私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する協栄産業株式会社は、総合50点、シビックランクDです。
協栄産業株式会社の特に強い点は、食品接触用途の再生PETでJCII認証を取得し、FtoPダイレクトリサイクルで製造工程を短縮・自動化していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、食品容器として安全性を確認された再生材を広げながら、使用済みPETを新しい石油資源に頼らず繰り返し利用しやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として製造職で月20~40時間程度の残業が示されることと、労災件数・ハラスメント対応・BCPなど働く人と危機対応を判断する重要データが公表されていないことが残ります。
この記事では、協栄産業株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
協栄産業株式会社の企業審査結果
| 評価軸 | 得点 |
|---|---|
| Safety | 24/50 |
| Innovation | 20/25 |
| Protection | 6/25 |
| 総合点 | 50/100 |
| シビックランク | D |
| 主な強み | 主な課題 |
|---|---|
| MR-PETがJCIIの食品接触材料用リサイクルプラスチック材料認証を取得 | 製造職で月20~40時間程度の残業が確認される |
| 小山・栃木・MR・東日本FtoPの各工場でISO9001 | 交替勤務に20時~翌6時の夜勤がある |
| ボトルtoボトルを国内で早期に実用化 | 法人単体の死亡・休業労災、度数率が非公表 |
| FtoPでペレット化・結晶化・輸送・乾燥工程を削減 | ハラスメント相談・内部通報・是正実績が非公表 |
| FtoP工場では製造工程の大部分を自動化 | 自動化前後の作業時間・身体負担・残業削減量が非公表 |
| 2026年も製造オペレーターを5人以上募集 | BCP、訓練頻度、非常電源、目標復旧時間が非公表 |
| 栃木県の優良産廃処理業者認定を確認 | サイバー防御の具体的な実装・訓練結果が非公表 |
| 複数工場を栃木・茨城に持つ | 災害時の市民支援・自治体協定の単体実績が乏しい |
事業内容と人間への貢献
協栄産業株式会社は、使用済みPETボトルなどを回収・処理し、再び製品原料として利用できる品質へ戻すリサイクル企業です。今回の対象は、栃木県小山市に本社を置く法人番号3060001014197の協栄産業株式会社です。東京都品川区に本社を置く同名の電子商社とは別法人です。[出典1]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 協栄産業株式会社 |
| 法人番号 | 3060001014197 |
| 設立 | 1985年10月 |
| 代表者 | 代表取締役 古澤栄一 |
| 資本金 | 1億円 |
| 本社 | 栃木県小山市城東6丁目1番4号 |
| 従業員数 | 272名(2026年5月現在・会社公式) |
| 主な事業 | 合成樹脂再生加工販売、産業廃棄物処分・収集運搬、廃棄物有効処理、処理プラント、物流資材、一般貨物運送、倉庫等 |
| 主な自社工場 | 栃木工場、小山工場、MR・ファクトリー、東日本FtoPファクトリー |
会社公式の272名と、求人媒体などに掲載される人数には差があります。集計時点・対象範囲が異なるため、人数差だけから増減を断定しません。[出典1]
主な事業内容
協栄産業の中核は、回収されたPETボトルを高品質な再生PETへ戻す事業です。
MR-PETでは、使用済みPETボトルを選別・粉砕・洗浄し、高温・減圧下で樹脂内部の不純物まで除去し、物性を回復させます。会社公表では、石油由来PETと比べて再生PET1kg当たり0.994kg、約63%のCO2排出量を削減するとしています。[出典2]
FtoPダイレクトリサイクルでは、洗浄したフレークから直接プリフォームを製造し、従来工程にあったペレット化、結晶化、ペレット輸送、成形前乾燥などを省きます。従来のボトルtoボトルからさらに約25%のCO2を削減できると公表されています。[出典3]
主な利用企業・取引先
2026年のハローワーク求人では、主要取引先としてサントリー、日本コカ・コーラ、東レが掲載されています。[出典7]
