私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するアサヒユウアス株式会社は、総合26点、シビックランクFです。
アサヒユウアス株式会社の特に強い点は、海洋生分解性バイオマスプラスチック100%の「KAELOOP」で第三者認証を取得し、イベントでは使い捨てプラスチックカップ約3万5,000個を実際に削減するなど、資源循環を商品と運用の両方で具体化していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、使い捨て容器や未利用資源を減らし、地域の企業・自治体・利用者が一緒に循環へ参加できる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として対象法人単体の賃金、残業、年間休日、有給休暇、育児・介護制度の利用実績、死亡・休業労災がほぼ公表されていないことに加え、2025年のアサヒグループサイバー攻撃後もアサヒユウアス単体のサイバー対策・復旧時間が公表されていないことが残ります。
この記事では、アサヒユウアス株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
アサヒユウアス株式会社の企業審査結果
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 8/50点 | アサヒグループ共通の人権・採用ハラスメント方針、KAELOOPの第三者認証・抗菌試験を評価。単体の賃金、労働時間、福利厚生、労災KPI非公表が大きな課題 |
| Innovation | 12/25点 | 使い捨てカップ約3.5万個削減、ホテル歯ブラシ約4割資源化、KAELOOP・plaloopなど継続開発を評価。社員の残業・危険作業・賃金への還元KPIは非公表 |
| Protection | 6/25点 | 多数の企業・自治体との共創による分散型の事業モデルを評価。単体BCP、防災訓練、サイバー対策、RTO・RPO、危機時支援実績が非公表 |
| 総合 | 26/100点 | シビックランクF |
評価時点:2026年10月
主な強み
・2022年1月にサステナビリティ事業会社として事業開始
・2022年のつくばクラフトビアフェストで使い捨てプラスチックカップ約3万5,000個を削減
・2024年のホテル日航つくば実証で、設置した歯ブラシの約4割を廃棄せず資源化
・歯ブラシ回収の一部を福祉作業所へつなぎ、障がいのある人の就労機会創出も設計
・2025年に「KAELOOP」各種タンブラー・蓋が日本バイオプラスチック協会の海洋生分解性認証を取得
・KAELOOPはJIS Z 2801:2012準拠試験で黄色ブドウ球菌・大腸菌への抗菌性を確認
・折れた野球バット、間伐材、ビールかす、小麦ふすま、ホテルアメニティなど多様な未利用資源を商品化
・2026年、神奈川県の大学生等によるプラスチックごみ削減支援業務で最優秀提案者に選定
・2026年もKAELOOPと環境教育を組み合わせた絵本・ギフト商品へ展開
・アサヒグループ人権方針が各グループ会社の役員・社員へ適用される
主な課題
・事業開始時は従業員8人だったが、現在の対象法人単体の従業員数が公式に継続開示されていない
・対象法人単体の平均給与、給与中央値、昇給率、賞与実績が公表されていない
・対象法人単体の平均残業、年間休日、有休取得率、月45時間・60時間超の人数が公表されていない
・対象法人単体の男女賃金比、女性管理職比率、採用・離職率が公表されていない
・対象法人単体の育児休業、介護休業、短時間勤務、復職率などの利用実績が公表されていない
・対象法人単体の死亡労災、休業災害、度数率、強度率が公表されていない
・循環型事業によって自社社員の残業や危険作業が何時間減ったか公表されていない
・2025年のアサヒグループサイバー攻撃について、アサヒユウアス単体への影響範囲と復旧時間が個別開示されていない
・MFA、EDR、バックアップ復元試験、RTO・RPOなど単体のサイバー・復旧KPIが公表されていない
・災害時に市民へ商品・物資を供給した実績や、会社単体のBCP訓練結果が公表されていない
事業内容と人間への貢献
アサヒユウアス株式会社は、アサヒグループのサステナビリティ事業を担う会社として2022年1月1日に事業を開始しました。大量生産する飲料メーカーではなく、地域の企業、自治体、ホテル、スポーツ団体、素材メーカーなどと組み、未利用資源のアップサイクル、リユース容器、地域クラフトビール、環境教育、資源循環の仕組みづくりを企画・実装する会社です。[出典1・2]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | アサヒユウアス株式会社 |
