を同じ定義で追える公開KPIはありません。
設備・教育を増やした結果、事故が何件減ったのかが見えなければ、働く人の安全が改善したかを外部から確認できません。
公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
2026年時点|現行のサービス事故ppmが公開テキストで追いにくい(Safety)
KGLは誤積・誤配と配送時間不適合が業界平均より低いとしていますが、現在の事故率を年次で比較できる数値開示が不足しています。
食品・飲料物流では、誤配や納品遅れが店舗欠品や再配送につながります。
最新のppmを継続公開すれば、利用者の欠品だけでなく、再配送を担うドライバーの追加負担が減っているかも判断しやすくなります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
キリングループロジスティクス株式会社は現在70点・シビックランクBです。
次のAランクは80点からなので、あと10点必要です。
Innovationと代替輸送はすでに強いため、次に必要なのは、賃金還元、物流現場全体の安全結果、人権・ハラスメント対応の結果、市民向け危機対応を数字で改善・公開することです。
既存社員への賃上げ結果を公開してほしい|賃金・利益の還元:6→8/10
現在は求人上の基本給、賞与4.15カ月、残業代別支給などを確認できますが、既存社員全体のベースアップ率、賃金中央値、職種別賃金が公表されていません。
全社員の賃金中央値と基本給改定率を毎年公開し、物価上昇を上回る実質賃金上昇を複数年継続できれば8/10点を検討します。
現在:6/10点
改善後:8/10点
加点:+2点
総合:70→72点
ランク:Bのまま
参考企業は東京インキ株式会社です。当サイト現行審査では、2026年3月期の平均年間給与779万7,283円、前年比5.4%増を確認し、「賃金・利益の還元」8/10点、総合75点・Bとしています。
パートナーを含む労災・交通事故を年次公開してほしい|労働安全・健康:4→8/10
現在は安全教育・委託管理が具体的ですが、死亡・休業労災、交通事故、フォークリフト事故をKGLの仕事全体で比較できません。
自社社員、グループ会社、主要委託先を対象範囲別に分けつつ、死亡・重篤災害0、休業災害度数率、交通事故率、フォークリフト事故率を毎年公開し、複数年で低下を確認できれば8/10点を検討します。
現在:4/10点
改善後:8/10点
加点:+4点
総合:70→74点
ランク:Bのまま
参考企業はレンゴー株式会社です。当サイト現行審査では、単体の労災度数率0.90と具体的な安全対策を確認し、「労働安全・健康」8/10点、総合84点・Aとしています。
ハラスメント相談・是正結果を公開してほしい|人権・ハラスメント・労使関係:3→5/5
KGLはパートナーまで含む共同ハラスメント防止方針を持ちますが、相談件数、認定、是正、研修受講率の結果が公表されていません。
相談・通報件数、認定件数、是正件数、再発率、研修受講率を匿名化して年次公開し、従業員・パートナー双方が報復なく相談できる運用結果を確認できれば5/5点を検討します。
現在:3/5点
改善後:5/5点
加点:+2点
総合:70→72点
ランク:Bのまま
参考企業はレンゴー株式会社です。当サイト現行審査では、人権デュー・ディリジェンス、外部弁護士窓口、匿名通報、年間400回以上の労使協議を確認し、「人権・ハラスメント・労使関係」5/5点です。
自治体との緊急物流協定と実輸送を作ってほしい|危機時の市民への対応:2→4/5
KGLは飲料・食品の通常供給を守る力がありますが、KGL自身が自治体から要請を受け、避難所へ飲料・生活物資を運ぶ制度・実績は公表されていません。
主要自治体と緊急物資輸送協定を結び、年1回以上の輸送訓練を行い、実災害で要請から出発・到着までの時間と輸送量を公開できれば4/5点を検討します。
現在:2/5点
改善後:4/5点
加点:+2点
総合:70→72点
ランク:Bのまま
参考企業はレンゴー株式会社です。当サイト現行審査では、自治体との防災協定と実災害での段ボールベッド供給を確認し、「危機時の市民への対応」5/5点です。
次のランクへ上がるための具体例
現在70点・Bで、Aランクは80点からです。あと10点必要です。
・全社員の賃金中央値と基本給改定率を公開し、実質賃金上昇を継続する
賃金・利益の還元6→8点
+2点
・パートナーを含む死亡・重篤災害0、休業災害度数率、交通・フォークリフト事故率を公開し、低下を継続する
労働安全・健康4→8点
+4点
・相談・認定・是正・再発率・研修率を公開し、救済の実効性を示す
人権・ハラスメント・労使関係3→5点
+2点
・自治体との緊急物資輸送協定、年次訓練、実災害での輸送時間・数量を公開する
危機時の市民への対応2→4点
+2点
70点+2点+4点+2点+2点=80点となり、シビックランクAへ上がります。
KGLは、物流を自動化・共同化・多重化する技術と設計ではすでに強い企業です。
次のランクへ上がるには、その物流改善が社員とパートナーの所得・安全・救済、そして災害時の市民支援へ実際に返ったことを数字で示す必要があります。
出典一覧
1.キリングループロジスティクス株式会社「会社概要」【情報ランクA】
2.経済産業省 Gビズインフォ「キリングループロジスティクス株式会社」【情報ランクS】
3.マイナビ2028「キリングループロジスティクス株式会社 働き方データ」【情報ランクA】
4.キリングループロジスティクス株式会社「採用FAQ・応募要項」【情報ランクA】
5.ケーエルサービス東日本株式会社「会社情報・仕事を知る」【情報ランクA】
6.キリングループロジスティクス株式会社「物流サービス・物流拠点情報」【情報ランクA】
7.doda「キリングループロジスティクス株式会社 2026年求人」【情報ランクA】
8.キリングループロジスティクス株式会社「年間所定労働時間を24時間削減」【情報ランクA】
9.キリンホールディングス「海老名物流センター 自動ピッキングソリューション稼働開始」【情報ランクA】
10.NIPPON EXPRESSホールディングス「鉄道輸送障害時におけるバックアップ輸送協定」【情報ランクA】
11.キリングループロジスティクス/サッポログループ物流「神奈川エリア共同配送」【情報ランクA】
12.タカラ倉庫運輸サービス「異業種間の繁閑差を活用した物流最適化」【情報ランクA】
13.キリンホールディングス「2025年12月期 有価証券報告書」【情報ランクS】
14.ビール物流会社4社「飲酒運転根絶・ハラスメント防止共同宣言」【情報ランクA】
15.キリングループロジスティクス株式会社「キリンの安全への取り組み」【情報ランクA】
16.キリングループロジスティクス株式会社「業界トップレベルの安全品質」【情報ランクA】
17.転職会議「キリングループロジスティクス 社員口コミ」【情報ランクB】
18.Indeed「キリングループロジスティクス株式会社 社員クチコミ」【情報ランクB】
19.キリンホールディングス「トラック荷積み・荷降ろし自動化の共同実証」【情報ランクA】
20.キリングループロジスティクス株式会社/ケーエルサービス東日本「採用情報」【情報ランクA】
21.キリンホールディングス「情報セキュリティ報告書」【情報ランクA】
22.キリングループロジスティクス株式会社「個人情報保護方針」【情報ランクA】
23.シビックギルド「東京インキ株式会社を企業審査」【比較資料】
24.シビックギルド「レンゴー株式会社を企業審査」【比較資料】
シビックランクの基準
| ランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
キリングループロジスティクス株式会社は70点のため、シビックランクBです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 行政、公的機関、裁判所、規制当局、独立第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