| 関係先 | 確認できる関係 |
|---|---|
| サントリー | MR-PET採用、FtoPの共同開発・実用化 |
| 日本コカ・コーラ | 求人上の主要取引先として掲載 |
| 東レ | 求人上の主要取引先として掲載 |
サントリーとの関係では、2011年にMR-PETを50%採用した製品、2012年に100%採用製品が発売され、その後FtoPも共同開発されています。[出典3・17]
事業による人間への貢献
この事業の人間への貢献は、廃棄物を減らすことと、新しい石油資源への依存を減らすことです。
例えば、飲み終えたPETボトルが衣類など別用途へ一度だけ再利用されて循環が止まる場合と、再び飲料ボトルへ戻り、次の回収でも同じ用途へ循環できる場合では、必要になる新規PET原料の量が変わります。
協栄産業のMR-PETは食品に直接触れる用途で利用できる再生材としてJCII認証を取得しています。2026年1月30日発行の認証書では、小山工場のMR-PETがJCII A0001:2024の基準に適合していることが第三者機関から確認されています。[出典4・5]
資源循環を広げるには「再生材であること」だけでなく、飲料・食品容器として使える安全性と品質を持つことが必要です。再生材を食品容器へ戻せる品質まで高めることで、回収したPETを再び人の生活へ戻す循環を成立させています。
Safety|24/50
Safetyでは、工場で働く人が十分に休み、安全に働けるか、そして再生PETが食品容器として安全に利用できるかを分けて評価します。協栄産業は製品側の安全認証が強い一方、製造現場の残業と夜勤、法人単体の労災・人権情報の不足が大きな弱点です。
賃金・利益の還元|6/10
2026年の製造オペレーター求人では、月給20万8,174円~28万2,948円で、住宅手当・深夜手当を含みます。賞与は年2回、3~3.5か月分の支給実績があり、時間外手当は別途全額支給です。家族手当、役職・職務手当、交替手当もあります。[出典8]
生産技術開発・品質管理などの専門職では予定年収500万~800万円以上の求人もありますが、職種や経験が異なるため製造職の待遇へそのまま当てはめません。[出典9]
一方、法人単体の全社員平均給与、直近のベースアップ率、利益増加分をどの程度社員へ還元したかについては公開情報がありません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため6/10点です。全社員に届く継続的なベースアップ、職種別の平均給与、賞与・利益配分を毎年公開し、実質的な賃金改善が確認できれば8/10点を検討できます。
労働時間・休息|4/10
マイナビ2028の2025年度データでは、月平均所定外労働時間23時間、平均有給休暇取得日数10日です。[出典10]
一方、小山工場などの製造職は8時~18時と20時~翌6時の交替勤務で、求人では勤務日に2時間程度の残業があるとされています。別の2026年ハローワーク求人では、月約40時間の時間外手当を前提とした月収例も掲載されています。[出典6・7]
休日は4勤2休で、「年間休日107日+明け休み27日=実質134日」と説明されています。明け休みは夜勤終了後の休息日なので、年間休日107日と別に示す方が実態を理解しやすい情報です。[出典6]
会社全体では23時間まで下がっている一方、製造現場では40時間程度になる求人があるため、部署差があります。夜勤と長時間残業が重なる製造職の負担を考慮し4/10点です。
製造職の月平均残業を20時間以下へ下げ、会社全体でも15~20時間以下を継続し、有給取得日数を12日以上へ増やせれば6/10点以上を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
2025年度の平均勤続年数は10.5年です。2026年の製造オペレーター求人では5人以上を正社員で募集し、未経験者の採用やフォークリフト資格取得支援も行っています。[出典8・10]
マイナビ掲載では、役員・管理的地位にある30人のうち女性は2人、6.7%です。[出典10]
雇用を増やしていること、正社員採用、平均勤続10年以上は評価できます。一方、男女別賃金、職種別離職率、管理職登用率の推移などは公表されていません。
そのため3/5点です。男女別の昇進率・賃金差・離職率を開示し、女性管理職比率の継続上昇と待遇差の縮小を確認できれば4/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
