私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する日本コカ・コーラ株式会社は、総合62点、シビックランクCです。
日本コカ・コーラ株式会社の特に強い点は、Coke ONのアクセシビリティ改善、100%再生PET、規制実証から実用化したラベルレス自販機、守山工場のAWS認証など、商品・容器・販売方法を実際の利用者負担の軽減へつなげていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、障がいの有無や年齢にかかわらず飲料を買いやすくし、容器分別の手間と資源負担を減らしながら、安全な水資源を長く利用できる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として日本コカ・コーラ単体の平均賃金、賃上げ率、残業、有休取得率、労災件数・度数率、守山工場停止時の復旧時間、サイバー防御の日本法人単体KPIなどの公開不足が残ります。
この記事では、日本コカ・コーラ株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
日本コカ・コーラ株式会社の企業審査結果
| 評価軸 | 得点 |
|---|---|
| Safety | 30/50 |
| Innovation | 18/25 |
| Protection | 14/25 |
| 総合点 | 62/100 |
| シビックランク | C |
主な強み
・2026年4月時点で従業員418人。守山工場で全国のボトラーへ原液を供給
・日本市場では約40ブランドを展開し、多くの商品を日本向けに独自開発
・1日の規定就労時間7.25時間、在宅勤務とフレックスタイムを導入
・同性パートナーに対応した就業規則と福利厚生制度を導入
・PRIDE指標2024でコカ・コーラシステム全6社が3年連続ゴールド
・守山工場が2025年にAWS Core認証を取得
・KOREによる品質、食品安全、環境、労働安全衛生の共通基準を運用
・原液工場を含む全製造工場でPFOS・PFOAを検査し、国の基準値・規格値を下回ると公表
・Coke ONは2026年6月時点で7,500万ダウンロード、全国53万台以上の対応自販機へ拡大
・Coke ONで音声、触覚、文字拡大等のアクセシビリティを強化
・100%再生PETを使用した複数商品が2026年に経済産業省の環境配慮設計認定
・2023年の規制のサンドボックス実証を経て、2026年10月からラベルレス天然水の自販機販売を全国で順次開始
・全国5社のボトラー、22工場を含むコカ・コーラシステムと連携
主な課題
・日本コカ・コーラ単体の平均給与、給与中央値、2026年のベースアップ率を継続比較できる形で公開していない
・平均残業、有休取得率、年間休日、離職率について最新の会社公式単体KPIが不足
・女性管理職比率、男女賃金差、男性育休取得率などの最新結果を一体的に確認できる単体データが不足
・守山工場の休業労災件数、死亡災害、度数率、強度率の継続開示が不足
・DXや商品・容器改善が社員の残業、休日、賃金へどれだけ還元されたかの定量値が不足
・日本法人単体のMFA、EDR、CSIRT、SOC、サイバー演習、復旧時間の公開が不足
・守山工場や原液供給が停止した場合の代替供給ルート、在庫日数、目標復旧時間が不足
・糖類を含む清涼飲料も大規模に販売するため、栄養情報と責任あるマーケティングを継続する必要がある
事業内容と人間への貢献
日本コカ・コーラ株式会社は、日本のコカ・コーラシステムで原液供給、商品企画・開発、マーケティング、品質基準、生産技術支援、需給プランニングなどを担う会社です。完成飲料の大量製造、物流、店頭・自販機への補充は、全国5社のボトラー会社などが担当します。日本コカ・コーラ本体とボトラー会社を混同せずに評価することが重要です。[出典1・2]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 日本コカ・コーラ株式会社 |
| 英文名 | Coca-Cola (Japan) Company, Limited |
| 設立 | 1957年6月25日 |
| 本社 | 東京都渋谷区渋谷4丁目6番3号 |
| 代表者 | 代表取締役社長 フランク・サーモン |
| 社長就任 | 2026年6月1日 |
| 資本金 | 36億円 |
| 株主 | ザ コカ・コーラ エクスポート コーポレーション |
| 従業員数 | 418人(2026年4月現在) |
| 自社工場 | 守山工場(滋賀県守山市) |
| 事業概要 | 清涼飲料の原液製造・販売、商品企画開発、マーケティング等 |
[出典1・3]
主な事業内容
