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キリン 自然が磨いた天然水 600mlの商品審査|暫定64点・C|重筋作業をロボットへ。商品自体は高評価だが、製造BCPと情報開示が壁

スーパーやコンビニで水を選ぶとき、目に入るのは価格、容量、採水地、パッケージくらいです。しかし、その1本を買うことは、水そのものだけを選ぶことではありません。水をくみ上げて充填する工場、商品を企画する会社、倉庫から店頭へ運ぶ物流会社、パッケージを作る会社など、複数の企業の仕事にお金が流れます。

「キリン 自然が磨いた天然水 600ml」の総合評価は、前稿と同じ暫定64点/100点、シビックランクCです。Cだけを見ると低めに感じますが、この商品の関連企業にはかなり際立った長所があります。

代表的なのがキリンビバレッジです。同社では、飲料工場で人が最大約25kgの茶葉原料を扱っていた工程に4台のロボットを導入し、重筋作業そのものを廃止しました。会社公表では年間約2,300時間の業務負荷を削減し、重量物の取り扱い制限がなくなることで、女性やシニア世代を含めた柔軟な人員配置にもつなげています。さらにキリングループの海老名物流センターでは、AGF、AGV、パレタイザーを連携させた国内初の自動ピッキングソリューションが稼働しています。

単なる「省人化」ではなく、人が重い荷物を繰り返し持つ仕事を機械へ移そうとしている点は、この商品の関連企業群の大きな長所です。

一方、商品全体がB以上に届かなかった理由もはっきりしています。実際に天然水を製造する企業では、災害時の代替生産、非常用電源、断水時の対応、サイバー攻撃後の復旧時間など、外部から確認できる情報が弱い会社があります。また、株式会社Pegのように重大問題が確認されたわけではないものの、労働環境や危機対応の実績がほとんど公開されておらず、現在の採点方式では低得点になる企業もあります。

つまり、この商品のCランクは「水そのものが悪い」という評価ではありません。商品自体は19点/20点と高評価です。関連企業には、日本の飲料・物流現場の将来像を感じさせる自動化もあります。それでも、製造会社の危機対応と、一部企業の労働環境・復旧力の情報不足が全体の点数を押し下げています。

目次

結論:商品自体19点、関連企業44.6点で暫定64点・C

水を買う側から見れば、知りたいのは「飲める水か」だけではありません。自分が払う代金が、働く人を守る会社、重労働を減らす会社、災害時にも商品を届けようとする会社へ流れているのかによって、同じ1本を選ぶ意味は変わります。そこで本審査では、商品そのものを20点、関連企業を80点で評価します。

関連企業側では、働く人の賃金・労働時間・休暇・労災などの労働環境を中心とするSafety、重労働や危険作業を技術で減らしているかを見るInnovation、災害やサイバー攻撃、物流停止などが起きても商品を届け続けられるかを見るProtectionを評価します。まずは、この1本のどこが強く、どこが64点という結果につながったのかを全体像から確認します。

評価対象配点得点要点
関連企業 Safety4024.04賃上げ、低残業、週休3日などの強みがある一方、労災報告遅延や情報非公開がある
関連企業 Innovation2012.32重筋作業のロボット化、自動ピッキング、物流DXが強い
関連企業 Protection208.24物流会社は強いが、製造会社のBCP・復旧時間の開示が弱い
商品そのもの2019国産軟水、採水地・成分・PFAS検査、24カ月保存を評価。価格上昇で1点減点
合計10063.6表示上は暫定64点、C

総合点が「暫定」なのは、企業審査が未完了だからではありません。関連企業の企業審査は完了しています。ただし、小山町製造系統やPET・容器関連企業について、通常600mlの現行SKUへどこまで直接関与しているかを、松本市系統と同じ強さでは確認できない部分があるためです。

この商品を買うことで期待できる良いこと

毎日の買い物では、数百円の支出でも積み重なれば企業の売上になります。つまり、この水を選ぶことは、商品の味や価格だけでなく、その裏側にある働き方や技術、供給体制へ間接的にお金を流すことでもあります。ここでは、キリン天然水を買うことで市民がどのような企業活動を支えることになるのかを具体的に見ます。

