私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するサントリーフラワーズ株式会社は、総合59点、シビックランクDです。
サントリーフラワーズ株式会社の特に強い点は、画像解析AIを搭載した挿し木ロボットや遠隔温室管理を使って植物生産の負担を減らしながら、継続的に新品種を開発していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、植物を生産する人の単純反復作業を技術で減らし、暑さや雨などに対応しやすい品種を継続的に社会へ届ける方向につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、対象法人単体の死亡・休業労災、度数率・強度率、平均賃金や男女賃金差、BCP訓練結果・復旧時間が十分に公表されていないことに加え、2017年には未承認の遺伝子組換えペチュニア約1万9,000鉢の販売が確認され、回収・廃棄等の行政対応の対象となった履歴が残ります。
この記事では、サントリーフラワーズ株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
サントリーフラワーズ株式会社の企業審査結果
同社は、研究開発と植物生産の技術力、育児支援、新卒社員の定着、苗・青果の品質管理では具体的な実績があります。一方、働く人の安全と危機対応について、法人単体の結果を数字で追える情報が少ないことが総合点を抑えています。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 29/50 | 残業23.0時間、育休男女100%、新卒3年の定着100%、残留農薬検査を評価。単体労災KPI、賃金分布、2017年未承認GMペチュニアが課題 |
| Innovation | 18/25 | AI挿し木ロボット、遠隔温室管理、水使用約80%削減、新品種開発を評価。自動化による労働時間・事故・賃金への還元が未公表 |
| Protection | 12/25 | グループBCP、対象法人の個人情報安全管理、震災復興支援を評価。単体訓練、代替生産能力、RTO・RPOが不足 |
| 総合 | 59/100 | シビックランクD |
主な強み
・2025年度の育児休業取得率は、対象者が男女各1名で、男女とも100%
・2023~2025年の新卒採用9名は、公開されている範囲で離職0名、定着率100%
・画像解析AIを搭載した挿し木ロボット、スマートフォンによる温室環境の遠隔管理を導入
・イノベーションフィールドでは、導入エリアの潅水システムで水使用量を約80%削減
・本気野菜の青果では、外部機関による残留農薬検査と農薬使用履歴の管理を実施
・花苗では、増殖の各過程で病理・品質検査を行い、ELISA検査やPCR検査も活用
・1980年代から植物研究を続け、2026年も新商品・新色を投入
主な課題
・対象法人単体の死亡労災、休業災害件数、度数率、強度率が公表されていない
・2025年度の月平均所定外労働時間は23.0時間、平均有給休暇取得日数は9.7日
・平均年収、賃金中央値、既存社員のベースアップ率、男女賃金比率が公表されていない
・AI挿し木ロボット導入後に、作業時間・人数・腰肩負担・事故・残業がどれだけ減ったか公表されていない
・対象法人単体のBCP訓練回数、代替生産能力、RTO・RPO、復旧実績が公表されていない
・2017年に未承認の遺伝子組換えペチュニア「サフィニアアートピーチ」約1万9,000鉢の販売が確認された
事業内容と人間への貢献
サントリーフラワーズは、植物を研究するだけでなく、品種開発、元株・苗の生産、生産農家との連携、販売、園芸情報の提供までをつなぐ事業会社です。花苗、野菜苗、野菜青果、切花という異なる商品を扱うため、研究開発力と同時に、生産者の作業負担、農薬管理、病害対策、物流、気候変動への適応が人間への貢献を左右します。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | サントリーフラワーズ株式会社 |
| 設立 | 2002年7月1日 |
| 本社 | 東京都港区芝4-17-5 相鉄田町ビル4階 |
| 代表取締役社長 | 杉信 大悟 |
| 資本金 | 1億円 |
| 株主 | サントリーホールディングス株式会社100% |
| 従業員数 | 公式会社概要68名。採用サイトでは63名とされ、時点・集計範囲に差がある |
| 売上高 | 2024年12月期 60億4,800万円、単体 |
| 経常利益 | 2024年12月期 2億200万円、単体 |
| 国内主要拠点 | 滋賀県東近江市のイノベーションフィールド、京都府精華町の研究センター |
| 海外拠点 | オランダ、上海 |
| 主な事業 | 花苗・花鉢、野菜苗・野菜青果、切花の開発・生産・販売 |
