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TDK株式会社を企業審査|シビックランクB・総合点(78点/100点)|平均年収921万円・DX銘柄2026とBCP訓練を評価、加湿器回収率62.8%・男女賃金差が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
https://tousikyousomirai.com/?p=3511

今回審査するTDK株式会社は、総合78点、シビックランクBです。

TDK株式会社の特に強い点は、2026年3月期の平均年間給与921万1,552円、年間休日125日という待遇に加え、製造現場の自動化、生成AIの社内活用、DX銘柄2026への選定、年間30回以上のBCP演習・訓練など、技術と事業継続の両面で改善を続けていることです。そのため、この企業の商品やサービスを利用すれば、電子機器や自動車、産業設備を支える部品を安定して供給しながら、人の反復作業や災害時の供給停止を減らす企業へ売上が集まる可能性が高まります。

一方で、改善点として、女性管理職比率5.7%、正規雇用の男女賃金比率72.3%が残ります。さらに、過去に5人が死亡した加湿器事故に関するリコールは現在も続いており、2026年9月末時点でも累積回収率は62.8%です。

この記事では、TDK株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

TDK株式会社の企業審査結果

TDKは、コンデンサ、インダクタ、センサ、磁気ヘッド、マグネット、リチウムイオン電池、電源、製造装置などを扱う総合電子部品メーカーです。スマートフォン、自動車、AIサーバー、産業機器、再生可能エネルギー設備などの内部に入り、電気を蓄える、ノイズを減らす、位置や動きを検知する、データを記録する、電力を変換するといった機能を支えています。[出典1・2]

評価軸点数評価の要点
Safety37/50平均年収921万円、年間休日125日、人権救済制度、グループ重大労災0を評価。女性管理職5.7%、男女賃金差、加湿器リコール継続が課題
Innovation21/25搬送・ハンドリング・協働ロボット、TDK GenAI、DX銘柄2026を評価。自動化成果の単体労働時間・賃金への還元定量化が不足
Protection20/25年30回超のBCP訓練、CEO主導危機対策本部訓練、IT-BCP、CSIRTを評価。単体RTO・代替生産能力と直接的な緊急市民支援の定量開示が不足
総合点78/100シビックランクB

評価時点:2026年10月14日

主な強み

・2026年3月期のTDK単体平均年間給与は921万1,552円、前年比10.95%増
・平均勤続年数16.9年
・2026年新卒初任給は学部卒30万円、修士了32万4,000円
・年間休日125日、年間所定労働時間1,860時間
・女性管理職比率は2024年4.8%、2025年5.3%、2026年5.7%へ上昇
・2026年3月期の男性育児休業取得率66.2%
・TDKグループで2026年3月期の死亡・重大労働災害0
・TDK GenAI、データ仮想化、ゼロトラスト等を構築し、DX銘柄2026に初選定
・搬送ロボット、設備間ハンドリングロボット、協働ロボットを製造現場へ展開
・各事業・工場で年間30回以上のBCP演習・訓練を実施
・情報セキュリティ教育、標的型メール訓練、第三者脆弱性診断、IT-BCP訓練を年1回以上実施
・2025年には社員81人が岩手県釜石市の震災復興支援に参加

主な課題

・女性管理職比率5.7%で、TDK株式会社が2035年に掲げる15%目標まで差がある
・男女賃金比率は全労働者72.5%、正規雇用72.3%、非正規63.5%
・公的職場情報では月平均残業16.1時間、有休取得率70.7%で、さらに改善余地がある
・グループの死亡・重大労災0は確認できるが、TDK株式会社単体の休業災害度数率を同じ粒度で追いにくい
・1990年代に販売した加湿器のリコールが現在も完了しておらず、2026年9月末の回収率62.8%
・2013年のKS-500Hによる火災では5人死亡、1人重傷
・自動化による作業人数、残業、事故、配置転換の改善量をTDK株式会社単体で施策別に追える情報が不足
・主要工場・製品別のRTO、代替生産率、実測復旧時間は公開が限られる