1.重い仕事を人間から機械へ移す自動化を進める企業を支えられる

この商品のブランド主体であるキリンビバレッジでは、湘南工場の茶葉投入工程で、最大約25kgの茶葉原料を人が開梱して投入する作業をロボットへ置き換えています。

導入前は、重量物を繰り返し扱うため身体負担が大きく、女性を含む多様な人材を配置する上でも制約になっていました。導入後は重筋作業を廃止し、年間約2,300時間の業務負荷を削減したと会社が公表しています。

これは「AIを使っています」という抽象的なInnovationではありません。

人が25kgの箱を持つ
→ 腰や身体へ負担がかかる
→ 配置できる人も限られる
→ その工程をロボットへ移す
→ 重筋作業そのものをなくす

という因果関係が見えます。

人間が機械のように働くのではなく、機械に任せられる作業を機械へ移す方向を支持できることは、この商品の大きな長所です。

キリンビバレッジの企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2712

2.物流でも「近未来型」の自動化が進んでいる

商品は工場で完成しても、倉庫から出せなければ市民へ届きません。

キリングループの海老名物流センターでは、三菱重工業・三菱ロジスネクストの技術を使い、AGF、AGV、パレタイザーなどを連携させた自動ピッキングソリューションが稼働しています。

三菱重工は、この方式について海老名物流センターで国内初の稼働と公表しています。人手不足だけでなく、重量のある飲料ケースを人が積む重筋作業、フォークリフト搬送などを自動化する設計です。

キリングループロジスティクスの企業審査ではInnovationを20点/25点と評価しています。物流企業としては、この商品の関連企業群の中でも大きな強みです。

キリングループロジスティクスの企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2725

3.中核企業では賃上げや育児支援も確認できる

キリンビバレッジの企業審査では、2026年春闘で1万1,000円のベースアップを確認しています。

また、男性育児休業取得率100%など、働く人へ利益や制度を戻す動きもあります。

自動化で生産性を上げるだけでなく、賃上げも確認できる点は重要です。

ただし、年間2,300時間の作業削減によって、対象工程の労働時間や人員数、賃金が具体的にどう変化したかまで一対一で確認できるわけではありません。「自動化したから社員全員が楽になった」とまでは断定しません。

4.商品そのものの情報公開は比較的具体的

現在の600ml商品ページでは、採水地を長野県松本市と静岡県駿東郡小山町の2か所と明記しています。

松本市製造品は硬度53mg/L、pH6.9、小山町製造品は硬度36mg/L、pH7.8で、どちらも軟水です。主要ミネラル量も採水地別に確認できます。

さらにキリンは、自社ミネラルウォーターについてPFOS・PFOAの合計が50ng/L以下であることを確認したと公表しています。

「天然水だから安全」とだけ説明するのではなく、採水地や成分、関心の高いPFASの検査状況を読者が確認できることは長所です。

5.物流をトラックだけに依存しない

キリングループロジスティクスは、トラック、鉄道、船舶を組み合わせたモーダルシフトを進めています。

鉄道輸送に障害が起きた場合のバックアップ輸送など、物流経路を複数持つことは、平時の効率だけでなく災害・事故時の供給継続にも意味があります。

天然水は災害時にも需要が高まる商品です。工場だけでなく、物流経路にも代替性があることは市民にとって直接的な価値があります。

この商品・関連企業に改善してほしいこと

市民が企業に改善を求めるとき、「もっと頑張ってほしい」だけでは何を変えればよいのか分かりません。点数の低い理由と改善後の影響まで示せれば、読者は何を企業へ求めるべきか、企業側も何を変えれば評価が上がるのかを具体的に理解できます。

この商品は現在63.6点で、Bランクの70点まであと6.4点です。商品そのものは19点/20点なので、Bを目指すうえで優先度が高いのは「水をさらにおいしくすること」ではありません。関連企業側、とくに製造会社のProtection、情報公開の少ない企業の労働環境・危機対応、Innovationの人間への還元を改善する方が点数への影響は大きくなります。

1.製造会社は「災害時に何時間で戻せるか」を公開してほしい

松本市系統を担う信州ビバレッジは、Safetyでは39点/50点と今回の関連企業で最高です。

製造部門の週休3日制、月平均所定外労働10.6時間、有休取得率84%などは、工場企業としてかなり具体的な強みです。

一方、Protectionは0点/25点です。

これは「災害対策を何もしていない」と断定しているわけではありません。

非常用電源はどこまで持つのか。
断水時にどうするのか。
工場が止まった場合に別拠点へ何を移せるのか。
サイバー攻撃で製造システムが停止した場合に何時間で復旧できるのか。
BCP訓練をどの頻度で行い、何が改善されたのか。