| 事業開始 | 2022年1月1日 |
| 本社所在地 | 東京都墨田区吾妻橋1丁目23番1号 |
| 代表取締役社長 | 森 裕佳子 |
| 資本金 | 3,000万円 |
| 法人番号 | 8010601051111 |
| 従業員数 | 事業開始時8人。現在の単体人数は公式継続開示なし |
| 主な事業 | サステナブル商品・サービスの企画、アップサイクル、リユース・資源循環、地域共創、クラフトビール等 |
| 酒類販売 | 通信販売等の酒類販売免許を確認 |
法人番号上の法人自体は2017年に登録されていますが、現在のアサヒユウアスとしてのサステナビリティ事業開始日は会社公式発表の2022年1月1日です。[出典1・3]
主な事業内容
代表的な商品は、未利用の植物資源等を混ぜて作る「森のタンブラー」、リキャップできる「森のマイボトル」、海洋生分解性バイオマスプラスチック100%の「KAELOOP」、ホテルの使用済み歯ブラシなどを回収・再資源化する「plaloop」です。
商品を販売するだけでなく、イベント会場でリユースカップを使う運用、使用済み容器の回収、ホテルでの歯ブラシ回収、自治体・大学生への環境教育支援など、「使った後にどう戻すか」まで事業に含めています。[出典4・5・8]
共創先は、ホテル、自治体、鉄道会社、スポーツ団体、素材メーカー、観光施設、大学など多岐にわたります。2024年にはヤマハ発動機と静岡県森町のおがくずを使ったタンブラーと地域クラフトビールを企画し、2025年にはビールかす30%を使ったナガシマリゾート向けタンブラーも開発しました。[出典9・10]
主な利用企業・取引先
ホテル日航つくば、東急ホテルズ&リゾーツ、京浜急行電鉄、ヤマハ発動機、長島観光開発、自治体、イベント運営者などが共創先・利用先として確認できます。
2026年度には神奈川県から「大学生等によるプラスチックごみ削減に対する支援業務」を受託し、学生団体へ1団体最大100万円の費用支援と伴走支援を行う事業の委託事業者になっています。[出典8]
事業による人間への貢献
第一の貢献は、使い捨てによるごみそのものを減らすことです。2022年のつくばクラフトビアフェストでは、リユース容器を使うことで約3万5,000個のビール用使い捨てプラスチックカップを削減しました。翌年の会社資料では、この実績をCO2換算約2.6トンの削減としています。[出典4]
第二の貢献は、捨てられていた素材を再び商品へ戻すことです。ホテル日航つくばの歯ブラシ実証では、全設置数の約4割を廃棄せず資源化できました。回収トレーを洗面台へ置き、宿泊客自身が使用済み歯ブラシを置く仕組みにすることで、客室清掃係の回収負担を軽くする工夫も行われています。さらに回収作業の一部を福祉作業所へつなぎ、障がいのある人の就労機会を作る設計です。[出典5・6]
第三の貢献は、循環型の選択肢を社会へ広げることです。2026年には神奈川県の委託事業で大学生のプラスチックごみ削減企画を伴走支援しています。企業の商品だけで循環を完結させるのではなく、学生や地域の利用者が自ら削減策を作る機会を増やしています。[出典8]
Safety
Safetyでは、アサヒユウアス自身で働く人の賃金・休息・公平性・福利厚生・労災と、利用者が使うタンブラー等の安全性を評価します。商品側では第三者認証や抗菌試験を確認できますが、従業員側の単体データが極端に少なく、Safetyの大部分を高く評価できない状態です。
賃金・利益の還元:0/10
対象法人単体の基本給レンジ、平均給与、給与中央値、昇給率、賞与、既存社員のベースアップについて、十分調査しても現在の公開情報がありません。
アサヒグループの他社や持株会社には給与情報がありますが、それをアサヒユウアスの給与として転用しません。小規模な新規事業会社では出向者やグループ内異動者が含まれる可能性もありますが、雇用主体・給与負担の内訳も公表されていません。
働く人へ利益がどれだけ返っているかを判断する基礎数字がないため0/10点です。対象法人単体の基本給レンジ、年収中央値、昇給率、賞与を公開し、継続的な賃上げを確認できれば4~6点以上を検討できます。
労働時間・休息:0/10
対象法人単体の年間休日、月平均残業、有給休暇取得率、勤務間インターバル、月45時間・60時間超の社員数について、現在の公開情報がありません。
2021年の会社発足時には8人の小規模チームとして、全員が幅広い仕事を担う運営が紹介されました。小規模組織では一人が企画、営業、共創先調整、イベント運営など複数の役割を持ちやすいため、実際の残業と休息の結果を公開することが重要です。[出典2]