事業内容と人間への貢献

TDKの製品は、完成品の外から見えにくいものが中心です。しかし、スマートフォン、自動車、データセンター、家電、産業設備、再生可能エネルギー設備などの内部で、電気を安定させ、信号を検知し、データを記録し、機械を制御する役割を持ちます。

基本情報

項目内容
会社名TDK株式会社
英文名TDK Corporation
設立1935年12月7日
本社東京都中央区日本橋二丁目5番1号
代表取締役 社長執行役員CEO齋藤 昇
資本金326億4,197万6,312円
上場東京証券取引所・証券コード6762
TDK株式会社単体従業員数6,573人(2026年3月31日)
連結従業員数10万6,545人
平均年齢43.0歳
平均勤続年数16.9年
平均年間給与921万1,552円
連結売上高2兆5,048億円
グローバルネットワーク30以上の国・地域、250以上の工場・研究開発・営業拠点
主な事業受動部品、センサ応用製品、磁気応用製品、エナジー応用製品、その他

[出典1・3]

主な事業内容

受動部品では、コンデンサやインダクタなどを通じて電気を蓄え、ノイズを抑え、電子回路を安定して動かします。センサ応用製品では温度、圧力、角度、位置、加速度などを検知し、自動車、ロボット、スマートフォン、産業機器が周囲の状態を把握するために使われます。[出典2]

磁気応用製品ではHDD用磁気ヘッドやマグネットを扱い、エナジー応用製品ではスマートフォンや産業機器向けの二次電池、電源などを提供します。その他には半導体実装を自動化する装置などもあります。[出典2]

2026年6月には新潟県小千谷市に「TDK信濃川テクノ工場」を新設すると発表しました。ロボットやスマートインフラなどフィジカルAIの成長を見据え、センサ製品の生産拡大を計画しています。[出典18]

主な利用企業・取引先

個別顧客名の網羅的な一覧は公表されていません。主な利用先は自動車、スマートフォン・ICT、産業機器、AIサーバー、再生可能エネルギー、家電、医療・ヘルスケアなどのメーカーです。

TDKの部品は最終製品の中へ組み込まれるため、一般消費者がTDK製品を直接購入する機会は多くありません。それでも、TDK部品の品質や供給停止は、完成品メーカーとその利用者へ波及します。

事業による人間への貢献

例えば自動車では、温度・角度・位置などのセンサが車両の状態を検知し、コンデンサやインダクタが電源と信号を安定させます。センサが高精度になれば、機械が人や周囲の状況をより正確に把握し、自動化・安全制御を行いやすくなります。

工場ではTDKの電子部品だけでなく、生産設備やAIも人の負担を減らします。TDKは搬送ロボット、設備間ハンドリングロボット、協働ロボットを導入し、人が行っていた搬送・移し替え・反復作業の自動化を進めています。単純な移動や繰り返し動作をロボットへ移せれば、人は設備監視、品質改善、異常対応など判断を必要とする仕事へ時間を使えます。[出典9]

一方、電子部品は完成品の安全性を左右します。過去の加湿器事故のように、自社の完成品に重大な安全欠陥があれば生命へ直接影響します。そのため、現在の電子部品事業の社会的価値と、過去の重大事故・未回収製品は別々に評価します。

Safety|37/50

Safetyでは、TDK株式会社で直接働く人の所得・休息・公平性・育児支援と、TDKグループの安全管理、製品利用者の安全を評価します。給与や休日、人権救済、安全衛生の仕組みは高い水準ですが、男女格差と、死亡事故を伴った加湿器リコールが現在も完了していないことを重く見ます。

賃金・利益の還元|8/10

2026年3月期のTDK株式会社単体の平均年間給与は921万1,552円で、前年から10.95%増えました。会社は定期昇給とベースアップに加え、業績成長を踏まえた賞与水準の見直しなどが増加要因と説明しています。[出典3]

2026年新卒の月額初任給は学部卒30万円、修士了32万4,000円、博士了36万3,000円です。昇給年1回、賞与年2回も明示されています。[出典4]

