私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するアサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社は、総合52点、シビックランクDです。
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社の特に強い点は、酵母由来の非動物性ミルク「LIKE MILK」やラクトノナデカペプチド(LNDP)の認知機能研究など、中長期研究を実際の食品・健康価値へつなげていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、食物アレルギーや加齢に伴う健康課題があっても、科学的根拠を持つ新しい選択肢を利用しやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、AQI単体の平均賃金、残業、有休取得率、労災件数・度数率などが十分に公開されていないことに加え、2025年のアサヒグループ国内サイバー障害を踏まえても、AQIの研究データ・実験設備・研究継続に関する復旧目標や実績が外部から確認できないことが残ります。
この記事では、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社の企業審査結果
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社(AQI)は、アサヒグループの中長期的な研究を担う独立研究子会社です。研究員の約3分の1が博士号を持ち、社員の博士号取得支援も行っています。研究の継続性と社会実装は強い一方、非上場の研究子会社であるため、単体の労働・安全・危機対応の結果情報が少なく、今回の評価では公開不足を厳しく扱いました。[出典1]
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 28/50 | 博士号取得支援、グループ人権方針、研究費管理、休日・柔軟勤務の周辺情報を評価。単体賃金・残業・有休・労災KPIの開示不足が課題 |
| Innovation | 17/25 | LIKE MILK、LNDP、乳酸菌・酵母・環境研究、論文・学会発表を高評価。研究技術が研究者自身の作業負担や待遇へどう還元されたかは不足 |
| Protection | 7/25 | グループERM・情報管理制度はあるが、AQI単体の代替研究拠点、研究データ復旧、RTO・RPO、危機時市民支援の実績が不足。2025年グループサイバー攻撃も考慮 |
| 総合 | 52/100 | シビックランクD |
主な強み
・アサヒグループ全体の中長期研究を担う独立研究子会社
・研究員の約3分の1が博士号を保有し、社員の博士号取得も支援
・酵母技術を使った非動物性ミルク「LIKE MILK」の研究を事業化へ接続
・2026年、LNDPの認知機能研究、乳酸菌、酵母、神経機能など複数分野で論文・学会発表を継続
・文部科学省・経済産業省のガイドラインに沿った公的研究費管理体制を整備
主な課題
・AQI単体の平均年収、賃金中央値、ベースアップ率、賞与実績が非公開
・AQI単体の平均残業、有休取得率、月45時間・60時間超人数が非公開
・AQI単体の死亡・休業労災件数、度数率・強度率、研究所事故の年次KPIが非公開
・女性管理職比率、男女賃金差、離職率、雇用形態別人数などの単体指標が不足
・研究データ、実験試料、分析装置が災害・サイバー攻撃で停止した場合のAQI固有RTO・RPOや代替研究体制が非公開
事業内容と人間への貢献
AQIは完成した飲料や食品を大量生産する会社ではありません。アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などの事業会社より長い時間軸で、健康、発酵・微生物、品質、環境、新規事業につながる研究を行い、将来の商品・技術の種をつくる会社です。[出典1・2]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社 |
| 英文表記 | Asahi Quality & Innovations, Ltd. |
| 所在地 | 茨城県守谷市緑1-1-21 |
| 設立 | 2019年3月8日 |
| 事業開始 | 2019年4月1日 |
| 代表取締役社長 | 永富 康司 |
| 資本金 | 5,000万円 |
| 従業員数 | 163人(2024年12月31日現在) |
| 事業内容 | 基礎・応用・新領域・新規技術・品質保証・新規事業に関わる研究開発 |
| 主な取引先 | アサヒグループHD、アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品 |
従業員数については、企業公式ページの163人を採用します。第三者サイトには一桁の従業員数など公式情報と整合しない表示もありますが、今回の審査ではそれらを単体人員の根拠として使用していません。[出典1・13]
主な事業内容