[出典1・3]
主な事業内容
主力商品には「サフィニア」「サンパラソル」「プリンセチア」、野菜苗・青果の「サントリー本気野菜」、切花の「ムーンダスト」「サントリーブルーローズ アプローズ」、土を使わない観葉植物のD2Cサービス「&Green」などがあります。1980年代から植物の研究開発に取り組み、現在は世界30数カ国で事業を展開しています。[出典2・4]
主な利用企業・販売先
花苗・野菜苗は販売代理店、ホームセンター、園芸専門店、百貨店などを通じて販売され、野菜青果は食品スーパーやコンビニなどでも取り扱われます。採用情報ではスーパー、ドラッグストア等への提案営業も示されています。[出典4・8]
事業による人間への貢献
家庭菜園向けの苗は、消費者が自分で野菜を育てる選択肢を増やします。暑さ・雨に強い花や病害に対応しやすい野菜品種は、栽培の失敗や植え替えの負担を減らす方向に働きます。また、タピアンやテラス ライムのようにグランドカバー・雑草対策を用途として提案する商品は、庭や施設の維持作業を減らす可能性があります。[出典9・10]
一方、植物を生産・販売する企業として、農薬、病害、未承認遺伝子組換え体、温室作業、繁忙期の労働、安全な物流などを管理する責任があります。商品性能だけでなく、その商品を作る人と使う人の安全まで含めて評価する必要があります。
Safety|29/50点
Safetyでは、サントリーフラワーズ単体の賃金、労働時間、雇用、公平性、育児・介護、人権、労働災害に加え、花苗・野菜青果の品質と安全管理を確認します。育休、新卒定着、品質検査では具体的な数字がありますが、労災結果と賃金分布の公開不足、2017年の未承認遺伝子組換えペチュニア事例が弱点です。
賃金・利益の還元|6/10点
2025年5月実績のビジネス系総合職初任給は月25万4,000円で、基本月額25万円と在宅勤務手当4,000円です。固定残業制度はなく、東京勤務の住宅手当は家賃・共益費の3割、上限3万円です。賞与は年2回で、2024年支給実績は4.8カ月分でした。2024年12月期の単体経常利益は2億200万円で、利益を確保しながら賞与を支給している点を評価します。[出典3・4]
一方、対象法人単体の平均年収、賃金中央値、既存社員のベースアップ率、職種別賃金、男女賃金比率は公表されていません。初任給だけでは既存社員や研究・生産系社員へ利益がどれだけ還元されているか判断できないため6/10点です。
平均・中央値の賃金、既存社員のベースアップ率、正規・非正規別と男女別の賃金比率を毎年公開し、物価上昇を上回る実質賃金改善を複数年確認できれば8/10点を検討できます。
労働時間・休息|6/10点
2025年度の月平均所定外労働時間は23.0時間、平均有給休暇取得日数は9.7日です。採用条件では年間休日120日、完全週休2日制、リフレッシュ休暇があり、本社総合職は1日7.5時間、コアタイムなしのフレックス制度を利用できます。リモートワークも週に数日利用可能です。[出典3・4]
月23時間の残業は極端に高い水準とは言えませんが、月20時間未満には届かず、有休取得日数9.7日も十分高いとは評価しにくいため6/10点です。部署・拠点別残業、月45時間・60時間超の人数も公表されていません。
平均残業を月20時間以下、平均有休取得を14日以上または取得率70%以上へ改善し、月45時間超・60時間超の人数を法人単体で公開できれば8/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|4/5点
2023~2025年の新卒採用は計9名で、公開されている離職者数は0名、各年の定着率は100%です。2025年度の役員および管理的地位にある者11名のうち女性は2名で、比率は18.2%でした。[出典3]
採用した若手が短期間で大量に離職していないこと、女性が管理的地位に入っていることは評価できます。一方、男女賃金比率、正規・非正規の待遇差、昇進率、キャリア採用者の定着率は公表されていません。このため4/5点です。
男女賃金比率、昇進率、雇用区分別の待遇差を公開し、管理職比率だけでなく賃金・昇進でも公平性を確認できれば5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5点
2025年度は育休対象者が男性1名、女性1名で、取得者も男女各1名、取得率はいずれも100%でした。住宅手当、退職金、福利厚生外部サービス、テレワーク、フレックス、副業制度もあります。育児・介護の休業制度、短時間・時差勤務も整備されています。[出典3・4・5]
男女とも実際に育休を取得した点は評価できます。ただし対象者は各1名で母数が小さく、介護休業の利用実績、育休後の復職・昇進、育児中社員の残業などは公表されていません。このため4/5点です。
