私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するアサヒグループエンジニアリング株式会社は、総合66点、シビックランクCです。
アサヒグループエンジニアリング株式会社の特に強い点は、酒類・飲料・食品工場の設備計画から設計、施工管理、試運転までを担い、パレタイザー、自動投入機、コンベア搬送、ヒートポンプなどを使って、人の作業負担とエネルギー消費を同時に減らしていることです。そのため、この企業の技術やサービスが選ばれれば、工場で人が繰り返す積み付け・投入・トラック搬送などを機械へ移しながら、食品・飲料の安定供給と省エネルギーを両立する社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、70人規模の会社単体について平均給与、賃金中央値、残業、有休、男女賃金差、女性管理職比率、死亡・休業労災、度数率などが十分に公表されていません。また、2025年のアサヒグループへのランサムウェア攻撃を踏まえたAGE単体のサイバー防御・復旧指標も確認できません。
この記事では、アサヒグループエンジニアリング株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
アサヒグループエンジニアリング株式会社の企業審査結果
アサヒグループエンジニアリングは、アサヒグループ各社の工場・研究所・物流施設を技術面から支えるエンジニアリング会社です。工場の生産能力増強、省人化、耐震、電気設備、排水処理、省エネなど、製造現場の基盤そのものを設計・改善します。
設備自動化と省エネ提案、全国6支社による技術支援、リモートワーク・スーパーフレックスの活用は強みです。一方、会社単体の人的資本、安全、BCP、サイバーセキュリティKPIの公開不足が評価を抑えています。
| 評価軸 | 点数 | 評価の要点 |
|---|---|---|
| Safety | 31/50 | スーパーフレックス・リモート活用、グループ人権方針、施工時の安全管理を評価。単体賃金、残業、有休、男女指標、労災KPIが非公表 |
| Innovation | 21/25 | パレタイザー、自動投入、コンベア搬送、ヒートポンプ、排水処理改善を高評価。削減人時と従業員への還元量が不足 |
| Protection | 14/25 | 全国6支社、耐震補強、2回線受電設備、グループBCPを評価。AGE単体の代替業務、サイバー防御、RTO・RPO、危機時支援実績が不足 |
| 総合点 | 66/100 | シビックランクC |
主な強み
・1986年3月22日設立、資本金4,000万円
・アサヒグループジャパン株式会社の100%子会社
・従業員70人(2025年9月現在)
・本社のほか北海道、東北、関東、中部、関西、九州に支社を配置
・酒類、飲料、食品工場、研究所、物流施設の設備投資を上流計画から試運転まで支援
・社員座談会ではリモートワークとスーパーフレックスが制度だけでなく実際に広く利用されていると説明
・2025年施工のパレタイザー導入で積み付け工程の省人・省力化を実現
・アサヒ飲料群馬工場では、製品搬送をトラック輸送からコンベア自動搬送へ切り替える設備を支援
・アサヒグループ食品大阪工場ではタブレット計数充填機の自動投入を提案
・北海道工場では蒸気加熱をヒートポンプへ変更し、CO2とエネルギーコストの削減を支援
・食品工場では既存機能を維持したまま排水処理能力を増強
・特高変電所で66kV・2回線受電方式を採用した設計実績
・旧耐震建物の耐震補強や建替えに関する設計・施工管理実績
・保全技能研修の講師を社員が担当し、グループ工場へ技能を展開
主な課題
・会社単体の平均給与、賃金中央値、ベースアップ率が公開されていない
・新卒・中途を含む標準的な給与体系を会社公式で比較しにくい
・会社単体の平均残業、有休取得率、年間休日、月45時間超社員比率の公開が不足
・会社単体の女性管理職比率、男女賃金差、男女別昇進率が公開されていない
・会社単体の育休取得率や復職率が公開されていない
・死亡労災、休業労災、度数率、強度率、施工現場の事故件数が公開されていない
・2025年のアサヒグループへのランサムウェア攻撃後も、AGE単体の影響範囲は公開情報から確認できない
・AGE単体のMFA、EDR、ネットワーク分離、バックアップ、復旧訓練の実績が非公表
・自動化案件で年間何時間の作業を削減したか、何人分の重作業や移動を減らしたかが非公表
