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上新電機(現・株式会社Joshin)のホワイト度は?労働環境と家電販売・アフターサービスを審査

上新電機は、関西を中心に「ジョーシン」の店舗とECサイトを展開する家電量販企業です。2026年4月1日に商号を株式会社Joshinへ変更しましたが、「上新電機」「ジョーシン」の名称で探す人も多いため、この記事では旧社名をタイトルに残しています。

店頭ではテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコン、スマートフォン、ゲーム、玩具などを販売しています。しかし、Joshinグループの仕事は販売だけではありません。商品を仕入れて物流センターへ保管し、店舗や購入者宅へ運び、大型家電を設置し、故障した製品を修理し、不要になった家電を回収するところまで担っています。

この事業は、人の生活を便利にする一方で、多数の人による接客、倉庫作業、重量物の配送、電気工事、修理によって成り立っています。また、販売する家電の多くは外部メーカーが国内外で製造したものです。店舗の従業員だけを見て、Joshinが人間を大切にしているかを判断することはできません。

この記事では、株式会社Joshin本体の労働環境を中心に調査します。子会社が運営する店舗や、配送・設置・修理、協力会社の実績については、実施主体を明記したうえで評価へ反映しました。そのうえで、人の生命・健康・生活を守るセーフティ、危険・単調・過重な仕事を技術で改善するイノベーション、災害・戦争・供給途絶への備えを示すプロテクションの3項目からシビックリワードを判定します。

調査日:2026年8月13日

目次

先に結論:シビックカンパニーランクはB(普通)

審査項目ランク主な判断理由
セーフティA(良い)平均勤続19.0年、正社員離職率2.4%、月平均所定外労働12.7時間、男性育児休業等取得率97.1%。製品安全対策は家電量販業界でも高い水準。ただし、労災度数率の上昇、女性管理職比率3.5%、グループ・委託先との待遇差が残る
イノベーションB(普通)セルフレジ、電子プライス、生成AI、物流の東西2拠点化、修理データの活用などを実施。業務負担を減らす投資は確認できるが、研究開発企業ではなく、技術導入によって生まれた余力を労働者の仕事や権利の向上へ移す仕組みは弱い
プロテクションC(やや悪い)ISO 22301に基づくBCMS、東西物流拠点、全事業所の備蓄、防災訓練、蓄電池導入計画は評価できる。一方、戦争や国際物流の長期停止を想定した供給網、国内代替生産、防衛用途の商品・サービスは確認できない
総合ランクB(普通)雇用の安定性と製品安全は優れているが、雇用形態・性別・所属法人による格差、配送協力会社まで含めた人権確認、技術革新と防衛性には改善余地がある

Joshinの最も強い部分は、販売後の安全まで小売企業の責任として扱っていることです。約259万件の商品情報と不具合情報を参照できるデータベースを持ち、年間約40万件の修理依頼から故障傾向を分析しています。リコール時には購入者だけでなく、関連する消耗品や付属品の購入者へも案内する仕組みがあります。

働く会社としても、公開数値は家電量販業界の中で比較的良好です。2026年3月期の平均年間給与は619万3,000円、平均勤続年数は19.0年でした。2024年度の月平均所定外労働時間は12.7時間、正社員離職率は2.4%です。

ただし、全項目をホワイトと呼べる状態ではありません。2025年度の株式会社Joshin単体における女性管理職比率は3.5%、全労働者の男女賃金比率は60.8%でした。グループ全体でも女性管理職比率は4.7%にとどまります。会社自身も女性登用を課題として認めています。

また、2024年度の労災度数率は1.71で、2022年度の1.35から上昇しました。家電量販業には、店舗での立ち仕事や接客だけでなく、商品の移動、高所作業、重量物運搬、配送、設置、工事が含まれます。残業時間が短いという一つの数値だけでは、安全性を十分に判断できません。

災害への備えは充実していますが、プロテクションはCとしました。事業継続計画や備蓄は、店舗と従業員を守るために重要です。しかし、Joshinは国内外のメーカーが生産した商品を仕入れて販売する会社であり、戦争や海上輸送の長期停止時に必要な家電を自社で生産できるわけではありません。防災への備えと、人類規模の危機に対する防衛性は分けて評価する必要があります。

審査対象となる会社

この記事で主に審査する法人は、株式会社Joshin(旧・上新電機株式会社)です。Joshinグループ全体を一つの雇用主として扱うものではありません。

Joshinの店舗で働いていても、雇用主が株式会社Joshinとは限りません。地域によっては、100%子会社が店舗運営の一部を受託しています。配送、設置、修理、通信機器の設定、長期修理保証にも別会社が関わります。

主体主な役割この記事での扱い
株式会社Joshin商品仕入れ、直営店、Joshin web、商品企画、販売、会員・顧客情報、本社機能労働環境と総合評価の中心
兵庫京都・滋賀・和歌山・東海・関東・北信越の各ジョーシン各地域の店舗運営業務を受託店舗の実態として反映するが、本体の賃金をそのまま適用しない
ジョーシンサービス株式会社家電の配送、据付、修理、保守サービスインフラ、作業安全、製品安全へ反映
ジャプロ株式会社パソコン、通信機器などの取付・設定訪問・設定業務として反映
ジョーシンテック株式会社保険代理店、長期修理保証保証制度として反映
JSD INSURANCE PTE. LTD.長期修理保証に関する再保険保証事業の資金面として補助的に扱う
ジョーシンリフォーム近畿株式会社増改築、設計、施工、耐震補強リフォーム事業の実施主体として明記
配送・工事協力会社配送、搬入、設置、電気工事などJoshinの取引先選定と監督責任の範囲で評価