AQIは、コアテクノロジー、環境資源、フロンティアサイエンス、ネクストビバレッジなどの研究領域と、知財・事業化機能を組み合わせています。グループの未来シナリオを描き、アルコール関連、ヘルス&ウェルネス、サステナビリティ、新規事業などを重点領域として研究します。[出典1・2]
商品開発を直接担当する事業会社とは役割が異なり、AQIは基盤技術や新しい素材・仕組みを長期的に研究し、事業会社や新規事業チームへつなげる役割を担っています。
主な利用企業・取引先
主な取引先はアサヒグループホールディングス、アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品です。一般消費者がAQIへ研究を直接発注する事業ではなく、グループ各社が研究成果を商品・サービスへ変換し、消費者へ届ける構造です。[出典1]
事業による人間への貢献
研究会社の人間貢献は、研究テーマが論文で終わらず、健康や食の選択肢、環境負荷の低減へつながるかで判断します。
代表例が「LIKE MILK」です。AQI、アサヒグループジャパン、アサヒグループ食品の横断チームは、酵母素材の乳化力を高め、酵母特有の風味を抑える技術を開発しました。商品はアレルギー特定原材料等28品目を使わず、牛乳と同程度のたんぱく質・カルシウムを持つ非動物性の選択肢としてテスト販売されています。[出典5]
また、AQIは100人を超える「もの忘れが気になる」高齢者を対象に、乳由来ペプチドLNDPを含む食品と認知機能の関係を調査しました。健康寿命や認知機能低下という社会課題へ食品研究から取り組む点も人間への貢献として評価できます。[出典6]
Safety|28/50点
Safetyでは、研究者・管理部門の賃金、時間、雇用、育児、人権、研究所での事故・健康、さらに研究成果の品質・安全を確認します。AQIでは専門人材育成やグループ制度の基盤は確認できますが、単体の結果指標が少ないことが最大の課題です。
賃金・利益の還元|4/10点
AQI単体の平均年収、賃金中央値、2025年・2026年のベースアップ率、賞与実績、男女・役職別賃金は公開情報から確認できませんでした。
第三者求人にはAQIの守谷拠点で働く法務・知財職の高い年収帯が示される例がありますが、求人上の雇用主はアサヒグループホールディングスやアサヒグループジャパンであり、AQI社員全体の賃金としては扱えません。[出典12]
研究員の専門性を高める博士号取得支援は長期的な人的投資として評価できますが、利益が基本給・賞与へどの程度返っているか確認できないため4/10点です。AQI単体の平均・中央値賃金、ベースアップ率、賞与を毎年公開し、実質賃金の上昇が確認できれば6~8/10点を検討できます。[出典1]
労働時間・休息|6/10点
AQIの新卒採用はアサヒビールで一括受付されています。さらにAQI守谷拠点で勤務するグループ法務・知財職の第三者求人では、8時30分~17時、フレックス、年間休日123日、残業月20~30時間程度、有給休暇10~20日などが確認できます。[出典1・12]
年間休日123日やフレックスは休息・柔軟性のプラス材料ですが、この求人はAQI全163人の平均ではなく、雇用主も別のグループ会社です。AQI単体の平均残業、有休取得率、長時間労働者数は確認できないため6/10点です。
AQI単体で平均残業15時間以下、有休取得率90%以上、月60時間超0人を公開・継続できれば8~10/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5点
企業公式では従業員163人、研究員の約3分の1が博士号を保有し、社員の博士号取得支援も行うとしています。高度専門人材を長期育成する仕組みは雇用の質を高める方向です。[出典1]
一方、離職率、平均勤続年数、女性管理職比率、男女賃金差、正規・非正規別人数、研究職と管理部門の待遇差はAQI単体で公表されていません。公平性を判断する結果情報が不足するため3/5点です。
これらを年度別に公開し、離職率の低さ、男女賃金差の縮小、女性管理職登用などを確認できれば4~5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5点
AQIの採用はグループ採用ルートを通じて行われ、守谷拠点で働くグループ職の求人では、出産、子育て、産後パパ育児、介護、ボランティア、リフレッシュなどの休暇制度が確認できます。[出典1・12]
また、社員の博士号取得支援は、研究者が働きながら専門性を高める教育支援として特徴的です。[出典1]
制度・人材育成は評価できますが、AQI社員自身の男性育休取得率、育児休業復職率、介護休業利用人数は公表されていません。このため4/5点です。単体の利用結果まで継続公開できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|3/5点
アサヒグループ人権原則は各グループ会社のすべての役員・従業員に適用され、差別、ハラスメント、強制労働、児童労働、安全衛生、労働時間・賃金、結社の自由などを対象としています。AQIもグループ会社としてこの枠組みに含まれます。[出典8]