公開情報がないため0/10点です。平均残業15時間以下、年間休日120日以上、有休取得率70~80%以上、月60時間超0人などを単体で複数年公開できれば6~8点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性:2/5
アサヒユウアスは2022年の事業開始後も、2024年のplaloop、2025年のKAELOOP、2026年の神奈川県委託事業まで新規案件を継続しています。2024年末以降は森裕佳子氏が代表取締役社長を務めています。女性が経営トップを担っていることは、意思決定層の多様性という点では前向きです。[出典8・9]
一方、現在の従業員数、正社員・出向者・契約社員等の内訳、採用人数、離職率、男女比、男女賃金差、女性管理職比率は公表されていません。
事業と法人の継続性は確認できる一方、雇用の安定と待遇の公平性を判断できる数値が不足するため2/5点です。雇用区分別人数、採用・退職、男女賃金差を公開し、雇用維持と公平性を確認できれば3~4点以上を検討できます。
福利厚生・育児・介護:0/5
アサヒユウアス単体に適用される住宅、退職金、育児休業、介護休業、短時間勤務、看護休暇、男性育休、復職支援等の制度と利用実績は公表されていません。
アサヒグループ内の別会社で実施される福利厚生制度を、対象法人にも自動的に適用されるものとして採点しません。
制度・利用実績を確認できないため0/5点です。対象法人に適用される制度を明示し、男性育休取得率、平均取得日数、復職率、介護制度利用まで公開できれば3~5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係:2/5
アサヒグループ人権方針は、アサヒグループ各社の全役員・社員に適用すると明記しています。差別、ハラスメント、強制労働、結社の自由、労働安全衛生、労働時間と賃金などを重要課題とし、通報・救済の仕組みも定めています。[出典11]
また、就活等ハラスメント防止方針は、アサヒグループホールディングスと傘下の国内グループ会社を対象とし、24時間365日のグループ共通通報窓口「Speak Up」を設けています。[出典12]
対象法人にも適用されるグループ方針と通報経路を確認できるため2/5点です。一方、アサヒユウアス単体の相談件数、認定件数、是正件数、再発率、労働組合の有無は公表されていません。単体結果まで公開できれば3~5点を検討できます。
労働安全・健康:0/10
アサヒユウアスはイベント運営、商品開発、物流・回収スキームの設計などを行います。自社工場を持つ大規模製造会社とは危険の種類が異なりますが、イベント設営、容器回収、移動、外部製造先との現場業務などには事故リスクがあります。
しかし、対象法人単体の死亡災害、休業災害、度数率、強度率、交通事故、熱中症、イベント作業事故などについて公開情報がありません。
事故が少ないと推定して加点することはできないため0/10点です。対象範囲を明示して死亡・休業労災、度数率・強度率を毎年公開し、死亡・重大災害0など良好な実績を確認できれば2~6点以上を検討できます。
商品・サービスの安全:4/5
KAELOOPの460mL、380mL・340mL・210mL、290mLタンブラーと蓋は、日本バイオプラスチック協会の「海洋生分解性プラ」認証リストに登録されています。第三者団体の認証によって、会社自身の環境表示だけではなく、海洋生分解性に関する外部確認が入っています。[出典7]
KAELOOP公式ページでは、JIS Z 2801:2012準拠の試験で黄色ブドウ球菌と大腸菌に対する抗菌性を確認したとしています。割れにくさも特徴としており、飲料容器として繰り返し使う際の衛生・破損リスクを抑える方向の設計です。[出典13]
第三者認証と試験を評価して4/5点です。一方、アサヒユウアスの商品全体について重大製品事故、回収、食品接触安全、耐久回数、破損・苦情件数を年次比較できる統合KPIは公表されていません。重大事故0と品質KPIを継続公開できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議、Indeed、OpenWork、エンゲージ会社の評判などを会社名で確認しましたが、アサヒユウアス社員・元社員と特定でき、本文まで確認できる現行の口コミは今回の公開検索では得られませんでした。
dodaの企業情報でも従業員数・平均年齢等は「―」となっており、単体の働き方を判断できる数値は掲載されていません。[出典14]