2026年3月期の有価証券報告書によると、株式会社Joshinは地域子会社へ店舗運営の一部を委託しています。ジョーシンサービスには配送・据付・修理・保守、ジャプロには情報通信機器の取付・設定を委託する関係です。

このため、株式会社Joshin単体の平均年収619万3,000円を「ジョーシンで働く全員の平均年収」と表現するのは不正確です。店舗のパート・アルバイト、地域子会社の社員、協力会社の配送・工事スタッフは、異なる給与制度と労働条件で働いています。

株式会社Joshinの基本情報

項目内容
現在の社名株式会社Joshin
旧社名上新電機株式会社
英文名Joshin Corporation
証券コード8173
本社大阪市浪速区日本橋西1丁目6番5号
創業1948年5月11日
設立1950年2月2日
代表者代表取締役 兼 社長執行役員 CEO 高橋徹也
資本金151億21百万円
上場市場東京証券取引所プライム市場
連結売上高4,366億50百万円(2026年3月期)
従業員数連結8,459人。臨時従業員を含む実人数(2026年3月末)
店舗数220店舗。レギュラー210、関係会社7、FC3(2026年3月末)
サービスセンター32拠点(2026年3月末)
主な事業家電、情報通信機器、ゲーム・玩具、住宅設備などの販売、EC、配送、設置、修理、保守、リフォーム、長期修理保証

会社概要では、2026年3月末のグループ従業員数を、臨時従業員を含む実人数で8,459人としています。一方、有価証券報告書では連結の就業人員を4,362人、臨時従業員の年間平均人員を3,009人と開示しました。後者の臨時従業員数は標準勤務時間で換算された人数であり、二つの資料は数え方が異なります。

株式会社Joshin単体では、就業人員3,747人、臨時従業員の年間平均換算人員2,819人です。正社員中心の指標と、短時間勤務を含む全従業員の指標を区別して読む必要があります。

商号変更の意味

同社は2026年4月1日、上新電機株式会社から株式会社Joshinへ商号を変更しました。家電販売だけに事業を限定せず、リフォーム、通信、修理、生活支援などを含む「ライフスタイル・サポートカンパニー」を目指す意図があります。

商号は変わりましたが、店舗ブランドの「Joshin」と旧社名の「上新電機」は現在も検索や既存資料で使われています。過去の雇用データや口コミを確認するときは、両方の名称を調べる必要があるでしょう。

財務状況

2026年3月期の連結売上高は4,366億50百万円、営業利益は54億22百万円、経常利益は51億13百万円、親会社株主に帰属する純利益は32億80百万円でした。

財務項目2026年3月期
売上高4,366億50百万円
営業利益54億22百万円
経常利益51億13百万円
親会社株主に帰属する純利益32億80百万円
総資産2,288億13百万円
純資産1,053億64百万円
自己資本比率46.0%
営業キャッシュ・フロー130億85百万円
売上高営業利益率1.2%

売上高は前年度比8.3%増え、営業利益も47.0%増加しました。猛暑によるエアコン、買い替え需要による携帯電話とパソコン、ゲームの新商品、阪神タイガース優勝セールなどが寄与しています。

自己資本比率46.0%、営業キャッシュ・フロー130億85百万円であり、直ちに資金繰りや雇用維持が危ぶまれる状態ではありません。一方、営業利益率は1.2%にすぎず、値下げ競争、仕入価格、人件費、物流費の変化を受けやすい事業です。

利益率が低い小売業では、店舗人員の削減、販売目標の強化、委託費の抑制が起こりやすくなります。現在の離職率や残業時間は良好でも、収益性と現場負担の関係は継続して確認すべきです。

店舗と地域

2026年3月末の店舗数は220店です。関西を中心に、東海、関東、北信越、四国へ展開しています。全国一律ではなく、特に大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀、和歌山への依存が大きい企業です。

2026年3月期の都府県別売上高は、大阪府が1,856億30百万円、兵庫県が589億21百万円、愛知県が304億91百万円でした。大阪府の数値にはECなど店頭販売以外の売上も含まれます。

店舗の地域集中は、知名度、配送効率、修理網の密度を高めます。一方、南海トラフ地震や関西圏の広域災害が発生すると、店舗、物流、本社機能が同時に影響を受ける可能性があります。この弱点を補うものが、関西茨木物流センターと東京物流センターによる東西2拠点体制です。

主な業務内容

Joshinはメーカーではなく、小売と生活支援の会社です。商品を企画・製造する企業から仕入れ、消費者へ販売し、購入後の配送、設置、修理、回収までをグループと協力会社で支えています。