・省人化の成果が工場従業員の残業、休日、配置転換、安全へどう返ったかの定量情報が不足
・全国支社はあるが、一つの支社やシステムが停止した場合の代替業務開始時間は非公表
・危機時にAGE自身が市民へ直接支援した実績は確認できる情報が少ない
事業内容と人間への貢献
アサヒグループエンジニアリング株式会社は、酒類・飲料・食品の製造技術を熟知したインハウス型のエンジニアリング会社です。設備投資計画、建築、プラント、電気計装、環境設備、施工管理、海外支援などを通じて、アサヒグループの生産・物流基盤を支えています。[出典1]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | アサヒグループエンジニアリング株式会社 |
| 設立 | 1986年3月22日 |
| 代表取締役社長 | 中村 準 |
| 資本金 | 4,000万円 |
| 株主 | アサヒグループジャパン株式会社 100% |
| 本社 | 東京都墨田区吾妻橋1丁目23番1号 アサヒグループ本社ビル |
| 従業員数 | 70人(2025年9月現在) |
| 主要取引先 | アサヒグループ各社 |
| 国内拠点 | 本社、北海道、東北、関東、中部、関西、九州 |
| 主な事業 | 建築、プラント、電気計装、環境設備等の企画・設計・調達・施工管理・試運転支援 |
主な事業内容
建築エンジニアリングでは、工場、研究所、物流施設の新築・増改築・改修について、基本計画、設計、施工会社選定、工事管理、官公庁協議まで支援します。[出典1・2]
プラントエンジニアリングでは、生産設備の増強、自動化、省力化、省エネルギー、老朽設備更新などについて仕様を検討し、サプライヤー選定から施工・試運転まで関わります。[出典2]
電気計装では、特高変電所や高圧ケーブル、制御設備など、工場を安全に動かす電力・制御基盤を設計します。
環境システムでは、排水処理設備の増能力・更新を行い、生産量が増えても排水基準を守れるよう設備を整えます。
主な利用企業・取引先
主要取引先はアサヒグループ各社です。
公開実績では、アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品、ニッカウヰスキーなどの工場案件が確認できます。[出典2]
例えばアサヒ飲料明石工場の飲料PETボトル製造棟、群馬工場の搬送設備、アサヒグループ食品の栃木・大阪・岡山工場など、日常的に購入される飲料・食品の製造基盤へ直接関わっています。
事業による人間への貢献
製造設備が止まれば、飲料や食品は作れません。設備能力が不足すれば、猛暑や災害などで需要が増えたときに供給不足が起きやすくなります。
アサヒグループエンジニアリングは、工場の生産能力を高めるだけでなく、人が担っていた搬送・積み付け・投入を自動化し、老朽設備を更新し、耐震や排水処理を改善しています。
例えば製品をトラックで隣接地へ搬送していた工程をコンベアへ変えれば、運転、積み降ろし、車両移動の作業を減らせます。パレタイザーを導入すれば、人がケースを繰り返し積み上げる重労働を機械へ移せます。
つまり、この会社の技術は「商品を作る機械」を増やすだけでなく、そこで働く人が危険・反復・重量物作業から離れられるかにも関係します。
Safety|31/50
Safetyでは、エンジニア自身の賃金・休息・安全に加え、AGEが設計・施工管理する設備によって、グループ工場で働く人と製品利用者の安全が高まっているかを見ます。柔軟な働き方、グループ人権方針、安全管理を評価しますが、会社単体の労働KPIがほとんど公開されていない点を重く見ます。
賃金・利益の還元|4/10
アサヒグループエンジニアリング単体の平均年収、賃金中央値、職種別賃金、既存社員のベースアップ率について、今回確認した公開情報では十分な数値を確認できませんでした。
dodaの企業ページにも、2026年時点で同社の平均年収情報は掲載されていません。[出典3]
70人の専門技術者集団であり、建築・プラント・電気・環境など高度な専門職を抱えていますが、「専門性に対してどれだけ固定給で還元しているか」を外部から比較できません。
公開情報がないため4/10点です。
6/10以上には、全正社員の賃金中央値、職種・等級別賃金、賞与、ベースアップ率を会社単体で公開し、同業の技術職と比較できる状態にする必要があります。
労働時間・休息|6/10
社員座談会では、リモートワークとスーパーフレックスが制度として整備され、実際に多くの社員が利用していると説明されています。[出典4]