日本コカ・コーラは、守山工場で原液を製造して全国のボトラーへ供給し、日本市場の消費者分析をもとに商品やブランドを企画します。さらに、グローバル品質基準、生産プロセス技術、新製品導入時の技術支援、需給計画、製品に関する学術的助言まで担います。[出典2]
日本のコカ・コーラシステム全体では5つのボトラー会社と全国22工場、約2万人の従業員、約48万の取引店舗があります。ただし、これらは日本コカ・コーラ単体の従業員や工場ではありません。雇用、安全、労災、賃金は各法人を分けて評価します。[出典2]
事業による人間への貢献
飲料は日常生活で必要な水分を届ける商品です。日本コカ・コーラは炭酸飲料だけでなく、天然水、無糖茶、コーヒー、スポーツ飲料、果汁、ゼロシュガー、ゼロカフェインなど幅広い選択肢を設計しています。2026年の社長就任発表では、日本市場には約40ブランドがあり、その多くが日本の消費者向けに日本で独自開発されたと説明されています。[出典3]
この幅広さは、糖類やカフェインを避けたい人、水を選びたい人、運動時に水分や電解質を補給したい人などが、自分の生活場面に合わせて選べることにつながります。
一方、通常のコカ・コーラなど糖類を含む商品も扱います。強いブランド力と販売網を持つ企業だからこそ、成分表示、摂取量の判断材料、子どもを含む消費者への責任あるマーケティングを続ける必要があります。
Safety|30/50
Safetyでは、日本コカ・コーラ単体で働く人の賃金・休息・公平性・労働安全と、日本全国へ影響する原液・商品設計の食品安全を確認します。同社は柔軟な働き方、DEI、KORE、水質管理に強みがあります。一方、単体の賃金・残業・労災結果の最新KPIは十分に公開されていません。
賃金・利益の還元|4/10
日本コカ・コーラは非上場の日本法人であり、有価証券報告書による平均年間給与の開示はありません。2026年時点で、全社員の平均給与、給与中央値、職種別平均給与、ベースアップ率を会社公式資料から継続比較できる形では公開していません。
口コミサイトでは高待遇を示す投稿もありますが、職種・年齢・役職による差が大きく、一つの求人や口コミを全社員の賃金水準として扱えません。
待遇が一定水準にある可能性はあるものの、利益を働く人へどれだけ返したかを単体公式データで検証できないため4/10点です。全社員の中央値、職種別給与、年間昇給率、物価上昇率との比較を毎年公開し、実質賃金の改善が確認できれば6~8点を検討できます。
労働時間・休息|6/10
公式採用ページでは、1日の規定就労時間は7.25時間です。在宅勤務は上司と相談のうえ週2回を上限に利用でき、フレックスタイムも導入されています。[出典4]
第三者の投稿集計である転職会議では、残業22.1時間/月、有休消化率68%台が表示されています。会社公式値ではないため補助情報として扱います。[出典7、情報ランクB]
7.25時間という短めの所定時間、在宅・フレックスを評価して6/10点です。一方、全社平均残業、有休取得率、年間休日、勤務間インターバル、守山工場を含む職種別実績の公式公開が不足しています。
全社平均残業20時間以下、有休取得率80%以上、年間休日120日以上を会社単体で継続公開し、製造職を含めて高水準の休息を確認できれば8/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|4/5
日本コカ・コーラは女性管理職比率の向上を長く掲げ、2021年末時点では約40%と公表していました。また、2021年にはコカ・コーラシステム全6社で同性パートナーを配偶者と同等に扱う就業規則・福利厚生の整備を完了しています。[出典5・6]
PRIDE指標2024ではシステム全6社が3年連続ゴールドを受賞し、日本コカ・コーラ自身は2021年から4年連続ゴールドでした。制度上の公平性を具体化している点を評価します。[出典5]
一方、2026年時点の女性管理職比率、男女賃金差、正規・非正規別の待遇、採用・昇進・離職の男女差を一体的に示す最新単体データは十分ではありません。そのため4/5点です。最新年度で男女賃金比90%以上、管理職登用、勤続、採用・離職まで継続開示できれば5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
在宅勤務、フレックスタイム、同性パートナー対応、育児・介護に配慮した制度、人材開発など複数の制度が確認できます。守山工場の過去の公式紹介でも、産休・育休を2回取得し、復帰時に時短勤務を利用した従業員の事例が紹介されています。[出典4・10]
制度の幅と実際の利用事例を評価して4/5点です。
一方、2026年の男性育休取得率、平均取得日数、介護休業利用者数、育休復職率、工場・本社別の利用状況は公開情報が不足しています。利用率と取得日数まで継続開示し、高い実績が確認できれば5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