現在の求人では、社会保険、定期健康診断、退職金共済、住宅手当、家族手当、資格取得支援、産前産後休暇、育児休暇、介護休暇などが確認できます。定年は65歳、再雇用は70歳までの求人もあります。[出典8・9]
研修制度では、新入社員研修、社外研修、班長教育、資格取得支援、メンター制度などが確認できます。[出典20]
制度は比較的充実しています。一方、育児・介護休業について対象者数が少なく、継続的な取得率や復職率を判断できる公開データは十分ではありません。
そのため4/5点です。男女の育休取得日数、介護休業、復職率を複数年で公開し、高い利用実績が確認できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|0/5
協栄産業単体について、現在の人権方針、ハラスメント相談窓口、内部通報制度、相談件数、是正件数、従業員向け人権研修の受講率を確認できる公開情報がありません。
従業員口コミには業務負荷や人員不足への厳しい声がありますが、匿名投稿だけでハラスメントや法令違反が確認されたとは扱いません。
重要な人権・相談制度の運用情報が公表されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため0/5点です。対象会社単体の相談・通報制度、研修実施率、相談件数と是正結果を公開し、制度が実際に機能していることを確認できれば2~3/5点を検討できます。
労働安全・健康|2/10
PETリサイクル工場では大型機械、フォークリフト、搬送設備、夜勤、機械メンテナンスなどの危険があります。
現在の求人では定期健康診断や資格取得支援があり、FtoP工場では機械監視とメンテナンスを中心にした自動化された工程が確認できます。人が直接行う工程を機械へ移すことは、身体負担や接触事故の機会を減らす方向に働きます。[出典8]
一方、協栄産業単体の死亡労災、休業災害件数、度数率、強度率、ヒヤリハット件数、安全教育受講率について公開情報がありません。
2018年には栃木工場と隣接するグループ会社工場で火災があり、協栄産業側の人的被害は0、物的被害は軽微と公表されました。製造・廃棄物処理拠点では火災を含む事故への継続的な安全管理が重要です。[出典14]
現在の安全成果を数値で検証できないため2/10点です。死亡0、休業災害、度数率、強度率、事故原因と改善後の推移を毎年公開し、製造業平均以下の事故率を継続できれば6/10点以上を検討できます。
商品・サービスの安全|5/5
MR-PETは食品に直接触れる材料としてJCIIの食品接触材料用リサイクルプラスチック材料認証を取得しています。2026年1月30日発行の認証書では、小山工場のMR-PETがJCII A0001:2024に適合していることが独立した認証機関によって確認されています。[出典4・5]
さらに、小山工場・栃木工場・MR・ファクトリー・東日本FtoPファクトリーはいずれもISO9001認証、栃木工場と小山工場はISO14001認証を取得しています。栃木工場については栃木県の優良産廃処理業者認定も確認できます。[出典4・18]
食品容器へ戻す再生材では、不純物を十分に除去できなければ飲料や食品へ接触させられません。第三者認証によって食品接触用途の基準適合を確認できるため5/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議では、栃木県小山市城東6丁目1番4号の正しい対象法人について20件の口コミが掲載され、投稿者集計は月平均残業50.5時間、有給消化率40%です。これは投稿者サンプルの集計であり、会社全体の2025年度データ23時間・有給10日とは母集団と時期が異なるため、直接同じ指標として比較しません。[出典11・10]
2023年1月30日、30代前半男性・正社員・生産技術/生産管理の投稿には、次の記述があります。
「業務内容が多い為一人のキャパシティがかなりオーバーしている。」
同じ投稿では、人員不足や作業分担の難しさ、残業増加についても述べています。情報ランクBとして、製造現場の負担を確認する補助情報に使います。[出典11]
Indeedでは正しい対象法人の口コミは1件で、2022年7月31日の一般事務職から、
「有給休暇も、割と取りやすく働きやすい会社だと思います。」
という投稿があります。件数が1件で時期も古いため、現在の全社実態を代表する数値には使いません。[出典12]