全国の工場案件を担当するため出張・現場対応が発生する一方、設計・計画業務では勤務場所と時間を柔軟に調整できることは、移動や家庭事情に合わせた働き方につながります。
しかし、AGE単体の平均残業時間、有給休暇取得率、年間休日、月45時間超社員比率、休日施工後の代休取得率は公開されていません。
柔軟勤務の実利用を評価して6/10点です。
8/10には、平均残業15時間以下、有休取得率80%以上、月45時間超社員比率、休日出勤・代休取得を会社単体で毎年公開する必要があります。
雇用の安定・待遇の公平性|4/5
1986年から事業を継続し、2025年9月時点で70人の専門技術者を抱えています。社員座談会では、アサヒビールからAGEへ異動した社員と、外部企業からキャリア採用で入社した社員の双方が紹介されており、グループ内異動と中途採用の両方で専門人材を集めています。[出典1・4]
大規模な希望退職や自動化を理由とする人員整理は今回確認できませんでした。
一方、AGE単体の女性比率、女性管理職比率、男女賃金差、男女別昇進率、離職率は公開されていません。
専門人材の継続活用と複数の採用経路を評価して4/5点です。5/5には、男女・年代別の定着率、昇進率、賃金差を公開し、公平なキャリア形成を結果で示す必要があります。
福利厚生・育児・介護|4/5
社員座談会で、リモートワークとスーパーフレックスが実際に広く使われていることを確認できます。[出典4]
アサヒグループ国内主要会社では、有休の半日取得や連続休暇、出産・育児・介護との両立支援を進めています。グループ人事制度がAGEにどこまで同じ条件で適用されるかは公開資料から全項目を確認できないため、親会社の取得率等をAGEの実績としては扱いません。[出典5]
会社単体の男性育休取得率、育休復職率、介護制度利用率は公開されていません。
柔軟勤務を評価して4/5点です。5/5には、AGE単体で育休取得率、平均取得日数、復職率、介護休暇利用実績を公開する必要があります。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
アサヒグループ人権方針はグループ各社の全役員・社員へ適用され、過重労働抑制、公正な賃金、人権デューデリジェンス、救済へのアクセスなどを掲げています。[出典6]
AGEもグループ会社としてこの方針の対象です。
一方、AGE単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、是正完了率、人権研修率は公開されていません。
グループ共通方針が明確であるため4/5点です。5/5には、AGE単体の相談・是正結果まで公開する必要があります。
労働安全・健康|5/10
AGEの業務には、工場の施工管理、電気設備、プラント、排水設備、老朽設備更新など、安全管理が不可欠な仕事が含まれます。社員座談会でも、工事の進捗と安全を確保することが役割として明示されています。[出典4]
保全技能研修をグループ工場へ提供する実績もあり、安全・保全の技術を社内外へ展開しています。
一方、AGE単体の死亡労災、休業災害、度数率、強度率、施工現場の墜落・感電・挟まれ事故、協力会社を含む事故件数は公表されていません。
重大事故を確認できないことを事故0とは扱いません。結果KPIがないため5/10点です。
7点以上には、社員・協力会社を分けて死亡0、休業災害、度数率、重大ヒヤリハット、是正完了率を毎年公開する必要があります。
商品・サービスの安全|4/5
AGEは製品を直接販売するメーカーではなく、製造設備・建築・電気・排水などのエンジニアリングサービスを提供します。
実績では、旧耐震建物の補強、老朽ボイラー更新、特高変電所、排水処理設備など、安全と安定操業に直結する設備を設計・施工管理しています。[出典2]
特に排水設備は、機能しなくなると工場操業や環境法令へ影響する重要設備として社員自身が説明しています。[出典4]
一方、施工不具合、設備事故、引渡し後トラブル、重大クレームの会社単体KPIは公開されていません。
設計・施工管理の安全性を評価して4/5点です。5/5には、重大施工事故0、設備不具合率、顧客苦情、再施工率などを継続公開する必要があります。
従業員・元従業員の口コミ
今回、転職会議、OpenWork、Indeed、エンゲージ等を会社名で確認しましたが、アサヒグループエンジニアリング株式会社本人と明確に確認できる現在の口コミは十分に取得できませんでした。
検索結果には名称が似た「アサヒ・エンジニアリング株式会社」など別法人の口コミが含まれるため、それらをAGEの評価へ流用していません。