一方、AQI単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、是正・救済結果、労働組合や労使協議の実績は公開情報から確認できませんでした。方針はあるものの単体結果が不足するため3/5点です。
相談件数、認定件数、是正結果、再発率、労使協議実績まで年度別に公開できれば4~5/5点を検討できます。
労働安全・健康|4/10点
AQIは微生物、食品素材、分析、脳・認知機能などを扱う研究所であり、化学物質、培養物、分析装置、実験設備など研究所特有の安全管理が重要です。
グループERMでは安全な職場を重要課題とし、AQIでは公的研究費管理の責任体制も明示しています。しかしAQI単体の死亡・休業労災件数、度数率・強度率、化学物質事故、設備事故、ヒヤリハット、安全教育時間などの結果は公表されていません。[出典7・9]
今回確認した公開情報ではAQI単体の重大労災や行政処分を確認できませんでしたが、非公表の指標を0件として加点することはしません。このため4/10点です。死亡・重篤災害0、休業災害、度数率・強度率を毎年公開し、低水準を複数年維持できれば6~8/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5点
AQIは研究会社であり最終商品の製造責任主体ではありませんが、事業内容に「品質保証に関わる研究開発」を含み、分析技術・品質・安全の基盤技術を磨いています。[出典1・2]
また、公的研究費について文部科学省・経済産業省のガイドラインに沿った管理規程を設け、代表取締役社長を最高管理責任者とする責任体制を公開しています。[出典7]
研究の管理・品質基盤を評価して4/5点です。一方、AQI研究由来の技術について、研究不正、試験逸脱、品質上の重大インシデントを年次で一覧公開する仕組みは確認できません。研究倫理・品質監査の結果まで公開できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Yahoo!しごとカタログにはAQIの企業ページがありますが、現在、平均残業時間と有休取得率は「―」で、AQI社員の具体的な職場口コミを採点へ使える形では十分確認できませんでした。[出典13・情報ランクB]
同ページには公式163人と整合しない従業員数表示もあるため、第三者集計の数値は会社公式情報を上書きする根拠として使用していません。転職サイト・求人サイト上にはアサヒグループ他社の情報も多く混在するため、別法人の口コミをAQI社員の意見として流用していません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、AQI、守谷研究所、残業、給与、退職、パワハラ、研究職、労災などを組み合わせて確認しましたが、対象法人との関係と本文を確認でき、今回の採点を変更できる具体的な投稿は確認できませんでした。
投稿が見つからないこと自体は働きやすさや安全性の証明ではないため、加点していません。
Innovation|17/25点
InnovationはAQIの中心的な強みです。酵母、乳酸菌、認知機能、神経科学、発酵、環境技術などを長期研究し、論文・学会発表から商品化までつなげています。一方、研究技術がAQIで働く人の反復作業や危険をどれだけ減らし、その成果を賃金・休暇へ返したかは確認しにくいため、事業成果と働く人への還元を分けて採点します。
作業負担・危険の削減|4/10点
AQIは高度な分析、微生物研究、データ解析、オープンイノベーションなどを研究基盤として使っています。これらは人の手作業だけでは扱えない大量データや試料を処理し、研究の精度・速度を高める方向に働きます。[出典2・3]
一方、AQI社員の実験作業について「人が何時間行っていた工程を自動分析へ置き換えた」「危険な試薬操作をロボット化した」「研究者の残業を何時間削減した」といった導入前後の定量情報は確認できませんでした。
研究設備・分析技術の高度化は評価しますが、人の負担削減の結果が見えないため4/10点です。自動化前後の実験人時、危険作業、反復作業、残業、事故を公開できれば6~8/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5点
「LIKE MILK」では、長年研究してきた酵母に着目し、乳化力を高める技術と酵母特有の風味を除く技術を確立しました。AQIを含む3社チームの研究成果が、アレルギー特定原材料等28品目不使用の非動物性ミルクとして実際のテスト販売へ進んでいます。[出典5]
さらにLNDP、乳酸菌、酵母、神経機能、ノンアルコール飲料など複数領域で論文・学会発表を継続し、健康や食の選択肢を広げる研究が確認できます。[出典3・4・6]
研究成果を消費者が使える商品・健康価値へつないでいるため5/5点です。満点を維持するには、発売後の利用者利益や安全性も追跡し、研究へ戻す循環を続ける必要があります。
改善成果の人間への還元|3/5点
社員の博士号取得支援、研究員の高い専門性、大学・外部研究機関との共同研究は、研究成果を次の研究者育成へ返す仕組みとして評価できます。[出典1・3]