OpenWorkやエンゲージ会社の評判についても社名・所在地・事業内容を照合しましたが、同名の電子商社など別法人の情報が多く、今回の対象法人について本文まで確認できる有用な投稿は採点根拠に使用していません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
Xなどの一般SNS、5ちゃんねる、爆サイについて、協栄産業、小山市、PET、工場、残業、事故、退職、パワハラ等を組み合わせて個別に調べました。
対象法人、投稿時期、投稿者の立場を確認でき、今回の採点を変更できる具体的な原文投稿は使用していません。SNS・匿名掲示板で有用情報が得られなかったこと自体は減点していません。
Innovation|20/25
Innovationでは、PETを再生できる技術の高度さに加え、その技術が人の作業や危険をどこまで減らし、効率化の成果を働く人へ返しているかを評価します。協栄産業は技術開発と工程短縮では非常に強い一方、自動化による労働時間・身体負担の削減量を人の成果として十分に開示していません。
作業負担・危険の削減|8/10
FtoPは、従来別々だったリサイクル工程とプリフォーム製造工程を連結し、ペレット化、結晶化、ペレット輸送、成形前の乾燥工程を不要にしています。工程そのものを減らすため、設備間の運搬、材料取り扱い、エネルギー使用を減らせます。[出典3]
2026年の東日本FtoPファクトリー求人では、製造工程の大部分が自動化され、主な仕事は機械監視、定期的な部品交換、メンテナンス、トラブル対応などです。人が連続して材料を手作業で処理する工程から、設備を監視・保全する仕事へ移っています。[出典7]
一方、導入前後で何人分の手作業を減らしたか、重量物作業を何kg減らしたか、作業時間・労災が何件減ったかは公表されていません。
そのため8/10点です。作業時間・重量物・危険作業・事故の導入前後比較を工場別に公開できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
2011年にMR-PETがサントリー製品へ50%採用され、2012年には100%再生PET製品が発売されました。さらに2018年にはFtoPを東日本FtoPファクトリーで実用化しています。[出典2・3]
FtoPは従来のボトルtoボトルから工程を減らし、CO2排出量をさらに約25%削減します。石油由来原料から製造する場合との比較では、サントリーの2026年発表で約70%削減とされています。[出典3・17]
また2026年には、経済産業省の再生材利用拡大実証に、三菱総合研究所を代表とする共同事業の参加企業として加わっています。[出典15・16]
再生材の品質、工程、利用先を継続的に改善しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|2/5
FtoPの自動化で人が担当する工程は減っています。
一方、2025年度の会社全体平均残業は23時間、製造求人では20~40時間程度が確認されます。自動化前後で残業が何時間減ったか、休日が何日増えたか、賃金が何%上がったか、危険作業を何件なくしたかという時系列データは公表されていません。[出典6・10]
自動化が生産量とCO2削減に役立っていることは確認できますが、働く人の自由時間や賃金への還元は十分に検証できません。
そのため2/5点です。自動化前後の残業、必要人員、配置転換、賃金、休日、危険作業の変化を公開し、残業削減や休日増加が実際に確認できれば3~4/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
協栄産業は、MR-PETからFtoPまで長期間にわたりPETリサイクル技術を改善しています。
2026年も食品接触材料認証の追加取得、再生材利用拡大実証への参画、FtoP技術の海外展開が確認できます。[出典5・15・17]
単発の設備導入ではなく、技術を更新しながら用途・市場を広げているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
FtoPでは工程の自動化が進んでいますが、2026年の製造オペレーター求人では5人以上の正社員採用を行っており、自動化を理由とした大規模人員削減は今回の公開情報から確認されていません。[出典8]
新卒求人でも製造・工務・研究開発を募集し、一定期間製造を経験した後に工務や研究開発へ配置転換する可能性が明記されています。[出典20]