複数年の男女育休取得率、復職率、介護休業取得、育休後の昇進・配置を継続公開できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|3/5点
同社はグループ企業倫理綱領に基づく行動指針を定め、全社員でコンプライアンス経営を進めています。花苗・野菜苗の生産を委託する農家についても、契約、発注、納品、検収、支払いの各段階で下請法を守り、公正な取引を行うとしています。[出典5・17]
生産農家を単なる外注先ではなく事業パートナーとして扱う方針は、取引上の力関係による不利益を抑える方向に働きます。一方、対象法人単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、人権デューデリジェンスの対象範囲、労働組合や労使協議の状況は公表されていません。このため3/5点です。
相談・通報件数と救済結果、ハラスメント再発防止、人権デューデリジェンスの対象農家数・改善結果まで公開できれば4~5/5点を検討できます。
労働安全・健康|2/10点
イノベーションフィールドでは温室、圃場、研究設備を扱い、花苗・野菜苗の生産では機械、農薬、温熱環境などの安全管理が重要になります。しかし、サントリーフラワーズ単体の死亡労災、休業災害件数、労災度数率・強度率、熱中症、農薬曝露、機械事故、ヒヤリハット件数について公開情報がありません。
重大事故が公表されていないことだけで安全性を高く評価することはできません。結果を比較できるKPIがないため2/10点です。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
死亡・重篤災害0、休業災害件数、度数率・強度率、熱中症・薬剤曝露・機械事故を法人単体で毎年公開し、度数率1.0未満など低い水準を複数年継続できれば6~8/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5点
花苗では、増殖の各過程で定期的に病理・品質検査を行い、イノベーションフィールドではELISA検査やPCR検査も使ってウイルスの有無を確認しています。野菜青果では独自基準を満たす生産者を選定し、外部機関による残留農薬検査、使用農薬の限定、使用量の必要最小限管理、農薬使用履歴の記録を行っています。[出典7・8]
これらは、病気を持つ苗や農薬管理が不十分な青果が利用者へ届くリスクを下げる具体的な仕組みです。
一方、2017年には未承認の遺伝子組換えペチュニア「サフィニアアートピーチ」約1万9,000鉢が販売されていたことが国の調査で確認されました。農林水産省・環境省は対象販売者に、植付け前の苗・種子の回収と廃棄、原因究明、回収状況、再発防止策等の報告を求めました。環境省は当該ペチュニアが他の野生植物へ影響を与える可能性は低いと評価しています。[出典13・14]
現在の検査体制は評価しますが、この行政対応履歴を相殺せず4/5点とします。遺伝子組換え体・残留農薬・病害を含む品質事故件数と検査結果を法人単体で継続公開し、重大回収0を複数年確認できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議の投稿者集計では、残業25時間/月、有給消化率17.5%と表示されています。ただし投稿数が少なく、古い投稿を含むため、2025年度の公式値である残業23.0時間、有休取得9.7日を置き換える数字には使いません。[出典15・16、情報ランクB]
2017年頃勤務、40代前半男性・正社員・法人営業・主任クラスの投稿では、「勤怠管理はしっかりしており、極端な残業や休日出勤は生じません。」と記載されています。[出典15、情報ランクB]
2018年頃勤務、20代後半女性・正社員・法人営業の投稿では、「若手の年収は仕事量を考えると少なく感じる。」と記載されています。[出典16、情報ランクB]
いずれも在籍時期が古いため、現在の全社員の実態を直接示すものではありません。現在は公式の労働時間データがあるため、口コミは部署差・若手待遇を見る補助情報として扱います。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、社名と残業、退職、パワハラ、事故、労災、自動化、人員削減などを組み合わせて確認しましたが、今回の採点を変更できるだけの本文確認済み投稿は確認できませんでした。
SNS・匿名掲示板の情報が見つからないこと自体を加点材料にはせず、公式データ、従業員口コミ、公的資料を中心に採点しています。
Innovation|18/25点
Innovationでは、人の単純反復作業・危険作業を技術で減らしているか、商品自体を改善しているか、そこで生まれた時間や利益が働く人へ返っているかを確認します。サントリーフラワーズは植物研究と生産技術の導入では強い一方、AI・自動化の労働効果を時間や事故件数で公開していません。