日本コカ・コーラはLGBTQへの制度対応や啓発を継続し、コカ・コーラシステムとして人権尊重を掲げています。消費者庁の消費者志向自主宣言事業者にも掲載され、顧客の声を収集・分析し改善へつなげる取り組みも紹介されています。[出典5・18]
多様性を制度へ落とし込んでいる点を評価して4/5点です。
一方、日本法人単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、認定件数、是正完了率、労使協議の結果などは十分に公開されていません。これらを匿名性に配慮しながら毎年公開できれば5点を検討できます。
労働安全・健康|4/10
守山工場ではKOREと呼ばれる世界共通基準を運用しています。KOREは品質、食品安全、環境だけでなく労働安全衛生も含みます。守山工場では原料受け入れ、製造、品質検査、排水処理などをKOREに沿って管理しています。[出典10・11]
仕組みとしての安全管理は具体的です。
一方、日本コカ・コーラ単体について、直近年度の休業労災件数、死亡災害、度数率、強度率、ヒヤリハット件数、再発防止完了率を継続比較できる公開情報がありません。この情報不足は採点上の課題です。
安全管理制度を評価する一方、結果を検証できないため4/10点です。死亡・重大災害0を複数年継続し、度数率・強度率・休業災害件数を毎年公開できれば6~8点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5
守山工場ではKOREに基づき、原材料から原液製造まで品質を管理しています。公式の工場紹介では分析、微生物検査、官能検査など複数の検査工程が説明されています。[出典10]
また「い・ろ・は・す」を含む製品に使用する水について、原液工場を含むすべての製造工場でPFOS・PFOAを検査し、国の定める基準値・規格値を下回ると公表しています。[出典12]
水質の具体的な懸念物質を検査対象にしている点を評価します。一方、工場・採水地ごとの測定値、検出限界、ロット別結果を継続公開しているわけではありません。
品質管理とPFAS検査を評価して4/5点です。主要な検査値と第三者監査結果を継続公開できれば5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議では残業22.1時間/月、有休消化率68%台という投稿集計があります。Indeedは口コミ4件で総合3.5/5、勤務時間と残業4.3/5、給与と福利厚生4.0/5と表示されています。いずれも会社公式統計ではないため補助情報です。[出典7・8、情報ランクB]
一方、転職会議の2026年投稿には「販売スタッフ」として自販機・売場運営に近い仕事内容を記した投稿があります。日本コカ・コーラ公式の事業分担では製品の製造・販売や自販機運営の多くはボトラー側が担うため、この投稿を日本コカ・コーラ本体418人の労働実態と断定せず、採点には使いません。
OpenWorkには2025年のマーケティング職の個別回答で残業5時間、有休消化率90%という例もありますが、1人の回答を会社全体へ一般化しません。[出典9、情報ランクB]
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイ等では、日本コカ・コーラ本体の法人、勤務時期、職種、拠点を特定でき、公式・公的資料を上回って採点を変更できる具体的な投稿は確認できませんでした。
特にコカ・コーラは日本コカ・コーラ本体、各ボトラー、ベンディング会社、関連会社が同じブランド名で認識されやすいため、勤務先法人を特定できない投稿を日本コカ・コーラ単体の根拠にはしません。
Innovation|18/25
Innovationでは、新商品数ではなく、人が担っていた不便、身体的負担、反復作業、情報取得の障壁をどれだけ技術や設計で減らし、その成果を人へ返しているかを評価します。日本コカ・コーラは消費者向けのアクセシビリティ、容器設計、デジタル販売では強い一方、社員の残業・休日・賃金へ返った成果の定量開示が弱い企業です。
作業負担・危険の削減|6/10
Coke ONでは、高い位置の自販機ボタンへ手を伸ばさなくてもスマートフォンで商品を選び、決済できる機能を提供しています。2024年には文字や操作ボタンの拡大、触覚・音声情報、音声による商品選択などを追加し、車いす利用者、視覚障がい者、高齢者などの利用負担を減らしました。[出典13]
さらにラベルレス商品は、飲み終えた後にラベルを剥がす反復作業そのものをなくします。全国清涼飲料連合会の調査として、自宅でキャップとラベルを両方外す人が約80%に対し、屋外では約30%にとどまることが紹介されており、外出時の分別負担を減らす意味があります。[出典16]
利用者の具体的負担を減らしているため6/10点です。