一方、公式従業員数272名と他媒体の人数には対象範囲・時点の違いがあり、人数差だけから雇用増減を判断できません。
自動化導入前後の必要人員、配置転換人数、再訓練人数、非正規契約、退職者数の時系列は公表されていません。自動化が雇用削減ではなく、危険な作業から保全・研究へ人を移す仕組みとして機能しているかを今後も確認する必要があります。
Protection|6/25
Protectionでは、地震、火災、停電、物流停止、サイバー攻撃が起きても再生PETの供給を続けられるかを評価します。協栄産業は栃木県と茨城県に複数工場を持つ一方、拠点間の代替能力、BCP訓練、非常電源、復旧時間、サイバー復旧について具体的な公開情報が少なく、この軸が総合点を大きく下げています。
災害への備え・訓練|0/5
協栄産業単体について、現在のBCP、災害対策本部、安否確認訓練、備蓄日数、非常用電源、防災訓練の頻度・結果を確認できる公開情報がありません。
2018年の栃木工場火災では人的被害0、協栄産業側の設備被害は軽微で早期復旧見込みと発表されましたが、現在の災害訓練・再発防止体制の定量結果は公表されていません。[出典14]
例えば夜間に工場で火災が起きた場合、従業員を安全に避難させ、別拠点へ生産を切り替え、顧客への供給を維持する手順が必要です。その具体的な準備を外部から検証できない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため0/5点です。BCPを整備し、年1回以上の訓練、非常電源、備蓄、代替拠点への切替結果まで公開できれば2~5/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|3/5
協栄産業株式会社単体で、栃木工場、小山工場、MR・ファクトリー、東日本FtoPファクトリーの4製造拠点を確認できます。栃木県だけでなく茨城県にも拠点があります。[出典1]
一つの工場だけに全機能を集中していないことは、設備故障や局地災害への耐性になります。
一方、各拠点は同じ設備・役割ではありません。MR・ファクトリー停止時に小山工場が何%代替できるか、FtoP停止時にどこまで他工程へ切り替えられるか、原料・物流の代替ルートが何本あるかは公表されていません。
そのため3/5点です。拠点ごとの代替生産能力、原料・物流の複線化、切替時間を数値で示せれば4~5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|1/5
プライバシーポリシーでは、個人情報の漏えい・滅失・毀損を防ぐため必要な措置を講じるとしています。IPAのSECURITY ACTION事業者一覧では、協栄産業株式会社・小山市・製造業として一つ星宣言も確認できます。[出典13・19]
一つ星は情報セキュリティ対策に取り組む自己宣言の入口として意味があります。
一方、多要素認証、EDR、SOC・CSIRT、オフラインバックアップ、標的型メール訓練、サイバー演習、インシデント件数など、具体的な実装・成果は公表されていません。
そのため1/5点です。多層防御、バックアップ、年次訓練、復旧テスト、重大インシデント結果を公開できれば3~5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|2/5
複数工場を持ち、2018年の火災時には協栄産業栃木工場について被害軽微・早期復旧見込みと発表した実績があります。[出典14]
しかし、現在の目標復旧時間、最大許容停止時間、非常電源の稼働時間、設備部品の備蓄、代替生産への切替時間などは公表されていません。
FtoPのように高度な自動設備へ依存する工程では、機械が止まった場合の復旧力が供給継続を左右します。
そのため2/5点です。主要工程ごとにRTOを設定し、訓練で実際に復旧できた時間を公開できれば3~5/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|0/5
協栄産業グループではワクチンキャップ運動などの社会貢献活動を続けていますが、これは災害・危機時に市民生活を直接守るProtectionとは別に評価します。[出典21]
協栄産業株式会社単体について、自治体との災害協定、被災地での緊急回収・物流支援、避難所支援などの具体的な公開実績は確認できません。