一方、研究成果や事業化による利益がAQI社員の賃上げ、賞与、研究時間の確保、残業削減、サバティカル、追加人員などへどう還元されたかは公表されていません。
専門性への投資を評価して3/5点です。主要研究成果ごとに、事業化収益と研究費・人材育成・賃金・研究時間への再投資を示せれば4~5/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5点
2026年だけでも、LNDPの神経可塑性・認知機能、乳酸菌、酵母脂質、睡眠・リラクゼーション、飲料推薦、果汁の糖低減候補菌など幅広い研究論文・学会発表が続いています。[出典3・4]
AQIは未来シナリオを毎年更新し、中長期R&Dをグループ戦略へ反映しています。単発の研究テーマではなく、研究組織・知財・事業化機能を持って継続しているため5/5点です。[出典1・2]
自動化・AI導入後の雇用状況
AQIでは高度な分析・データ技術を研究へ取り込んでいますが、AIや自動化を理由とした大規模な人員削減、希望退職、採用停止を示すAQI単体の公表情報は確認できませんでした。
一方、自動化によって不要になった作業を担当していた研究者が何人別業務へ移ったか、再教育を受けたか、研究時間や残業がどう変化したかも公表されていません。雇用悪化を推測せず、影響を追える情報が不足している状態と評価します。
Protection|7/25点
Protectionでは、地震、停電、感染症、研究設備故障、サイバー攻撃などが起きても、研究データ・試料・知的財産を守り、重要研究を再開できるかを確認します。グループERMと情報管理制度はAQIにも及びますが、研究会社特有のバックアップと実復旧結果は十分に公開されていません。
災害への備え・訓練|3/5点
アサヒグループは全社ERMを導入し、各グループ会社が重要リスクを特定・評価し、対応計画を策定・実行してグループのリスク管理委員会へ報告する体制を持っています。AQIもグループ会社としてこの枠組みに含まれます。[出典9]
一方、AQI守谷拠点での地震・火災・停電・研究設備停止を想定した訓練頻度、避難時間、非常用電源、実験試料保全の訓練結果は公表されていません。制度は確認できるため3/5点です。AQI固有の訓練と結果を公開できれば4~5/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|1/5点
AQIの公式所在地は茨城県守谷市緑1-1-21で、主要な研究機能は同拠点に集約されています。[出典1]
研究試料、特殊分析装置、培養設備、実験動物・微生物、共同研究データなどについて、守谷拠点が停止した場合の代替研究施設、別地域への試料移送、外部研究機関への切替能力は公表されていません。研究拠点の冗長性を確認できないため1/5点です。
代替研究施設・共同研究先との事前協定、重要試料の別拠点保存、代替設備リストを公開し、切替訓練まで行えば3~4/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|2/5点
アサヒグループは情報管理方針、個人情報保護規程、PC・外部媒体の暗号化、情報管理責任者制度、社員教育をグループ各社へ展開しています。2026年には情報セキュリティ委員会を新設し、EDR強化やIT資産管理、監査強化など再発防止策も進めています。[出典10・11]
一方、2025年9月29日にアサヒグループの国内システムがサイバー攻撃を受け、国内グループ会社の受注・出荷やコールセンターなどが停止し、その後ランサムウェア攻撃と情報漏えい・漏えいのおそれが確認されました。[出典11]
この攻撃についてAQIが侵入口だった、AQIの研究データが漏えいした、AQI固有システムが停止したという事実は確認できません。そのためグループ事故をAQI固有事故として扱いません。しかしAQIの研究データを守る具体的なMFA、ネットワーク分離、オフラインバックアップ、RTO・RPO、復元訓練結果も公開されていないため2/5点です。
供給継続・復旧能力|1/5点
研究会社にとっての供給継続は、重要な研究データ、試料、知財、実験設備を失わず、研究プロジェクトを再開できることです。
AQIについて、サーバー障害時の研究データ復元時間、停電時の実験継続時間、冷凍・培養試料の代替保管、装置故障時の代替測定先、研究ごとのRTOは公表されていません。実復旧能力を確認できないため1/5点です。
重要研究ごとにRTO・RPOを設定し、年1回以上の復元・代替施設切替訓練で目標達成を公開できれば3~4/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|0/5点
AQIの研究は健康、食品、環境など長期的な社会課題へ貢献しますが、地震・豪雨・感染症などの危機時に、市民へ物資・設備・研究資源を直接提供したAQI単体の実績は今回確認できませんでした。