商品が消費者へ届くまで

工程主な担当実際に行うこと
仕入れ・取引開始株式会社Joshinの商品部などメーカー・卸との商談、価格・数量・納期の決定、製品安全と取引条件の確認
物流センターでの保管物流部門、物流事業者入荷、検品、保管、店舗・EC注文への振り分け、出荷
店頭販売株式会社Joshin、地域子会社品出し、商品説明、契約、レジ、売場づくり、在庫管理、修理受付
EC販売株式会社JoshinWeb掲載、受注、決済、問い合わせ対応、出荷指示
配送・搬入ジョーシンサービス、協力会社大型家電を購入者宅へ運び、家屋を傷つけず搬入する
設置・工事ジョーシンサービス、ジャプロ、協力会社エアコン、アンテナ、洗濯機、テレビ、パソコン、通信機器などの設置・設定
修理・保守ジョーシンサービス、メーカーなど持込修理、出張修理、部品交換、動作確認、修理情報の記録
回収・再資源化Joshinグループ、指定引取場所、再商品化事業者不要家電の引取、運搬、家電リサイクル法に基づく再資源化

消費者から見ると「店舗で商品を買う」という一回の行動ですが、その裏では複数の法人と雇用形態が関わっています。特に配送・設置は、時間指定、交通、階段、狭い通路、重量物、高所、電気工事といった負担を伴う仕事です。

店舗での家電販売

2026年3月期の店頭販売額は3,549億11百万円でした。売上全体の約81%を占め、ECが成長していても店舗が事業の中心です。

販売員は、顧客が求める用途、設置場所、予算、消費電力、家族構成などを聞き取り、多数の商品の中から候補を示します。大型家電では、本体価格だけでなく、搬入経路、工事費、回収費、保証、配送日まで説明しなければなりません。

スマートフォン売場では、端末販売に加えて通信契約、料金プラン、データ移行、付帯サービスの案内が発生します。ゲーム・玩具の売場では新商品や限定商品の発売日に来店が集中することもあります。店舗勤務は単純なレジ業務ではなく、幅広い商品知識、契約知識、在庫管理、接客能力が求められる仕事です。

一方、土日祝日、年末年始、決算、セール、猛暑時のエアコン需要など、一般の人が買い物をする時期ほど忙しくなります。勤務はシフト制で、販売目標、顧客からの苦情、立ち仕事、混雑への対応が負担になり得ます。

Joshin webによるインターネット販売

2026年3月期のインターネット販売額は790億4百万円で、前年度比14.2%増えました。売上全体の約18%です。

EC業務には、商品情報の登録、価格変更、在庫表示、注文処理、決済、不正注文対策、梱包、出荷、問い合わせ、返品対応が含まれます。消費者は24時間注文できますが、出荷と問い合わせを担う人の仕事はなくなりません。

ECの拡大は店舗へ行けない人にとって便利です。その反面、価格比較が容易になり、企業間の値下げ競争が強まります。低価格と短納期だけを追求すると、倉庫、配送、カスタマーサポートの負担へ転嫁されるおそれがあります。

家電・情報通信・エンターテインメント

2026年3月期の品種別売上は、家電1,984億75百万円、情報通信1,201億43百万円、その他1,180億31百万円でした。

主な品種売上高
エアコン465億23百万円
洗濯機・クリーナー362億22百万円
テレビ255億48百万円
冷蔵庫239億9百万円
パソコン243億8百万円
携帯電話559億4百万円
ゲーム・模型・玩具・楽器690億66百万円
修理・工事収入205億15百万円

Joshinは生活必需品だけを扱う会社ではありません。ゲーム、模型、玩具、映像・音楽、時計など、娯楽と文化に関わる商品も大きな売上を持っています。人間への貢献を判断するときは、生存に必要かどうかだけでなく、生活の楽しさ、創作、交流へ与える価値も考える必要があるでしょう。

配送・設置・工事

大型家電は、販売して終わりではありません。冷蔵庫や洗濯機を搬入し、水平を確認し、給排水をつなぎ、動作を確かめます。エアコンでは室内機と室外機の設置、配管、電気、穴あけ、高所作業が発生する場合があります。

主な実施主体は100%子会社のジョーシンサービスと配送・工事協力会社です。情報通信機器の取付・設定にはジャプロも関わります。

Joshinは協力会社に対して、CS教育、安全教育、配達工事研修、家電修理研修、設備関連研修、技術資格講習を行っています。教育体制の公開情報では、配送・工事協力会社向け研修を年間70回以上、サービス技術研修を年間100回以上実施するとしました。

技術研修センターには、さまざまな家屋構造を再現した「Joshinトレーニングハウス」があります。搬入、設置、工事を実際に近い環境で練習し、設置不備による事故を防ぐ施設です。2024年11月1日時点で、工事協力会社を含むグループ全体の電気工事士資格保有者は3,589人でした。

研修体制は評価できます。ただし、協力会社の賃金、拘束時間、再委託、繁忙期の件数、事故率まで同じ水準で公開されているわけではありません。安全教育の回数だけで、現場の負担が適正だとは断定できない点に注意が必要です。

修理・保守と長期保証

店舗、サービスセンター、コールセンターには、年間約40万件の修理依頼が入ります。修理受付時の情報と、技術者が実際に修理した情報をデータベースへ蓄積し、製品ごとの故障傾向を分析しています。

修理履歴データの活用に関する公開情報によると、分析結果をもとにサプライヤーと年約60回の情報交換を行い、製品の改善を提案しています。配送・設置担当者の意見から、搬入や設置時の事故を防ぐ改良案をメーカーへ伝えることもあります。