公開情報がない点は課題であり0/5点です。自治体や飲料企業と災害時の資源回収・物流・物資輸送の協定を結び、実際の訓練や支援実績まで確認できれば加点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の協栄産業では、食品接触用途の安全認証、国の再生材利用拡大実証、FtoP技術の海外展開が続いています。SafetyとInnovationの両方で、再生材を「使える量」だけでなく「食品容器として安心して使える品質」として広げる動きです。こうした企業の再生材・リサイクルサービスが選ばれれば、新規石油資源への依存とPET廃棄を減らしながら、食品容器として利用できる再生材の市場を広げやすくなります。
2026年2月 小山工場MR-PETがJCII食品接触材料認証を取得(Safety)
2026年1月30日付で、小山工場のMR-PETについて食品接触材料用リサイクルプラスチック材料認証が発行され、会社は2月5日に公表しました。認証はJCII A0001:2024への適合を示しています。[出典5]
家庭などから回収された使用済みPETには、使用履歴を完全に管理できない難しさがあります。除染工程を経た再生材が食品接触用途の基準へ適合していることを第三者が確認できれば、飲料・食品メーカーは再生材を容器へ採用しやすくなります。
同社の商品・サービスが選ばれることで、再生材を低品質用途へ一度使って終わらせるのではなく、再び食品容器へ戻せる循環を拡大できる点を評価します。
2026年6月 国の再生材利用拡大実証へ参画(Innovation)
経済産業省は2026年2月、プラスチック容器包装における再生材利用拡大の実証事業について三菱総合研究所を採択しました。TOPPANの6月公表では、協栄産業もアサヒグループ、花王、P&G、吉野工業所などと共同実施企業として参画しています。[出典15・16]
再生材利用を増やすには、再生メーカーだけでなく、容器メーカー、ブランド企業、小売、業界団体をつないで品質・供給・コストの条件を合わせる必要があります。
協栄産業が実証へ参加することで、同社が持つ食品接触再生PETの製造知見を、より多くの容器包装へ広げる可能性があります。
2026年8月 FtoP技術のタイ導入計画を公表(Innovation)
サントリーは2026年8月、協栄産業などと日本で共同開発したFtoP技術をタイへ導入し、2028年から年間約4億本分のプリフォームを製造する計画を発表しました。東南アジアでの導入は初めてとされています。[出典17]
サントリー公表では、FtoPは国内試算で化石由来原料から製造する場合よりCO2を約70%削減します。
タイの設備を協栄産業自身が運営するわけではありませんが、国内で開発した技術が海外のPET循環へ利用されることは、研究開発成果が他地域へ広がる具体例です。
悪いニュース・問題となった動き
現在の最大の課題は、製造技術の進歩に対して、働く人の時間と安全に関する成果開示が追いついていないことです。Safetyでこの状態が続けば、高度な自動化で生産効率を上げても、夜勤や残業の負担が十分に減らない経営が残ります。
2026年 製造職で月20~40時間程度の残業と夜勤が続く(Safety)
2025年度の会社全体平均残業は23時間です。現在の小山工場求人では8時~18時、20時~翌6時の交替勤務があり、勤務日に2時間程度の残業を示す求人があります。ハローワークの別求人では月約40時間の時間外手当を前提にした月収例も掲載されています。[出典6・7・10]
休日は年間休日107日に夜勤明け休み27日を加えて「実質134日」と案内されています。夜勤明けの休息を確保している点は重要ですが、年間休日と明け休みは性質が異なります。[出典6]
FtoPなど工程自動化が進む会社だからこそ、次の段階では自動化の成果を製造職の残業20時間以下、夜勤負担の縮小、有給取得増加として示してほしいところです。
2018年8月 栃木工場で火災、人的被害は0(Safety・Protection)
2018年8月15日、協栄産業栃木工場と隣接するジャパンテック栃木工場で火災が発生しました。協栄産業は人的被害0、協栄産業側の物的被害は軽微で早期復旧見込みと発表しています。[出典14]
人的被害がなかったこと、対象工場の被害が軽微だったことは重要です。