長期的研究成果を危機時対応として二重加点しないため0/5点です。自治体・医療機関との危機時研究支援協定や、緊急時の分析・検査支援を実際に行い、対応時間・件数を公開できれば2~4/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、研究成果が論文だけで終わらず、食の多様性や認知機能という身近な課題へつながっている点を評価できます。研究子会社へ資金が回り、こうした社会実装型の研究が続けば、既存の商品カテゴリーでは対応しにくかった人にも新しい選択肢を届けやすくなります。
2026年9月|LNDPを含む食品で高齢者の認知機能を調査(Innovation)
AQIコアテクノロジー研究所は、100人を超える「もの忘れが気になる」高齢者を対象に、LNDPを含む食品の摂取と認知機能の関係を調べた研究成果を公表しました。[出典6]
高齢化が進む社会では、認知機能低下を予防・改善する食品の科学的根拠が増えれば、医療以外の日常的な選択肢も広がります。今後、再現研究や長期安全性まで蓄積されれば、生活者がより根拠のある健康食品を選べる方向につながります。
2025年9月24日|酵母由来「LIKE MILK」1000mlをテスト販売(Innovation)
アサヒグループジャパンは、AQIを含む3社横断チームが開発した酵母由来の非動物性ミルク「LIKE MILK」1000mlをテスト販売しました。アレルギー特定原材料等28品目を使わず、酵母由来技術で食の選択肢を広げる商品です。[出典5]
乳アレルギーや動物性食品を避ける人でも、牛乳に近い使い方ができる選択肢が増えるため、研究成果が消費者の生活へ直接届いた事例として高く評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
AQI単体で重大事故・行政処分を示す公開情報は今回確認できませんでした。一方、同社が属する国内アサヒグループでは大規模なサイバー障害が実際に発生し、AQI自身についても働く人のSafetyを検証する単体データが不足しています。問題がないと推定するのではなく、外部から確認できない部分を課題として扱います。
2025年9月29日|アサヒグループ国内システムがランサムウェア被害(Protection)
2025年9月29日、アサヒグループが使用する国内システムにサイバー攻撃による障害が発生し、国内グループ各社の受注・出荷、コールセンターなどが停止しました。その後、ランサムウェア攻撃と情報漏えい・漏えいのおそれが確認され、2026年には再発防止策と情報セキュリティガバナンスの強化が進められています。[出典11]
AQI自身が侵入口だったことや、AQIの研究データが被害を受けたことは確認されていません。しかし研究データ・知財を扱う会社にとって、グループ共通IT基盤の停止は無関係とは言えません。AQI固有の研究継続・復元結果を示す必要があります。
2026年時点|AQI単体の労働・安全KPIの公開不足(Safety)
会社概要、研究成果、研究体制は詳しく公開されていますが、AQI単体の平均賃金、残業、有休、男女賃金差、離職率、労災件数、度数率・強度率は十分に確認できません。[出典1]
研究成果が優れていても、研究者が長時間労働や事故リスクを抱えていないか外部から確認できなければ、人間中心の企業評価では高得点にできません。研究成果と同じレベルで、働く人の結果も公開することが求められます。
総合評価と、これから改善してほしいこと
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社は52点・シビックランクDです。次のCランクは60点からなので、あと8点です。Innovationは明確な強みですが、SafetyとProtectionの単体情報が少ないことが評価を大きく抑えています。
労災KPIをAQI単体で公開する|労働安全・健康 4→6/10
現在の「労働安全・健康」は4/10点です。研究所の重大労災・行政処分は今回確認できませんでしたが、死亡・休業災害、度数率・強度率、化学物質・設備事故の結果が公開されていません。
企業が実行してほしいのは、死亡・重篤災害0、休業災害件数、度数率・強度率、化学物質・設備・転倒等の事故類型、安全教育時間を毎年公開し、低い事故率を複数年継続することです。確認できれば4→6/10点、+2点を想定します。
参考企業はユニ・チャーム株式会社です。Google Drive上の現行審査は80点・Aで、2024年・2025年の単体労働災害度数率・強度率0.00、2025年死亡災害0を公開し、「労働安全・健康」10/10点です。[参考企業出典15]
残業15時間以下・有休90%以上を単体開示する|労働時間・休息 6→8/10
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。守谷拠点のグループ求人では年間休日123日、フレックス、残業20~30時間程度などを確認できますが、AQI社員全体の実績ではありません。[出典12]
企業が実行してほしいのは、AQI単体の平均残業、職種別残業、有休取得率、月45時間・60時間超人数を公開し、平均残業15時間以下、有休取得率90%以上、月60時間超0人を複数年継続することです。確認できれば6→8/10点、+2点を想定します。