口コミが見つからないこと自体は加点も減点もしません。賃金・残業・休暇の公式単体情報がないため、働く人の実態を外部から検証しにくい状態が続いています。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名と「残業」「給料」「休日」「退職」「パワハラ」「事故」「人員削減」などを分けて確認しました。
企業公式・事業紹介の投稿は確認できますが、対象法人との雇用関係、勤務時期、職種、具体的体験を本文まで確認でき、現在の採点を変更できる従業員投稿は得られませんでした。
Safety小計:8/50点
Innovation
Innovationでは、資源循環の技術・仕組みによって人の作業負担や社会の廃棄負担をどこまで減らし、その成果を働く人へ返しているかを評価します。商品・サービス改善と継続開発は非常に強い一方、自社社員の残業・危険作業・必要人数・賃金への還元がほぼ開示されていません。
作業負担・危険の削減:2/10
ホテル日航つくばのplaloop実証では、洗面台に回収トレーを置き、宿泊客自身が使用済み歯ブラシを置く方式にすることで、客室清掃係の回収負担を軽くする工夫が行われました。[出典5・6]
一方、アサヒユウアス社員自身の作業について、回収・イベント運営・企画・物流のどの作業を技術で代替し、何時間、何kg、何人分、どの事故リスクを減らしたかという定量データは公表されていません。
一部の利用現場で人の手間を減らす設計を確認できるため2/10点です。自社・共創先の主要業務で年間削減人時、重量物作業、移動、事故を定量化できれば4~8点以上を検討できます。
商品・サービスの改善:5/5
2022年のイベントで約3万5,000個の使い捨てカップを削減し、2024年の歯ブラシ実証では設置数の約4割を資源化しました。2025年にはKAELOOPで海洋生分解性認証を取得し、2026年にはタンブラーと環境教育の絵本を組み合わせた商品へ展開しています。[出典4・5・7・15]
折れた野球バット、地域の間伐材、ビールかす、小麦ふすまなど、従来は捨てられたり利用先が限られたりした素材を商品へ変える事例も継続しています。[出典9・10]
「ごみを減らす」「未利用資源を使う」「使用後に回収する」「環境教育につなげる」という改善を複数年続けているため5/5点です。
改善成果の人間への還元:0/5
循環型事業は環境負荷を減らし、福祉作業所へ回収業務をつなぐなど社会的な利益を生んでいます。
しかし、アサヒユウアス社員について、事業改善で浮いた時間が残業削減、休日増加、賃上げ、教育時間、安全向上へ何時間・何円返ったかは公表されていません。社員数や労働時間自体も現在の単体値がありません。
人への還元を結果として確認できないため0/5点です。削減人時、残業、休日、賃金、配置転換・再教育を施策前後で公開し、実際の改善が確認できれば2~5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続:5/5
事業開始以降、2022年のリユースカップ、2023年のホテルアメニティのアップサイクル、2024年のplaloop、2025年のKAELOOP、2026年の環境教育・自治体委託事業まで、毎年のように新しい循環モデルを実装しています。[出典4・5・7・8・15]
2026年4月には神奈川県の公募型プロポーザルで最優秀提案者となり、大学生等のプラスチックごみ削減を伴走する事業を受託しました。自社商品の販売に閉じず、他者の実証を支援する側へ領域を広げています。[出典8]
複数年にわたり商品、回収、地域共創、教育へ改善を広げているため5/5点です。
Innovation小計:12/25点
Protection
Protectionでは、災害、サイバー攻撃、委託先停止、物流途絶などが起きても、事業と顧客対応を続けられるかを評価します。多数の共創パートナーを使う分散型モデルは一つの強みですが、対象法人単体のBCP・サイバー対策・復旧時間の公開がほとんどありません。
災害への備え・訓練:0/5
アサヒユウアス単体のBCP、防災訓練、安否確認訓練、非常用電源、代替オフィス、災害時連絡網の結果について公開情報がありません。
アサヒグループ全体の危機管理制度が存在していても、対象法人がどの訓練を実施し、何分・何時間で連絡や事業再開ができたか確認できなければ、単体の実績として高く評価できません。
公開情報がないため0/5点です。年1回以上の訓練、安否確認完了時間、代替拠点への切替結果を公開できれば2~4点以上を検討できます。
生産・物流・調達の代替:3/5
アサヒユウアスは大規模な自社工場一つに依存する製造会社ではなく、素材メーカー、加工会社、ホテル、自治体、地域事業者など多数の共創先と案件ごとに商品・サービスを作っています。