こうした具体的情報を確認できないためです。

信州ビバレッジの企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2715

仮に信州ビバレッジのProtectionが0点から15点/25点まで改善・確認できれば、現在の役割別計算では商品総合点が約1.8点上がります。

製造は商品評価で30%の大きなウェイトを持つため、改善効果も大きくなります。

2.情報非公開でFになった企業は「実態を見せる」だけでも評価が変わり得る

株式会社Pegは総合12点・Fです。

しかし、このFを「重大な労働問題が確認されたデザイン会社」と読んではいけません。

Pegについては、「キリン 自然が磨いた天然水」が日本パッケージデザイン大賞2025に入選したことが確認できます。デザイン面では第三者評価を得ています。

一方、実残業、有休取得率、離職率、労災、賃上げ、ハラスメント相談、BCP、バックアップ、復旧時間などをほとんど確認できません。

そのため現在の採点方式ではSafety8点、Innovation4点、Protection0点となっています。

株式会社Pegの企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2757

ここで重要なのは、情報公開だけで無条件に点数が上がるわけではないことです。

公開した結果、残業が長い、賃金が低い、労災が多いという実態なら高得点にはなりません。

逆に、実際には良い制度・実績を持っているなら、それを数値で公開することで、市民は「分からないから0点」ではなく、実態に基づいて判断できるようになります。

3.自動化で生まれた時間を、人間へどこまで返したかを見せてほしい

キリンビバレッジの自動化は高く評価できます。

しかし、シビックマーケットでは「ロボットを導入した」で終わりません。

年間2,300時間の業務負荷削減が実現したなら、その時間が、

残業削減
休日増加
賃上げ
人員の余裕
教育時間
より創造的な仕事への配置転換

のどこへ戻ったのかまで見たいところです。

自動化によって人員だけ削減し、残った社員の仕事量が増えているなら、人間への還元とは言いにくくなります。

反対に、削減時間が短時間労働や賃金、配置改善へ戻っているなら、Innovationはさらに強く評価できます。

4.丸善食品工業は、自動化の「人間側の成果」を出してほしい

小山町系統との関係が強い丸善食品工業は45点・Eです。

食品安全、大規模なアセプティック充填、多品種・多容器への対応、防災拠点などの強みがあります。

一方、Innovationは8点/25点です。

設備そのものが存在することは確認できても、その設備によって重量物作業が何時間減ったのか、夜勤負担がどこまで減ったのか、残業が何時間減ったのか、事故が何件減ったのかが見えません。

丸善食品工業の企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2718

「設備が新しい」から一歩進み、「設備によって人間がどれだけ楽になったか」を数値で示せれば、商品全体の評価にも反映できます。

Bランクまでの一例

現在は63.6点なので、Bまであと6.4点です。

あくまで改善効果を見るための仮定ですが、例えば次のような変化が確認できたとします。

仮定商品総合点への概算影響
PegのSafety 8→25、Innovation 4→12、Protection 0→10約+4.2点
信州ビバレッジのProtection 0→15約+1.8点
丸善食品工業のInnovation 8→13約+0.6点
合計約+6.6点

この場合、商品総合点は約70.2点となり、Bランクへ届く計算です。

これは「この点数を公表すれば自動的にBになる」という意味ではありません。各企業で実際に改善が行われ、その根拠を確認できることが前提です。

ただし、どこを改善すれば評価が動きやすいかは分かります。

この商品では、商品自体よりも、製造と包装・デザイン周辺の情報公開、危機対応、人への還元がBへの近道です。

Bを目指すなら参考になる企業

今回の関連企業で総合最高得点なのはキリンビバレッジの74点・Bです。

特に参考にしやすいのは、Innovationを抽象論で終わらせず、「25kgの重量物」「年間2,300時間削減」「重筋作業廃止」のように、人間への効果を具体的に示していることです。

Protectionの参考としては、キリングループロジスティクスが分かりやすい企業です。トラック・鉄道・船の代替、鉄道障害時のバックアップ、手作業へ切り替えられる物流設備など、「止まらないための仕組み」が具体化されています。