故障した家電を修理できれば、買い替え費用と廃棄物を減らせます。高齢者や機器操作に不慣れな人にとって、出張修理や設定支援は生活インフラを維持するサービスです。

長期修理保証はジョーシンテックとシンガポールの再保険会社が関わります。保証が実際に役立つかは、対象製品、期間、免責、修理上限、自然故障の定義などによって変わるため、加入時の説明が重要です。

リフォームと住環境

キッチン、浴室、トイレ、給湯、太陽光発電、蓄電池、断熱、耐震補強など、住宅設備とリフォームも扱います。2026年2月には株式会社DOのリフォームを子会社化し、ジョーシンリフォーム近畿株式会社へ商号変更しました。

高齢者が自宅で暮らし続けるには、段差の解消、手すり、温度管理、照明、見守り、家電の操作支援が必要です。家電販売、配送、修理、住宅改修を組み合わせれば、単品を売るだけでは解決できない生活課題へ対応できます。

ただし、リフォームには現地調査、設計、見積、施工、下請管理、完成後の保証が必要です。工事品質や施工者の労働環境まで含めて評価しなければなりません。子会社化直後であり、グループ共通の詳細な労働実績は今後の確認項目です。

家電回収・リサイクル

家電リサイクル法の対象となるエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機を回収します。リサイクル・リユース実績によると、2025年度の家電4品目の引取台数は80万7,672台でした。

販売企業が古い家電の回収窓口になることは、消費者の手間を減らし、不法投棄を防ぎます。一方、回収後にどの素材がどれだけ再利用され、再資源化工程で誰がどのように働いているかは、販売会社の情報だけでは分かりません。

主な職種と職場

2026年3月31日時点の連結就業人員4,362人のうち、販売部門は4,222人、管理部門は140人でした。臨時従業員の年間平均換算人員3,009人もすべて販売部門に計上されています。

職種・職場主な仕事特有の負担・責任
店舗販売商品説明、売場、レジ、契約、在庫、修理受付立ち仕事、土日勤務、販売目標、商品知識、苦情対応
モバイル販売端末、回線、料金、データ移行、付帯サービス複雑な契約説明、本人確認、個人情報、目標管理
EC運営商品掲載、価格、受注、問い合わせ、販促価格変更、セール時の集中、システム障害対応
商品・仕入れメーカー商談、選定、数量、価格、品質確認在庫・粗利・販売予測、製品安全責任
物流入荷、検品、保管、出荷、在庫管理重量物、歩行、機械との接触、繁忙波動
配送・設置搬入、据付、回収、説明重量物、階段、運転、高所、訪問先での対応
修理故障診断、部品交換、試運転、記録電気・機械の危険、出張、技術更新、時間管理
リフォーム営業、現地調査、設計、施工管理工期、法令、協力会社管理、住宅ごとの条件差
本社・企画経営、財務、人事、法務、システム、販促多店舗調整、障害・繁忙対応、数値責任

「ジョーシンで働く」といっても、店舗販売と配送修理では仕事の性質が大きく異なります。応募時には、雇用主、配属地域、転勤範囲、シフト、販売目標、工事資格、繁忙期の残業を個別に確認する必要があります。

労働環境の評価:B(普通)

Joshinの労働環境は、家電量販業界の中では比較的安定しています。平均勤続年数、離職率、残業時間、男性育児休業等取得率は良好です。一方、女性の登用、男女賃金差、労災の増加、傷病休職、子会社・協力会社まで含む開示には課題があります。

賃金:B(普通)

2026年3月期の株式会社Joshin単体の平均年間給与は619万3,000円でした。平均年齢44.0歳、平均勤続年数19.0年で、賞与と時間外手当などの基準外賃金を含みます。

賃金項目公開値
平均年間給与619万3,000円
平均年齢44.0歳
平均勤続年数19.0年
前年度からの平均給与増加率4.1%

国内の小売業としては低い給与ではなく、19年の平均勤続を支える水準です。2024年度には非正規従業員を含む賃上げなどへ22億98百万円を投じたと説明しています。

ただし、平均給与は株式会社Joshinの一般従業員と出向受入者などを対象とし、臨時従業員は含みません。パート・アルバイト、地域子会社、配送・工事協力会社の給与を表す数字ではないため、Bとしました。

2025年度の単体の男女賃金比率は、全労働者60.8%、正規雇用労働者75.0%、パート・有期労働者88.1%です。会社は、女性管理職が少ないことや、4割を超える女性社員が給与減額を伴う勤務地限定コースを選択していることを主な要因に挙げています。

転勤を断ると給与が下がる制度は、本人の選択という形式であっても、育児・介護を多く担う人へ不利に働く可能性があります。職務価値、役割、成果が同じ場合まで差が生じていないかを判断できる情報は不足しています。

福利厚生:A(良い)

社会保険、退職金、従業員販売、育児・介護休業、短時間勤務、特別休暇、従業員持株会などの制度があります。2024年度の株式会社Joshin単体の持株会加入率は83.4%でした。

育児短時間勤務は子が中学校を卒業するまで利用できます。休日保育費補助、不妊治療支援、介護短時間勤務、シニア向け短時間・短日数勤務など、生活事情に対応する制度も拡充しました。