例えばKAELOOP、森のタンブラー、plaloop、地域クラフトビールは異なる素材・加工・地域パートナーを使っており、一つの製品ライン停止が会社の全事業を同時に止める構造ではありません。[出典5・9・10・13]
この分散性を評価して3/5点です。一方、主要素材や加工先が停止した場合の代替サプライヤー、切替時間、在庫量、代替率は公表されていません。正式な二重調達と切替実績まで示せれば4~5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護:1/5
2025年9月29日、アサヒグループが使用するシステムへのサイバー攻撃で、国内の受注・出荷システム等が停止しました。2026年2月の会社発表では、主要3事業会社の電子受発注再開が2025年12月、物流リードタイムの通常化が2026年2月までかかったとされています。[出典16]
2026年7月には、漏えいのおそれを完全には否定できない範囲として、顧客問い合わせ関係約152万5,000人、取引先関係者等約37万8,000人、従業員・退職者約10万7,000人などが公表されました。ただし、これらはアサヒグループ全体の対象範囲であり、アサヒユウアス自身の顧客・従業員データが含まれたと個別に公表されたものではありません。[出典17]
アサヒユウアス単体のMFA、EDR、端末監視、バックアップ、復元訓練、今回の攻撃の直接影響と復旧時間は公表されていません。グループで重大事案が実際に発生し、再発防止策が進行中である一方、対象法人の対策結果を確認できないため1/5点です。
対象法人へ再発防止策が実装されたことを示し、MFA・EDR適用率、バックアップ復元訓練、重大事故0を継続公開できれば3~4点を検討できます。
供給継続・復旧能力:2/5
事業が複数の地域・パートナーへ分散しているため、特定イベントや特定製造先が止まっても別案件まで同時停止しにくい構造です。
一方、ECサイト、受発注、顧客管理、共創先との設計データ、商品在庫について、RTO・RPO、代替運用、障害時の受注方法、復旧訓練結果は公表されていません。
分散型事業モデルを評価して2/5点です。重要業務ごとにRTO・RPOと代替手段を設定し、訓練または実障害で目標時間内に復旧できた結果を公開すれば4~5点を検討できます。
危機時の市民への対応:0/5
アサヒユウアスは環境教育や地域共創を多く行っていますが、地震、豪雨、大規模停電などの危機時に、対象法人自身が住民へ水、食料、生活用品、避難場所等を供給した実績は確認できませんでした。
環境教育や資源循環の地域活動を、災害時支援の実績として置き換えません。
危機対応の単体実績がないため0/5点です。自治体との災害協定、備蓄・物資提供、実災害での支援量と対応時間を確認できれば2~5点を検討できます。
Protection小計:6/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
最近のアサヒユウアスでは、KAELOOPの第三者認証、自治体からの環境事業受託、資源循環と環境教育の一体化が進んでいます。これらはInnovationと商品・サービス安全の強化につながります。アサヒユウアスの商品・サービスが選ばれれば、使い捨て容器を減らし、地域の人が循環型の行動へ参加できる選択肢を増やせます。
2025年8月 KAELOOPが海洋生分解性認証を取得(Innovation・Safety)
日本バイオプラスチック協会の取得製品リストでは、KAELOOPタンブラーと蓋が2025年8月26日付で海洋生分解性プラ認証を取得しています。有効期限は2028年8月25日です。[出典7]
企業自身が「海で分解する」と宣伝するだけでなく、第三者認証リストに製品名と提供元が掲載されることで、環境性能を外部から確認できます。
使い捨て容器の代替として繰り返し使い、万一自然環境へ流出した際の長期残留リスクも抑える方向の商品を選べることは利用者の選択肢を広げます。
2026年4月 神奈川県のプラごみ削減支援事業で最優秀提案者(Innovation)
神奈川県の「令和8年度大学生等によるプラスチックごみ削減に対する支援業務委託」の公募型プロポーザルでは、応募1件、評価点222点でアサヒユウアスが最優秀提案者となりました。[出典8]
県の事業では、学生団体へ1団体最大100万円の費用支援と、プラごみ削減の伴走支援を行います。
企業自身の商品販売だけでなく、大学生が学園祭や食堂などで削減モデルを実証する側を支えるため、将来の地域活動へ循環のノウハウを広げる効果があります。
2026年7月 KAELOOPを環境教育の絵本と組み合わせて販売(Innovation)