平均給与の上昇とベースアップを確認できるため8/10点です。一方、平均値だけでは製造、技術、営業、事務など職種ごとの分布や中央値が分かりません。

全社員の賃金中央値、職種・等級別の基本給、実質賃金の推移を継続公開し、広い従業員層で高い還元が確認できれば10/10点を検討できます。

労働時間・休息|8/10

採用情報では年間休日125日、年間所定労働時間1,860時間、完全週休2日制、年末年始・GW・夏季の大型連休を確認できます。計画有給制度も設けています。[出典4・5]

公的職場情報を集約したデータでは、月平均残業16.1時間、有給休暇取得率70.7%です。月16.1時間は仮に月20勤務日なら1日約48分に相当し、極端な長時間労働ではありません。一方、有休は約3割が未取得の水準で、休息には改善余地があります。[出典6]

年間休日と残業水準を評価して8/10点です。

月平均残業10時間以下、有休取得率90%以上、月45時間超の社員比率が低水準であることを職種・事業所別に継続公開できれば10/10点を検討できます。

雇用の安定・待遇の公平性|3/5

2026年3月期のTDK株式会社単体の従業員数は6,573人、平均勤続年数は16.9年です。単体従業員数は2022年3月期5,719人から増えており、自動化が進む中でも会社全体の雇用人数は拡大しています。[出典3]

一方、女性管理職比率は5.7%です。男女賃金比率は全労働者72.5%、正規雇用72.3%、非正規63.5%です。

TDK株式会社は女性管理職比率を2035年に15%へ高める目標を設定し、女性向けキャリア開発や管理職候補向けプログラムを進めています。[出典7・8]

雇用の安定と改善施策は評価できますが、管理職と賃金の結果差が大きいため3/5点です。

女性管理職15%以上を早期に実現し、正規雇用の男女賃金比率90%以上、職位・職種・勤続を調整した差も小さいことを示せれば5/5点を検討できます。

福利厚生・育児・介護|4/5

2026年3月期の男性育児休業取得率は66.2%です。採用情報では企業年金、確定拠出年金、財形貯蓄、社員持株会、共済制度、独身寮、住宅支援などを確認できます。[出典3・4]

年間休日125日、育児休業、介護休業、短時間勤務など、長期間働くための制度は広く整っています。

制度と男性の実利用を確認できるため4/5点です。

一方、男性育休取得率はまだ90%以上には達しておらず、TDK株式会社単体の平均取得日数や介護休業利用状況もさらに詳しく公開できる余地があります。

男性育休90%以上、平均取得日数、復職率、介護制度利用を毎年公開し、高水準を継続できれば5/5点を検討できます。

人権・ハラスメント・労使関係|4/5

TDKは社内外のステークホルダーから人権上の苦情・懸念を受け付け、匿名性・秘密保持と不利益取扱い禁止を明示しています。第三者窓口としてJaCERの対話救済プラットフォームを使い、2025年度から匿名での問い合わせ機能も拡充しました。派遣・請負会社の従業員もTDKヘルプラインの対象です。[出典10]

企業倫理のヘルプラインはグループ全体で2025年度203件の相談・通報を受けています。件数が多いこと自体を悪い評価にはせず、相談できる制度が実際に利用されている材料とします。[出典11]

第三者窓口、匿名通報、派遣・請負を含む対象範囲を評価して4/5点です。

一方、TDK株式会社単体について、ハラスメント認定件数、是正件数、解決期間、再発率を同じ定義で継続比較できる公開情報は不足しています。単体結果まで匿名化して公開できれば5/5点を検討できます。

労働安全・健康|8/10

2026年3月期、TDKグループでは死亡労災と重大労働災害が0件でした。新規設備導入時のリスクアセスメント、TDK OHSMS、ISO45001認証拠点への外部監査、未認証拠点への原則年1回の内部監査などを行っています。[出典12]

重大事故0は、製造拠点を世界展開する企業として重要な結果です。一方、この数値はTDKグループ全体であり、TDK株式会社単体の休業災害件数、度数率、工場別結果としては読み替えません。

重大事故0と安全管理を評価して8/10点です。

TDK株式会社単体と主要請負・派遣について、死亡・重篤・休業災害、度数率、強度率を同じ定義で公開し、死亡・重篤災害0と低い度数率を複数年継続できれば10/10点を検討できます。