一方、今回の商品点計算へ直接入れた企業の中にAランク企業はありません。

そのため「Aを目指すならこの関連企業をそのまま真似すればよい」とする比較対象は、現時点では設定しません。

Aは80点以上なので、現在から16点以上の改善が必要です。一社の情報公開だけで到達する水準ではなく、製造、物流、包装、ブランド主体の複数役割でSafety・Innovation・Protectionを同時に底上げする必要があります。今後、同じ100点制でAランクに到達する比較可能な飲料・製造企業が増えた段階で、A水準の参考企業を追加する方が公平です。

関連企業の総合最高得点はキリンビバレッジの74点・B

商品の裏側に何社も関わっていると、読者には「結局どの会社が一番しっかりしているのか」が見えにくくなります。自分が払った代金の中心的な受け手に、どの程度の労働環境・技術・危機対応があるのかを知るため、関連企業の中で総合評価が最も高かった会社も確認します。

今回の600mlの商品点へ直接反映した企業の中で、総合得点が最も高いのはキリンビバレッジ株式会社です。

企業総合点ランク主な役割
キリンビバレッジ株式会社74Bブランド、企画、販売主体、容器・循環方針
キリンホールディングス株式会社69C品質・研究・サイバー・グループ基盤
キリングループロジスティクス株式会社65C物流
信州ビバレッジ株式会社54D松本市系統の製造
丸善食品工業株式会社45E小山町製造系統との関係が強い製造会社
株式会社Peg12Fパッケージデザイン

この分布を見ると、関連企業にD、E、Fが含まれているのに、商品がCまで残った理由も分かります。

単純平均ではなく役割別加重平均だからです。

Pegが12点でも、デザイン会社1社が商品全体を支配することはありません。逆に、商品成立への影響が大きいブランド・企画、製造、物流のウェイトは大きくしています。

「低得点企業を隠さない。しかし、その会社が商品に与える影響以上に罰しない」という考え方です。

キリンビバレッジの企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2712

キリンホールディングスの企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2738

キリングループロジスティクスの企業審査:
https://tousikyousomirai.com/?p=2725

商品基本情報

同じブランド名の水でも、容量や採水地、販売形態が違えば、中身や製造会社、価格まで変わることがあります。自分が店頭で手に取る600mlが本当に今回の審査対象なのかを確認できるよう、まず商品を特定するための基礎情報を整理します。

項目内容
商品名キリン 自然が磨いた天然水 600ml
販売者・ブランド主体キリンビバレッジ株式会社
品名ミネラルウォーター(鉱水)
容量600ml
採水地長野県松本市、静岡県駿東郡小山町
硬度松本市53mg/L、小山町36mg/L
pH松本市6.9、小山町7.8
賞味期間24カ月
希望小売価格160円
JAN4909411093358
ケースJAN4909411093365
調査時点2026年9月

公式商品ページ:
https://products.kirin.co.jp/softdrink/softdrink/detail.html?id=7808

2つの採水地で中身は少し違う

同じ商品名なら中身も全部同じだと思いがちですが、実際には採水地によって硬度やpHが違います。水の好みや用途によっては、この違いが購入後の印象にもつながるため、「キリン天然水」という一つの数値にまとめず、自分が飲む可能性のある2つの水を分けて確認します。

通常の600mlは、長野県松本市と静岡県駿東郡小山町の2か所が採水地です。

成分・指標松本市小山町
ナトリウム0.55mg/100ml0.86mg/100ml
カリウム0.07mg/100ml0.12mg/100ml
カルシウム1.3mg/100ml0.99mg/100ml
マグネシウム0.35mg/100ml0.28mg/100ml
硬度53mg/L36mg/L
pH6.97.8

どちらも軟水ですが、完全に同じ水ではありません。

商品名が同じだからといって、一つの硬度やpHだけを書けばよいわけではありません。採水地によって違いがあることを公式ページで確認できるため、本記事でも分けて扱います。

商品そのものは19点/20点

企業の働き方が良くても、実際に買った商品が危険だったり、使いにくかったり、価格に見合わなかったりすれば、市民にとって良い商品とは言えません。一方で、一般的な商品レビューのように味や便利さだけを見れば、働く人や供給体制の問題が消えてしまいます。