一方、廃プラスチックを扱う工場では火災が大きな設備・供給停止につながるため、この経験を現在の防災訓練、非常電源、代替生産、復旧目標へどう反映したかまで公開されればProtectionをより高く評価できます。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在50点・シビックランクDです。Cは60点からなので、次のランクまであと10点です。
協栄産業は、食品接触再生PETの安全性、ボトルtoボトル、FtoPの工程短縮・自動化というInnovationでは強い企業です。一方、製造現場の残業、労災結果、人権・相談制度、BCPの開示不足が総合点を大きく押し下げました。次のランクへ進むには、技術の成果を「人が何時間楽になったか」「事故が何件減ったか」「災害時に何時間で戻せるか」という数字へ広げる必要があります。
製造現場の残業を月20時間以下へ下げてほしい(Safety)
現在の「労働時間・休息」は4/10点です。
2025年度の会社平均は月23時間ですが、製造求人では月40時間程度の残業や、勤務日2時間程度の残業が確認できます。夜勤もあるため、製造職の負担を優先して改善する必要があります。[出典6・7・10]
製造職の月平均残業を20時間以下、会社全体を15~20時間以下へ下げ、平均有給取得日数を12日以上にし、その状態を複数年継続できれば4→6点を検討できます。
加点は+2点で、単独なら総合50→52点、シビックランクDのままです。残業が減れば、夜勤を含む交替勤務でも睡眠・家族時間を確保しやすくなります。
参考企業は東京アート株式会社です。Google Drive上の現行審査では、2024年度の月平均残業6.9時間、有給取得率75.2%を公開し、「労働時間・休息」8/10点、総合57点・Dです。協栄産業も職種別・工場別の残業と有給を公開し、製造現場まで改善結果を示すことが参考になります。
労災件数と事故率を公開し、製造業平均以下を目指してほしい(Safety)
現在の「労働安全・健康」は2/10点です。
大型設備、フォークリフト、夜勤を伴う製造会社ですが、死亡労災、休業災害、度数率、強度率の公開情報がありません。2018年には工場火災も発生しています。[出典14]
各工場について死亡労災、休業災害、度数率、強度率、ヒヤリハット、事故原因と再発防止を毎年公開し、死亡0を継続しながら度数率を製造業平均以下へ抑え、改善傾向を確認できれば2→6点を検討できます。
加点は+4点で、単独なら総合50→54点、Dのままです。事故率が下がれば、製造量を増やしても働く人の身体を危険へさらさない生産体制に近づきます。
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。Google Drive上の現行審査では、2024年の死亡0人、休業災害度数率0.58、安全方針適用100%を法人単位で公開し、「労働安全・健康」8/10点、総合74点・Bです。
ハラスメント・内部通報の制度と実績を公開してほしい(Safety)
現在の「人権・ハラスメント・労使関係」は0/5点です。
協栄産業単体の相談窓口、内部通報、研修受講率、相談件数、是正件数について公開情報がありません。
匿名で相談できる窓口を設置し、全従業員への年次研修を行い、相談・通報件数と是正結果を個人が特定されない形で毎年公開できれば0→2点を検討できます。
加点は+2点で、単独なら総合50→52点、Dのままです。相談経路が明確になれば、問題を我慢して退職する前に会社が是正できる可能性が高まります。
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。Google Drive上の現行審査では、グループ人権方針、内部・外部ホットライン、労働組合、春闘を確認し、「人権・ハラスメント・労使関係」4/5点としています。単体相談件数は非公表という課題も残るため、協栄産業には制度の存在に加えて運用結果までの公開を求めます。
BCPを整備し、年次訓練と復旧時間を公開してほしい(Protection)
現在の「災害への備え・訓練」は0/5点です。
複数工場はありますが、災害対策本部、備蓄、非常電源、安否確認、年次BCP訓練、工場間切替の公開情報がありません。
4工場それぞれの停止を想定したBCPを整備し、年1回以上の訓練、3日程度の備蓄、非常電源、代替生産先、目標復旧時間を設定し、訓練結果まで確認できれば0→2点を検討できます。さらに実測復旧時間と代替供給率まで継続公開できれば3~5点を検討できます。
加点は+2点で、単独なら総合50→52点、Dのままです。例えば大地震で小山工場が停止した場合でも、MR・ファクトリーや他工程へ安全に切り替えられれば、飲料メーカーへ再生材が届かずPET循環が止まる時間を短くできます。