商品・サービスの安全|2/5

TDKの製品安全を評価する際、現在も継続している加湿器リコールを外すことはできません。

2013年2月8日、長崎県長崎市のグループホームでTDK製加湿器KS-500Hから出火し、5人が死亡、1人が重傷となりました。経済産業省は同年3月、消費生活用製品安全法に基づく危害防止命令を出しました。[出典13・14]

対象4機種の回収は現在も続いています。2026年9月末現在の累積回収台数は5万3,452台、回収率62.8%です。TDKは全国の施設への確認、広告、自治体への周知依頼、1台5,000円の回収協力金などを続け、毎月経済産業省へ報告しています。[出典15]

死亡事故を伴う重大問題があり、約37%が未回収の状態なので高得点にはしません。

一方、危害防止命令を受けた後も回収活動を継続し、事故を教訓とした全社員向け品質・安全教育を行っているため0点ではなく2/5点です。

回収率を大幅に引き上げ、対象品の新たな重大事故0を長期間継続し、現在の主要製品について重大品質事故・回収件数を年次公開できれば4/5点を検討できます。

従業員・元従業員の口コミ

IndeedのTDK Corporationページでは534件の口コミに基づく総合評価3.9/5、勤務時間と残業3.8、給与と福利厚生3.7、定着率と昇進3.5です。[出典16、情報ランクB]

別のTDK株式会社ページは投稿数が3件と非常に少なく、勤務時間・残業5.0、給与・福利厚生5.0、総合2.7です。母数が少ないため会社全体の代表値には使いません。[出典17、情報ランクB]

公式・公的データと口コミを合わせると、休日・給与を高く評価する声がある一方、勤務地や職場による差を示す投稿もあります。口コミは職種・拠点・投稿時期が混在するため、公式の全社値を置き換えず、現場差を確認する補助情報として扱います。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、5ちゃんねる、爆サイを「TDK」「工場」「残業」「パワハラ」「退職」「省人化」「人員削減」「配置転換」などと組み合わせて確認しました。

対象法人、勤務拠点、投稿時期、職種まで確認でき、公式資料・求人・口コミを上回って採点を変更できる公開投稿本文は確認できませんでした。投稿が見つからないこと自体は安全性や働きやすさの証明ではないため、加点していません。

Innovation|21/25

Innovationでは、人が行ってきた搬送、設備間の移し替え、反復判断、データ整理などをロボット・AIへ移し、その成果を働く人へ返しているかを評価します。TDKは工場自動化と生成AIを大規模に進めています。一方、TDK株式会社単体で、設備ごとの削減時間・必要人数・残業・配置転換までつないだ成果開示は不足しています。

作業負担・危険の削減|8/10

TDKは製造工程を整理したうえで、工程間搬送ロボット、設備間ハンドリングロボット、人の作業を再現する協働ロボットなどをグローバル拠点へ展開しています。デジタルツインや工場シミュレーションを使い、導入効果と稼働条件を事前に検証する仕組みもあります。[出典9]

例えば材料や製品を人が設備間で繰り返し運ぶ工程を搬送ロボットへ移せば、歩行、持ち運び、人車接触の機会を減らせます。ハンドリングロボットは、設備から部品を取り出して次工程へ渡す反復作業を代替できます。

具体的な人作業の代替が確認できるため8/10点です。

一方、「年間何時間減ったか」「重量物取扱が何kg減ったか」「事故が何件減ったか」「必要人数が何人変わったか」というTDK株式会社単体の定量結果は公開が不足しています。これらを設備別に公開し、危険・反復作業が大幅に減ったことを示せれば10/10点を検討できます。

商品・サービスの改善|5/5

TDKはコンデンサ、センサ、磁気部品、電池などを継続的に高性能化し、自動車、スマートフォン、AIサーバー、産業機器などへ供給しています。

センサでは温度、圧力、角度、位置、加速度などを高精度で検知し、ロボットや自動車が現実世界の状態を把握する基盤になります。[出典2]

2026年にはAIを材料開発、生産設計、新デバイス開発へ使う体制を強化し、フィジカルAI市場を見据えた新しいセンサ工場の計画も発表しました。[出典18・19]