口コミが少ないこと自体は加点・減点していません。会社公式の社員座談会は情報ランクAとして扱いますが、企業が選定した社員の発言であるため、匿名口コミと同じ役割には使いません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイ等について、アサヒグループエンジニアリング、残業、給料、労災、事故、施工、安全、退職、人員削減などを組み合わせて確認しました。
今回の公開検索では、現在のAGE従業員・元従業員と明確に確認でき、採点を変更できる具体性を持つ投稿は確認できませんでした。
別法人との混同を避けるため、名称が一致しない投稿は採用していません。
Innovation|21/25
Innovationでは、工場で人が担う重量物・搬送・投入・設備運転を技術で減らし、その結果を人の安全・時間へ返せているかを評価します。AGEは具体的な自動化・省エネ実績が多く、この軸が最も強い会社です。
作業負担・危険の削減|8/10
2025年施工のアサヒビール茨城工場のパレタイザー設置では、自動化による省人・省力化を目的として、約10ケース/分の設備を導入しています。[出典2]
アサヒグループ食品大阪工場のタブレット計数充填機更新では、自動投入機を採用し、作業効率化を提案しました。
アサヒ飲料群馬工場では、隣接地への製品搬送をトラック輸送からコンベア自動搬送へ切り替えています。
これらは、人の積み付け、投入、運転、積み降ろしといった作業を設備へ移す具体的な改善です。
一方、年間削減人時、重量物取扱回数、走行距離、労災減少量は公表されていません。
具体的な省人化を評価して8/10点です。10/10には、各案件で導入前後の人時、必要人数、重量物作業、事故、残業を定量公開する必要があります。
商品・サービスの改善|5/5
AGEの改善は工場の生産性だけでなく、安定供給、省エネルギー、環境対応へ広がっています。
北海道工場では、排水設備の蒸気加熱をヒートポンプへ変更し、CO2排出とエネルギーコストを削減する設計を行いました。[出典2]
栃木さくら工場では、生産能力増強に合わせて既存排水処理機能を維持しながら処理能力を増強しています。
特高変電所では将来の増能力まで考慮し、66kV・2回線受電方式の設備を設計しています。
生産能力、安全、環境の複数課題を同時に改善しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5
パレタイザー、自動投入、コンベア搬送は、人が行っていた作業を機械へ移すため、従業員の身体負担と作業時間を減らす方向の技術です。
公式実績でも「省人、省力化」「作業効率化」と目的が明記されています。[出典2]
このため、単に設備を導入しただけでなく、人の負担軽減を設計目的にしていることは評価できます。
一方、削減した人時が休息、教育、保全、賃金、休日へ何時間・何円戻ったかは公開されていません。
目的と具体設備まで確認できるため3/5点です。4~5点には、削減人時とその再配分先を顧客工場ごとに定量開示する必要があります。
研究開発・現場改善の継続|5/5
AGEは建築、プラント、電気計装、環境システムという複数分野で、工場ごとの課題に合わせた改善を継続しています。
公開実績には2019年の新原液棟、2020年のフリーズドライ設備、2022年の自動搬送・特高変電所、2023年の自動投入、2024年のヒートポンプ・ボイラー更新、2025年のパレタイザーや倉庫・排水設備などが並んでいます。[出典2]
単発ではなく、毎年異なる工場と工程で改善を積み重ねているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
AGEは自動化・省人化設備を設計していますが、今回の公開調査では、自社のAI・自動化を理由とする大規模な希望退職、整理解雇、採用停止は確認できませんでした。
会社の従業員は2025年9月時点で70人です。社員座談会ではキャリア採用者やグループからの異動者が働いていることが確認できます。[出典1・4]
一方、従業員数の複数年推移、採用人数、退職人数、配置転換、再教育人数は公開されていません。
また、AGEが導入した省人設備によって顧客工場側で人員削減が起きたかどうかも公開情報からは確認できません。省人化が解雇ではなく、重労働から保全・品質・改善業務への移行につながっているかを今後も追う必要があります。
Protection|14/25