2026年7月、KAELOOPタンブラーとオリジナル絵本を組み合わせたギフトボックスを発売しました。絵本は、海へ流れた容器の物語を通じて環境課題を子どもや保護者へ伝える内容です。[出典15]
商品を購入して終わるのではなく、なぜ素材を選ぶのかを家庭で話すきっかけを作ることで、リユースやごみ削減を次の行動へつなげやすくなります。
悪いニュース・問題となった動き
現在の最大の問題は、環境成果を数値化する力に比べて、働く人の賃金・時間・安全と、事業継続の数値がほとんど見えないことです。また、2025年にはアサヒグループ全体で重大なサイバー障害が発生しました。これらが改善されなければ、循環型の商品が増えても、その裏側で働く人の待遇と事業の復旧力を市民が判断できない状態が残ります。
2026年時点 賃金・残業・休日・労災を単体で公表していない(Safety)
事業開始時の従業員8人は公表されましたが、現在の対象法人単体の従業員数、平均給与、平均残業、年間休日、有休取得率、男女賃金差、育休取得率、死亡・休業労災等は公表されていません。[出典1・14]
3万5,000個のカップ削減や歯ブラシ約4割資源化など、環境側の成果は具体的に数字で示せています。同じ水準で働く人の結果も開示できれば、環境と人間の両方を大切にする事業か判断できます。
公開情報がない点は課題です。採点上も大きな減点対象です。
2025年9月~2026年2月 アサヒグループのサイバー攻撃で受注・物流復旧が長期化(Protection)
2025年9月29日に発生したサイバー攻撃では、アサヒグループの国内受注・出荷システムが停止し、主要3事業会社の電子受発注再開は12月、物流リードタイムの通常化は2026年2月までかかりました。[出典16]
アサヒユウアス単体のシステム停止範囲は個別公表されていないため、同社自身が同じ期間停止したとは扱いません。
しかし、国内グループの共通基盤で重大な障害が起きた以上、アサヒユウアスがどのシステムを共有し、どの再発防止策を適用し、何時間で復元できるのかを単体で示す必要があります。
2026年7月 グループで漏えいのおそれがある個人情報の範囲を拡大(Protection)
アサヒグループホールディングスは2026年7月17日、2025年の攻撃に関して漏えいのおそれを完全に否定できない個人情報の対象範囲を再整理しました。顧客問い合わせ関係約152万5,000人、取引先関係者等約37万8,000人、従業員・退職者約10万7,000人などが含まれます。[出典17]
データセンターのサーバーに保存された個人情報が外部へ転送された事実は確認されておらず、同日時点で二次被害も確認されていません。また、アサヒユウアス固有の顧客情報が含まれるとの個別公表もありません。
それでも、グループ全体の情報管理を再構築する必要が生じた重大事案であり、対象法人単体の技術対策と復元結果の開示が必要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
アサヒユウアス株式会社は26点、シビックランクFです。次のEランクは40点からなので、あと14点必要です。
循環型の商品・サービスそのものは強く、KAELOOPの第三者認証、使い捨てカップ3万5,000個削減、歯ブラシ約4割資源化、自治体事業への展開まで実績があります。一方、Eランクへ上がるには、環境成果と同じ具体性で、社員の賃金・時間・安全とサイバー復旧を数値公開する必要があります。
給与レンジ・中央値・昇給率を単体公開する|賃金・利益の還元 0→4/10
現在の「賃金・利益の還元」は0/10点です。基本給、平均給与、中央値、昇給率、賞与の対象法人単体データが公表されていません。
企業が実行してほしいのは、正社員・出向者・契約社員など雇用主体を明示したうえで、基本給レンジ、年収中央値、昇給率、賞与を毎年公開することです。物価上昇や事業成長に合わせて基本給が上がった実績まで確認できれば0→4点、+4点を想定します。
総合26→30点でFです。
参考企業はJ&T環境株式会社です。Google Drive上の現行審査は65点・シビックランクCで、2026年の初任給、固定残業代なし、残業代別途支給、昇給年1回、賞与年2回を公開し、「賃金・利益の還元」を4/10点と評価しています。企業規模は異なりますが、最低限の給与構造を外部から判断できる状態が参考になります。[参考企業出典18]
平均残業15時間以下・年休120日以上を実証する|労働時間・休息 0→6/10
現在の「労働時間・休息」は0/10点です。年間休日、月平均残業、有休取得率の単体実績が公表されていません。