複数事業で製品・生産技術を継続改善し、利用者側の機器の小型化、高効率化、センシング、自動化を支えているため5/5点です。

改善成果の人間への還元|3/5

自動化・DXが進む中でも、TDK株式会社単体の従業員数は2022年3月期5,719人から2026年3月期6,573人へ増えています。2026年3月期の平均年間給与も前年比10.95%増でした。自動化と同時に雇用・所得が縮小していないことは、人への還元を見るうえでプラス材料です。[出典3]

一方、従業員数の増加や給与上昇が自動化による生産性向上の直接的な成果だと示す資料はありません。個々のロボットやAIで浮いた時間が、残業削減、賃上げ、休日、教育、配置転換へ何時間・何円返ったかは公表されていません。

良い結果が同時に確認できるため3/5点です。施策ごとに削減時間、人員配置、残業、教育、賃金をつないで公開できれば4~5/5点を検討できます。

研究開発・現場改善の継続|5/5

2026年4月、TDKは経済産業省、東京証券取引所、IPAによる「DX銘柄2026」に初選定されました。デジタルソリューションズ本部と専任AIグループを新設し、内製生成AI「TDK GenAI」、データ仮想化、AI支援の材料開発・生産設計を進めています。[出典18]

製造自動化、AI、センサ、新材料などを単発ではなく複数年・複数事業で進め、2026年には新工場投資も発表しているため5/5点です。

自動化・AI導入後の雇用状況

自動化・AI導入後の雇用を追うと、TDK株式会社単体の従業員数は2022年3月期5,719人、2023年5,902人、2024年6,037人、2025年6,241人、2026年6,573人と増加しています。[出典3]

2026年も技術系・事務系の新卒採用と経験者採用を続けています。今回の調査では、ロボットやTDK GenAIの導入を理由とするTDK株式会社単体の大規模希望退職、採用全面停止、契約終了を示す公表情報は確認されませんでした。[出典4]

ただし、会社全体の人数が増えていても、自動化された特定工程で人員が減っている可能性はあります。工程別の配置転換人数、再教育、外注変更、契約更新、配置転換後の離職を公開していないため、自動化が個々の働く人へ与えた影響を完全には追えません。

今後は新設備稼働後も数年単位で確認する必要があります。

Protection|20/25

Protectionでは、地震、台風、火災、サイバー攻撃、部材供給停止などが起きても電子部品を供給し続けられるかを評価します。TDKは工場・事業単位のBCP訓練、全社危機対策本部訓練、IT-BCP、脆弱性診断まで具体化しています。一方、製品別の代替能力や復旧目標の定量公開、市民への直接支援には改善余地があります。

災害への備え・訓練|5/5

TDKは各事業・工場で、さまざまなシナリオを想定したBCP演習・訓練を年間30回以上実施しています。

さらに大規模有事では社長執行役員CEOが指揮する全社危機対策本部を立ち上げる訓練を毎年行い、2025年10月にもシミュレーション訓練を実施しました。[出典20]

例えば大地震で複数工場や通信が同時に止まった場合、誰が事業継続の優先順位を決め、どの工場・部門へ指示するかを平時に訓練しておけば、初動判断の遅れを減らせます。

訓練頻度とCEOを含む実動体制まで具体的なため5/5点です。

生産・物流・調達の代替|4/5

TDKは30以上の国・地域に250以上の工場、研究開発、営業拠点を持ち、事業・工場単位でBCPを整備しています。サプライチェーンでも取引先のBCP・BCM状況を確認し、緊急時の情報収集体制を整えています。[出典1・20]

例えば一つの地域で地震や停電が起きた場合、複数地域の生産・調達拠点を持ち、事前にサプライヤーの事業継続力を把握していれば、代替材料や別拠点への切替を早められます。

複数拠点とBCMを評価して4/5点です。

一方、主要製品について「どの工場へ何%代替できるか」「切替に何日かかるか」という代替生産率・切替時間の公開が不足しています。製品群別の代替能力を実測訓練で示せれば5/5点を検討できます。