Protectionでは、地震、停電、設備故障、物流停止、サイバー攻撃が起きても、AGE自身とアサヒグループの製造基盤を守れるかを評価します。耐震・2回線受電・全国支社は強みですが、2025年のグループサイバー攻撃後もAGE単体の復旧力は見えにくい状態です。
災害への備え・訓練|3/5
AGEはニッカウヰスキー柏工場で旧耐震建物の補強を行うなど、グループ施設の地震対策へ直接関わっています。[出典2]
アサヒグループでは安否確認、衛星携帯電話、耐震診断、非常時通信、定期訓練などを進めています。[出典7]
一方、AGE単体の本社・6支社における訓練回数、備蓄、非常電源、安否確認時間は公開されていません。
グループ防災と耐震技術への関与を評価して3/5点です。4点以上には、AGE自身の拠点別訓練と初動時間を公開する必要があります。
生産・物流・調達の代替|3/5
AGEは本社に加えて北海道、東北、関東、中部、関西、九州に支社を置いています。[出典1]
全国に技術者の拠点があるため、ある地域が被災した場合に別地域の支援を受けやすい構造です。
また、特高変電所では2回線受電方式を設計するなど、顧客設備の冗長性を高める技術も持っています。[出典2]
一方、AGE自身の支社停止時に別支社が何時間以内に設計・施工管理業務を引き継げるか、重要サプライヤーの代替先があるかは公表されていません。
このため3/5点です。4~5点には、重要業務の代替拠点、切替時間、代替人員・調達先を訓練で検証する必要があります。
サイバー防衛・情報保護|2/5
2025年9月29日、アサヒグループが使用する日本のシステムにランサムウェア攻撃が発生しました。後の調査では、攻撃者がグループ内拠点のネットワーク機器を経由して侵入し、管理者権限を奪取して複数サーバー等を暗号化したことが公表されています。[出典8]
2026年には、IT資産管理の徹底、EDR等の高度化、情報管理規程の徹底、ガバナンス強化などの再発防止策が示されています。[出典9]
ただし、AGE自身のネットワークが直接侵害されたかは公開情報から確認できません。したがって、グループ事故をAGE自身の直接事故とは断定しません。
一方、AGE単体のMFA、EDR、設計データのバックアップ、施工図面や設備情報へのアクセス管理、復旧訓練結果は公表されていません。
重大なグループ事故と単体開示不足を踏まえて2/5点です。
供給継続・復旧能力|4/5
AGEが支援する設備には、工場停止を防ぐための耐震補強、受変電設備、排水処理、老朽設備更新などが含まれます。
特高変電所の2回線受電、既存機能を維持したままの排水設備増強、仮設水槽を使いながらの調整槽更新など、操業を止めにくくする設計を実際に行っています。[出典2]
顧客工場の継続能力を高める技術は強いため4/5点です。
ただしAGE自身の設計・調達システムのRTO・RPO、サイバー障害時の代替手順、支社の実測復旧時間は公開されていません。5/5には、自社の重要業務についても目標・実測復旧時間を公開する必要があります。
危機時の市民への対応|2/5
AGEが工場の耐震・電力・排水・生産設備を強化することは、災害後も飲料や食品を作り続けるための基盤になります。
アサヒグループでは2026年の熊本地震で飲料水約4万8,000本を含む支援物資を提供するなど、市民支援の実績があります。[出典10]
しかし、この支援の主体はアサヒグループジャパン、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などであり、AGE自身の直接支援数量や緊急復旧派遣の実績は確認できません。
間接的な供給基盤支援を評価して2/5点です。3点以上には、災害時の緊急設備復旧チームや自治体・グループ工場への派遣実績を時間・件数で公開する必要があります。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、省人化、省エネルギー、供給基盤強化を評価します。AGEの強みは、設備改善によって工場で働く人の作業そのものを変えられる点です。
2025年|茨城工場へパレタイザー導入、省人・省力化を実現(Innovation)
2025年、AGEはアサヒビール茨城工場のギフト装製場へパレタイザーを導入しました。目的として「自動化による省人、省力化」が明示され、約10ケース/分の能力を持つ設備です。[出典2]
ケースを人が繰り返し積み上げる工程は、重量物の反復作業になりやすい仕事です。これを自動化すれば、人は監視、品質確認、保全など別の役割へ移りやすくなります。