企業が実行してほしいのは、月平均残業、年間休日、有休取得率、月45時間・60時間超人数を毎年公開し、平均残業15時間以下、年間休日120日以上、有休取得率70%以上、月60時間超0人を複数年維持することです。
達成できれば0→6点、+6点を想定します。前項と合わせて36点・Fです。
参考企業は大日本印刷株式会社です。Google Drive上の現行審査は81点・シビックランクAで、2025年度の月平均残業11.2時間、年間休日128日を確認し、「労働時間・休息」を8/10点と評価しています。規模は大きく異なりますが、技術・新規事業を進めながら労働時間の結果も公開する点が参考になります。[参考企業出典19]
死亡・休業労災を公開する|労働安全・健康 0→2/10
現在の「労働安全・健康」は0/10点です。対象法人単体の死亡、休業労災、度数率、強度率が公表されていません。
まずはイベント、物流・回収、出張、オフィス等を含む対象範囲を定義し、死亡・重篤・休業災害、交通事故、熱中症を毎年公開します。死亡・重篤災害0を継続し、休業災害の発生状況を隠さず追跡できる状態を確認できれば0→2点、+2点を想定します。
前2項目と合わせて38点・Fです。
参考企業はJ&T環境株式会社です。現行審査では全社KPIに不足があるものの、千葉事業部が過去3年間労災なしの外部表彰を受けており、「労働安全・健康」を4/10点と評価しています。アサヒユウアスも、まず事故結果を法人単体で追える状態を作ることが第一段階です。[参考企業出典18]
グループ再発防止策の単体適用と復元訓練を公開する|サイバー防衛・情報保護 1→3/5
現在の「サイバー防衛・情報保護」は1/5点です。2025年のグループサイバー攻撃後に再発防止策は公表されていますが、アサヒユウアスにどこまで実装されたか、単体の復元時間は公表されていません。[出典16・17]
アサヒユウアスで利用する主要アカウント・端末についてMFA・EDR適用率を公開し、隔離バックアップ、復元訓練、重大インシデント件数、検知から封じ込め・復旧までの時間を毎年検証します。重大事故0を継続し、復元訓練に成功していることが確認できれば1→3点、+2点を想定します。
前3項目と合わせると、26+4+6+2+2=40点となり、シビックランクFからEへ上がります。
参考企業は花王株式会社です。Google Drive上の現行審査は80点・シビックランクAで、隔離環境へのバックアップ、受注・出荷のリカバリ訓練、制御系ネットワーク対策を確認し、「サイバー防衛・情報保護」を4/5点と評価しています。[参考企業出典20]
次のランクへ上がるための具体例
現在26点・Fで、Eランクは40点からです。あと14点必要です。
第一に、雇用主体を明確にし、基本給レンジ、年収中央値、昇給率、賞与を毎年公開して、事業成長が働く人の所得へ返っていることを確認できる状態にします。「賃金・利益の還元」を0→4点、+4点です。参考企業は初任給、残業代別途、昇給・賞与を公開して同項目4/10点のJ&T環境株式会社です。
第二に、平均残業15時間以下、年間休日120日以上、有休取得率70%以上、月60時間超0人を実現し、単体で毎年公開します。「労働時間・休息」を0→6点、+6点です。参考企業は残業11.2時間・年間休日128日で同項目8/10点の大日本印刷株式会社です。
第三に、死亡・重篤・休業労災、交通事故等を法人単体で公開し、死亡・重篤災害0を継続します。「労働安全・健康」を0→2点、+2点です。参考企業は一部事業部で3年間労災0の外部表彰を確認でき、同項目4/10点のJ&T環境株式会社です。
第四に、2025年のサイバー攻撃後に強化された対策をアサヒユウアスにも具体的に実装し、MFA・EDR、隔離バックアップ、復元訓練、重大事故件数を単体公開します。「サイバー防衛・情報保護」を1→3点、+2点です。参考企業は隔離バックアップと復旧訓練で同項目4/5点の花王株式会社です。
26点+4点+6点+2点+2点=40点となり、シビックランクFからEへ上がります。
つまり、アサヒユウアスが次のランクへ上がるためには、すでに強い環境・循環実績をさらに増やすことよりも、その事業を支える人の賃金・時間・安全と、サイバー復旧力を同じレベルの具体的な数字で公開することが最短です。
出典一覧
1.アサヒグループホールディングス「サステナブルな社会の実現に貢献する商品の販売、サービスを提供する『アサヒユウアス株式会社』2022年1月1日事業開始」2021年12月3日【情報ランクA】
事業開始日、資本金、本社、開始時従業員8人、事業内容。
2.アサヒグループホールディングス「新会社『アサヒユウアス』誕生!地域の社会課題解決に貢献します」2021年12月20日【情報ランクA】