作業負担・危険の削減|6/10点
2022年に開設したイノベーションフィールドでは、温度・湿度・日射量をモニタリングし、スマートフォンから温室環境を遠隔管理できるシステムと、画像解析AIを搭載した挿し木ロボットを導入しました。従来、人が植物の枝や葉を切り取り、増殖用に扱っていた挿し木工程の一部を機械へ移す方向が明確です。[出典6]
遠隔管理は温室へ移動して状態を確認する回数を減らし、挿し木ロボットは反復する手作業を減らす可能性があります。ただし、導入前後の作業時間、必要人数、腰・肩への負担、刃物作業、事故、残業が何%減ったかは公表されていません。
具体的な自動化を評価して6/10点です。挿し木1本当たりの人手作業時間、年間削減時間、事故・ヒヤリハット、身体負担を導入前後で測定し、30~50%規模の人時削減や安全改善を確認できれば8~10/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5点
サントリーは1980年代から植物研究を始め、サフィニア、青系カーネーション「ムーンダスト」、青いバラ「アプローズ」、本気野菜などを開発してきました。農林水産省の品種登録データベースでもサントリーフラワーズを登録者とする複数の品種が確認できます。2026年も春夏・秋冬に新商品や新色を継続投入しています。[出典2・9・19]
現在の商品には、夏の暑さ・雨に強い花、耐病性を持つ野菜、グランドカバー・雑草対策向けの商品などがあり、栽培失敗や庭管理の負担を減らす方向の改良も確認できます。[出典10]
研究成果が実際の商品へ継続的に反映されているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|2/5点
イノベーションフィールドのAI挿し木ロボット、遠隔管理、循環潅水などは生産効率を高める仕組みです。2025年度には新卒採用者の定着率100%、男女育休100%が確認でき、現在の公式従業員数は68名です。[出典1・3・6]
一方、自動化によって浮いた時間が、残業削減、休日増、賃上げ、再教育、安全改善へ何時間・何円返ったのかは公表されていません。2025年度の平均残業は23.0時間であり、自動化との因果も確認できません。
設備投資の存在だけで人への還元を推定できないため2/5点です。自動化対象部署で年間削減時間、残業の導入前後差、配置転換、再教育、賃金・休日の変化まで公開できれば3~4/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5点
1980年代からの植物研究、2002年の分社化後の新品種開発、2022年のイノベーションフィールド開設、2026年の新商品投入まで、研究開発が長期間続いています。[出典2・6・9]
一度の設備導入や単発商品の改良ではなく、品種、病理、温室制御、生産方法を継続して改善しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
AI挿し木ロボットを含むイノベーションフィールドは2022年12月に開設されました。その後、2023年に4名、2024年に3名、2025年に2名の新卒を採用し、この9名について公開上の離職者は0名です。2026年採用も1名予定とされています。現在の会社公式従業員数は68名です。[出典1・3・6]
公開情報では、AI挿し木ロボットを理由とする希望退職、大規模人員削減、採用停止は確認されていません。ただし、導入前と導入後を同一定義で比較できる職種別人員数、配置転換、契約更新、業務変更のデータは公表されていません。
現時点では「自動化で人が切られた」と結論づける根拠はありませんが、「雇用を維持したまま負担だけを減らせた」と断定する数字も不足しています。
Protection|12/25点
Protectionでは、地震、豪雨、停電、病害、物流途絶、サイバー攻撃などが起きた場合に、苗・青果の開発・供給をどこまで維持できるかを評価します。サントリーグループ共通のBCPと、サントリーフラワーズ自身の情報管理・復興支援は確認できますが、同社単体の訓練結果や復旧能力は十分に公開されていません。
災害への備え・訓練|2/5点
サントリーグループは国内外グループ会社向けにクライシス初動対応マニュアルを整備し、自然災害・サイバー攻撃・感染症を対象にBCPを策定しています。大規模災害時には安否確認、事業所・情報システム復旧、救援物資手配などを行う体制があります。[出典12]
ただし、サントリーフラワーズのイノベーションフィールドや研究センターで、年何回の訓練を行い、何分で安否確認を完了し、停電時に温室環境を何時間維持できるかという法人単体の実績は公表されていません。
グループ制度の存在だけで高得点にはせず2/5点です。主要拠点で年1回以上の実地訓練を行い、安否確認時間、非常用電源・水、温室制御の維持時間、訓練後の改善結果を公開できれば4/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|2/5点