そこで商品そのものは20点に限定しつつ、安全性・品質・使いやすさ・価格を確認します。粗悪な商品でも関連企業だけ良ければ高得点になる、という状態を避けるための20点です。

商品評価得点理由
安全性・健康5/5採水地・成分を公開。PFOS・PFOAが基準以下であることを確認したと公表
品質・人への貢献5/5日常の水分補給、24カ月保存、備蓄にも利用可能
使いやすさ5/5600mlで携帯しやすく、一般流通で入手しやすい
価格・継続性4/5継続購入しやすいが、2024年発売時より希望小売価格が上昇
合計19/20商品自体には大きな弱点を確認せず

PFASの検査は公表されている

キリンは「自然が磨いた天然水」など同社のミネラルウォーターについて、PFOSとPFOAの合計が50ng/L以下であることを確認したと公表しています。

PFAS確認:
https://qa.kirin.co.jp/fa/FAQ/web/knowledge20132.html

これはキリン自身による公表です。第三者機関の試験証明書を本記事で独立確認したという意味ではありません。

また、「50ng/L以下」は「完全にゼロ」という意味でもありません。

それでも、検査をしているかどうか自体が分からない商品より、市民が確認できる情報が多い点を評価します。

24カ月保存は備蓄にも意味がある

賞味期間は24カ月です。

600mlは2Lに比べると1本当たりの包装量は増えますが、災害時に一人ずつ配る、持って移動するという場面では小型ボトルに利点があります。

キリンは2024年の600ml発売時に、日常利用しながら備蓄を入れ替える「スマートストック」も案内しています。

価格は発売時より上がった

600mlは2024年4月16日の発売時、税別希望小売価格120円でした。

現在の公式商品ページでは希望小売価格160円です。

実売価格は店舗やケース購入で変わりますが、家計への継続的な負担を見るため、価格・継続性は4点/5点としました。

この商品を支える企業は一社ではない

店頭ではキリンのロゴしか見えませんが、その1本はブランド会社だけで作られているわけではありません。製造工場、物流、デザイン、グループ共通基盤など複数の会社の仕事が重なって初めて棚に並びます。どの企業の働き方や事故、技術を自分の購入判断へ反映すべきかを分かるようにするため、商品との関係を役割ごとに整理します。

通常600mlの点数計算では、対象商品との役割を説明できる企業を中心に反映しました。

企業商品との主な関係総合点
キリンビバレッジブランド・企画・販売主体74
信州ビバレッジ松本市系統の製造・充填54
丸善食品工業小山町製造系統との関係が強い製造会社45
キリングループロジスティクスキリン飲料の物流機能65
Pegパッケージデザイン12
キリンホールディングス品質・研究・サイバー・危機管理の共通基盤69

このほか、キリンディスティラリー、日本キャンパック、ホッカンホールディングス、キリンビール、地域販売・自販機会社、豊田通商、豊通ペットリサイクルシステムズ、JEPLAN、王子コンテナー、三菱重工業、三菱ロジスネクストなど、キリン飲料の製造・容器・物流・資源循環で関係する企業も調査しています。

ただし、2L専用製造系統、別容量、自販機専用商品、グループ全体での共同開発、PET循環の企業関係が確認できることと、「通常600mlのこのボトルに現時点で直接関与している」ことは別です。

関連企業を調査から除外するのではなく、商品点への直接反映と、周辺関連企業としての把握を分けています。

関連企業80点は役割別に計算する

関連企業が多い商品ほど、単純平均では市民の実感から離れた点数になりやすくなります。例えば販売会社が多数あるというだけで、実際に水を作る製造会社より販売部門の点数が強く効いてしまえば、「この商品を誰が作り、誰が届けているのか」を正しく反映できません。

そこで企業数ではなく、商品が成立するうえでの役割に応じてウェイトを固定します。製造や物流など、自分の手元へ商品が届くまでに大きな影響を持つ役割ほど、その実態が点数へ反映される設計です。

役割ウェイト
ブランド・商品企画・販売主体20%
採水・製造・充填30%
原材料・容器・包装15%
物流・保管・配送15%
販売・自販機等10%
リサイクル・環境循環5%
設備・その他支援5%