サイバー防衛・情報保護|4/5

TDKは情報セキュリティ委員会、CSIRT、CSIRPを整備し、全チームメンバーへ年1回以上の情報セキュリティ教育と標的型メール訓練を行っています。

第三者による脆弱性診断も年1回以上実施し、情報セキュリティインシデントを想定したIT-BCP訓練も年1回以上行っています。[出典21]

2026年のDX基盤ではゼロトラスト、セキュアAPIゲートウェイなども採用しています。2026年3月期にはグループ会社で顧客プライバシー侵害や顧客データ損失に関する報告・苦情は0件でした。[出典18・21]

防御、訓練、第三者診断を評価して4/5点です。

一方、TDK株式会社単体のMFA・EDR適用率、重大インシデント件数、バックアップ復元時間、RTO・RPOは公表が限られます。単体の適用率と実測復旧時間まで公開できれば5/5点を検討できます。

供給継続・復旧能力|4/5

TDKは災害原因を限定しないグローバルBCPを定め、優先業務を中断させないこと、中断した場合はできるだけ早く再開することを目的にBCMを運用しています。

BCM定例会で課題と進捗を管理し、工場・事業単位の演習結果をマネジメントレビューへ反映しています。[出典20]

例えば主要工場が停止した場合に、代替拠点、生産設備、サプライヤー、ITを事前に整理しておけば、電子部品を必要とする自動車・通信・産業機器メーカーの生産停止を短くできます。

仕組みと継続訓練を評価して4/5点です。

一方、主要製品のRTO、RPO、実際の復旧時間、平時供給量の何%まで何日で戻すかは横断的に公開されていません。これらを定量公開し、訓練で達成できれば5/5点を検討できます。

危機時の市民への対応|3/5

TDKは災害地域への支援を継続しています。2025年には社員81人、そのうち新入社員76人が岩手県釜石市で東日本大震災からの復興支援活動へ参加しました。[出典22]

長期間の復興を社員教育と地域支援に組み込む点は評価できます。

一方、現在のTDKは一般消費者向けの生活必需品メーカーではなく、自治体との緊急物資供給協定、災害発生直後の輸送数量、避難所へ直接届ける仕組みなどは公開が限られます。

実際の復興支援があるため3/5点です。災害時に電源・センサ・通信関連製品等を自治体や医療・インフラ機関へ供給する協定と訓練、実災害での数量・時間を公開できれば4~5/5点を検討できます。

良いニュース・最近の前向きな動き

最近のTDKでは、AI・DXを経営と製造へ組み込み、センサの生産能力を増やす動きが進んでいます。TDK製品を採用する企業やサービスを利用する企業が増えれば、ロボット・自動車・産業設備の高精度化と、製造現場の反復作業削減へ投資する企業を支えることにつながります。

2026年4月|「DX銘柄2026」に初選定(Innovation)

TDKは経済産業省、東京証券取引所、IPAによるDX銘柄2026に初めて選定されました。約3,800社の東証上場企業の中から選ばれ、電子部品サプライヤーとして初の選定とされています。[出典18]

評価対象には、TDK GenAI、データ仮想化、ゼロトラスト、AIを使った材料開発・生産設計などが含まれます。

生成AIを単なるチャット用途ではなく、製造・開発データへつなぐことで、担当者が情報を探す時間や分析の反復を減らし、新しい材料・製品の開発へ時間を使いやすくなります。

2026年6月|新潟県小千谷市にセンサ新工場を計画(Innovation・Protection)

TDKは「TDK信濃川テクノ工場」を新設し、フィジカルAI時代のロボティクス、スマートインフラ、自動化システムで必要となるセンサ製品の生産を拡大する計画を発表しました。[出典19]

センサの供給能力が増えれば、ロボットや自動制御装置が温度、位置、動きなどをより多くの場面で検知できるようになります。

一方、現時点では新工場は計画段階なので、雇用・生産性・労災削減の実績としては加点していません。

2026年3月期|死亡・重大労働災害0を継続(Safety)

TDKグループでは2026年3月期に死亡・重大労働災害0を達成しました。[出典12]