男性の育児休業等及び育児目的休暇取得率は、2025年度に単体97.1%、連結グループ98.4%です。2024年度から「イクメン休暇」の取得義務日数を14日から28日へ延長しており、取得率だけを高く見せる一日休暇ではありません。

制度の幅と取得実績を評価し、福利厚生はAとします。ただし、パート・アルバイト、子会社、協力会社が同じ制度を使えるわけではありません。

労働時間・休日:B(普通)

統合報告書2025によると、2024年度の月平均所定外労働時間は12.7時間、全従業員の年次有給休暇取得率は62.4%でした。

年度月平均所定外労働時間年次有給休暇取得率
2023年度13.6時間60.9%
2024年度12.7時間62.4%

残業は減り、有給取得率は上昇しています。11時間の勤務間インターバル、毎日をノー残業デーとする方針、店舗営業時間の短縮も進めました。2019年度と比べ、店舗部門の年間総営業時間を約12万時間短縮しながら、売上総利益率は2.5ポイント上昇したとしています。

これは、営業時間の長さと利益が必ずしも比例しないことを示す実績です。従業員を長く拘束せず、営業時間中の配置を厚くする取り組みは評価できます。

一方、店舗はシフト制で、年間休日の中途採用例は116日です。土日祝日やセール期に休みづらい職場もあり、一般的な完全週休2日・祝日休みの企業より休日数が多いとはいえません。部署・店舗別の残業、有給、連続休暇のデータも公開されていないため、AではなくBとしました。

安全性・健康:B(普通)

労働安全衛生の公開データでは、労働災害の度数率と強度率を開示しています。

年度労災度数率労災強度率傷病による休職率
2022年度1.350.030.76%
2023年度1.510.011.05%
2024年度1.710.031.11%

強度率は低いものの、度数率は2年連続で上がっています。傷病による休職率も0.76%から1.11%へ上昇しました。事故や健康問題が全社的に深刻だと断定する数値ではありませんが、改善傾向ともいえません。

対策として、全事業所のリスクアセスメント、高所作業の装備管理、耐切創手袋、安全靴、腰痛防止ベルト、防じん対策、安全運転講習などを実施しています。重量物を扱う仕事内容に合わせた対策です。

2024年度の健康診断受診率は97.9%、ストレスチェック受検率は99.0%でした。35歳以上の正社員には人間ドックを会社負担で義務化し、保健師面談、生活習慣改善、禁煙支援も行っています。

安全衛生の仕組みは整っていますが、事故率と休職率が上昇しているためBです。配送・工事協力会社を含む統一的な死傷者数や度数率が確認できれば、より正確に判断できます。

雇用の安定性:A(良い)

2024年度の正社員離職率は2.4%、平均勤続年数は17.8年でした。2026年3月期の単体平均勤続年数は19.0年に達しています。

年度正社員離職率
2020年度2.2%
2021年度2.4%
2022年度2.8%
2023年度2.9%
2024年度2.4%

離職率は低い水準で推移し、定年も65歳へ延長しました。2024年度の65歳以上従業員は151人、障がい者雇用率は2.79%です。長期雇用と多様な年齢での就業機会は評価できます。

自動化を理由とした大規模な解雇は確認できません。セルフレジや電子プライスを導入しながら、会社は接客、モバイル、リフォーム、配送・修理、IT・データなどへの人員配置と教育を進める方針です。

ただし、連結の臨時従業員の年間平均換算人員は、2022年3月期3,671人から2026年3月期3,009人へ減少しています。正社員の就業人員は同期間に4,144人から4,362人へ増えました。非正規雇用の減少が自然退職、採用難、業務効率化、正社員化のどれによるものかは開示されていません。

現時点では正社員の雇用は安定しているためAとします。技術導入による仕事の変化を、雇用削減ではなく再教育と新しい役割へ移せるかが今後の焦点です。

育児・多様性:C(やや悪い)

育児支援は優れていますが、女性の意思決定参加は大きく遅れています。2025年度の管理職に占める女性の割合は、単体3.5%、連結グループ4.7%でした。

多様性指標単体連結グループ
女性管理職比率3.5%4.7%
男性育児休業等取得率97.1%98.4%
全労働者の男女賃金比率60.8%60.8%
正規雇用労働者の男女賃金比率75.0%77.5%
パート・有期労働者の男女賃金比率88.1%89.0%

会社は2030年度に女性管理職比率5.0%、女性正社員比率30%を目標にしています。2024年度時点の女性正社員比率は15.3%、女性従業員比率は36.7%でした。

女性取締役比率は2025年6月時点で50%になりましたが、店舗や本社の管理職層へ女性が十分に登用されたことを意味しません。取締役会の多様性と、日常の評価・昇進・配属における多様性は分けて見る必要があります。

男性育児休業の実績、勤務地選択による昇格制限の撤廃、休日保育費補助などは前進です。しかし、管理職比率と賃金差の現状を重く見てCとしました。

労働組合と対話:B(普通)

株式会社Joshinを含む一部のグループ会社の労働組合はUAゼンセンに所属しています。本社では労働組合執行部と会社執行役員による全社衛生委員会を年4回開催しています。