サントリーフラワーズは国内の生産農家と連携し、世界30数カ国で事業を展開しています。また、商品輸送距離を短くするため、生産地と販売店を同じエリア内にする需給率を高める活動も行っています。[出典2・5]
地域分散は一地域の物流負荷を減らす方向に働きますが、イノベーションフィールドが停止した場合に元株生産をどの拠点へ切り替えるか、特定生産農家が被災した場合の代替農家、輸送会社の代替ルート、必要在庫日数は公表されていません。
代替構造を実証できる数字が不足するため2/5点です。重要品種について代替生産先を複数確保し、切替訓練と代替可能数量を公表できれば4~5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|3/5点
サントリーフラワーズは個人情報の安全管理措置を公表し、責任者・取扱範囲の明確化、定期的な自己点検・監査、従業者への研修、入退室管理、端末・媒体の盗難対策、アクセス制御、不正アクセス・不正ソフトウェアから情報システムを守る仕組みを示しています。[出典11]
例えば通販・キャンペーン利用者の情報を扱う端末がマルウェアに狙われた場合、アクセス制限と不正ソフトウェア対策は情報漏えい範囲を抑えるために役立ちます。
一方、対象法人の重大インシデント件数、24時間監視の対象範囲、侵入検知から封じ込めまでの時間、バックアップ復旧時間、RPOは公表されていません。このため3/5点です。
重大情報漏えい0を継続し、SOC等の監視範囲、訓練結果、復旧時間を法人単体で公開できれば4~5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|2/5点
サントリーグループのBCPは生産だけでなく、原材料調達、物流、営業、本部機能、インフラ分散まで対象にしています。[出典12]
しかし、植物は生き物であり、停電や温室設備停止が長引けば、生育段階によっては後から単純に増産して補えません。サントリーフラワーズ単体について、重要品種の母株バックアップ、停電時の温室維持時間、代替生産率、復旧目標時間、復旧訓練の達成結果は公表されていません。
グループの枠組みは評価しますが、対象法人の復旧能力を数字で確認できないため2/5点です。RTO・RPO、代替元株・苗の保管拠点、主要商品の代替供給率を設定し、訓練で実証できれば4/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|3/5点
サントリーフラワーズは、東日本大震災後の2012年から花苗を地域へ届ける活動を続け、2017年以降は東北・熊本の震災復興支援を中心に展開しています。熊本では仮設住宅へ花苗を届けて住民と一緒に植える活動、岩手県山田町では子どもや地域住民約25名と120株を植えるワークショップなどが確認できます。[出典17]
飲料水や医薬品のような生命維持物資ではありませんが、被災後のコミュニティ再建・交流を本業の植物で支援した実績はあります。このため3/5点です。
自治体との正式な災害協定、支援可能な苗・資材数量、発災後の支援開始時間、継続支援人数などを公開できれば4/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、新商品を継続的に投入するInnovationと、育児・若手定着のSafetyを評価できます。同社の商品を選ぶことは、植物研究を続ける資金と、働く人が育児をしながら雇用を継続できる組織へ売上を集めることにつながります。
2026年8月17日|2026年秋冬苗の新商品・新色を発表(Innovation)
2026年8月17日、同社は2026年秋冬苗の新商品・新色を案内しました。さらに2025年12月には2026年春夏苗の新商品も発表しており、春夏・秋冬の両シーズンで商品更新を続けています。[出典9]
植物は気温・降雨・日照の影響を強く受けるため、耐暑性や耐雨性、育てやすさを改良した品種が増えるほど、家庭や施設で栽培に失敗して植え直す負担を減らせます。
2025年度|男女とも育児休業取得率100%(Safety)
2025年度は男性1名、女性1名の育休対象者がともに取得し、男女とも100%でした。対象者数は小さいものの、制度が存在するだけでなく男性も実際に利用した点は重要です。[出典3]
育児を理由にどちらか一方の性だけが仕事を離れる状態を減らし、家庭と仕事を両立しやすい職場へ近づく成果です。
2023~2025年|新卒採用9名の公開上の離職0(Safety)
2023年4名、2024年3名、2025年2名の新卒採用者について、公開データでは離職者0名、定着率100%です。[出典3]