参考企業は伊藤忠商事株式会社です。Google Drive上の現行審査では、東京本社被災時の大阪本社バックアップ、3日分の備蓄、年1回のBCP訓練を具体化し、「災害への備え・訓練」5/5点、「供給継続・復旧能力」4/5点、総合83点・Aです。
次のランクへ上がるための具体例
| 改善項目 | 現在の問題 | 企業が実行すること | 達成条件 | 現在点→改善後 | 加点 | 参考企業 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 労働時間・休息 | 製造職で20~40時間程度の残業 | 人員配置と自動化工程を見直し、職種別残業・有給を毎年公開 | 製造職残業20時間以下、全社15~20時間以下、有給12日以上を継続 | 4→6 | +2 | 東京アート株式会社:残業6.9時間、有給75.2%、8/10 |
| 労働安全・健康 | 労災KPI非公表 | 死亡・休業災害、度数率、強度率、原因・対策を工場別に公開 | 死亡0、度数率を製造業平均以下、改善傾向を継続 | 2→6 | +4 | キリンビバレッジ株式会社:死亡0、度数率0.58、8/10 |
| 人権・ハラスメント | 相談・通報制度の運用結果が非公表 | 匿名窓口、年次研修、通報・是正結果を公開 | 全従業員へ制度を適用し、運用結果を毎年確認可能にする | 0→2 | +2 | キリンビバレッジ株式会社:内部・外部ホットライン等、4/5 |
| 災害への備え・訓練 | BCP・訓練・復旧時間が非公表 | 4工場BCP、年次訓練、備蓄、非常電源、代替拠点を整備 | 年1回以上訓練し、目標・実測復旧時間を公開 | 0→2 | +2 | 伊藤忠商事株式会社:大阪バックアップ・3日備蓄・年次訓練、5/5 |
50点+2点+4点+2点+2点=60点となり、シビックランクCへ上がります。
つまり、協栄産業が次のランクへ上がるためには、FtoPなどの高度な技術をさらに増やすことよりも、その技術で働く人の残業と事故を実際に減らし、人権・BCPの運用結果を数字で公開することが重要です。技術の成果が人の自由時間、安全、災害時の供給継続へつながったことを確認できれば、現在のInnovationの強さを総合評価へ反映しやすくなります。
出典一覧
1.協栄産業株式会社「会社概要・グループ拠点」
2.協栄産業株式会社「高品質樹脂MR-PET」
3.協栄産業株式会社「FtoPダイレクトリサイクル技術」
4.協栄産業株式会社「認証・登録一覧」
5.一般財団法人化学研究評価機構「リサイクルプラスチック材料認証書」
6.協栄産業株式会社 小山工場 2026年製造職求人
7.ハローワーク「協栄産業株式会社 製造職・事業所PR情報」
8.doda「協栄産業株式会社 製造オペレーター求人」
9.doda「協栄産業株式会社 生産技術開発・品質管理求人」
10.マイナビ2028「協栄産業株式会社 働き方データ」
11.転職会議「協栄産業株式会社 栃木県小山市」
12.Indeed「協栄産業株式会社 社員口コミ」
13.協栄産業株式会社「プライバシーポリシー」
14.協栄産業株式会社「栃木工場における火災について お詫び」
15.経済産業省「令和8年度 プラスチック容器包装における再生材利用拡大に向けた実証事業 採択結果」
16.TOPPANホールディングス「プラスチック容器包装の再生材利用拡大に向けた実証に参画」
17.サントリーホールディングス「FtoPダイレクトリサイクル技術をタイで導入へ」
18.栃木県「産業廃棄物処分業者一覧・優良認定」
19.IPA「SECURITY ACTION宣言事業者一覧」
20.ハローワーク「2026年新卒 製造・工務・研究開発 求人・青少年雇用情報」
21.協栄産業株式会社「社会貢献活動・ワクチンキャップ運動」
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
協栄産業株式会社は50点のため、今回のシビックランクはDです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
Sは第三者による裏づけがある情報として最も強く扱います。AとBは情報の性質が異なり、働き方の実態確認ではBが有用な場合もあります。口コミは時期・職種・拠点・件数を確認し、公式・公的情報と照合して使用します。