一方、有価証券報告書では、ジョーシンテック、ジェー・イー・ネクスト、兵庫京都ジョーシン、ジャプロ、関東ジョーシン、滋賀ジョーシン、和歌山ジョーシン、J・P・S商事、JSD INSURANCE、ジョーシンリフォーム近畿には労働組合がないと記載されました。

同じグループ内でも、労働者が会社と交渉する仕組みは統一されていません。全従業員が経営や労働条件の決定へ同じ強さで参加できる状態ではないため、Bとします。

口コミ・SNSの評判:B(普通)

Indeedの公開集計では、2026年6月時点の総合評価は5点中3.3、口コミは57件でした。給与・福利厚生は3.5、勤務時間と残業は3.2、定着率と昇進は3.1です。

エン カイシャの評判では、2025年時点の総合評価は3.2、口コミは1,600件以上でした。待遇、従業員割引、休暇、顧客との関係を評価する声がある一方、人員不足、店舗差、販売目標、昇進、土日勤務を課題とする意見も見られます。

口コミは投稿者の所属法人、店舗、職種、在籍時期、雇用形態が異なります。特に「上新電機の口コミ」へ、地域子会社や店舗内の通信事業者の経験が混ざる可能性があります。個別の投稿だけで事実を断定せず、公式数値と一致する傾向を補う資料として用いました。

離職率、残業、有給の公式実績と口コミは、極端に矛盾していません。ただし、評価は平均的であり、すべての店舗が働きやすいと判断できるほど高くないためBです。

事業による人間への貢献:A(良い)

Joshinは家電を製造する企業ではありませんが、メーカーと消費者の間に立ち、商品選択、配送、設置、修理、回収を担います。家電が生活を支えるためには、安全に選び、正しく設置し、故障時に直し、危険な製品を使用者へ知らせる仕組みが必要です。

家電とICTを生活へ普及させる

冷蔵庫は食品を保存し、洗濯機は家事労働を減らし、エアコンは猛暑や寒さから健康を守ります。通信機器は情報、教育、仕事、行政手続き、家族との連絡を支える道具です。

多数のメーカーの商品を一か所で比べられ、設置条件や電気代について説明を受けられることは、消費者の選択を助けます。価格を下げるだけでなく、必要な機能と耐久性、安全性、修理可能性を説明することが小売企業の役割です。

購入後まで続く製品安全

Joshinは2008年、2010年、2012年に製品安全対策優良企業表彰の経済産業大臣賞を受賞し、2014年に制度初の製品安全対策ゴールド企業となりました。その後もフォローアップを受け、ゴールド企業の二つ星認定を得ています。

仕入先と商品売買基本契約を結ぶ前に、製品安全に対する企業姿勢を確認します。商品ごとの商談でも独自の評価票を用い、契約時には「製品の安全性に関する覚書」の締結を求める仕組みです。

販売後は、約259万件の商品・不具合情報を収めた「お使い製品便利帳」を店舗端末から参照できます。リコール連絡を受けた場合は、危険度、緊急性、対応方法をサプライヤーと確認し、購入履歴をもとに案内します。

小売企業が「メーカーが作った商品だから責任はない」と扱わず、販売後の事故防止まで関わる姿勢は、セーフティの大きな加点要素です。

修理によって生活と資源を守る

年間約40万件の修理依頼を受け、故障傾向をメーカーへ伝えています。これは、一人の消費者の故障を直すだけでなく、次の製品の改良へ情報を戻す仕組みです。

壊れた製品をすぐ廃棄せず修理できれば、消費者の支出、資源採掘、製造、輸送、廃棄を減らせます。修理技術者を自社グループの機能として持つことは、販売だけを行う事業者より人間への長期的な貢献が大きいと評価できます。

高齢社会の生活支援

Joshinは「高齢社会のレジリエンス強化支援」を二つの社会価値の一つに掲げています。店舗、EC、配送の三つの接点から、家電、通信、修理、リフォームを組み合わせる方針です。

高齢者に必要なのは、最新家電を売ることだけではありません。自宅へ運ぶ、使える状態にする、操作を説明する、故障時に訪問する、住環境を改修するところまで支援する必要があります。

現在の取り組みには発展途上の部分があり、見守りや生活支援の具体的な利用者数・成果は十分に公開されていません。それでも、販売後の訪問網と修理網を社会課題へ使おうとする方向性は評価できます。

省エネと家庭の負担軽減

省エネ性能の高い冷蔵庫やエアコンは、温室効果ガスだけでなく家庭の電気代を減らします。2024年度の環境配慮型製品の売上構成比は25.3%で、会社目標の30%には届きませんでした。

Joshinグループ自身の2024年度のScope1排出量は2,962トン、Scope2は1万1,883トンで、合計1万4,845トンでした。2020年度のScope1・2合計3万3,498トンから減少しています。

一方、2024年度のScope3は405万5,865トンでした。その77.0%にあたる312万3,681トンが販売した製品の使用、21.2%にあたる85万7,949トンが購入した製品・サービスです。店舗照明を再生可能エネルギーに変えるだけでなく、販売商品の省エネと製造段階へ働きかける必要があります。