一方、守山工場や本社で、AI・自動化によって何時間の反復作業、重量物作業、危険作業、残業を減らしたかという社員向けの全社定量値は公開されていません。社員の作業削減まで数値で示せれば8~10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
Coke ONは2026年6月時点で7,500万ダウンロード、全国53万台以上の対応自販機へ広がっています。キャッシュレス決済、商品選択、アクセシビリティなど、自販機の使い方そのものを継続改善しています。[出典14]
また、2026年には100%再生PETを使用した複数のPET製品が経済産業省の環境配慮設計認定を受けました。[出典17]
商品だけでなく、容器、購入方法、情報取得まで継続して改善しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|2/5
消費者側では、Coke ONにより高いボタンへ手を伸ばす負担、現金を用意する手間、ラベルを剥がす手間などが減っています。
一方、Innovationの成果が日本コカ・コーラで働く人へどう返ったかという点では、DX導入前後の残業時間、必要人数、配置転換人数、年間休日、賃金上昇、危険作業削減量などの公開が不足しています。
消費者への還元は確認できる一方、社員への時間・賃金還元を確認できないため2/5点です。
DX・AI・工程改善の前後で社員1人当たりの作業時間、残業、休日、賃金、配置転換を継続公開し、残業20~30%削減や休日増加など複数の成果が確認できれば4~5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
日本市場では約40ブランドを展開し、多くを日本向けに開発しています。Coke ONは2016年の開始後も決済、ウォーク、サブスクリプション、アクセシビリティなどを追加し続けています。[出典3・14]
ラベルレス自販機では、既存制度では一般販売が難しかったため、日本コカ・コーラ自身が2023年に経済産業省の規制のサンドボックス制度を利用して実証しました。必要な商品情報を自販機側に掲示する方法を検証し、その後の制度変更を経て、2026年10月から「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」の自販機販売を全国で順次開始しています。[出典15・16]
技術だけでなく制度変更から社会実装まで継続して進めているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
日本コカ・コーラではデジタル商品・マーケティング・研究開発を継続していますが、2026年時点で自動化・AIを理由とする日本法人単体の大規模人員削減、希望退職、契約終了を裏づける公開情報は確認できません。
一方、AI・DX導入前後の部署別人員、採用数、配置転換、再教育、非正規契約の変化は公開されていません。
Innovationをさらに高く評価するには、「技術を入れた」ことだけでなく、必要人数がどう変わり、余った時間を残業削減、再教育、賃金、休日へどう返したかを継続公開する必要があります。
Protection|14/25
Protectionでは、地震、台風、水源問題、原液工場停止、物流途絶、サイバー攻撃が起きても飲料供給と消費者サービスを続けられるかを評価します。日本のコカ・コーラシステム全体は全国分散と災害対応に強みがありますが、日本コカ・コーラ単体の守山工場代替、IT復旧時間、サイバー運用実績は十分に公開されていません。
災害への備え・訓練|3/5
コカ・コーラシステムでは災害支援型自販機を長年展開し、自治体との協定に基づいて、災害時に自販機内の飲料を無償提供できる仕組みを運用してきました。過去には能登半島地震で自販機から飲料を提供した実績も紹介されています。[出典19]
例えば地震で店舗や水道が止まり、避難所周辺で飲料が足りなくなった場合、自販機を遠隔操作して在庫を無償提供できれば、通常の救援物資到着を待たずに飲料を配れます。
ただし設置・補充・現場運用はボトラー等が担う部分が大きく、日本コカ・コーラ単体のBCP訓練頻度や結果として全面加点はしません。そのため3/5点です。
生産・物流・調達の代替|3/5
日本のコカ・コーラシステムには5つのボトラー会社と全国22工場があります。完成飲料が一つの工場だけに依存しない点は供給面の強みです。[出典2]
一方、日本コカ・コーラ単体の自社工場として会社概要に記載されるのは守山工場です。守山工場の原液生産が長期間停止した場合、どの海外・国内拠点から原液を代替供給するのか、在庫が何日分あるのか、切替に何時間必要なのかは公開されていません。
システム全体の分散性を評価して3/5点です。原液の代替供給ルート、切替訓練、在庫日数まで公表できれば4~5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|2/5