今後、年間何時間の作業や腰への負担が減ったかまで公開できれば、人への還元をさらに高く評価できます。
2024年|北海道工場へヒートポンプ導入、蒸気加熱を省エネ化(Innovation)
2024年、アサヒビール北海道工場の排水設備で、蒸気加熱をヒートポンプへ切り替える案件をAGEが支援しました。加熱能力は882kWで、CO2排出量とエネルギーコストの削減を目的としています。[出典2]
工場の省エネは、環境負荷だけでなく、エネルギー価格上昇時の操業コスト抑制にもつながります。
設備効率が上がれば、商品の製造コスト上昇を抑え、賃金や設備安全へ資金を回せる余地も広がります。
2022年|トラック搬送をコンベア自動搬送へ切替(Innovation)
アサヒ飲料群馬工場では、隣接地への製品搬送をトラックからコンベアへ切り替える設備をAGEが支援しました。[出典2]
道路と線路を跨ぐ複雑な計画で、鉄道会社や行政との協議を複数年行っています。
トラック移動が減れば、運転、荷役、燃料使用、構内交通事故の機会を減らせる可能性があります。人の負担、安全、環境を同時に改善できる案件です。
悪いニュース・問題となった動き
AGE単体で重大な不祥事・死亡事故は今回確認できませんでした。一方、グループ全体のサイバー攻撃と、AGE単体の安全・労働KPI不足は、事業継続と働く人の安全を評価するうえで重要な課題です。
2025年9月|アサヒグループがランサムウェア攻撃を受けシステム障害(Protection)
2025年9月29日、アサヒグループが使用する日本のシステムにランサムウェア攻撃が発生しました。2026年2月の調査では、攻撃者がグループ内拠点のネットワーク機器から侵入し、管理者権限を奪取したことが公表されています。[出典8]
AGE自身が侵入経路だった、あるいはAGEの設計データが漏えいしたという事実は今回確認できません。そのためAGE自身の事故とは断定しません。
しかし、AGEは工場設備の設計・施工・電気計装など重要な情報を扱う会社です。グループ共通システムへの重大攻撃を受けた以上、AGE単体でも設計データ、設備図面、サプライヤー情報の分離・バックアップ・アクセス制御を示すことが重要です。
2026年7月|グループで漏えいのおそれがある個人情報の範囲を再整理(Protection)
2026年7月17日、アサヒグループHDは2025年の攻撃に関し、個人情報保護委員会との協議を踏まえて「漏えいのおそれ」の対象範囲を再整理したと公表しました。現時点で不正利用等の二次被害は確認されていません。[出典11]
AGE単体の情報が対象に含まれるかは公表資料から確認できません。
再発防止策を実行するだけでなく、各グループ会社がどこまで対策を実装し、復旧訓練で何時間以内に復旧できたかを示すことで、Protectionをより明確に評価できます。
2026年時点|会社単体の労災・賃金・労働時間KPIが不足(Safety)
AGEは70人の専門会社ですが、会社単体の平均給与、残業、有休取得率、男女賃金差、女性管理職、死亡・休業労災、度数率を外部から確認できません。
少人数の会社では一人の事故や長時間労働が平均値へ大きく影響します。だからこそ、少人数を理由に非公開とするより、件数や率を適切に匿名化して公開する方が働く人と求職者にとって有用です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
アサヒグループエンジニアリング株式会社は66点、シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと4点必要です。
工場自動化、省エネ、耐震、電気・排水設備など、Innovationと供給基盤の技術は強い会社です。一方、働く人自身の賃金・時間・事故というSafetyの結果を会社単体で確認できないことが、評価を大きく抑えています。
単体の労災KPIを公開し、低水準を実証する|労働安全・健康 5→7/10
現在の「労働安全・健康」は5/10点です。
施工管理、安全管理、保全教育を行う会社であるにもかかわらず、AGE単体の死亡、休業災害、度数率、施工事故を確認できません。
社員と協力会社を分けて、死亡0、休業災害件数、度数率、強度率、墜落・感電・挟まれ等の事故類型を毎年公開し、死亡0と低い度数率を複数年継続できれば5→7点、+2点を検討できます。
参考企業はTOPPAN株式会社(73点・B)です。当サイトの現行審査では、死亡0、休業災害度数率0.043、強度率0.000を公開している点を「労働安全・健康」8/10点へ反映しています。