人間へ与えている損害や問題

事業が便利であっても、その過程で働く人、消費者、製造地の住民へ損害を与えていれば、人間への貢献度は下がります。

販売競争が現場へ負担を移す可能性

家電量販店は、同じメーカーの商品を複数社が扱います。価格比較が容易で、利益率も低いため、店舗の販売目標、付帯サービス、保証、通信契約、リフォームなどの収益が重くなりやすい業界です。

顧客に不要な契約を勧めれば消費者の利益を損ない、目標を強く追わせれば販売員の心理的負担になります。Joshinが不適切な販売を全社的に行っていると示す公的事実は確認できませんが、事業構造上のリスクとして監視が必要です。

重量物・高所・訪問作業の危険

大型家電の搬入、エアコン設置、アンテナ工事、修理には身体的な危険があります。腰痛、転倒、切創、交通事故、感電、高所からの墜落、家屋の破損などです。

Joshinは安全具、研修、トレーニングハウスを整備しています。しかし、2024年度の労災度数率は1.71へ上昇しました。協力会社を含む事故件数と、事故後の改善結果をさらに開示する必要があります。

雇用形態と所属法人による格差

株式会社Joshin単体の平均年収や福利厚生は良好です。一方、店舗運営の一部を担う地域子会社、パート・アルバイト、配送・工事協力会社には異なる条件が適用されます。

危険や繁忙が大きい配送・設置を外部へ委託し、本体だけの労働指標を良く見せる構造になっていないかを確認しなければなりません。グループ統一の職種別賃金、残業、労災、離職率の公開が望まれます。

家電製造の人権と資源負荷

Joshinが販売する製品には、金属、樹脂、半導体、電池が使われています。採掘、部品製造、組立の多くは海外を含む長い供給網にあり、強制労働、低賃金、長時間労働、化学物質、地域環境への影響が生じる可能性があります。

同社は人権方針と調達ガイドラインを作り、基本契約へ人権尊重条項を追加しました。2024年11月には配送協力会社88社へ人権アンケートを送りましたが、回答は58社です。未回答30社の状況は確認できていません。

方針の制定は出発点であり、サプライヤーの工場をどこまで確認し、問題があった場合に何を改善させたかまで示す必要があります。

消費を増やすことと人間への貢献は同じではない

新製品を頻繁に買い替えさせる販売は、売上を増やしても人間への貢献とは限りません。まだ使える製品の廃棄、分かりにくい機能競争、過剰な通信契約は、家計と資源を圧迫します。

修理、中古、長期使用、省エネ、適切な買い替えを案内し、販売数量だけに依存しない収益モデルへ変えられるかが重要です。Joshinは修理・工事収入を持つため、その土台はあります。

問題発生後の対応

企業の評価では、問題を完全に起こさないことだけでなく、発生後に被害を止め、原因を調べ、同じ問題を防ぐ仕組みが重要です。

製品不具合とリコール

不具合発生時の対応フローでは、取り扱い製品の情報を商品部が管理し、不具合が発生するたびに対応策を各事業所へ指示する仕組みを示しています。

リコール時には、サプライヤーへ危険度、緊急性、対応方法の詳しい説明を求めます。購入履歴を使った案内について年約20回の協議を行い、関連する付属品や消耗品を買った顧客にも案内する場合があります。

製造企業の発表を店頭へ掲示するだけでなく、購入者へ直接知らせる能力がある点は評価できます。ただし、リコール対象者への到達率、回収率、重大事故件数を継続して開示すれば、実効性をさらに確認しやすくなります。

修理情報を製品改良へ戻す

年間約40万件の修理情報を分析し、メーカーと年約60回の情報交換を行っています。不具合を個別対応で終わらせず、故障しやすい部品、設置しにくい構造、事故につながる設計を製品改良へ反映できる仕組みです。

小売・修理会社は複数メーカーの製品を横断して見ることができます。この立場を利用し、メーカーごとの不具合傾向や対応速度を消費者へ分かりやすく公開できれば、製品安全市場をさらに強くできるでしょう。

労働災害とハラスメント

労働災害は即時に社内共有し、事業所でリスクアセスメントとヒヤリハット共有を行います。ハラスメントについては2003年から社内相談窓口を設置し、男女計7人の相談員、経営トップの撲滅宣言、階層別研修を設けています。

人権に関する社外窓口として、ビジネスと人権対話救済機構の仕組みも利用しています。2023年度のバリューチェーン上の人権通報は2件、2024年度は0件と開示しました。

通報件数が0件であることは、人権問題が0件だったことを必ずしも意味しません。窓口が知られているか、非正規従業員や協力会社が不利益を恐れずに使えるか、是正結果がどうだったかまで確認する必要があります。

シビックリワード1:セーフティ A(良い)

セーフティでは、従業員、協力会社、顧客の生命、健康、人権、生活がどれだけ守られているかを評価します。

Joshinは、平均勤続19.0年、正社員離職率2.4%、月平均所定外労働12.7時間、男性育児休業等取得率97.1%という良好な雇用実績を持っています。製品安全では、仕入前の確認、契約時の覚書、不具合データベース、購入者へのリコール案内、修理情報を使った改良提案まで行っています。

家電量販企業として、販売前から販売後まで安全を扱う仕組みは高く評価できます。製品安全対策ゴールド企業の二つ星認定も、長期間にわたって仕組みを維持してきた裏付けです。