製造設備を世界各地で動かす企業では、巻き込まれ、挟まれ、化学物質、重量物などのリスクがあります。

重大事故0を維持することは、働く人が生命・身体に回復困難な被害を受ける可能性を下げる直接的なSafetyです。

悪いニュース・問題となった動き

TDKの最大の問題は、過去の加湿器事故が「昔の出来事」で終わっていないことです。2026年現在も危険製品が未回収で残っており、会社トップページでも重要なお知らせとして注意喚起しています。

また、女性の管理職・賃金結果にも大きな差が残ります。

2026年9月末|加湿器回収率62.8%、リコール継続(Safety)

対象4機種の累積回収台数は2026年9月末で5万3,452台、回収率62.8%です。TDKは2026年10月8日にも9月度の回収状況を経済産業省へ報告しており、現在も回収活動を続けています。[出典15]

2013年の事故では5人が死亡、1人が重傷となりました。回収対象品が家庭や施設の物置などに残っていれば、再使用によって発煙・発火する危険が残ります。

TDK自身も「最悪の場合は死亡事故に至る恐れ」があるとして使用中止を呼びかけています。

回収活動の継続は必要ですが、回収率62.8%という結果では危険源がまだ相当数残っています。商品安全2/5点の最大の減点理由です。

2026年3月期|女性管理職5.7%・正規男女賃金比72.3%(Safety)

女性管理職比率は4.8%から5.3%、5.7%へ上昇していますが、まだ管理職の大多数は男性です。正規雇用の男女賃金比率も72.3%にとどまります。[出典3・7]

採用・研修だけでなく、技術職への配置、管理職候補への登用、育児後のキャリア、上位職への昇進を追い、結果として賃金差を縮める必要があります。

2026年時点|自動化の人への還元量が十分に見えない(Innovation)

TDKは搬送・ハンドリング・協働ロボットと生成AIを広く使っていますが、TDK株式会社単体で「何時間の残業が減ったか」「何人を別業務へ再配置したか」「事故が何件減ったか」を設備別に追える公開情報は不足しています。[出典9・18]

自動化そのものは高く評価できますが、その成果が人へ返ったことまで数字で示せば、Innovationの評価をさらに上げられます。

総合評価と、これから改善してほしいこと

TDK株式会社は現在78点・シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと2点必要です。

技術力、給与、BCP、サイバー対策はすでに強いため、次ランクへ上がる最も直接的な道は、社員の休息をさらに増やすか、現在も続く加湿器リコールの安全リスクを大幅に縮小することです。男女の管理職・賃金差も中長期の重要課題です。

有休取得率90%以上・残業10時間以下へ改善してほしい|労働時間・休息:8→10/10

現在は年間休日125日と良好ですが、公的職場情報では月平均残業16.1時間、有休取得率70.7%です。

有休取得率90%以上、月平均残業10時間以下、月45時間超の社員を低水準に抑え、事業所・職種別でも大きな偏りがないことを複数年公開できれば10/10点を検討します。

現在:8/10点
改善後:10/10点
加点:+2点
総合:78→80点
ランク:A

参考企業は三菱ガス化学株式会社です。Google Drive上の現行審査では、2025年度の月平均時間外・休日労働14.5時間、有給休暇取得率92.5%、平均取得17.9日を確認し、「労働時間・休息」10/10点、総合84点・Aです。TDKでも残業を抑えたまま有休90%超へ高めることが直接の参考になります。[比較資料1]

女性管理職・男女賃金差を改善してほしい|雇用の安定・待遇の公平性:3→4/5

現在は女性管理職5.7%、正規雇用の男女賃金比率72.3%です。

女性管理職15%以上、正規雇用の男女賃金比率90%以上、職位・職種・勤続を調整した差も小さいことを確認できれば4/5点を検討します。

現在:3/5点
改善後:4/5点
加点:+1点
総合:78→79点
ランク:B

参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。Google Drive上の現行審査では、提出会社の女性管理職比率47.4%、正規雇用の男女賃金比率91.5%を確認し、「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点、総合84点・Aです。

企業規模・業種は異なりますが、女性が管理職と高賃金区分へ到達した結果を示す例として参考になります。[比較資料2]