給与・残業・有休を会社単体で公開する|賃金・利益の還元 4→6/10
現在の「賃金・利益の還元」は4/10点です。
専門技術者70人の賃金水準を確認できる会社公式データが不足しています。
賃金中央値、職種別賃金、ベースアップ率、賞与を毎年公開し、同時に残業・有休も職種別に示せれば4→6点、+2点を検討できます。
これにより66+2+2=70点となり、シビックランクBへ到達します。
参考企業はKDDI株式会社(82点・A)です。当サイトの現行審査では、平均年収や基本給改善など人的資本の結果を比較できる形で開示している点を評価しています。
自動化の削減人時を公開し、人への還元を実証する|改善成果の人間への還元 3→4/5
現在の「改善成果の人間への還元」は3/5点です。
パレタイザーや自動投入機など、人の作業を減らす設備は具体的に確認できます。
今後、案件ごとに年間削減人時、重量物取扱回数、走行距離、残業、配置転換を公開し、削減時間を休息、保全、教育へ振り向けた結果まで示せれば3→4点、+1点を検討できます。
参考企業はTOPPAN株式会社(73点・B)です。熊本工場で巡回点検時間を7割強削減し、浮いた時間の使途まで公開しています。
サイバー攻撃後のAGE単体対策と復旧時間を公開する|サイバー防衛・情報保護 2→4/5
現在の「サイバー防衛・情報保護」は2/5点です。
2025年のグループランサムウェア攻撃後、グループ全体ではEDR等の高度化、IT資産管理、ガバナンス強化を進めています。[出典9]
AGE単体でも、MFA、EDR、設計データのネットワーク分離、オフラインバックアップ、サプライヤー接続管理、復旧訓練を公開し、重要設計・施工システムを目標時間内に復旧できたことを示せれば2→4点、+2点を検討できます。
次のランクへ上がるための具体例
・社員・協力会社別の死亡、休業労災、度数率、強度率を公開し、死亡0・低事故率を複数年継続。「労働安全・健康」5→7点、+2点。
・賃金中央値、職種別賃金、ベースアップ、残業、有休を単体公開し、実質賃金改善を示す。「賃金・利益の還元」4→6点、+2点。
66点+2点+2点=70点となり、シビックランクBへ上がります。
さらに、自動化の年間削減人時と再配分先を公開すれば+1点、サイバー防御と復旧実績をAGE単体で示せれば+2点を検討できます。
AGEは「他社工場を改善する技術」をすでに持っています。次に必要なのは、その改善思想を自社の働き方、安全、情報システムへも適用し、人がどれだけ安全になり、時間を取り戻したかを数字で示すことです。
出典一覧
1.アサヒグループエンジニアリング株式会社「企業情報・会社概要」
2.アサヒグループエンジニアリング株式会社「Works・実績紹介」
3.doda「アサヒグループエンジニアリング株式会社 年収情報」2026年
4.アサヒグループエンジニアリング株式会社「People・社員座談会」
5.アサヒグループ「サステナビリティレポート/多様な働き方を支援する制度」
6.アサヒグループホールディングス株式会社「人権方針」
7.アサヒグループホールディングス株式会社「有価証券報告書/自然災害・BCP」
8.アサヒグループホールディングス株式会社「サイバー攻撃被害の再発防止策とガバナンス体制の強化について」2026年2月18日
9.アサヒグループホールディングス株式会社「2025年12月期 決算関連資料/サイバー攻撃への対応策」
10.アサヒグループジャパン株式会社「令和8年熊本地震 被害に対する支援について」2026年7月31日
11.アサヒグループホールディングス株式会社「サイバー攻撃に係る漏えいのおそれがある個人情報について」2026年7月17日
12.経済産業省 Gビズインフォ「アサヒグループエンジニアリング株式会社」
13.Google Drive「TOPPAN株式会社を企業審査|73点/100点・シビックランクB」現行版
14.Google Drive「KDDI株式会社を企業審査|シビックランクA・82点/100点」現行版
シビックランクの基準
| ランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
アサヒグループエンジニアリング株式会社は66点のため、今回のシビックランクはCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体が明確な一次情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