親会社The Coca-Cola Companyは2025年Form 10-Kで、NIST Cybersecurity Frameworkを参照した多層的な管理、外部ペネトレーションテスト、机上演習、第三者リスク管理、CISOとCybersecurity Oversight Councilによる監督などを公表しています。[出典20]
これはグループの強い基盤ですが、日本コカ・コーラ単体でMFA・EDRの適用率、CSIRT・SOCの体制、Coke ONを含む日本サービスの攻撃演習頻度、検知時間、封じ込め時間、復旧時間を公開しているわけではありません。
親会社の仕組みを日本法人の実績としてそのまま満点評価せず2/5点です。日本法人単体で主要システムのMFA・EDR適用率、第三者攻撃演習、重大漏えい0、RTOを継続公開できれば4~5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|3/5
全国22工場を含むボトラー網、水資源保全、守山工場のAWS認証は、長期的な供給継続へつながります。守山工場は2025年にAWS Core認証を取得し、地域・行政との連携、KOREに基づく水管理、森林整備などが評価されました。[出典11]
例えば渇水や水質問題が長期化すれば、飲料工場は原料となる安全な水を確保できなくなります。流域単位で水源を管理することは、将来の操業停止リスクを下げる方向へ働きます。
一方、守山工場の設備停止、停電、原料不足、システム障害が起きた際の目標復旧時間と実績値は公開されていません。そのため3/5点です。
危機時の市民への対応|3/5
災害支援型自販機や自治体との協定など、コカ・コーラシステムは平時の販売設備を非常時の飲料供給へ切り替える仕組みを持っています。[出典19]
飲料は災害時に必要性が高い物資であり、自販機在庫を現地で即時開放できる点は市民への直接的な利益です。
一方、この仕組みの多くはボトラー・自治体との共同運用であり、日本コカ・コーラ単体について現在の協定件数、備蓄量、年間訓練件数、直近災害での供給量を一体的に公開していません。そのため3/5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
日本コカ・コーラでは、2025年から2026年にかけて、水資源、容器、販売方法の改善が実際の認証・商品・制度変更まで進んでいます。特にInnovationとProtectionに関わる動きであり、この企業の商品が選ばれることで、分別の手間や水資源リスクを減らす仕組みへ売上を集めることにつながります。
2025年8月|守山工場がAWS Core認証を取得(Protection)
2025年8月29日、日本コカ・コーラは守山工場が水資源管理の国際規格AWSのCore認証を取得したと発表しました。行政・地域との連携、KOREに基づく水質管理、森林整備などが評価されています。[出典11]
飲料工場は大量の水を扱うため、工場敷地内の節水だけでなく流域全体の水量・水質を守る必要があります。例えば渇水や森林劣化で地域の水源が弱れば、住民生活と飲料生産の双方が影響を受けます。流域で水源を管理する仕組みは、地域住民と工場の双方が長く水を利用しやすい状態へ近づけます。
2026年2月|100%再生PET商品が環境配慮設計認定(Innovation)
2026年2月、複数のコカ・コーラ社PET製品が経済産業省の環境配慮設計認定を受けました。対象製品ではボトル本体に100%再生PETを使用し、軽量化やリサイクルしやすい設計などが評価されています。[出典17]
使用済みPETを再び飲料ボトルへ戻せれば、新たな石油由来プラスチックだけに依存する必要が減ります。消費者が飲み終えた後の容器を次の容器原料へつなぐ仕組みを商品設計の段階から広げている点を評価できます。
2026年10月|ラベルレス天然水を自販機で全国順次販売開始(Innovation)
日本コカ・コーラは2023年に経済産業省の規制のサンドボックス制度で、自販機に商品情報を掲示してラベルレス天然水を提供する実証を行いました。経済産業省が実証計画を正式認定しています。[出典15]
その後の制度変更を経て、2026年10月から「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」を全国の自販機で順次販売開始しました。[出典16]
外出先でボトルを捨てる際、ラベルを剥がす工程そのものがなくなります。企業が規制、表示、容器、自販機をまとめて変え、消費者の反復作業を一つ減らした事例として高く評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
直近の評価で重い問題は、重大な新規行政処分よりも「日本コカ・コーラ単体の結果を外部から検証しにくいこと」です。労働安全、賃金、休息、BCP、サイバーについて結果指標が不足したままだと、制度やグループ方針が実際に働く人や利用者を守れているか判断しにくい状態が残ります。
