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シビックドライブ
我が町こそ世界一の都 第一話 俺たちを馬鹿にしているのか
閉じた店の向こう側 瀬戸口美和子は、店先に出した黒板を抱えたまま、道の向こう側を見ていた。 先月まで乾物屋だった店のシャッターは、今日も閉じたままだった。 軒先には、まだ古びた商品札が残っている。 干し椎茸。昆布。煮干し。 手書きの... -
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GVSが生んだ化け物 第四話 魔法のランプ
東京へ行かなくても 鯖川フレーム製作所の旧資料室は、いつの間にか簡易編集室になっていた。 以前は、古い製品カタログや設備点検表が積まれていた部屋である。今は壁際にモニターが置かれ、撮影用の機材が並び、赤髪が編集ソフトの画面を開いていた... -
シビックドライブ
Season5 第三話 今日は勝つぜい!
これは遊びではありません 「よっしゃあ。行くぞ! 今日は勝つぜい!」 午前八時半。 大槻源三は、鯖川フレーム製作所の駐車場で拳を突き上げた。 その横では、赤髪がカメラの電源を入れ、青髪がGVSアプリの撮影支援モードを確認し、金黒が車のドア... -
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Season5第二話 工場系ユーチューバー爆誕秘話
これは、業務なのか 黒川は、その投稿を見た瞬間、白瀬に連絡した。 【実行案】自分は、パチンコ台の構造や音、振動の見方を語ることで、工場技術への関心を集められるか試します。撮影は、会社が承認した撮影業務または別契約の範囲で行い、店舗名の直... -
GVSが生んだ化け物
Season5第一話 GVSが生んだ化け物
工場の朝が変わった 鯖川フレーム製作所の朝は、少しずつ変わり始めていた。 以前なら、始業前の工場には機械の低い音と、作業員たちの足音だけがあった。 挨拶は短い。 笑い声が響くことも少ない。 仕事とは、そういうものだと黒川は思っていた... -
シビックドライブ
Season4 第八話 若者の声が消える前に
若者の声が消える前に その中で、最初に大きく動いたのは椅子の話だった。 【入力】腰が痛い。今の休憩室の椅子では、休んだ気にならない。 【変換候補】 自分は休憩室の椅子の使用状況と、腰痛を感じている社員の声を一週間記録します。腰痛持ちの作業... -
シビックドライブ
Season4第七話「呼び覚まされるモンスター」通算第四十三話
匿名では、仕事にならない 鯖川フレーム製作所の工場改革は、ようやく現場の仕事になり始めていた。 社員通用導線。 外部取材ルール。 撮影禁止区域。 相談内容の保護。 部署限定のGVSボード。 すべてが一気に整ったわけではない。 むしろ... -
嘘をつかなきゃ政治ができないのか?
第四十二話 魔法のランプおじさん
GVSは魔法のランプだ 鯖川フレーム製作所に、部署限定のGVSボードが設置されてから数日が経った。 最初に使い始めたのは、若手社員だと思われていた。 だが、実際には違った。 一番はまったのは、研磨工程のベテランだった。 大槻源三。 工場... -
嘘をつかなきゃ政治ができないのか?
第四十一話 時代移り変わるとき
最終合論が示した優先順位 鯖川町を飲み込んだ熱狂は、数日で少しだけ落ち着いた。 警察が正門前を整理し、県が来訪者向けの案内ページを作り、レオ・グラントの民間ボランティアも、ようやく勝手に動くのではなく、県警と町役場の指示系統に組み込ま... -
嘘をつかなきゃ政治ができないのか?
第四十話 災害を呼ぶシビックドライブ
辞める若者、残るベテラン 鯖川フレーム製作所は、正式にシビックドライブ工場改革を受け入れた。 その翌朝。 工場の空気は、明らかに変わっていた。 いつもなら、社員は黙ってタイムカードを押し、作業着に着替え、ラインへ向かう。 だが、その...