一方、労災度数率と傷病休職率は上昇しています。女性管理職比率は3.5%、全労働者の男女賃金比率は60.8%です。配送協力会社への人権アンケートも88社中58社の回答にとどまりました。

人間を守る仕組みは明確で、実績もあるためAです。ただし、すべての雇用形態、子会社、協力会社まで同じ水準で守られていると確認できないため、Sにはしません。

シビックリワード2:イノベーション B(普通)

イノベーションでは、新しい商品を売っているかではなく、人の危険、単調作業、過重労働を技術や仕組みで減らしているかを評価します。

2024年度は、生産性向上に関わるシステム投資として28億18百万円を計上しました。セルフレジ、電子POP、電子プライス、電子レシート、注文カード発券、生成AIなどが含まれます。

営業時間を2019年度比で年約12万時間短縮しながら、売上総利益率を2.5ポイント高めた実績もあります。人を長く働かせる以外の方法で収益を改善した点は、労働の未来にとって重要です。

物流では関西茨木と東京の東西2拠点体制を構築しました。修理情報約40万件を分析し、メーカーへ改良を提案する活動も、販売・修理現場の知識を製品改善へ使う取り組みです。

ただし、Joshinは研究開発を中心とする企業ではありません。セルフレジや電子表示は業務を効率化しますが、従業員の仕事を高度な改善・研究開発へ移行させるところまで制度化されていません。自動化で生まれた利益と時間を、賃金、休日、学習、新しい職務へどう配分したかも十分には開示されていません。

現場改善は進んでいるものの、人間の仕事そのものを大きく変える段階には達していないためBとします。

シビックリワード3:プロテクション C(やや悪い)

プロテクションでは、自然災害だけでなく、戦争、国際物流の停止、サイバー攻撃、電力不足、通信障害など、人の生活基盤を脅かす危機への備えを評価します。

Joshinは2017年、事業継続マネジメントシステムの国際規格ISO 22301の認証を取得しました。事業継続基本方針では、人命を最優先し、設備・情報システムの保全、事業の復旧、政府・自治体・他企業との連携を掲げています。

全事業所へ災害備蓄品を置き、防火防災訓練を年2回以上、安否報告訓練を年4回実施しています。物流も関西茨木と東京の2拠点を持ち、2030年度までに70事業所へBCP用蓄電池を導入する計画です。

これらは災害対応として優れています。しかし、Protectionを高く評価するには不足があります。

Joshinは販売会社であり、海外部品や海外工場に依存する家電を自社で生産できません。戦争や海上輸送の停止が長期化した場合、在庫を販売した後も必要な製品を供給し続けられる保証はありません。メーカーと共同した代替調達、国内生産、重要部品の備蓄、通信遮断時の店舗運営について、定量的な能力は公開されていません。

また、シェルター、防護装備、危機通信、非常用電源などを専門に開発・供給する企業でもありません。一般の家電、防災用品、蓄電池を販売しているだけで、戦争への防衛性が高いとは判断しません。

自然災害へのBCPはB以上の内容ですが、人類規模の危機を含むProtection全体ではCです。

総合評価:シビックカンパニーランクB(普通)

評価領域判定
労働環境B(普通)
事業による人間への貢献A(良い)
セーフティA(良い)
イノベーションB(普通)
プロテクションC(やや悪い)
シビックカンパニーランクB(普通)

Joshinは、家電を売るだけの企業ではありません。配送、設置、修理、リコール対応、回収まで持ち、製品安全を小売企業の責任として扱っています。雇用面でも、低い離職率、長い勤続、短めの残業、育児支援は明確な強みです。

その一方で、本体の正社員が良い条件で働いていることと、店舗のパート、地域子会社、配送・工事協力会社まで人間が大切にされていることは同じではありません。女性管理職比率、男女賃金差、労災度数率、協力会社の人権確認には改善余地があります。

イノベーションも、業務効率化の段階には進んでいますが、自動化によって生まれた余力を人間の学習、改善活動、研究開発、権利の拡大へ移す制度にはなっていません。プロテクションは防災BCPに強みがある一方、戦争と国際供給停止まで考えると低い評価です。

Sランクへ近づくために必要なのは、次の取り組みです。

  • 子会社・パート・協力会社を含む職種別の賃金、残業、休日、離職率、労災の開示
  • 女性管理職比率と男女賃金差の大幅な改善
  • 配送・工事協力会社88社すべての人権確認と、未回答企業への対応
  • 労災度数率と傷病休職率の低下を示す実績
  • 自動化で生まれた利益と時間を、賃金、休日、再教育、業務改善へ配分する仕組み
  • 修理と中古流通を拡大し、買い替え依存から長期使用を支える事業へ移行
  • 戦争・輸送停止時にも必要な生活機器を供給できる国内調達、備蓄、代替網の構築

現在のJoshinは、人を守る小売・サービス企業として優れた部分を持っています。しかし、企業本体から協力会社、販売から製造、平時から危機時までを一つの責任範囲として扱うには、まだ不足があります。強みと課題を合わせて、シビックカンパニーランクは**B(普通)**と判断します。

主な調査資料

※ランクは公開情報をもとにした本サイト独自の評価です。法令違反の有無、製品の優劣、投資価値、個別の店舗・職場の状態を保証するものではありません。会社名、制度、数値、評価は調査日以後に変わる可能性があります。

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