同じ役割に複数社ある場合は、その役割内で平均します。

この方式なら、関連企業にFが一社あっても、その企業が担う役割以上に商品全体を下げません。一方、製造会社のように商品成立への関与が大きい企業の課題は強く反映されます。

Safety:働く人の労働環境を見る

自分が安く水を買えたとしても、その安さが長時間労働や危険な作業、休みにくい職場によって支えられているなら、市民がその企業活動をどう見るかは変わります。逆に、きちんと休めて賃金も上がり、安全に働ける会社の商品なら、購入を通じてその働き方を支える意味があります。

ここでいうSafetyは関連企業の企業審査で使う評価軸です。水そのものの安全性ではなく、関連企業で働く人の賃金、労働時間、休息、雇用の公平性、育児・介護、ハラスメント、労災などを見ます。

最高得点:信州ビバレッジ 39点/50点

信州ビバレッジは、製造部門で週休3日制を採用し、2025年実績の月平均所定外労働時間は10.6時間、有給休暇取得率84%と公表しています。

製造業では交替勤務が必要になる一方、出勤日数を減らし、残業も比較的低く抑えている点を評価しました。

ただし、2024年には4日以上の休業を要する労災について労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかった事案が公表され、送検されています。

そのため39点は「問題なし」の満点評価ではありません。

強い労働条件と、実際に確認された労災報告上の問題を両方反映した点数です。

実態上の課題で低い代表:丸善食品工業 26点/50点

丸善食品工業では、2025年度の月平均所定外労働時間25.9時間が確認されています。

須坂工場の求人では4勤2休の交替勤務、月平均時間外27時間、繁忙時の特別条項も確認されています。

一方で食品安全や福利厚生などの長所もあります。

今回の低さは、単なる非公開だけではなく、交替勤務や残業といった実際に確認できる負担も含めた結果です。

情報不足による最低:Peg 8点/50点

Pegでは、重大な死亡労災や行政処分が確認されたわけではありません。

低得点の主因は、実残業、有休、離職率、賃上げ、労災、ハラスメント相談などを確認できないことです。

「情報がないから悪い会社」とは書きません。

しかし、市民が企業を比較するために必要な情報がない以上、「普通だろう」と推測して中間点を与えることもしません。

Innovation:最も際立つのはキリンビバレッジ

飲料工場や物流では、重い原料やケースを人が繰り返し持つ仕事が残れば、その負担は働く人の腰や身体へ蓄積します。Innovationを見る理由は、新しい機械が格好いいからではなく、技術によって危険作業や待ち時間、残業を実際に減らし、人間が無理をしなくても商品を届けられるようになっているかを知るためです。

最高得点:キリンビバレッジ 21点/25点

今回のInnovationで最も分かりやすい成果が、重筋作業の自動化です。

湘南工場では最大25kgの茶葉原料を扱う作業をロボットへ移し、年間約2,300時間の業務負荷を削減しています。

また物流側では、海老名物流センターの自動ピッキング、トラック荷積み・荷降ろしの自動化実証などが進んでいます。

キリンビバレッジが74点・Bまで上がった大きな理由の一つが、技術を単なる研究ではなく実際の現場負担削減へつなげていることです。

確認された「悪いInnovation実態」で最低の企業は今回は設定しない

Innovationが低いからといって、「技術力が低い」「何も改善していない」とは限りません。

今回の低得点企業は、設備投資がないというより、改善によって人の負担が何時間減ったか、残業や事故がどこまで減ったかを確認できない企業が中心です。

そのため、この軸では「確認された悪い実態による最低企業」を無理に選びません。

情報不足による最低:Peg 4点/25点

Pegには「自然が磨いた天然水」のパッケージデザインが日本パッケージデザイン大賞2025へ入選した実績があります。

デザイン成果は確認できます。

一方、制作工程のデジタル化によって何時間減らしたか、残業削減や賃上げへどう還元したかなど、働く人へのInnovation成果を確認できません。

そのため4点となっています。

Protection:最高はキリングループロジスティクス

普段は水が棚にあるのが当たり前でも、地震、豪雨、停電、サイバー攻撃、物流障害が重なると、その「当たり前」は簡単に崩れます。特に飲料水は災害時ほど必要になるため、平時の価格だけでなく、工場や物流が止まったときにどこまで供給を維持・復旧できるかは、市民の生活に直接関係します。