8人の小規模チーム、森のタンブラー、地域共創等。
3.国税庁 東京国税局「酒類販売業免許の新規取得者名等一覧」2024~2025年【情報ランクS】
法人番号8010601051111、通信販売等の酒類販売免許、本店所在地。
4.アサヒグループホールディングス「ナカメチャレンジコップ2023」/「つくばクラフトビアフェスト2023」【情報ランクA】
2022年の使い捨てプラカップ約3万5,000個削減、CO2換算約2.6トン。
5.アサヒグループホールディングス「plaloopプロジェクト 第1弾としてホテルの使用済み歯ブラシのリサイクルを開始」2024年7月8日【情報ランクA】
歯ブラシ約4割資源化、年間100万本導入目標、福祉作業所との連携。
6.ホテル日航つくば「SDGs/plaloop 使用済み歯ブラシのリサイクル活動」【情報ランクA】
約4割資源化、宿泊客・清掃スタッフ約9割が前向き、回収トレーによる清掃負担軽減。
7.一般社団法人日本バイオプラスチック協会「海洋生分解性プラ取得製品リスト」2026年確認【情報ランクS】
KAELOOPタンブラー・蓋の登録番号39~43、2025年8月26日認証。
8.神奈川県「令和8年度大学生等によるプラスチックごみ削減に対する支援業務委託」2026年【情報ランクS】
応募1件、評価点222点、アサヒユウアスを最優秀提案者として選定。県委託のかながわプラスマカレッジを実施。
9.アサヒグループホールディングス「ヤマハ発動機と共創し、静岡県森町の地域資源をアップサイクル」2024年12月5日【情報ランクA】
森町のおがくずを使ったリユースカップ、クラフトビール企画支援、森裕佳子社長。
10.アサヒユウアス「ビールかすを活用した森のタンブラー Nagashima Resort」2025年4月22日【情報ランクA】
ビールかす30%を使用したタンブラー。
11.アサヒグループホールディングス「人権方針」2026年確認【情報ランクA】
アサヒグループ各社の全役員・社員へ適用、差別・ハラスメント・労働安全衛生・労働時間と賃金等を重要課題化。
12.アサヒグループホールディングス「就活等ハラスメント防止方針」2026年確認【情報ランクA】
国内グループ会社を対象、24時間365日のSpeak Up窓口、報復禁止。
13.アサヒユウアス「KAELOOP」2026年確認【情報ランクA】
海洋生分解性バイオマスプラスチック100%、JIS Z 2801:2012準拠の抗菌試験、製品仕様。
14.doda「アサヒユウアス株式会社の転職・企業概要」2026年7月更新【情報ランクB相当の補助情報】
所在地、資本金等。従業員数・平均年齢は掲載なし。
15.アサヒグループホールディングス/アサヒユウアス「オリジナル絵本付きKAELOOPタンブラー」2026年7月13日【情報ランクA】
KAELOOPと環境教育を組み合わせたギフト商品の展開。
16.アサヒグループホールディングス「サイバー攻撃被害の再発防止策とガバナンス体制の強化について」2026年2月18日【情報ランクA】
2025年9月29日の攻撃、ネットワーク隔離、手作業対応、電子受発注再開、2026年2月の物流通常化。
17.アサヒグループホールディングス「サイバー攻撃に係る漏えいのおそれがある個人情報について」2026年7月17日【情報ランクA】
漏えいのおそれがある情報の再整理、対象件数、二次被害未確認、再発防止策継続。
18.Google Drive「J&T環境株式会社を企業審査|シビックランクC・65点/100点」現行版【参考企業】
初任給、固定残業代なし、残業代別途、昇給・賞与、「賃金・利益の還元」4/10点。労働安全4/10点。
19.Google Drive「大日本印刷株式会社を企業審査|シビックランクA・81点/100点」現行版【参考企業】
2025年度月平均残業11.2時間、年間休日128日、「労働時間・休息」8/10点。
20.Google Drive「花王株式会社を企業審査|シビックランクA・80点/100点」現行版【参考企業】
隔離環境へのバックアップ、受注・出荷のリカバリ訓練、「サイバー防衛・情報保護」4/5点。
シビックランクの基準
| シビックランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
アサヒユウアス株式会社は26点のため、今回のシビックランクはFです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |

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