加湿器リコールの危険を大幅に縮小してほしい|商品・サービスの安全:2→4/5

現在も対象加湿器の回収率は62.8%で、危険製品が残っています。

未回収品の探索方法を強化し、回収率を大幅に引き上げることに加え、現在の主要製品について重大製品事故・死亡事故0、重大リコール0を複数年継続し、品質事故・回収件数を年次公開できれば4/5点を検討します。

現在:2/5点
改善後:4/5点
加点:+2点
総合:78→80点
ランク:A

参考企業は東京インキ株式会社です。Google Drive上の現行審査では、全4工場でISO9001認証を取得し、SDSなど製品安全情報も公開しているため「商品・サービスの安全」4/5点、総合75点・Bです。

TDKでは品質管理体制だけでなく、現在残っている具体的な危険製品を減らした結果まで必要です。[比較資料3]

次のランクへ上がるための具体例

現在78点・Bで、Aランクは80点からです。あと2点必要です。

・有休取得率90%以上、月平均残業10時間以下を実現し、「労働時間・休息」を8→10点へ改善する。+2点

この場合、78点+2点=80点となり、シビックランクAへ上がります。

別の到達例として、加湿器の未回収リスクを大幅に縮小し、現行製品で重大製品事故・重大リコール0を継続して「商品・サービスの安全」を2→4点へ改善した場合も、+2点で80点・Aへ到達します。

つまり、TDKがAランクへ上がるためには、すでに強いDXやBCPをさらに増やすだけでなく、社員が実際に休める状態を一段高めるか、現在も残る製品安全リスクを大きく減らすことが重要です。

出典一覧

1.TDK株式会社「概要/TDK At A Glance」【情報ランクA】
2.TDK株式会社「事業セグメント/個人投資家向け事業紹介」【情報ランクA】
3.TDK株式会社「2026年3月期 有価証券報告書」【情報ランクS】
4.TDK株式会社「新卒採用情報」【情報ランクA】
5.TDK株式会社「福利厚生」【情報ランクA】
6.厚生労働省しょくばらぼ由来の職場情報集計「月平均残業・有休取得率」【情報ランクS相当の基礎データを利用した補助資料】
7.TDK株式会社「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」【情報ランクA】
8.TDK株式会社「女性リーダー育成の取り組み」【情報ランクA】
9.TDK United Report 2025「Design and Production/自動化」【情報ランクA】
10.TDK株式会社「人権の尊重/JaCER・TDKヘルプライン」【情報ランクA】
11.TDK株式会社「企業倫理・コンプライアンス」【情報ランクA】
12.TDK株式会社「安全衛生」【情報ランクA】
13.経済産業省「TDK株式会社製加湿器による事故の概要」【情報ランクS】
14.経済産業省「加湿器リコール情報/危害防止命令」【情報ランクS】
15.TDK株式会社「経済産業省への報告について/加湿器回収活動」2026年10月8日更新【情報ランクA】
16.Indeed「TDK Corporation 社員クチコミ」【情報ランクB】
17.Indeed「TDK株式会社 社員クチコミ」【情報ランクB】
18.TDK株式会社「DX銘柄2026に初選定」2026年4月13日【情報ランクA・公的選定】
19.TDK株式会社「TDK信濃川テクノ工場新設」2026年6月1日【情報ランクA】
20.TDK株式会社「リスクマネジメント/BCP・BCM」【情報ランクA】
21.TDK株式会社「情報セキュリティ」【情報ランクA】
22.TDK株式会社「社会貢献活動/釜石市復興支援」【情報ランクA】
23.TDK株式会社「ESGデータ」【情報ランクA】
比較資料1.シビックギルド「三菱ガス化学株式会社を企業審査」【比較資料】
比較資料2.シビックギルド「株式会社ミツウロコグループホールディングスを企業審査」【比較資料】
比較資料3.シビックギルド「東京インキ株式会社を企業審査」【比較資料】

シビックランクの基準

ランク総合点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

TDK株式会社は78点のため、シビックランクBです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S行政、公的機関、裁判所、規制当局、独立第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報
B従業員・元従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報

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