少人数企業では1人の退職でも比率が大きく動くため、この数字だけで全社員の定着を断定はできませんが、若手採用後の早期離職が連続して発生していない点は前向きです。
悪いニュース・問題となった動き
現在の大きな問題は、最近の重大事故が大量に出ていることではなく、労働安全と危機対応について対象法人の結果を追える公開データが不足していることです。また、過去の未承認遺伝子組換えペチュニア事例は、現在の品質管理が改善されていても履歴として残します。
2025年度|平均残業23.0時間、有休取得9.7日(Safety)
2025年度の月平均所定外労働時間は23.0時間、平均有給休暇取得日数は9.7日です。[出典3]
年間休日120日やフレックスは評価できますが、残業20時間未満、有休14日以上といった一段高い休息水準には届いていません。繁忙部署・生産拠点で月45時間・60時間超の人が何人いるかも公表されていません。
2026年時点|単体の労災KPIとBCP復旧実績が非公表(Safety・Protection)
対象法人単体の死亡・休業労災、度数率、強度率、熱中症、薬剤曝露の数字に加え、BCP訓練回数、停電時の温室維持時間、代替生産率、RTO・RPOの公開情報がありません。
植物生産では人の安全と植物の生育継続の両方が重要です。数字がなければ、AIや新設備を導入した結果、事故と停止時間が実際に減ったか外部から判断できません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
2017年9月|未承認の遺伝子組換えペチュニア約1万9,000鉢(Safety)
国の調査で、サントリーフラワーズが販売した「サフィニアアートピーチ」約1万9,000鉢が未承認の遺伝子組換え体と確認されました。農林水産省・環境省は対象販売者へ、植付け前の苗・種子の回収・廃棄と、原因究明、回収状況、再発防止策等の報告を求めました。[出典13・14]
環境省は他の野生植物へ影響を与える可能性は低いとしましたが、法令上の承認を経ていない種苗が市場へ流通した点は商品管理上の重大な履歴です。現在の病理検査・残留農薬検査などの改善策は評価しつつ、過去事例をなかったことにはしません。
総合評価と、これから改善してほしいこと
サントリーフラワーズ株式会社は59点・シビックランクDです。次のCランクは60点からなので、あと1点です。ただし、形式的に1点だけ積み増すのではなく、働く人の安全、休息、災害時の復旧力を実測し、改善結果を公開することが重要です。
単体の労災KPIを公開し、安全結果を改善する|労働安全・健康 2→6/10
現在の「労働安全・健康」は2/10点です。温室・圃場・研究設備を扱う企業でありながら、対象法人単体の死亡・休業労災、度数率・強度率、熱中症、薬剤曝露、機械事故が公表されていません。
企業が実行してほしい改善は、
・死亡・重篤災害0
・休業災害件数と度数率・強度率の年次公開
・度数率1.0未満を複数年継続
・熱中症、農薬・薬剤曝露、機械事故、ヒヤリハットの拠点別集計
・事故原因と再発防止後の改善結果の公開
です。
これを確認できれば2→6/10点、+4点を想定します。この改善だけでも総合59→63点となり、DからCへ上がります。
参考企業はユニ・チャーム株式会社です。Google Drive上の現行審査は80点・Aで、2024年・2025年の単体労働災害度数率・強度率が2年連続0.00、2025年の死亡災害0を公開しており、「労働安全・健康」10/10点です。[参考企業出典21]
残業20時間以下・有休14日以上へ改善する|労働時間・休息 6→8/10
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。2025年度の平均残業23.0時間、有休取得9.7日は一定の休息を確保していますが、一段高い水準には届いていません。
企業が実行してほしい改善は、
・月平均残業20時間以下
・平均有休取得14日以上、または有休取得率70%以上
・月45時間超・60時間超の人数を毎年公開
・本社、研究、イノベーションフィールドなど拠点・職種別の負担差を公開
です。
達成できれば6→8/10点、+2点を想定します。この改善だけでも総合59→61点となり、Cへ上がります。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Google Drive上の現行審査は70点・Bで、2025年度の平均残業20.5時間、有休取得14.5日、取得率84.7%、年間所定労働時間1,920時間から1,896時間への24時間削減を確認し、「労働時間・休息」8/10点です。[参考企業出典20]
イノベーションフィールドで年次BCP実地訓練を行う|災害への備え・訓練 2→4/5
現在の「災害への備え・訓練」は2/5点です。サントリーグループのBCPはありますが、植物生産を担うイノベーションフィールドや研究センターの訓練結果が見えません。