最高得点:キリングループロジスティクス 18点/25点

Protectionでは、災害・事故・サイバー攻撃・物流停止が起きても商品を届け続けられるかを見ます。

キリングループロジスティクスは、トラック、鉄道、船の複数手段を使い、鉄道障害時のバックアップ輸送も整備しています。

海老名物流センターの自動化設備も、効率化だけでなく、必要に応じて手作業へ切り替えられる構成を持つ点が評価できます。

実態上の問題による最低企業は明確に設定しない

今回のProtection低得点企業で、近年の大規模災害対応失敗や重大サイバー事故が確認され、その実害が主因で0点になった企業はありません。

したがって、「問題を起こしたから最下位」という会社を無理に作りません。

情報不足による最低:信州ビバレッジとPeg 0点/25点

信州ビバレッジとPegは同率0点です。

信州ビバレッジは実際の製造会社なので、商品との関与がより直接的です。

非常電源、代替水源、代替生産、RTO、サイバー復旧、訓練結果などを確認できず、現在の基準では0点となりました。

Pegも、デザインデータのバックアップや代替拠点、復旧時間などの情報を確認できません。

どちらも「何も備えていない」と断定しているわけではありません。

外部から確認できないため評価できない、という0点です。

主なニュース・最近の動き

商品は発売した瞬間の状態で止まっているわけではありません。値上げ、容量変更、包装改良、工場や物流の自動化が進めば、同じ商品名でも家計への負担や働く人の仕事、災害時の供給力は変わります。現在の評価が何によって形作られてきたのかを知るため、最近の主な変化を確認します。

2024年4月:600mlを新発売

キリンビバレッジは2024年4月16日、「自然が磨いた天然水」の600mlを全国発売しました。

パッケージも青色を基調としたデザインへ刷新しています。

発売時の税別希望小売価格は120円でした。

発売発表:
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0305_01.html

段ボールも改良

2024年の刷新では、四隅をなくした八面構造のカートンを採用し、一般的な四面段ボールと比べて強度を高めつつ、段ボール使用量削減へつなげたと公表しています。

折りたたんだ段ボールを3枚まとめて収納しやすい「パパッと片付く段ボール」も採用されています。

利用者にとっては、箱買い後の片付けの手間にも関係する改善です。

パッケージデザインが日本パッケージデザイン大賞2025へ入選

公益社団法人日本パッケージデザイン協会の日本パッケージデザイン大賞2025で、「キリン 自然が磨いた天然水」は一般飲料部門の入選作品となりました。

応募者は株式会社Peg、クライアントはキリンビバレッジです。

応募総数1,000点から一次審査で417点が入選し、その後35点が入賞しています。

「入選」を金賞・銀賞などの上位受賞と書き換えません。

工場の重筋作業をロボットへ

商品固有の工場ではありませんが、ブランド主体のキリンビバレッジでは、湘南工場で茶葉原料投入の自動化を実施しています。

最大25kgの重量物作業を廃止し、年間約2,300時間を削減した実績は、関連企業のInnovationを理解するうえで重要です。

自動化発表:
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2021/1025_01.html

物流でも国内初の自動ピッキング

2024年12月、キリングループの海老名物流センターで、三菱重工のΣSynXを活用した自動ピッキングソリューションが稼働しました。

三菱重工はこの稼働を国内初としています。

自動化・省人化に加え、飲料ケースの重筋作業を機械へ移す点が重要です。

三菱重工発表:
https://www.mhi.com/jp/news/241212.html

重大な問題は長所で消さない

買う側としては、良い点が多い商品ほど「多少の問題は仕方ない」と見過ごしたくなることがあります。しかし、働く人の労災や長時間労働、商品そのものの重大事故は、便利さや自動化の実績とは別に確認しなければ、自分の購入が何を支えているのか分からなくなります。

この商品には自動化、賃上げ、商品情報公開などの長所があります。しかし、それを理由に労災報告遅延や、長時間労働、情報不足を「総合的には良いから問題ない」と消すことはしません。