2026年現在|守山工場の労災結果を継続比較できる公開情報が不足(Safety)
KOREには労働安全衛生が含まれ、安全管理の仕組みは確認できます。しかし日本コカ・コーラ単体について、守山工場を含む休業労災件数、死亡災害、度数率、強度率を最新年度まで並べて確認できる公開情報がありません。
食品品質の検査が厳しくても、そこで働く人が安全かどうかは別の評価です。労災結果を公表しないままでは、安全管理の効果が実際に事故ゼロへつながっているか検証できません。公開情報不足は採点上の減点要因です。
2026年現在|単体の残業・有休・賃金還元KPIが不足(Safety・Innovation)
1日7.25時間、在宅勤務、フレックスという制度は強みです。一方、最新の会社公式平均残業、有休取得率、年間休日、平均給与、ベースアップ率を継続比較できる単体データが不足しています。
DXやデジタルサービスを拡大する企業であるほど、技術が社員の自由時間や賃金へ返っているかが重要です。消費者向けInnovationだけでなく、働く人の残業削減・休日増加・賃金改善まで数字で示す必要があります。
2026年現在|日本法人単体のサイバー復旧KPIが不足(Protection)
親会社はNISTを参照したサイバー管理や侵入テスト、演習を公表しています。一方、日本法人単体のCoke ON等を含む重要サービスについて、MFA・EDR適用率、重大インシデント件数、検知・封じ込め・復旧時間を確認できる公開情報は不足しています。[出典20]
Coke ONは7,500万ダウンロード規模に達しています。デジタル接点が大きいほど、システム停止や個人情報事故が起きた場合の影響範囲も大きくなるため、日本法人単体の復旧力を数値で示すことが重要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
日本コカ・コーラ株式会社は現在62点・シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと8点必要です。
最大の強みは、Coke ON、アクセシビリティ、100%再生PET、ラベルレス自販機、AWSなど、商品・容器・販売方法を実際の利用者利益へつなげる力です。一方、企業審査で次のランクへ進むには、商品側のInnovationだけでなく、418人の社員へ時間・賃金・安全として何が返ったか、危機時にどれだけ早く復旧できるかを数値で示す必要があります。
残業20時間以下・有休80%以上を公式KPIにする|労働時間・休息 6→8/10
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。
1日7.25時間、在宅勤務、フレックスは評価できますが、最新の全社平均残業、有休取得率、年間休日が会社公式KPIとして不足しています。
全社平均残業20時間以下、有休取得率80%以上、年間休日120日以上を本社・守山工場を含めて毎年公開し、複数年継続できれば6→8/10点を検討できます。
現在6/10
改善後8/10
加点+2点
総合62→64点
参考企業はイオン九州株式会社です。当サイトの現行審査では総合73点・シビックランクBで、月平均残業7.9時間、有休取得率82.1%、年間休日125日を確認し、労働時間・休息を高く評価しています。
守山工場の労災KPIを公開し重大災害0を継続する|労働安全・健康 4→6/10
現在の「労働安全・健康」は4/10点です。
KOREによる安全管理はありますが、休業労災件数、度数率、強度率、重大災害件数の単体継続開示が不足しています。
死亡・重大災害0を複数年継続し、休業災害件数、度数率、強度率、ヒヤリハット、再発防止完了率を毎年公開できれば4→6/10点を検討できます。
現在4/10
改善後6/10
加点+2点
総合64→66点
参考企業は東洋製罐株式会社です。当サイトの現行審査では総合79点・シビックランクBで、死亡労災0、度数率0.16、強度率0などを公開し、「労働安全・健康」を8/10点と評価しています。
DXの成果を社員の自由時間へ返す|改善成果の人間への還元 2→4/5
現在の「改善成果の人間への還元」は2/5点です。
Coke ONやラベルレスは利用者の負担を減らしていますが、本社・守山工場のDXによって社員の作業時間、残業、必要人数、休日、賃金がどれだけ変わったかは十分に公開されていません。
AI・DX・工程改善ごとに、導入前後の作業時間、残業、人員、配置転換、再教育、休日、賃金を時系列で公開し、残業20%以上削減や危険作業削減など複数の成果が確認できれば2→4/5点を検討できます。
現在2/5
改善後4/5
加点+2点
総合66→68点
参考企業はサントリーロジスティクス株式会社です。当サイトの現行審査では、長距離輸送の労働時間2,100時間削減やAGF導入による工数30%削減など、人の作業負担を具体的な時間・工数で示しています。