企業が実行してほしい改善は、
・主要拠点で年1回以上の実地BCP訓練
・安否確認の完了時間を測定
・停電時の温室制御、非常用電源、水供給の維持時間を測定
・重要な元株・試験材料の避難・バックアップ訓練
・未達項目と翌年度の改善結果を公開
です。
達成できれば2→4/5点、+2点を想定します。この改善だけでも総合59→61点でCです。
参考企業はユニ・チャーム株式会社です。Google Drive上の現行審査では、2025年に国内グループ横断で首都直下地震を想定したBCP訓練を行い、「災害への備え・訓練」4/5点、総合80点・Aと評価しています。[参考企業出典21]
代替生産と復旧時間を数字で実証する|供給継続・復旧能力 2→4/5
現在の「供給継続・復旧能力」は2/5点です。グループBCPの枠組みはありますが、同社の植物生産で重要な元株、温室、研究設備が止まった際の復旧時間と代替能力が公表されていません。
企業が実行してほしい改善は、
・重要品種の元株を複数拠点でバックアップ
・主要システムと温室設備のRTO・RPOを設定
・主要商品の代替生産率を設定
・物流途絶時の代替輸送会社・ルートを事前確保
・年次訓練で目標時間内の切替を実証
です。
達成できれば2→4/5点、+2点を想定します。この改善だけでも総合59→61点でCです。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Google Drive上の現行審査は70点・Bで、鉄道・船・トラックの複数輸送手段と鉄道障害時のバックアップ輸送協定を持ち、「供給継続・復旧能力」4/5点です。[参考企業出典20]
次のランクへ上がるための具体例
最も優先度が高い到達例は、サントリーフラワーズ単体で死亡・重篤災害0、休業災害件数、度数率・強度率、熱中症・薬剤曝露・機械事故を毎年公開し、度数率1.0未満を複数年継続することです。これにより「労働安全・健康」を2→6点へ改善できれば、総合59+4=63点となり、Cランクへ上がります。
また、平均残業20時間以下と有休14日以上を実現して「労働時間・休息」を6→8点へ改善するだけでも、総合61点となりCへ到達します。研究開発力はすでに強いため、次に必要なのは、技術の成果が働く人の安全・休息と災害時の復旧力へ返っていることを法人単体の数字で示すことです。
出典一覧
1.サントリーフラワーズ株式会社「会社概要」【情報ランクA】
2.サントリーフラワーズ株式会社「沿革」【情報ランクA】
3.マイナビ2027・2028「サントリーフラワーズ株式会社 会社概要・働き方データ」【情報ランクA】
4.マイナビ2027「サントリーフラワーズ株式会社 採用データ」【情報ランクA】
5.サントリーフラワーズ株式会社「CSRへの取り組み」【情報ランクA】
6.サントリーホールディングス「サントリーフラワーズ株式会社が商品開発・生産の新拠点を設立」2022年12月14日【情報ランクA】
7.サントリーフラワーズ「花苗の品質管理と定期検査」およびサントリー採用メディア「植物のかかりつけ医を目指して」【情報ランクA】
8.サントリーフラワーズ「サントリー本気野菜 よくあるご質問」【情報ランクA】
9.サントリーフラワーズ公式サイト「ニュース」2025~2026年【情報ランクA】
10.サントリーフラワーズ「春夏商品ラインアップ・植物の特徴で商品を探す」【情報ランクA】
11.サントリーフラワーズ「プライバシーポリシー・公表事項」【情報ランクA】
12.サントリーグループ「リスクマネジメント」【情報ランクA】
13.環境省「未承認の遺伝子組換えペチュニアの取扱いについて(第3報)」2017年9月8日【情報ランクS】
14.消費者庁リコール情報サイト「未承認の遺伝子組換えペチュニア種・苗36品種」【情報ランクS】
15.転職会議「サントリーフラワーズのワークライフバランス・残業」【情報ランクB】
16.転職会議「サントリーフラワーズの年収・給料・ボーナス・評価制度」【情報ランクB】
17.サントリーグループ CSRコミュニケーションブック2022・サントリーフラワーズ掲載部分【情報ランクA】
18.経済産業省 gBizINFO「サントリーフラワーズ株式会社」【情報ランクS】
19.農林水産省 品種登録データベース・サントリーフラワーズ登録品種【情報ランクS】
20.Google Drive上の現行企業審査「キリングループロジスティクス株式会社を企業審査|70点・B」【参考企業】
21.Google Drive上の現行企業審査「ユニ・チャーム株式会社を企業審査|80点・A」【参考企業】
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者と対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