逆に、関連企業の一社がFだから「この水は危険」とすることもしません。

企業で働く人の問題と、商品そのものの品質・安全性は関係する場合がありますが、同じものではありません。

商品自体に重大な未解決回収や健康被害が確認された場合は、関連企業のInnovationが高くても別に明示します。

今回、現行600mlについて利用停止を必要とする重大な未解決回収は、主要な公開情報では確認できませんでした。

総合評価

最後に、市民がこの1本を店頭で選ぶ場面へ評価を戻します。64点・Cという数字だけでは「買う意味があるのか」「何が問題なのか」までは分かりません。そこで、商品そのもの、働く人、技術、危機対応をまとめて見ると、この商品の強みと改善してほしい部分がどこにあるのかを整理できます。

「キリン 自然が磨いた天然水 600ml」は、Cランクという数字だけを見ると、積極的に評価しにくい商品に見えるかもしれません。しかし、中身を見ると印象はかなり違います。

商品そのものは19点/20点です。

採水地は松本市と小山町の2か所を明示し、それぞれの硬度や主要成分を公開しています。PFOS・PFOAについても基準以下を確認したと公表しています。24カ月保存でき、600mlは持ち運びにも備蓄にも使いやすい容量です。

関連企業にも明確な長所があります。

とくにキリンビバレッジは74点・Bで、最大25kgの重量物作業をロボットへ移し、年間約2,300時間の業務負荷を削減しました。キリングループの物流では、国内初の自動ピッキングソリューションが稼働しています。

重労働を「人が我慢してやる仕事」のまま残さず、機械へ移していく方向は高く評価できます。

一方、Cにとどまった理由も明確です。

製造会社のProtection情報が弱く、災害やサイバー攻撃で工場が止まったとき、何時間で復旧できるのかが見えません。

また、Pegのように、実際に悪い労働環境が確認されたわけではないのに、情報を公開していないため一桁点数となる企業があります。

丸善食品工業でも、設備・品質面の強みはある一方、Innovationによって働く人の残業や危険作業がどれだけ減ったのかが見えません。

この商品の次の目標はBです。

現在63.6点なので、あと6.4点。

商品自体を19点から20点へ上げても1点しか増えません。

それより、製造会社のBCP・復旧実績を具体化すること、情報不足企業が労働環境を数値で開示すること、自動化で生まれた時間を賃金や労働時間短縮へ返した実績を示すことの方が、商品全体を大きく変えます。

市民から見れば、この商品を買うことには二つの意味があります。

一つは、重い仕事を機械へ移し、飲料・物流現場をより人間的にしようとする企業活動を間接的に支えること。

もう一つは、まだ情報を十分に見せていない製造・関連企業に対して、「良い取り組みをしているなら、その成果を市民が確認できる形で示してほしい」と求めることです。

現時点の評価は、関連企業44.6点/80点、商品そのもの19点/20点、合計63.6点/100点。

表示上は暫定64点、シビックランクCです。

Cではありますが、関連企業の最高がBで、D・E・F企業も複数含む中で64点まで残ったことを考えると、商品としては比較的健闘した結果とも言えます。

今後、製造会社の危機対応、労働環境の情報公開、自動化成果の人間への還元が進めば、Bへ上がる余地は十分あります。

出典・関連リンク

1.キリン「キリン 自然が磨いた天然水 600ml」商品・品質情報
https://products.kirin.co.jp/softdrink/softdrink/detail.html?id=7808

2.キリン「ミネラルウォーターのPFAS(PFOS、PFOA)の検査」
https://qa.kirin.co.jp/fa/FAQ/web/knowledge20132.html

3.キリンビバレッジ「自然が磨いた天然水」600ml発売・パッケージ刷新
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0305_01.html

4.キリンビバレッジ湘南工場「茶葉原料開梱・投入自動化設備」
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2021/1025_01.html

5.三菱重工業「海老名物流センター 自動ピッキングソリューション」
https://www.mhi.com/jp/news/241212.html

6.日本パッケージデザイン協会「日本パッケージデザイン大賞2025」

7.キリンビバレッジ株式会社 企業審査
https://tousikyousomirai.com/?p=2712

8.信州ビバレッジ株式会社 企業審査
https://tousikyousomirai.com/?p=2715

9.丸善食品工業株式会社 企業審査
https://tousikyousomirai.com/?p=2718

10.キリングループロジスティクス株式会社 企業審査
https://tousikyousomirai.com/?p=2725

11.キリンホールディングス株式会社 企業審査
https://tousikyousomirai.com/?p=2738

12.株式会社Peg 企業審査
https://tousikyousomirai.com/?p=2757

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