日本法人単体のサイバー防御・復旧結果を公開する|サイバー防衛・情報保護 2→4/5
現在の「サイバー防衛・情報保護」は2/5点です。
親会社にはNISTを参照した多層防御、ペネトレーションテスト、演習、CISO等の体制がありますが、日本法人単体の結果を外部から検証できません。
Coke ONや社内主要システムについて、MFA・EDR適用率、24時間監視、第三者攻撃演習、重大漏えい件数、検知時間、封じ込め時間、復旧時間を毎年公開し、重大事故0を継続できれば2→4/5点を検討できます。
現在2/5
改善後4/5
加点+2点
総合68→70点
ランクC→B
参考企業は伊藤忠商事株式会社です。当サイトの現行審査では総合86点・シビックランクAで、ITCCERTによる常時監視、標的型メール訓練、第三者サイバー攻撃演習、重大漏えい0などを確認し、サイバー防衛・情報保護を5/5点と評価しています。
次のBランクへ上がるための具体例
現在62点・Cで、Bは70点からです。
・労働時間・休息:全社平均残業20時間以下、有休取得率80%以上、年間休日120日以上を公式公開し、6→8点。+2点
・労働安全・健康:死亡・重大災害0を継続し、度数率・強度率・休業災害件数を公開して4→6点。+2点
・改善成果の人間への還元:DX前後の作業時間・残業・休日・配置転換を公開し、実際の削減成果を示して2→4点。+2点
・サイバー防衛・情報保護:日本法人単体でMFA・EDR、攻撃演習、重大事故0、復旧時間を公開して2→4点。+2点
62点+2点+2点+2点+2点=70点
となり、シビックランクBへ上がります。
つまり、日本コカ・コーラが次のランクへ上がるには、新しい商品やアプリ機能をさらに増やすことより、現在のInnovationによって働く人の残業・危険・自由時間が実際にどう変わったかを公開し、守山工場の労災と日本法人のサイバー復旧力を結果で示すことが重要です。
出典一覧
1.日本コカ・コーラ株式会社「会社概要」【情報ランクA】
2.日本コカ・コーラ株式会社「コカ・コーラシステムについて」【情報ランクA】
3.日本コカ・コーラ株式会社「新代表取締役社長 就任のお知らせ」2026年6月1日【情報ランクA】
4.日本コカ・コーラ株式会社「採用情報」【情報ランクA】
5.日本コカ・コーラ株式会社「PRIDE指標2024 ゴールドを3年連続受賞」【情報ランクA】
6.日本コカ・コーラ株式会社「2022 ESGレポート」【情報ランクA】
7.転職会議「日本コカ・コーラ 残業・有休集計」【情報ランクB】
8.Indeed「日本コカ・コーラ株式会社の社員クチコミ」【情報ランクB】
9.OpenWork「日本コカ・コーラ 社員クチコミ」2025年回答【情報ランクB】
10.日本コカ・コーラ株式会社「製品の安心・安全を守り続ける守山工場」【情報ランクA】
11.日本コカ・コーラ株式会社「守山工場でAWS認証を取得」2025年8月29日【情報ランクA】
12.日本コカ・コーラ株式会社「い・ろ・は・す 製品情報・PFAS検査」【情報ランクA】
13.日本コカ・コーラ株式会社「Coke ONのアクセシビリティ機能を拡充」2024年3月25日【情報ランクA】
14.日本コカ・コーラ株式会社「Coke ON」2026年時点の利用規模【情報ランクA】
15.経済産業省「規制のサンドボックス制度に係る実証計画を認定しました」2023年7月19日【情報ランクS】
16.日本コカ・コーラ株式会社「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレスを自動販売機で全国順次展開」2026年8月3日【情報ランクA】
17.日本コカ・コーラ株式会社「経産省 環境配慮設計認定制度 認定製品」2026年2月12日【情報ランクA】
18.消費者庁「消費者志向自主宣言・フォローアップ活動/日本コカ・コーラ株式会社」【情報ランクS】
19.日本コカ・コーラ株式会社「災害支援型自動販売機」【情報ランクA】
20.The Coca-Cola Company「2025 Form 10-K」2026年2月20日【情報ランクA】
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
日本コカ・コーラ株式会社は62点のため、今回のシビックランクはCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
情報ランクは企業そのものの良し悪しではなく、個々の情報の出どころと検証状態を示します。Sは第三者による裏づけがある情報として最も強く扱います。AとBは情報の性質が異なり、働き方の実態確認ではBが有用な場合もあります。

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