参考企業はTDK株式会社です。Google Drive上の現行審査は78点・Bで、月平均残業16.1時間、有休取得率70.7%などを公開し、「労働時間・休息」8/10点です。AQIがさらに有休90%以上まで示せれば、同等以上の評価条件に近づきます。[参考企業出典14]
研究データのサイバー復元を実証する|サイバー防衛・情報保護 2→4/5
現在の「サイバー防衛・情報保護」は2/5点です。グループ全体の規程と2026年の再発防止策はありますが、AQIの研究データ・知財・分析装置に対する復旧実績が分かりません。[出典10・11]
企業が実行してほしいのは、研究データへのMFA、研究ネットワーク分離、オフライン・イミュータブルバックアップ、年1回以上の復元訓練を行い、AQI固有のRTO・RPOと実復旧時間を公開することです。目標時間内の復元を複数年確認できれば2→4/5点、+2点を想定します。
参考企業はTDK株式会社です。現行審査78点・Bで、グループのサイバー対策とBCP訓練を確認し、「サイバー防衛・情報保護」4/5点です。[参考企業出典14]
代替研究・復旧訓練を公開する|供給継続・復旧能力 1→3/5
現在の「供給継続・復旧能力」は1/5点です。守谷の主要研究機能が停止した場合、重要試料、分析装置、研究データ、共同研究をどこへ切り替え、何時間・何日で戻せるかが公表されていません。
企業が実行してほしいのは、重要試料の別拠点保管、代替研究施設・大学・外部分析機関との協定、主要装置停止時の代替手順を整備し、年1回以上の切替・復旧訓練を行うことです。重要研究を目標時間内に再開できる結果を公開できれば1→3/5点、+2点を想定します。
参考企業はTDK株式会社です。現行審査では災害BCP訓練を具体的に確認し、「災害への備え・訓練」5/5点、「供給継続・復旧能力」4/5点です。[参考企業出典14]
次のランクへ上がるための具体例
AQIは現在52点・Dで、Cランクの60点まであと8点です。
例えば、①労災KPIを単体公開し低い事故率を継続して「労働安全・健康」を4→6点(+2点)、②残業15時間以下・有休90%以上を単体で達成して「労働時間・休息」を6→8点(+2点)、③研究データの復元訓練とRTO・RPOを公開して「サイバー防衛・情報保護」を2→4点(+2点)、④代替研究施設と試料バックアップを実証して「供給継続・復旧能力」を1→3点(+2点)とします。
52点+2点+2点+2点+2点=60点となり、シビックランクCへ上がります。
AQIの場合、Innovationをさらに増やすことよりも、すでに強い研究力を支える研究者のSafetyと、研究データ・試料を失わないProtectionを結果で示すことが、次のランクへの最も現実的な道です。
出典一覧
1.アサヒグループホールディングス「アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社(AQI社)」【情報ランクA】
2.アサヒグループホールディングス「研究開発/研究開発体制・基盤技術」【情報ランクA】
3.アサヒグループホールディングス「研究論文」【情報ランクA】
4.アサヒグループホールディングス「学会発表」【情報ランクA】
5.アサヒグループジャパン「酵母由来の非動物性ミルク『LIKE MILK 1000ml』9月24日発売」2025年9月24日【情報ランクA】
6.アサヒグループホールディングス「ラクトノナデカペプチド(LNDP)を含む食品の摂取により高齢者の認知機能が改善」2026年9月11日【情報ランクA】
7.アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社「公的研究費の管理体制」【情報ランクA】
8.アサヒグループホールディングス「Asahi Group Human Rights Principles」【情報ランクA】
9.アサヒグループホールディングス「Risk Management System」【情報ランクA】
10.アサヒグループホールディングス「Information Management System」【情報ランクA】
11.アサヒグループホールディングス「サイバー攻撃によるシステム障害発生について」および「再発防止策とガバナンス体制の強化について」2025~2026年【情報ランクA】
12.リーガルジョブボード「AQI守谷拠点勤務の法務・知財職求人」【情報ランクB・雇用主は別グループ会社のため補助資料】
13.Yahoo!しごとカタログ「アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社」【情報ランクB・口コミ情報不足の確認に使用】
14.Google Drive上の現行企業審査「TDK株式会社を企業審査|78点・B」【参考企業】
15.Google Drive上の現行企業審査「ユニ・チャーム株式会社を企業審査|80点・A」【参考企業】
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者と対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
